プロジェクター機能付きのレアコンデジ! ニコン COOLPIX S1200pj

水咲奈々
プロジェクター機能付きのレアコンデジ! ニコン COOLPIX S1200pj

はじめに

ニコンの「COOLPIX S1200pj」は、2011年9月に発売されたコンパクトデジタルカメラです。珍しいプロジェクター機能を備えた、当時話題の革新的な機種でした。今回は、オールドコンデジブームの今、ぜひ手に入れて欲しいコンデジとして、この「COOLPIX S1200pj」をご紹介します。

革新的なプロジェクター機能!

本機の有効画素数は14.1メガピクセル、撮像素子は1/2.3型原色CCDを採用しています。レンズは光学5倍ズームのNIKKORレンズを搭載し、35mm判換算で28-140mm相当の焦点距離で、開放F値はf/3.9-5.8です。電子ズームは最大4倍、マクロモードを使用すれば、レンズ面から約3cmまで近付いて撮影できます。

カメラ前面中央の「PROJECTOR」と書いてあるプロジェクターカバーをスライドさせて開けると、プロジェクター機能が作動します。

14年前のコンデジですが、何よりも革新的なのがプロジェクター機能付きという点です。ニコンは2009年に世界で初めてプロジェクターを内蔵した「COOLPIX S1000pj」を発売しており、本機はその3代目の機種となります。

プロジェクターの明るさは最大20ルーメン、最大投影サイズは60型、最長投影距離は約3.1m、約1時間の連続投影が可能です。専用ケーブルを使用すれば、iPhoneやiPad内の映像も投影できるスペックなのですが、筆者は中古で手に入れた際に専用ケーブルが付属しておらず、残念ながらその機能は未体験です。

わかりやすいように壁にカメラを近付けていますが、もっと離して投影することももちろん可能です。プロジェクター使用時は暗くても操作がしやすいように、メニューボタンやマルチセレクターボタンなどの、操作に必要なボタンが点灯します。

投影画面はそれほど大きくないのですが、部屋の壁などに投影しながら数人で写真を楽しむには十分なサイズで、撮ってすぐにスマホではなくプロジェクターで写真を見る行為は、とても新鮮で逆に新しく感じました。

使い方としては、カフェでテーブルに投影したり、キャンプの夜、その日に撮影した写真をテントに投影しても楽しいでしょうし、寝っ転がって天井に映すのも面白かったです。スライドショーでの投影も設定可能です。ミニ三脚などで固定すると、手持ちよりも揺れがない映像を投影できます。投影画面のフォーカス調整は、本体のレバーで簡単に操作できます。

カメラ本体上部の中央には、プロジェクターフォーカスボタンがあり、カメラと投影面との距離によって変わるフォーカスを、このボタンで調整できます。

投影画面は、14年前の中古のコンデジとは思えないほど綺麗だと感じました。オールドコンデジで撮影した画像を、そのカメラのプロジェクター機能で見るのはなかなか味があって、自分の中の新たなブームになりそうです。

らくらく撮影モードでパッと撮ることが楽しいカメラ

■撮影環境:らくらくオート撮影 焦点距離 28mm(35mm判換算) AWB ISOオート(80)

もちろんカメラとしての機能もしっかりしていて、AFはコントラスト検出方式、顔認識は最大12人まで認識可能です。記録媒体は内蔵メモリー約94MBと、SD/SDHC/SDXCメモリーカードが使用できます。動画の撮影も可能です。

気軽に撮影するほうが楽しいコンデジだろうと思い、作例は基本的に、カメラ任せのオート設定「らくらく撮影モード」で撮影しました。AFの速度には特に文句もなく、広角での撮影がメインということもあるかもしれませんが、さっと取り出してパッとリズミカルに撮れました。

色味も派手過ぎず、でも低コントラストという訳ではなく、見た目に近い鮮やかさで被写体を描き出してくれて、そのナチュラルさが好印象でした。

硬すぎないナチュラルな描写性能

■撮影環境:らくらくオート撮影 焦点距離 28mm(35mm判換算) AWB ISOオート(80)
■撮影環境:らくらくオート撮影 焦点距離 55mm(35mm判換算) AWB ISOオート(80)

四隅の像の甘さは少し感じますが、中央部はかなりクリアーな描写で、羊の毛の絡まりまでわかるほどです。

ホワイトバランスはオートで撮影しています。EXIF上にはオート0と表示されているので、現在のニコンのミラーレス機に搭載されているホワイトバランス設定の、オート0[白を優先する]相当だと思われます。

■撮影環境:シーンモード クローズアップ 焦点距離 170mm(35mm判換算) AWB ISOオート(80)

タンポポの綿毛の細かい線も丁寧に描写されています。緑色に引っ張られそうなシーンですが、綿毛の白さが綺麗に表現されました。

電源オンから撮影可能になるまでの時間はとても短く、コンデジならではの「思いついたらさっと取り出してパッと撮れる」を実現できます。

本機のカラーラインナップは、ブラックとピンクの2種類。大きさは幅107mm、高さ63.4mm、奥行き22.6mmで、重さは約186gです。上部のシャッターボタンだけ少し飛び出ていますが、全体にデコボコの少ないシンプルなデザインです。レンズ窓はスライド式で、電源をオンするとスライドして素早く開きます。

背面液晶は3型TFTを採用、約46万ドット、反射防止コート・輝度調節機能付きで、屋外でも比較的見やすい画面です。セルフタイマーは約10秒、約2秒の2種類が搭載されていますが、広角端が28mmなので、手を伸ばして撮影すれば3~4人での自撮りは可能でした。

6種類のスペシャルエフェクトモード

簡単に設定できるスペシャルエフェクトモードは、ワンタッチで写真のムードを変えられます。本機にはソフト、ノスタルジックセピア、硬調モノクローム、ハイキー、ローキー、セレクトカラーが搭載されており、特に面白かった4つのモードを作例でご覧ください。

■撮影環境:スペシャルエフェクトモード ノスタルジックセピア 焦点距離 28mm(35mm判換算) AWB ISOオート(80)
■撮影環境:スペシャルエフェクトモード ソフト 焦点距離 28mm(35mm判換算) AWB ISOオート(80)
■撮影環境:スペシャルエフェクトモード 硬調モノクローム 焦点距離:28mm(35mm判換算) AWB ISOオート(80)
■撮影環境:スペシャルエフェクトモード セレクトカラー 焦点距離 28mm(35mm判換算) AWB ISOオート(80)

見つけたら即買いしたいカメラ!

■撮影環境:らくらくオート撮影 焦点距離 28mm(35mm判換算) AWB ISOオート(80)

現在は終売となっている機種なので、購入するには中古の出物を探すしかないのですが、見つけたときの嬉しさは格別でした。薄型でスタイリッシュな外観、広角端28mmで自撮りもできる便利さ、遊び心のあるプロジェクター付きのオールドコンデジ、見つけたら即買いがお勧めです!

 

 

■写真家:水咲奈々
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。日本写真家協会(JPS)会員。

 

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