ニコン NIKKOR Z 40mm f/2|広角と中望遠どちらでも楽しめるコンパクト単焦点

三井公一
ニコン NIKKOR Z 40mm f/2|広角と中望遠どちらでも楽しめるコンパクト単焦点

はじめに

 大口径でショートフランジバックのニコンZマウント。そのおかげで「Z」シリーズはミラーレス機の中で最上級の画質を誇っています。特に「S-Line」レンズの描写は素晴らしく、多くのフォトグラファーから絶大な信頼と支持を得ています。

 もちろん「S-Line」ではないベーシックなレンズ群も見逃せません。高い光学性能はそのままに軽量コンパクトさを誇っているからです。今回はその中から開放値がF2と明るく、ボディキャップ代わりに装着しても良さそうなプライムレンズ「NIKKOR Z 40mm f/2」をニコン「Z 6II」「Z 9」で試してみることにしました。

 

NIKKOR Z 40mm f/2の特徴

 このレンズは実にコンパクト。全長約45.5mm(レンズマウント基準面からレンズ先端まで)、質量約170gなのでボディに装着しても気軽に携行できます。ニコンの「Z 9」や「Z 7II」などフルサイズの「FX」フォーマット機にはもちろん、APS-Cの「DX」フォーマット機「Z 50」や「Z fc」、そして最近登場した「Z 30」に付けてもちょうどいいサイズ感になっています。DXフォーマット機の場合は焦点距離60mm相当(35mm判換算)となり、明るい中望遠レンズ感覚で使用できるのです。

 「NIKKOR Z 40mm f/2」は開放値がF2と明るいので、ボケ味を活かした撮影を楽しめます。柔らかでやさしいボケ感はポートレートやスナップ撮影で役に立つことでしょう。絞り羽根が9枚なので自然で整ったボケを味わえるのです。美しい玉ボケをこのレンズなら誰でも堪能できます。

■撮影機材:Nikon Z 6II + NIKKOR Z 40mm f/2
■撮影環境:1/50秒 f/2 ISO640

 また、標準レンズ「50mm」に近い焦点距離なので、ヒトの見た感じに近いナチュラルな視覚表現が可能です。被写体から少し離れれば広角レンズ的に、ちょっと寄れば中望遠レンズ的にと、フォトグラファーがさまざまな印象を引き出すことができるのです。使い甲斐がよいレンズと言えるでしょう。開放値が明るいので薄暗いシーンや速いシャッタースピードが欲しい場合でも役に立つレンズになっています。

■撮影機材:Nikon Z 9 + NIKKOR Z 40mm f/2
■撮影環境:1/50秒 f/5.6 ISO125

 そしてうれしいのは最短撮影距離が0.29mと短いところでしょう。被写体に近寄って大胆な構図を演出できます。非球面レンズを2枚採用しているので歪曲収差や球面収差も良好に補正し、高い画質を得られるのです。

 

NIKKOR Z 40mm f/2でブラブラ実写スナップ!

 さて、さっそくこのレンズを「Z 6II」「Z 9」に装着して、街中をブラブラとスナップ撮影してみましょう。

■撮影機材:Nikon Z 6II + NIKKOR Z 40mm f/2
■撮影環境:1/50秒 f/2 ISO400

 夜の帳が下りた飲み屋街。そんな暗いシーンでも解放値がF2と明るいこの「NIKKOR Z 40mm f/2」なら心配無用です。カメラのボディ内手ブレ補正機能と相まってシャープな写真を撮影可能です。シャドウ部の黒つぶれしてしまいそうな部分も繊細にキャプチャーしてくれました。

■撮影機材:Nikon Z 6II + NIKKOR Z 40mm f/2
■撮影環境:1/8000秒 f/2 ISO100

 公園に置かれたカラフルなベンチを、絞り開放で「Z 6II」のシャッターを切りました。切り詰めた露出のおかげで、ベンチの立体感がいい感じに表現されました。またボケ味も柔らかく上品で、独特な写りを手にすることができました。

■撮影機材:Nikon Z 6II + NIKKOR Z 40mm f/2
■撮影環境:1/250秒 f/4.5 ISO100

 残暑の中、木の下で佇む人の後ろ姿を撮りました。「40mm」というヒトの目線に近い自然な距離感が、どことなく優しい雰囲気を演出してくれます。木々の葉もしっかりと描いてくれ、気軽に持ち出せる常用レンズとして高い資質を備えていることを感じさせてくれました。

■撮影機材:Nikon Z 6II + NIKKOR Z 40mm f/2
■撮影環境:1/400秒 f/5.6 ISO100

 「NIKKOR Z 40mm f/2」はオートフォーカスも優秀です。新開発のSTM(ステッピングモーター)を採用し、クイックかつ正確な合 焦性能を有しています。また、駆動音も小さいのでムービー撮影の時でも安心です。「Z」シリーズカメラの優れたオートフォーカス機能を使えば、意のままにピント合わせができることでしょう。

■撮影機材:Nikon Z 6II + NIKKOR Z 40mm f/2
■撮影環境:1/8000秒 f/5 ISO100

 噴水の様子を逆光でとらえました。1/8000秒でほとばしる水滴を静止させましたが、このレンズはキラキラと光る水玉をリアルにキャプチャーしてくれました。画面上部には雲越しに太陽があるのですが、いやなフレアやゴーストも出現せず描写もクリアです。

■撮影機材:Nikon Z 6II + NIKKOR Z 40mm f/2
■撮影環境:1/80秒 f/4 ISO100

 「NIKKOR Z 40mm f/2」はボケ味も上質です。このカットでは絞りF4で中央の柱にピントを合わせていますが、手前にある柱のボケ感がとてもよく整っている印象を受けます。

■撮影機材:Nikon Z 6II + NIKKOR Z 40mm f/2
■撮影環境:1/50秒 f/4 ISO100

 このカットでは手前の柱にピントを合わせています。背景が大きく美しくボケたのがおわかりいただけるでしょうか。このように「NIKKOR Z 40mm f/2」は前後ともボケをキレイに描写してくれるのです。ポートレートや静物撮影でも、被写体を背景からクッキリと浮かび上がらせることが可能なのです。小さくて軽いレンズですが、とても優秀なレンズですね。

■撮影機材:Nikon Z 6II + NIKKOR Z 40mm f/2
■撮影環境:1/800秒 f/5.6 ISO100

 「NIKKOR Z 40mm f/2」は青空を背景にヌケ感の高い描写をしてくれました。建物の直線も気持ちよく真っ直ぐに写り、カチッとした印象ですね。このカットは晴天でしたが、もし悪天候でもこのレンズは安心です。なぜなら埃や水滴の侵入を防ぐシーリングを施した防塵・防滴に配慮した設計だからです。

■撮影機材:Nikon Z 9 + NIKKOR Z 40mm f/2
■撮影環境:1/60秒 f/2 ISO4000

 こちらは「NIKKOR Z 40mm f/2」を高画素機「Z 9」に装着してクロップ撮影したものです。「Z 9」や「Z 7II」などの画素数が多い機種ならば、「40mm」と「60mm」という2つの焦点距離を手軽に扱うことが可能です。夜間のカットでISO4000ですが、ハイライト部もシャドウ部も実に豊かな描写になっていますね。

■撮影機材:Nikon Z 9 + NIKKOR Z 40mm f/2
■撮影環境:1/250秒 f/2 ISO100

 小さな祠を絞り開放で。効果的に前ボケを入れれば、こんな中望遠レンズ的なカットも撮影できるのが「NIKKOR Z 40mm f/2」です。軽くて小さなレンズですが、フォトグラファーの意図次第でさまざまな効果を引き出せそうですね。とても楽しいレンズです。

 

NIKKOR Z 40mm f/2の主要諸元

型式:ニコン Z マウント
焦点距離:40mm
最大口径比:1:2
レンズ構成:4群6枚(非球面レンズ2枚)
画角:57°(撮像範囲FX) 38° 50′(撮像範囲DX)
ピント合わせ:IF(インターナルフォーカス)方式
最短撮影距離:撮像面から0.29m
最大撮影倍率:0.17倍
絞り羽根枚数:9枚(円形絞り)
絞り方式:電磁絞りによる自動絞り
最大絞り:f/2
最小絞り:f/16
アタッチメントサイズ(フィルターサイズ):52mm(P=0.75mm)
寸法:約70mm(最大径)×45.5mm(レンズマウント基準面からレンズ先端まで)
質量:約170g
付属品:レンズキャップ52mm LC-52B(スプリング式) 裏ぶた LF-N1

 

まとめ

 「NIKKOR Z 40mm f/2」は小さくて軽いレンズですが、寄って中望遠、離れて広角的な描写を楽しめるものになっています。最短撮影距離も短く、開放値もF2と明るいので実に使いどころが多いレンズと言えるでしょう。どのレンズを装着しようか迷ったとき、カメラバッグにすんなりと収まるこのレンズは実に有用です。「ちょっと大きいボディキャップ」という感覚で、ふだん装着するレンズに加えるのもいいかもしれません。

 

 

■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなどで活躍中。さまざまな企業のイメージ撮影や、ポートレート撮影、公式インスタグラムの撮影などを多く手がける。スマートフォン撮影のパイオニアとしても活動中。

 

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