ライカM EV1|軽量コンパクトな旅の相棒
旅に連れ出すカメラについて、少々真面目な戯言を。
昨年の長崎・雲仙の折には「長崎紀行セット」と称し、ライカQ3 43とリコー GR IVを従えての道中でしたが、今回の舞台は「天神ビッグバン」で絶賛進化中の福岡。ダイナミックに貌(かたち)を変える街を切り取るべく、そして長距離の街歩きを想定し、私はある「軽量快速」な組み合わせを選びました。ライカM EV1に、描写の冴えに定評のあるリコー GR 28mm F2.8を添えて。
軽さという名の、贅沢な余韻

■撮影環境:絞りF4 1/60秒 ISO3200 WB:オート
今回の旅の正解は、間違いなくこのセットでした。ライカM EV1が約484g、リコー GR 28mm F2.8が約190g。合わせてわずか約674gという驚異的な軽さが、旅の譜面を軽やかに書き換えてくれたのです。

■撮影環境:絞りF2.8 1/200秒 ISO100 WB:オート
2月下旬というのに最高気温は20度を超え、体感はもはや「初夏」。おまけに春一番まで吹き荒れるという、なかなかにエキセントリックなコンディションです。前日の疲れを引きずりつつも、天神から警固、大名、今泉、そして薬院まで……。これほど広範囲に足を伸ばせたのは、肩に食い込まぬこの軽量セットの功績に他なりません。

■撮影環境:絞りF4.8 1/320秒 ISO125 WB:オート
派生型ゆえの、ユニークな構成

■撮影環境:絞りF4.8 1/60秒 ISO800 WB:オート
このライカM EV1、ベースはM11ですが、中身は少々面白い。EVF(電子ビューファインダー)にはライカQ3のそれを小型化したものが搭載されており、いわば「異能のM」と呼ぶべき佇まいです。

■撮影環境:絞りF9.5 1/60秒 ISO100 WB:オート
伝統のレンジファインダーをあえて捨て、EVFという「電子の眼」を宿したことで、視覚能力はむしろ強化されました。当初は「Mに液晶など……」と懐疑的に感じてましたが、いざ手にすれば操作に迷うことすらありません。極上のEVFで被写体を追い、切り取る。その作業は実に新鮮で、かつて抱いた不安はどこへやら。今や旅には欠かせぬ、心強いパートナーへと昇格しました。
変わりゆく街を撃ち抜く眼差し

■撮影環境:絞りF4 1/250秒 ISO125 WB:オート
167万人の鼓動が鳴り響く大都市・福岡。その心臓部である天神エリアは、今まさに脱皮の真っ最中です。かつて天神の象徴であった福ビル、天神コア、天神ビブレは姿を消し、新たに「ONE FUKUOKA BLDG.」という巨大なランドマークへと転生を遂げました。

■撮影環境:絞りF8 1/320秒 ISO160 WB:オート
旧大名小学校跡地に現れた「福岡大名ガーデンシティ」では、老若男女が憩う穏やかな風景が広がっています。こうした激動する街並みをワイドに、かつ臨場感たっぷりに収めるには、28mmという焦点距離が誂えたように馴染むのです。街が放つ熱量、その一滴までもが写り込んだ気がしました。
トレンドの渦中で、呼吸するようにシャッターを切る

■撮影環境:絞りF4 1/250秒 ISO100 WB:オート
天神の懐に抱かれた大名・今泉エリア。そこは若者たちが闊歩し、個性際立つ古着屋やセレクトショップが迷路のように並ぶ、フォトジェニックの聖域です。ここでのスナップは、写欲を心地よく刺激してくれます。
ライカ M EV1のEVFは極めて視認性が高く、ピントの山を掴むのは造作もありません。絞りすぎると画面がフォーカスピーキングで真っ赤に染まるというお茶目な一面もありますが、それもまたご愛嬌。メニューからピーキング感度を「高」から「低」へ。撮影者の意図に寄り添うこの柔軟さには、感謝しかありません。
そして、EVFに少々目が疲れたなら……。伝家の宝刀、GRレンズ付属の光学ビューファインダーの出番です。絞りリングを少し絞り、距離リングを3mと5mの間に据えれば、準備完了。ノーファインダー気味に、パンフォーカスで街を「切り取る」。この快感こそがスナップショットの醍醐味なのです。

■撮影環境:絞りF4.8 1/400秒 ISO400 WB:オート

■撮影環境:絞りF6.8 1/1200秒 ISO64 WB:オート
■写真家:大門正明
大門美奈と2011年リコーRING CUBEの公募展「Portugal」でデビュー。以来、妻に鍛えられながら制作を続けている。グループ展への参加のほか2022年に2人展「Bright Britain」など。DAIMONWORKS主催。











