OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II|小型軽量の標準レンズで撮る旅と日々
はじめに
以前の記事でご紹介したM.ZUIKO DIGITAL(以下MZD)25mm F1.8の単焦点レンズが、昨年2025年3月にリニューアルされました。マイクロフォーサーズ規格では25mmが35mm判換算で50mm相当となる点については前の記事で触れているため割愛しますが、リニューアルによって進化した点、またこれまで通り小型・軽量かつ絞り開放F1.8ということで非常に使いやすい点を、この1年間の旅と日々の写真とともにご紹介します。

■撮影環境:F8.0, 1/125秒, -0.3段, ISO 400, WB 5600K, カラープロファイル2
35mm判換算50mm、標準レンズとしての画角
35mm判換算50mmの画角は「注視していない時に視認できる視野に近い」また「奥行き感が肉眼に近い」といった点において、私たち人間の見た目に近いとされることから標準レンズとも言われます。極端な遠近感や圧縮効果を生まず肉眼に近い印象となりやすいものの、以前の記事でも取り上げたように撮り方次第で奥行きを強調できる一方で、被写体との距離次第では逆にぎゅっと詰まった印象に仕上げることもできるポテンシャルを持っています。
本格的な寒波が来る前の北陸地方を走る電車の窓越しに撮影しました。広すぎず、狭すぎない画角に雪を被った山並みと冬の田園風景(水面にはその山々が映り込んでいることもわかります)が自然な遠近感で表現されています。

■撮影環境:F2.8, 1/5000秒, -0.3段, ISO 400, WB 5600K, カラープロファイル2
満開手前の枝垂れ梅を、下から見上げる角度で撮影しました。まだ蕾も多いことから、これより広角だとお花のボリューム感が出ず、望遠になると画角が狭くなる、その中間のちょうど良い塩梅のスケール感に収まったかと思います。

■撮影環境:F1.8, 1/6400秒, +0.7段, ISO 200, WB 晴天, カラープロファイル3
機内食が出るとつい撮っておきたくなるのは私だけではないと思います。今回は手元に本レンズとこれより広い画角のレンズの2本を持っていたのですが、25mmだと周囲の余計なものを排除しつつ、お料理の質感やボリューム感を伝えるちょうど良い画角だと感じられました。

■撮影環境:F2.8, 1/40秒, 0段, ISO 800, WB AUTO, カラープロファイル4
手作りのランタンがたくさん吊るされた台南の路地をスナップ。話し込む人がよいアクセントとなりました。奥行き感とランタンの詰まった感じが誇張され過ぎず自然かつ見た目に近い印象となりました。

■撮影環境:F1.8, 1/100秒, -0.7段, ISO 800, WB AUTO, カラープロファイル4
安心の防塵・防滴性能
レンズのリニューアルにあたり、大きな変更点として挙げられるのが「防塵・防滴性能」です。リニューアル前はお天気の悪い日に持ち出すことが憚られましたが、本レンズは同じように防塵・防滴機能を備えたカメラとの組み合わせであれば雨や雪、砂埃の舞うような場面でも持ち出せる安心感があります。
時折雨の混じる湿った雪の中での撮影は、日頃雪のない地域に住む筆者にとっては防寒対策をしつつ、足元にも気を配りつつでなかなかに困難でしたが、そんな中でとりあえず機材が多少濡れても平気という安心感は非常に大きなものでした。

■撮影環境:F4.0, 1/125秒, +1.3段, ISO 640, WB 曇天, Natural

■撮影環境:F4.0, 1/640秒, +1.3段, ISO 640, WB 曇天, Natural
開放F1.8のボケ感とメリット
本レンズの絞りは開放がF1.8。絞りを大きく開くことができるということは、大きなボケ感を得られたり、暗い場所でも多くの光を取り込むことでシャッター速度が遅くならず、手ブレの可能性を軽減できるメリットがあります。
最短撮影距離(0.25m=25cm)を意識して、ピントが合うギリギリまで近づいてシャッターを切りました。背景のやわらかく大きなボケが伝わる1枚となりました。

■撮影環境:F1.8, 1/640秒, 0段, ISO 400, WB 6400K, カラープロファイル2
同じ場所でF値を変えてみるとその違いがよくわかります。F値を変えることで変わるのは被写界深度(ピントの前後のボケ感)と取り込む光の量ですが、ここでは絞り優先モードで露出(写真の明るさ)は一定となるようにして絞りだけを変えてみました。
▼F1.8で撮影

■撮影環境:F1.8, 1/5000秒, -0.7段, ISO 400, WB 曇天, Natural
▼F5.6で撮影

■撮影環境:F5.6, 1/500秒, -0.7段, ISO 400, WB 曇天, Natural
背景に奥行きがある場面で被写体にできるだけ近づくと背景はボケやすくなるのですが、その際の背景が木立ちなどで木漏れ日があると玉ボケができます。この玉ボケは焦点距離が長くなる(望遠になる)ほど大きくなりますが、25mmだとそこまで大きくはないものの小さすぎない、可愛らしいサイズの玉ボケとなりました。

■撮影環境:F1.8, 1/640秒, -1.0段, ISO 200, WB 晴天, カラープロファイル2
雪の旧街道を撮りたくて訪ねたものの、思ったほど雪がなかった……(残念!)という場面ですが、せっかく来たので暗くなるまで散策してみました。街灯が少なめでかなり暗い環境だったのですが、F1.8とカメラの手ブレ補正機能が優秀であるお陰で手持ちでの撮影ができました。

■撮影環境:F1.8, 1/40秒, -1.3段, ISO 1600, WB 5000K, カラープロファイル4
台南の市場で出会った地元の方に、市場の2階を案内していただきました。そこはいくつかの店舗と住居が混在した、レトロで不思議な空間が広がっていました。住民の生活を邪魔しないように撮らせていただいたのですが、廊下に照明がほとんどなくとにかく暗い! こういった場面では開放F値の小さな明るいレンズ一択となり、やはり単焦点レンズも持っておくべきだと再認識させられます。

■撮影環境:F1.8, 1/250秒, -1.3段, ISO 200, WB AUTO, Vivid
暗い上に被写体が動く……!非常に撮影が難しいシチュエーションのひとつが水族館です。OM SYSTEMの単焦点レンズは様々な焦点距離・開放F値を持つレンズが揃っていますが、画角と開放F値、また最短撮影距離から本レンズは水族館での撮影にもとても使いやすいレンズだと感じられました。

■撮影環境:F1.8, 1/1000秒, -0.7段, ISO 1600, WB AUTO, カラークリエーター2
最短撮影距離0.25mで最大撮影倍率が0.12倍
本レンズの最短撮影距離は0.25m(25cm)で、被写体のすぐ手前まで寄れる、というわけではないものの、ざっくりした感想として「そこそこ大きく撮れる」という印象です。
実際に最大撮影倍率が0.12倍(35mm判換算で0.24倍相当)ということで等倍の1/4程度、これは同じOM SYSTEMの MZD ED 25mm F1.2 PRO(同50mm相当)の最短撮影距離が0.3mで最大撮影倍率が0.11倍(同0.22倍相当)や、MZD 45mm F1.8(同90mm相当)の最短撮影距離が0.5mでレンズの最大撮影倍率が0.11倍(同0.22倍相当)をはじめ、同社のマクロレンズ以外のPROシリーズを含めた単焦点レンズ(MZD ED 300m F4.0 IS PROはサイズ感や用途が違い過ぎるためここでは除く)の中では2番目(最も最短撮影距離が短いレンズは0.2m)に寄れて一番大きく写すことができるレンズであることがわかります。マクロ撮影がしたいときにはマクロレンズを選ぶので、日常使いのレンズとしては幅広い用途に対応できるレンズであると言えるのではないかと思います。
凍結した路面の氷が綺麗で思わずしゃがみ込んで撮影、マクロレンズではないものの氷の表面の質感が十分伝わる一枚を撮ることができました。

■撮影環境:F2.0, 1/160秒, -0.3段, ISO 400, WB 晴天日陰, Natural
ICカード非対応路線ということで、久しぶりにJR線で切符を購入しました。切符の背景デザインにJRのマークの他、JR西日本であることがわかる「W」の文字が入っていることもしっかり見て取れます(これ、JR東日本だと「E」、JR九州だと「K」というように会社ごとにアルファベットが変わるのですね!)

■撮影環境:F3.2, 1/800秒, 0段, ISO 400, WB 5600K, Natural
旅と日々のスナップあれこれ
最後に旅と日々のスナップをいくつかご紹介します。
すっかり暗くなった中で開いていた花屋さんでの一コマ。2車線の道路の反対側から撮影しているのですが、小さな間口の店舗の全景とバイクの二人の大きさとのバランスがピッタリ収まりました。

■撮影環境:F1.8, 1/200秒, -0.7段, ISO 800, WB AUTO, ドラマチックトーン(アートフィルター)
台湾らしい印象の、寺院(廟)にランタンがずらりと並んだ場所を探してようやく見つけました。手前と奥でランタンの大きさが変わることで遠近感とスケール感の伝わる一枚になる場所と角度を探して撮影しました。

■撮影環境:F1.8, 1/125秒, +1.3段, ISO 400, WB AUTO, カラープロファイル2
市場で肉屋のおじさんの手元にピントを合わせてお肉を叩いている場面を、お肉を買いに来られたお客さんを手前に入れて地元の日常風景の一コマとして撮影しました。

■撮影環境:F2.8, 1/500秒, -0.7段, ISO 640, WB AUTO, Natural
市場の2階で撮影中、ここに住む猫に出会いました。周囲の味のある雰囲気を伝えつつ、猫の存在感もしっかり伝わる1枚となりました。

■撮影環境:F3.5, 1/160秒, -1.0段, ISO 800, WB 5400K, カラープロファイル2
台南から台中まで、新幹線ではなく在来線で移動することに。主に高架を走ることで地面を見下ろす角度となる新幹線と違い、地上走行ゆえに水平に近いアングルでの車窓は田園風景をより身近に感じることができました。今回は自強3000という日本の日立製作所製造の新型車両に乗車したのですが、車両がまだ新しいこともあってか、窓ガラス越しでもかなりクリアな画像を得ることができました。この写真は台南―新營間ですが、遠くに見える山並みまでしっかり確認することができます。いつか、台湾茶などで有名な阿里山にも行ってみたいものです。

■撮影環境:F8.0, 1/400秒, +1.0段, ISO 400, WB AUTO, カラープロファイル4
台湾に来たからには食べたい小籠包ですが、残念ながら台南ではほとんど見かけません。台中に到着して、宿近くに小籠包のお店を見つけて喜び勇んで出かけました。お店の人に勧められるままに注文したところ、2段目にカラフルな小籠包がずらり!左手で熱々の蒸篭をずらしつつ右手でカメラを持っての撮影はなかなかに至難の業でしたが、カメラもレンズも小型軽量でとても助かりました。

■撮影環境:F2.0, 1/500秒, -0.3段, ISO 800, WB AUTO, Vivid
大阪駅近くでフォトジェニックな場所を発見。光の入り具合から造形的な面白さを意識した構図を取りつつ、人物が入るタイミングを見計らって撮影しました。

■撮影環境:F2.8, 1/200秒, -1.3段, ISO 800, WB AUTO, カラークリエーター0
まとめ
以前は防塵・防滴機能がなかったため持ち出すことを躊躇う日もありましたが、今や安心してどこにでも連れて行くことができ、手のひらに収まるサイズ感から「あと1本」としてカメラバッグに忍ばせておくのにオススメのレンズです。また、私は荷物を少なくしたい方向けの旅レンズとして「高倍率ズーム+単焦点の2本セット」をお薦めしていますが、この際の単焦点レンズとしても最適解なのではないかと思います。

■撮影環境:F2.0, 1/15秒, +0.3段, ISO 1000, WB 晴天, カラープロファイル4
■写真家:クキモトノリコ
学生時代に一眼レフカメラを手に入れて以来、海外ひとり旅を中心に作品撮りをしている。いくつかの職業を経て写真家へ転身。現在はニコンカレッジ、オリンパスカレッジ講師、専門学校講師の他、様々な写真講座やワークショップなどで『たのしく、わかりやすい』をモットーに写真の楽しみを伝えている。神戸出身・在住。晴れ女。
公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員












