キヤノン RF24mm F1.4 L VCM レビュー|広く写せて、しっかりぼける。自然風景で使いやすい単焦点24mm
はじめに
こんにちは。写真家のGOTO AKIです。今回はキヤノン「RF24mm F1.4 L VCM」をEOS R5 Mark IIに装着し、森や湖などの自然風景を撮影してきました。24mmは、標準ズームの広角端として採用されることが多い焦点距離です。VCMシリーズですでにレビューをした14mmや20mmほど画角の広さそのものを強く意識する焦点距離ではありませんが、24mmは扱いやすく、広角レンズを初めて本格的に使う方にも馴染みやすい画角です。それでは、作例を見ながらレビューを始めましょう。

■撮影環境:F1.4 1/125 ISO800
スペックと操作性
「RF24mm F1.4 L VCM」は最短撮影距離0.24m、最大撮影倍率0.17倍。フィルター径は67mm、全長約99.3mm、質量約515gです。自然風景の撮影では、カメラをぶらさげながら撮影場所まで歩いたり被写体を探したりしている時間の方が長くなることがありますが、EOS R5 Mark IIとの組み合わせではレンズ側が重すぎる印象もなく、快適です。
作例にあるような森の中で細かな植物にピントを合わせる場合でもAFの動きは速く、直感的なシャッターが楽しめます。また、アイリスリングの動きは滑らかで、絞りを頻繁に変更する撮影でも操作しやすく感じました。



F1.4なら24mmでも大きくぼかせる
被写体へ近づいてF1.4で撮影すると、肉眼で見るのとは違う前後をかなり大きくぼかした空間表現が可能です。

■撮影環境:F1.4 1/8000 ISO100
この写真では、手前の葉を大きくぼかしその奥の松葉にピントを合わせています。ポイントは手前に別の植物を入れて撮ったこと。F1.4では手前の葉が柔らかな色の面となり、その奥にある被写体が浮かび上がっています。

■撮影環境:F1.4 1/320 ISO800
こちらでは手前の苔にピントを置き、前景の苔と背景の木々をぼかしています。望遠レンズでは背景そのものが大きくぼけて何があるのか分からなくなる場合がありますが、24mmでは背景がぼけても木立の形はある程度残ります。そのため、「森の中にある苔」という場所の情報を残しながら、主役を目立たせることができます。

■撮影環境:F1.4 1/50 ISO1600
こちらでは樹木の木目に近づきました。ピントの合った木目は細かく描写されながら、手前は柔らかくぼけています。シャープな場所とぼけた場所を一枚の中に作ることができるのも、F1.4単焦点の魅力です。
最短撮影距離24cm
「RF24mm F1.4 L VCM」の最短撮影距離は0.24mです。これは撮像面からの距離なので、実際にはレンズ前面から被写体までは近いと感じる距離感です。

■撮影環境:F1.4 1/160 ISO400
画面の中にたくさんの苔がある状況でも、一枚の小さな葉にピントを合わせることで、見る人の視線をそこへ誘導できます。風景写真というと隅々までピントを合わせるイメージがありますが、「RF24mm F1.4 L VC」で見せたい場所だけを浮かび上がらせる表現も可能です。

■撮影環境:F1.4 1/640 ISO800
シダへ近づいて撮影すると、植物の細かな形が画面いっぱいに広がります。24mmではマクロレンズほど画角が狭くならないため、被写体へ近づいてもその周囲の空間まで一緒に写せるのがメリットです。

■撮影環境:F1.4 1/1600 ISO100
水草へカメラを近づけながら、水面の広がりまで構図に入れました。例えば50mmや100mmのマクロレンズで撮影したら、被写体が切り取られ、水草そのものを大きく見せる写真になるでしょう。24mmでは、水草と水面にピントを合わせて大きく写すと同時に、F1.4で背景をやわらかくぼかしその水草が湖の中に生えている状況を一緒に伝えています。
24mmはカメラ位置で写真が大きく変わる
広角レンズを使うときに重要なのが、カメラを置く位置です。ズームレンズでは、立った場所からズームリングを回して構図を整えてしまいがちですが、単焦点レンズではそれができません。前後左右へ動いてカメラ位置と構図を決めるという簡単な工夫で、写真が変わり、撮っている実感や楽しさもアップするでしょう。

■撮影環境:1/1000 F1.4 ISO400
木の根元近くから真上へカメラを向けると、手前の幹が太く、上へ行くほど細く写ります。これは広角レンズ特有の遠近感です。24mmの場合、14mmのように極端な変形にはなりにくいため、広がりを出しながら比較的自然な印象を保つことができます。

■撮影環境:1/4000 F1.4 ISO200
広角風景で奥行きを出したい場合は、画面の手前に岩、植物、倒木などを一つ入れると効果的です。「全部を広く写す」のではなく、手前に何を置くかを決める。それだけで写真に奥行きが生まれます。
太陽を画面に入れても使いやすい
「RF24mm F1.4 L VCM」は他のRFレンズ同様に逆光耐性が高く、自然風景では太陽光などを画面に入れて感情に訴えるような表現が楽しめます。

■撮影環境:F1.4 1/8000 ISO200
森の中では、逆光によって葉が透けたり水滴が輝いたりします。この作例は葉の間から太陽を直接画面に入れて撮影。強い光がレンズに入る条件では、フレアによって画面全体が白っぽくなったり、ゴーストと呼ばれる光の像が出たりすることがありますが、「RF24mm F1.4 L VCM」にはASCやSWCといったコーティングが採用されており、このような逆光でもコントラストを保ち自然な描写です。
パースペクティブ強調で奥行きを表現

■撮影環境:F16 1秒 ISO50
こちらの作例では、カメラの位置を水面ギリギリのところに配置し、手前の水面、中央の滝、奥の木々までを構図に入れました。こうすると、滝そのものだけでなく、その水が流れている森まで一緒に構成できます。24mmで風景を撮るときは、奥行きや空間を表現するために、カメラから近い距離の被写体も入れて撮ることがポイントです。

■撮影環境:F16 60秒 ISO200
こちらはNDフィルターを装着して撮影しています。絞りF16のパンフォーカスで、手前から奥までの空間を捉えた作例です。
動画撮影でも使いやすい
RF24mm F1.4 L VCMは、静止画だけでなく動画撮影も意識して設計されたレンズです。VCMとナノUSMによって、AFは高速でありながら滑らかに動作します。また、ピント位置を変えたときに画角が変化して見える「フォーカスブリージング」も抑えられています。
まとめ
「RF24mm F1.4 L VCM」のレビューいかがでしたでしょうか。山全体を撮る。足元の苔へ近づく。水辺で水草を撮る。木の真下から見上げて遠近感を強調する。レンズを交換するのではなく、24mm一本で近づいたり離れたりしながら、F1.4の大きなボケを使いさまざまな自然風景の表情を捉えることも楽しめます。「風景は広角で全体を写すもの」と決めずに、近づいてぼかしたり、手前に植物を入れたり、スナップ的にシャッターを切ってみる。「RF24mm F1.4 L VCM」は、そんな広角レンズの新しい使い方を試してみたくなる一本でした。
■写真家:GOTO AKI
1972年川崎市生まれ。世界一周の旅(1993~94年)を機に写真と出会う。1999年より写真家として活動を開始。自然風景と旅をモチーフとした写真作家活動の一方、教育活動にも力を注ぐ。写真集・写真展『terra』(赤々舎・キヤノンギャラリーS・2019)にて2020年日本写真協会賞新人賞受賞。新作写真集「terra | Landscape Topologies」(赤々舎)を26年3月出版予定。武蔵野美術大学造形構想学部映像学科(2017~2025年)、日本大学芸術学部写真学科(2021~2023年)にて非常勤講師を務め、2024年より日本大学芸術学部准教授。CANON表現講座・EOS学園講師。














