キモ可愛い深海魚や幼魚だけの水族館!?全国絵になる水族館めぐり撮影旅~東海編~

虫上智
キモ可愛い深海魚や幼魚だけの水族館!?全国絵になる水族館めぐり撮影旅~東海編~

はじめに

全国の水族館ファンの皆さん、こんにちは!写真家の虫上です。今回は富士山がよく見える、東海地方の水族館を巡ってきました。この地域の水族館は○○専門の水族館がとても多く、深海にはこんな魚がいるんだ!とか、身近な漁港にもこんな素晴らしい幼魚が泳いでいるんだ!とか新しい発見ができる水族館がある、素晴らしい地域ということで期待して巡りました。

【静岡】キモ可愛い深海魚専門!「沼津港深海水族館」

まず最初に訪れたのは日本一深い海の駿河湾に面した沼津港深海水族館。この水族館は別名「シーラカンスミュージアム」という深海にすむ生きた化石、シーラカンスがメインの深海魚をテーマとした水族館です。キモ可愛い生物が沢山展示しているだけあって大変な人気の水族館で、入り口付近は多くの来館者でごったがえしていました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F1.4 1/40秒 ISO800

まずは深海の巨大魚、アブラボウズがお出迎えしてくれました。名前通り、全身が脂がのっている大トロのようだということで大変美味しそうな魚です。しかしながら深海魚なのでダイバーでも容易に見ることが出来ない、貴重な魚です。良い顔になるチャンスを狙い撮影しました。

左はかわいらしい体つきが特徴のベニカワムキ、右が歩く魚のキホウボウ。こちらも深海にすむなかなか見れない魚ですがここ、深海魚水族館ではじっくり観察できます。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F1.4 1/250秒 ISO800

水深110~500メートルに住んでいるキホウボウをアップで。下あごに髭のようなものがあり、とてもユニークな魚です。下あごを強調するように撮影しました。

(左)トラフシャコは普段巣穴でこんな風に暮らしているという展示
(右)オオカミウオの正面顔は流石の貫禄ですね。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F1.2 1/80秒 ISO800

暗い部屋の円形の窓を覗くと・・・タカアシガニがいました。周りの黒い部分を取り入れることでトンネル効果が表現できます。

部分的に一塊になってあまり動かない深海生物たち。深海に生息するということはとても厳しい環境なんだな、ということがわかる展示です。
このような環境で撮影していると、自分が深い海の底にいるような体験が出来ることもこの水族館のウリです。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F1.2 1/2秒 ISO800

若干閲覧注意的な深海の生物たちですが、よく観察してみると愛着が湧く部分があることがわかります。ユウレイイカは蛍光色でライトアップされていましたが、背後の青い映り込みをわざと取り入れて神秘的に表現しました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F1.2 1/400秒 ISO800

予想通りここの水族館にもありました、蛍光サンゴをブラックライトで光らす展示です。緑色に光っている部分が発光しているサンゴです。神秘的ですね。

こちらはヒラアシクモガ二。巨大な蜘蛛のような形をしていて水中では出会いたくないような形をしていますね。そんな風に感じましたのでより不気味に見えるような雰囲気で撮影しました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F2 1/10秒 ISO800

なんとも目がかわいらしいトラザメ。体の斑点模様もいい感じでした。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F2.8 4秒 ISO2000

水中の洞窟でホタルのように光る魚・ヒカリキンメダイの展示もありました。部屋はかなり暗いのでカメラを壁などに押し付けながら固定して、スローシャッターで撮影するとこんな感じに稲妻のような雰囲気で表現できました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F1.2 1/160秒 ISO640

この水族館の主役、シーラカンスの冷凍保存展示。単なる剥製では無く冷凍での展示は世界でも珍しい方法だそうです。目の部分にライトの反射が来るようにカメラ位置を微妙に動かしながら撮影しました。キャッチライトを入れることでまるで生きているように表現しました。

怪しげな深海生物のオンパレードで同時に写欲が湧いてきます。アップで撮影したり、色違いを表現したりして撮影しました。

この3枚の展示は特殊な薬品を使用して、筋肉を透明化して、骨を染色した透明骨格標本です。本来は骨格を観察するのが目的なのですがこのように美しい展示は被写体としても魅力的でしたので撮影しました。まわりのクリスタルキューブをいかに取り入れるかがポイントです。

深海魚水族館、とてもキモ可愛い生物だらけなので興味が尽きません!是非、お化け屋敷感覚で入館されてみてください(笑)。

※この水族館は深海をテーマとしているので館内はかなり暗く、手ブレ・被写体ブレが生じやすいので、出来るだけF値が明るいレンズでISO感度も都度調整して、SS(シャッター速度)を上げながら撮影することをお勧めします。

■沼津港深海水族館
入館料金は大人(高校生以上)1800円、こども(小・中学生)900円、幼児(4才以上)400円。通常営業時間は10時~18時。近隣に有料駐車場あり。

HP:http://www.numazu-deepsea.com/

展示規模       ★★★☆☆
コストパフォーマンス ★★★☆☆
撮影向き       ★★★★☆
お勧め度       ★★★★☆

【静岡】幼魚専門の水族館!「幼魚水族館」

沼津港深海水族館からもほど近いショッピングセンターの中に2022年7月にオープンした、幼魚だけを展示しているという水族館。岸壁幼魚採集家の鈴木香里武さんが館長を務める幼魚水族館です。ここ最近ですがダイバーの間では密かに深海魚や幼魚を撮影するのが流行なので期待して入館しました。

入館してまず、お出迎えしてくれた展示には今まで取材した水族館では見たことない、海洋ごみと一緒に泳いでいる魚を展示していることでした。昨今海洋ごみ問題がクローズアップされているので、水槽を見ながら海の環境のことを知ってもらうという素晴らしい展示に驚きました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F2.5 1/640秒 ISO640

こちらはペットボトルを使用した展示。キャップの上に可愛く乗っているナベカを脇役にしたかったので瞬時に撮影。この後、ナベカはすぐにキャップから下りました(笑)。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F1.2 1/500秒 ISO640

幼魚水族館だけあって小さな幼魚が泳いでいて、必然的に魚に寄って大きく撮影しないと絵になりません。その分被写界深度の相乗効果で背景がいい感じにボケてくれるため、写真的には背景がうるさくならない感じに撮影できますのでおすすめです。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F1.2 1/8000秒 ISO800

サラサハタの幼魚。成魚だと大きいので背景の水槽が汚く映り込みやすいですが、幼魚だと背景がご覧の通りいい感じにボケてくれました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F1.2 1/2000秒 ISO800

この水族館の水槽は奇麗な青い水槽が多いので美しい表現になり易く、しかも被写体が幼魚なので体が奇麗な点もいいですね。この写真は今回のイチオシとなりました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F1.2 1/80秒 ISO6400

驚いたのは深海水族館でも展示していたヒカリキンメダイの展示です。しかもこちらの展示は背景を明るい場所に向けて撮影したら目だけが光る魚の形まで表現できるように展示方法を工夫されていることでした。この水族館は狭いスペースながらよく考えられた展示に感動しました。

■幼魚水族館
入館料金は大人1200円、中・高校生1000円、小学生600円、幼児400円、3歳以下無料。営業時間は10時~18時。最終入館17時。駐車場あり。

HP:https://yo-sui.com/

展示規模       ★★☆☆☆
コストパフォーマンス ★★★★★
撮影向き       ★★★★★
お勧め度       ★★★★★

【山梨】富士山麓の森の中の魚のオアシス「富士湧水の里水族館」

富士山麓の豊かな自然の中にひっそりとある淡水魚専門の水族館。訪れた時はどこにあるのか解らずに通り過ぎたくらい、自然と溶け込んでいる水族館に期待が高まります。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F2.8 1/800秒 ISO400

水族館前の池に何かか泳いでいました。よく見るとチョウザメです。朝の時間帯でしたので長く伸びる自分の影を入れて撮影しました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
■撮影環境:F2.8 1/320秒 ISO640

大きなダブルループ型の大水槽の中にアルビノ種(白い突然変異色)のアルビノニジマスが泳いでいました。魚眼レンズを使い、魚が一番近くに来たところで撮影してインパクトを出しました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
■撮影環境:F4.5 1/30秒 ISO400
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
■撮影環境:F4 1/10秒 ISO400

この水族館の一番のウリはこの大型の二重回遊水槽。内外と二重に仕切られているのが特徴で、大きな魚は外側、小さな魚は内側を泳いでいるため、撮影すると周りの景色の映り込みや遠近感のある不思議な写真が撮影できます。

二重水槽になっている部分を上からでも撮影できます。

下から見上げるとこんな感じに。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
■撮影環境:F3.5 1/125秒 ISO400

奥の窓部分を取り入れて人物が来るのを待って撮影。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F5.6 1/200秒 ISO640

午前中は太陽の光が差し込む時期でしたので、太陽とニジマスのシルエットでモノクロにして強調しました。

■富士湧水の里水族館
入館料金は大人420円、小・中学生200円、幼児無料。営業時間は9時~17時。休館日は火曜日(祝日の場合は翌日)。無料駐車場あり。

HP:http://www.morinonakano-suizokukan.com/index.html

展示規模       ★★★☆☆
コストパフォーマンス ★★★★★
撮影向き       ★★★☆☆
お勧め度       ★★★★☆

【静岡】金魚の飼育数が半端ない「時之栖【水中楽園】Aquarium」

同じく富士山麓の御殿場高原総合レジャー施設内にある金魚専門の水族館を訪れました。全国各地から集められた金魚およそ200種、4500匹の金魚を飼育しているという水族館。建物の外観を見るととてもそんなに金魚を飼育していると思えなかったのですが、入館してみると凄かったです。

入館するとまずはLED照明でライトアップされた幻想的な円形水槽の空間がお出迎え。

入館した日は平日の昼間だったせいか人が少なくて、広大なスペースでじっくりと金魚を観察&撮影できました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F1.2 1/125秒 ISO400

非常に個性的な沢山の金魚が泳いでいるので、お気に入りの金魚をゆっくりアプローチ出来ます。また、背景も暗い場所が多いので容易に黒バック背景で撮影できるのもフォトグラファー向きの場所ですね。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F1.4 1/40秒 ISO400

とにかく金魚の種類が半端なく多いので楽しいです。金魚好きの方は特にお勧めです。

■時之栖【水中楽園】Aquarium
入館料金は一般(中学生以上)1100円、小学生550円。営業時間は10時~19時。最終入館18時40分まで。無料駐車場あり。

HP:http://tokinosumika.com/activity/aquarium/

展示規模       ★★★★☆
コストパフォーマンス ★★★☆☆
撮影向き       ★★★★☆
お勧め度       ★★★☆☆

【静岡】小規模ながら撮影向き「浜名湖体験学習施設 ウォット」

最後に紹介するのは浜名湖を中心に都田川・遠州灘に暮らす生き物を主に展示している体験学習施設、ウォットです。訪れた日は外観を改修工事中でしたのでリニューアルオープンが楽しみな施設です。

この水族館は学習施設なので、各水槽にはこのような詳しく目を引く解説板があり、思わず立ち止まって読んでしまいます。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F2 1/1250秒 ISO400

この水族館の中では一番大きな大水槽にはカスミアジやスズキなどが泳いでいましたので、左上からのライトの光芒を利用してモノクロで表現してみました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F2.2 1/80秒 ISO400

小さな水族館ながらも展示方法を工夫されているので絵になる展示が多々あります。このゴンズイの群れの撮影は時間が経つのを忘れてしまいました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F5.6 1/6秒 ISO400

ここにもあった、透明骨格標本です。小瓶に入っているので全体的に撮影しました。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F2 1/60秒 ISO400

このような丸ボケを取り入れたファンタジックな表現が出来る水槽も。この撮影のアプローチは動画でも解説しています。

こちらはカメラ機能の多重露出機能を利用した作例です。魚の輪郭を滲ませて幻想的に表現してみました。多重露出機能の撮影方法を動画でも解説しましたのでよろしければご覧くださいね。

■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
■撮影環境:F1.2 1/125秒 ISO400

■浜名湖体験学習施設 ウォット
入館料金は大人320円、高校生以下無料。営業時間は9時~16時30分(入館は16時まで)。休館日は月曜日(祝日の場合は翌日)。有料市営駐車場あり。

HP:https://ulotto.entetsuassist-dms.com/

展示規模       ★★★☆☆
コストパフォーマンス ★★★★★
撮影向き       ★★★★☆
お勧め度       ★★★★☆

まとめ

今回は東海地方の太平洋沿岸の水族館をメインに紹介してみました。日本一深い海・駿河湾と日本一高い富士山があるせいか、どの水族館も個性的且つ、展示方法に特徴があり、大型の生物こそ展示はしていなかったのですが、その分見たことのない生物が多く、とても興味を引く展示ばかりでした。

皆さんも気になった水族館を訪れてみてください。次回はいよいよ水族館文化の中心地・関東の水族館を紹介する予定です。

 

 

■写真家:虫上智
1968年岡山県生まれ。高校を卒業後、写真家 緑川洋一氏に師事、地元のカメラ店で撮影業務などを学び、2000年に独立。現在、スタジオ撮影、フォト講座、執筆、フォトコン審査等を受け持つ。
日本写真家協会(JPS)会員。日本写真講師協会 認定フォトインストラクター。フォトマスターEX(総合)。オリンパスカレッジ講師。

 

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