ニコン AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8Dレビュー|Zマウントのミラーレスカメラでオールドレンズを楽しもう!
はじめに
ニコンの「AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8D」は、1993年に発売された望遠系のマイクロレンズです。105mmのAFレンズとしては初期のレンズで、1990年発売のAI AF Micro Nikkor 105mm F2.8Sと共に、花や小さな生き物、テーブルフォトなどを撮影する方に愛用されてきました。今回は、中古市場でも見かけることの多い、このレンズを取り上げてみたいと思います。
マウントアダプターでAF撮影が可能に!

今回、カメラボディはNikon Z8を使用しており、本レンズをZ8に装着するためにはマウントアダプターが必要です。ここで登場するのが、焦点工房から発売されている「MonsterAdapter LA-FZ1」です。
このマウントアダプターは、ニコンFマウントレンズをニコンZマウントレンズに変換するだけではなく、対応している初期AFニッコールレンズ、Dタイプレンズ(モーター非内蔵)であればZマウント機でオートフォーカス撮影を可能にしてくれる、なんとも夢のあるマウントアダプターなのです。対応カメラ、レンズについては公式サイトをご覧ください。
焦点工房 https://www.stkb.jp/shopdetail/000000002329/
もちろん、ニコン純正のマウントアダプター「FTZ」と「FTZ II」を使用してもZ機に装着できるのですが、その場合はマニュアル撮影のみとなります。今回はオートフォーカスでスナップ撮影も楽しみたかったので、この「MonsterAdapter LA-FZ1」を使用しました。
街なかスナップ編

■撮影環境:f/4 1/640秒 ISO100
本レンズのレンズ構成は8群9枚、絞り羽根枚数は7枚、最小絞りはf/32です。マウントアダプター「MonsterAdapter LA-FZ1」でDシリーズの絞りリング付きレンズを使用する場合は、レンズ側の絞りは最小絞りに設定して撮影する必要がありますので、絞り操作はカメラ側で行っています。
街なかで見つけたハトは、まるで撮ってくれというように手すりをトコトコと歩いていました。シングルポイントAFでピントを合わせてシャッターを切った一枚です。動く被写体ですので、当然ピントが合っていないカットもありましたが、満足の行くピントのカットを量産してくれました。
スナップには長いと思われる105mmの画角ですが、筆者は望遠系のスナップがかなり好みです。遠くから狙う自然な街の情景は、標準域のレンズでは捉えられない、ちょっと秘密めいた景色が撮れる気がします。

■撮影環境:f/2.8 1/400秒 ISO100
マイクロレンズのいいところは、近付きたいと思った被写体にぐいぐい寄れることです。本レンズの最短撮影距離は約31cmで、等倍撮影が可能。105mmの中望遠の威力もあって、遠くの被写体を迫力あるサイズで捉えることができます。
また、f/2.8開放の描写は、最近のデジタルレンズよりもシャープさが減る分、線が太めなボケ方をします。これをうるさいボケと感じるか、ノスタルジックな描写と感じるかは個人の好みによると思います。筆者はZ機でオールドレンズを使いたいと思うくらいオールドレンズ好きなので、個性のあるこのボケ味は、思い描いていた通りの好みのものでした。

■撮影環境:f/2.8 1/320秒 ISO200
ひしゃげたホッピーの赤提灯にレトロさを感じてシャッターを切ったところ、丸ボケが沢山誕生したのが楽しくて、何枚も撮影してしまった一枚です。ISOを下げて少しアンダー目に撮影することで、本当の撮影時間帯よりも、遅い時間帯に見せかけています。いつもは明るめの写真が多いのですが、オールドレンズで撮影するときは、露出アンダー目な写真を多く撮っているような気がします。
ポートレート編

■撮影環境:f/2.8 1/250秒 ISO320
■モデル:大川成美
屋外、逆光でのポートレートです。正面と斜め前方からレンズに光が入る状況なので、フレアーが発生しています。ソフトフォーカス効果として大いに結構です。強い逆光の状態ではAFが多少迷子になりましたが、綺麗に目に合ったカットでは、髪と肌の質感をとてもナチュラルに美しく描いてくれました。シャキッとしすぎない柔らかい描写性能のオールドレンズは、ポートレート撮影にピッタリです。

■撮影環境:f/3.3 1/250秒 ISO1000
■モデル:大川成美
暗い室内で、サイド光でのポートレートです。逆光よりもシャープさのある、キリッとした描写になりました。これでも、デジタル用のレンズよりはふんわり感が際立ちますね。ニコンの肌色を自然な色味に描く個性と、オールドレンズの柔らかい描写性能が融合して、女性のポートレート撮影で使用するのにお勧めのレンズだと思いました。
水族館編

■撮影環境:f/3.3 1/800秒 ISO3200
本レンズの最大径は約75mm、長さは約104.5mmです。Nikon Z8とマウントアダプターを合わせても、撮影していてびっくりされるほどの長さにはなりません。重さは約560gで、105mmの中望遠レンズにしてはコンパクトに持ち運べます。さて、せっかくのマイクロレンズなので、マクロ性能もご覧いただきましょう。
水族館の水槽の中の魚を撮影しました。ピントは、中央下の魚の目の前方に合わせています。被写体に近付いて撮影すると、ボケのニュアンスが最近のデジタル用レンズと違うことが、はっきり見て取れると思います。絵の具を平筆でペタペタと塗ったような質感のボケは、ピントを合わせた主役の被写体を立体的に見せてくれるのに役立っています。

■撮影環境:f/3.3 1/1000秒 ISO6400
ミズクラゲはカサのゼラチン質の透明感と、細い触手の繊細さがフォトジェニックな、お勧めの被写体です。一匹だけ撮ると寂しい雰囲気になってしまうのですが、背景に他のクラゲを入れるとボケとなって奥行き感を演出してくれるので、大きなボケを作り出せる本レンズでは積極的に使いたい撮影方法です。
レンズと被写体との間にはアクリルの水槽と水があるのですが、そんなことを感じさせないクリアーな画を生み出してくれました。33年前のレンズとは思えません。
オールドレンズはお手頃な価格で手に入ることもあり、好みの描写を求めて収集すると楽しい趣味になります。今はマウントアダプターも進化しているので、正統派レンズもいいけれど、ちょっと遊んだレンズで撮影してみると写真のボキャブラリーが増えるので楽しいですよ!
■写真家:水咲奈々
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。日本写真家協会(JPS)会員。















