富士フイルム GFX100 II|レンズラインナップの増やし方 ~EFレンズ編~

はじめに
2023年9月28日に発売された富士フイルム GFX100 IIにマウントアダプターを介しキヤノン EF50mm F1.2L USMとEF16-35mm F2.8L III USMを装着して撮影してきましたので作例を交えてレビューして行きたいと思います。
GFX100 IIは1億200万画素の新開発の中判フォーマット(ラージフォーマット)のセンサーと画像処理エンジン「X-Processor 5」が搭載されたことにより、高解像度のデータをスムーズに処理し、撮影後の作業効率も向上しています。
またAFの性能も向上しており、高速で正確なフォーカシングにより、様々な撮影シーンにおいて被写体をしっかりと捉えることができます。
そのGFX100 IIにマウントアダプター「Fringer FR-EFTG1」をかえしてキヤノン EFレンズを装着すると、どのような撮影が出来て、どのような画が撮れるのかを試してみましたので是非ご覧ください。
「★等倍でご覧頂けます。」と記載のある3枚の作例はタップもしくはクリックすると等倍(オリジナルサイズ)でご覧頂く事が出来ます。
GFX100IIの魅力について
GFX100IIは、一世代前のGFX100より小型・軽量になってフルサイズ機と殆ど変わらない機動力で撮影できるのはとても魅力的ですよね。背面の液晶モニターは3.2型3方向チルト式モニターが約180°までフラットになるのでウエストレベルでの撮影を楽に行うことができます。
ラバー部分には「BISHAMON-TEX™」の採用でグリップ感や持った時のフィーリングが良く手に馴染んでくれます。
※BISHAMON-TEXは富士フイルム(株)の商標または登録商標です。
GFX100 IIは、「FUJIFILMの最高級カメラを使っている」という所有欲だけではなく、撮影時のテンションが上がるんですよね。それもGFX100 IIの魅力の一つだと思います。
Fringer FR-EFTG1を使いEFレンズ装着
広角レンズのキヤノン EF16-35mm F2.8L III USMを装着してみると、非常にバランスが良いですね。このレンズは全長が長めですが、GFX100 IIのボディサイズが大きいため、構えた時も純正レンズと同様に手に馴染んでくれます。
最近は絞りリングが搭載されているレンズが多いと思いますが、今回は使用したEFレンズには絞りリングがありません。しかし、今回使ったマウントアダプターのFringer FR-EFTG1には、絞りリングを割り当てることができるコントロールリングが搭載されているので、絞りリングのないEFレンズとの組み合わせは相性が良いなと感じました。
35mmフォーマットモードで試し撮り
35mm版フルサイズの約1.7倍大きいセンサーサイズなので、周辺がケラレたり、減光したりする場合があります。このモードを使用することで、35mmレンズを使用した際に、フルサイズカメラと同様の画角で撮影することができます。
GFX100 IIにマウントアダプターを介しキヤノンEFレンズを装着して、撮影設定で35mmフォーマットモードをONにして撮影してみました。

■撮影環境:1/4000秒 f/2.5 ISO80
GFX100 IIで35mmフォーマットモードにすると画素数は素の状態(約1億画素)から約6,000万画素に減ります。それでも十分な画素数を有しているので大きくプリントする場合やトリミングする際も美しい描写を損なうことはないと思います。

■撮影機材:富士フイルム GFX100 II (35mmフォーマットモード)+ キヤノン EF50mm F1.2L USM + Fringer FR-EFTG
■撮影環境:1/4000秒 f/2.5 ISO1600
コーヒーショップの前に、雰囲気のあるクラシックな車が静かに止まっている一枚。富士フイルムの特徴的な色再現が、このシーンをさらに魅力的に引き立てています。何気ない日常の瞬間も、豊かな色合いと温かみのあるトーンで美しく切り取ってくれます。カメラを通して、普段見逃しがちな風景や、街角の一コマが特別なものに感じられるのは、まさに富士フイルムならではの魅力ですね。

■撮影環境:1/4000秒 f/1.6 ISO80
続いて35mmフォーマットモードをOFFにして撮影してみると四隅に若干のケラレ(周辺減光)が見受けられました。しかしケラレが写真のアクセントになり、オールドレンズを使用したかのような雰囲気ある1枚になりました。

■撮影環境:1/640秒 f/4.5 ISO80
フルサイズレンズ装着時の描写性能について
50mmの単焦点レンズでF値を絞ってお寺の塔を撮影した1枚。細かな模様をしっかりと解像して、鮮やかな色合いで表現してくれました。

■撮影機材:富士フイルム GFX100 II (35mmフォーマットモード)+ キヤノン EF50mm F1.2L USM + Fringer FR-EFTG
■撮影環境:1/160秒 f/8 ISO80

マウントアダプターを使うと画質が落ちると言われることがありますが、拡大しても細かな模様までしっかり確認できました。中判カメラならではのダイナミックレンジの広さも活かされており、暗部の黒つぶれもなく、細部までしっかり描写されています。

■撮影環境:1/4000秒 f/4 ISO80
やはりGFX100 IIの描写性能は圧巻です。そしてこの性能をしっかりと発揮できるEFレンズもさすがですね!EFレンズは、優れた光学性能を持っており、シャープでクリアな描写で、色収差や歪みが少なく、非常に高い解像力を体感できます。

■撮影環境:1/800秒 f/1.4 ISO80
ポートレート撮影
続いてポートレート撮影です。いつも通り瞳AFを使って撮影した際、ファインダー表示ではモデルの動きに合わせて瞳AFの枠が追従しているように見えたのですが、撮影後にデータを確認したところピントがあっていないことがありました。ですのでピントが合いずらい時は瞳AFを切りフォーカスエリアを手動で合わせることで満足な仕上がりになりました。

■撮影環境:1/1000秒 f/2.8 ISO125
EFレンズの効果的なレンズコーティングのおかげで、純正レンズとはまた違ったフレアやゴーストの表現を楽しむことができました。このコーティングが、光の強いシーンでも美しい効果を生み出し、独特の雰囲気を作り出します。フレアやゴーストの発生が意図的に使われることで、写真にさらにドラマティックなアクセントが加わり、表現の幅が広がります。純正レンズとはまた異なる魅力を引き出せる点が、EFレンズの魅力の一つだと感じました。

■撮影環境:1/500秒 f/2.8 ISO125
あとは、フィルムシミュレーションとEFレンズの描写力をうまくミックスできる点も魅力だと感じました。今回、EFレンズと組み合わせることで、発色は富士フイルムらしく、EFレンズ特有のシネマライクな雰囲気が加わり、より創作意欲を掻き立ててくれました。

■撮影機材:富士フイルム GFX100 II+ キヤノン EF16-35mm F2.8L III USM + Fringer FR-EFTG
■撮影環境:1/1250秒 f/2.8 ISO125
雲一つない青空を背景に撮影してみると、青のグラデーションが非常に美しく、被写体を引き立ててくれます。キヤノンの最高峰のレンズと富士フイルムの色味を組み合わせて楽しむのは今までなかった体験で、撮影している間、とても高揚感を感じました。
どんなユーザーにおすすめ
昔ながらのマニュアルレンズがオールドレンズという認識でしたが、私はこのEFレンズもオールドレンズの一種として楽しめるなと思いました。
一味違った表現をしたい方や、以前にキヤノンを使っていてレンズを持っている方にも、ぜひ試していただきたいですね!EFレンズは純正レンズに比べて、カメラのキタムラではお求めやすい価格で手に入れることができ、バリエーションも豊富です。マウントアダプターを使うことで、これまで使用していたレンズを新たなカメラシステムに活用でき、レンズラインナップを増やすことができます。これによって、創作の幅が広がり、さらに楽しい撮影ができるはずです。特に、異なるブランドのレンズを組み合わせることで、ユニークな表現ができるので、ぜひ一度チャレンジしてみてほしいですね。
■写真家:中西学
岡山県出身。一般企業に勤めながら、独学で写真&動画を始める。フリーランス転向後、2011年からは自らの個展も開催。いち早くドローン技術を取り入れ、日本の絶景写真を撮り始める。2020年開催の個展「躍動」では富山県高岡市の伝統文化やそれを後世に受け継ぐ人々を中心とした撮影を行う。富山に限らず、日本の四季や伝統文化をオリジナリティ溢れる視点やカラーで表現するを常に意識し活動を行っている。2022年にはNetflixで展開中のULTRAMAN写真展「Inhnritance」開催。
・Microsoft(MCT)
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・dji CAMP Specialist
・SONYαアカデミー講師
・FUJIFILM Xフォトグラファー
・DavinchResolve18 CertifildTrainer