初心者におすすめのカメラ『ニコン Z5II』|写真家 水咲奈々
初代から段違いパワーアップしたNikon Z5II!フルサイズによろめきそうなら最初からこっちを買おう!
夏休みも近くなり、旅行にも行くからカメラを買っちゃおうかな?と思っている、初めてカメラを購入する方にお勧めなのがNikon Z5IIです。
いきなりフルサイズ機?と思われるかもしれませんが、APS-Cサイズ機を購入しても、後からフルサイズに興味が行きそうな方は、始めからフルサイズ機を買ってしまったほうが結果的に節約できます。
例えば、以前からカメラ購入を悩んでいた方、旅行によく行く方、周りに写真をやっているお友達が多い方、自分は趣味沼にハマりやすいと自覚のある方は、1台目のカメラでも迷わずフルサイズ機を購入することをお勧めします。
本機は、フルサイズ機ながら片手で持てるコンパクトサイズで、握りやすい凸型形状のグリップと相まって、大人であれば気軽に撮影しやすいサイズ感です。重さも約700gなので、いつも使っているバッグに入れて持ち歩けるのもお勧めポイントのひとつです。
オールマイティーに活躍する標準ズームレンズとのセットがイチオシ!

本機購入の際のイチオシセットは、標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」がセットになった「Z5II 24-50 レンズキット」です。
どのカメラメーカーもですがレンズキットの、特に標準ズームレンズは、レンズ単体で買うとそこそこのお値段なのに、本体とセットになるとぐっと割引されるので、迷ったら標準ズームレンズキットで決まりです!

■撮影環境:焦点距離:35mm 絞り値:f/6.3 シャッタースピード:1/640秒 露出モード:マニュアル WB:オート0 ISO125 ピクチャーコントロール:風景
Z5IIは上位モデルと同じ画像処理エンジン EXPEED 7を搭載しており、EXPEED 6を搭載していた前機種のZ5よりも、AF性能、被写体検出性能が格段に上がっており、一世代でこんなにパワーアップする?と、びっくりさせられました。
このZ5IIに、約51mmの超薄型ズームレンズ「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」を付ければ、荷物が多くなりがちな旅先でも、気負いなく撮影が楽しめます。

■撮影環境:焦点距離:24mm 絞り値:f/5.6 シャッタースピード:1/400秒 露出モード:マニュアル WB:オート0 ISO100 ピクチャーコントロール:スタンダード
レンズは沈胴式なので、収納時はカメラの厚さと同じくらいコンパクトになります。荷物は極力減らしたいけど、折角購入したいいカメラのポテンシャルを活かした撮影をしたい方は、このレンズとのセットで、ぜひ撮り歩いていただきたいです。
レンズ構成は10群11枚で、2枚のEDレンズで軸上色収差を補正し、3枚の非球面レンズで歪曲収差を抑制しています。広角端の使用ではわずかに歪曲を感じられますが、縦横のラインが多い建造物が被写体でない限り、そこまで気にしなくてもいいかなと思いました。

■撮影環境:焦点距離:50mm 絞り値:f/6.3 シャッタースピード:1/320秒 露出モード:マニュアル WB:オート0 ISO8000 ピクチャーコントロール:風景
■撮影地:野外博物館北海道開拓の村
ズーム全域で約35cmまで近付いて撮影ができるのも、このレンズを旅行にお勧めしたいポイントのひとつです。ダイナミックさを表現したいスナップは広角側で、料理などのテーブルフォトは望遠側でぐぐっと寄ると、同じレンズで撮影したとは思えないほど、バリエーションのある画を撮ることができます。
スナップ、風景、室内とマルチに活躍してくれる「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」は、初心者から上級者まで使い続けられるオールマイティーレンズです。

■撮影環境:焦点距離:24mm 絞り値:f/4 シャッタースピード:1/200秒 露出モード:マニュアル WB:オート0 ISO1000 ピクチャーコントロール:スタンダード
■撮影地:野外博物館北海道開拓の村

■撮影環境:焦点距離:50mm 絞り値:f/7 シャッタースピード:1/400秒 露出モード:マニュアル WB:オート0 ISO640 ピクチャーコントロール:モノクローム
ちょっと頑張って手に入れれば末永く満足間違いなし!「NIKKOR Z 35mm f/1.2 S」

単焦点レンズに興味があり、これから旅行だけでなく、街なかスナップやポートレート、テーブルフォトにも挑戦してみたい方にお勧めなのが「NIKKOR Z 35mm f/1.2 S」です。
これも、いきなりS-Lineの高級レンズ?とびっくりされるかもしれませんが、35mmと50mmの単焦点レンズは、安価なレンズを購入しても徐々に物足りなくなり、ランクアップしたレンズを買い足していく、レンズジプシーになりがちです。
フルサイズ機に興味を持つ方は、絶対に標準画角の単焦点レンズが欲しくなります。ニコンのZマウントは、思い切ってF1.2のS-Lineのレンズを購入すれば、もう35mmの単焦点レンズは買い足さなくて大丈夫になります。レンズジプシーになって大量の在庫を抱えるよりも、お財布の中身と防湿庫のスペースを節約できます。

■撮影環境:絞り値:f/2.8 シャッタースピード:1/1600秒 露出モード:マニュアル WB:オート0 ISO160 ピクチャーコントロール:風景
■撮影地:野外博物館北海道開拓の村
このレンズはとにかくボケが綺麗なので、背景ボケはもちろんですが、前ボケ写真を撮っていただきたいです。旅先の街なかには、前ボケにちょうどいい被写体が溢れていますので、今までの旅行とはちょっと違う視点の旅が楽しめるでしょう。

■撮影環境:絞り値:f/2.8 シャッタースピード:1/320秒 露出モード:マニュアル WB:オート0 ISO500 ピクチャーコントロール:ビビッド
■撮影地:野外博物館北海道開拓の村
ただぼかすのではなく、ピントが合っている面のシャープさは秀逸で、ガラス製品や陶器などを撮影すると、その質感のリアルさにその場で驚かされます。光沢感のある素材や、光を反射する被写体は、このレンズの大好物と言えます。

■撮影環境:絞り値:f/1.2 シャッタースピード:1/2500秒 露出モード:マニュアル WB:オート0 ISO100 ピクチャーコントロール:スタンダード
■撮影地:野外博物館北海道開拓の村
逆光時に像がぼやけないのは、さすがのS-Lineレンズです。ニコン独自のコーティングがふんだんに使用されており、ゴーストやフレアーは最大限に抑制されています。また、逆光時に背面液晶が見づらくても、Z5IIは視認性の高いファインダーを搭載しているので、F1.2の浅い被写界深度でもピントの確認は楽々行えます。

■撮影環境:絞り値:f/1.2 シャッタースピード:1/500秒 露出モード:マニュアル WB:オート0 ISO160 ピクチャーコントロール:スタンダード
■撮影地:野外博物館北海道開拓の村

■撮影環境:絞り値:f/1.2 シャッタースピード:1/1600秒 露出モード:マニュアル WB:オート0 ISO100 ピクチャーコントロール:ポートレート
■撮影地:野外博物館北海道開拓の村
肉眼でも暗いなと思うようなシチュエーションでも、Z5IIの高感度性能で、シャキッとしたシャープさと、被写体の質感を感じられる描写が得られます。
その真反対の白飛びギリギリの描写も、難しいグラデーションを繊細に描いてくれています。Z5IIはバリアングル式の画像モニターなので、地面すれすれの低い位置からの撮影も体の負担なく行えます。
いつでも撮影できるボディキャップレンズ「七工匠 7artisans 1863ZB2 ボディキャップレンズ 18mm F6.3 II」

カメラにレンズを装着していないときは、カメラボディにボディキャップを付けていると思います。でもそれでは、いざってときにすぐ撮影できない……それならば、撮影できるボディキャップを使ってみませんか?
「七工匠 7artisans 1863ZB2 ボディキャップレンズ 18mm F6.3 II」は、約10mmの超薄型のレンズです。レンズ単体で見るとまるでアダプターのよう、というか、アダプターよりも薄い!
重さは約80g、APS-Cサイズ対応のレンズなので、Z5IIでDXフォーマットにクロップして使用すると、35mm判換算で28mmの焦点距離になります。絞りはF6.3固定で、最短撮影距離は30cmとかなり寄れます。
MFレンズなので、ピント位置は手動で合わせます。AFに慣れている方は、自分の手でピントを合わせないといけないMFは敷居が高いと思われるかもしれませんが、フォーカスピーキングを使用すると、ピントの山がつかみやすくなります。
Z5IIでは、メニュー:a12のフォーカスピーキング機能をONにすると、ピントが合っている箇所の輪郭を強調表示させられます。色は赤がお勧めです。

■撮影環境:絞り値:f/6.3 シャッタースピード:1/250秒 露出モード:マニュアル WB:オート0 ISO200 ピクチャーコントロール:ビビッド
※クロップ使用

■撮影環境:絞り値:f/6.3 シャッタースピード:1/320秒 露出モード:マニュアル WB:オート0 ISO400 ピクチャーコントロール:ビビッド
※クロップ使用
■撮影地:野外博物館北海道開拓の村
F6.3の被写界深度の深さがあるので、そこまで神経質にならずにシャッターが切れます。
色乗りはこってり系で、周辺光量が落ちるところは筆者好み!こういうレンズは、隅々までクリアーに描いちゃうよりも、四隅は像がちょっと流れちゃうくらいがいいんですよ。むしろ、結構綺麗に描いちゃっているので、もっと流れても筆者的には嬉しいくらいです。

■撮影環境:絞り値:f/6.3 シャッタースピード:1/200秒 露出モード:マニュアル WB:オート0 ISO100 ピクチャーコントロール:スタンダード
※FXフォーマットのまま撮影
次に、どういう描写になるか気になったので、クロップをしないでFXフォーマットのまま撮影してみました。1枚目は額縁のような目立つケラレが出て、見る人の目を写真の中心にぐっと引きつける写真になってくれました。

■撮影環境:絞り値:f/6.3 シャッタースピード:1/200秒 露出モード:マニュアル WB:オート0 ISO:オート ピクチャーコントロール:風景
※FXフォーマットのまま撮影
2枚目は暗い室内で撮影したので、1枚目ほどケラレが目立たず、闇に溶け込むような描写になりました。これがかなり筆者好みで、クロップなしの撮影も楽しいと思わされました。Z5IIとサイズの相性も良く、旅のお供の変化球レンズとして持っていくと楽しいでしょう。
一本あれば旅先での思い出を写し込むのに十分な働きをしてくれる標準ズームレンズ、最高の描写性能でより鮮やかに旅先の情景を彩ってくれる単焦点レンズ、個性的な写りで楽しさと驚きを倍増させてくれるMFレンズ……今度の旅先にはNikon Z5IIとこれらのレンズを連れて行ってみませんか?
■撮影地:野外博物館北海道開拓の村/他
■写真家:水咲奈々
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。日本写真家協会(JPS)会員。















