キヤノン EF40mm F2.8 STMレビュー|RFマウントのミラーレスカメラでEFレンズを楽しもう!
はじめに
こんにちは。杉本です。
今回はCanon EF40mm F2.8 STMのレビューをします。マウントアダプターを使ってRFマウントのミラーレスカメラに装着して撮影してきました。以前EF50mm F1.8 IIのレビュー記事を書いた際にたくさんの方に読んでいただけたようです。ありがとうございました。今回もEFレンズです。
EFレンズには安価ながら名を馳せたレンズが多く、このレンズも「パンケーキレンズ」として有名でした。いまだにCanonのパンケーキというと、このレンズを思い浮かべる方がたくさんいらっしゃると思います。発売年でいうとそれなりに時間の経った古いレンズですが、軽さも相まっていまだに現役で活躍するレンズですので、今回紹介します。
基本情報とサイズ感

発売は2012年です。
見た目からもわかる通り、非常に軽いです。質量は驚愕の約130gです。相当軽いです。レンズ本体も全長22.8mmという薄さです。文字通りのパンケーキレンズです。アダプターを使用しても写真のようなサイズ感におさまります。アダプターを含めると体感としてはRFの50mmF1.8を付けているのとあまり変わらない印象ですね。以前EOS 5D mark IVのレビュー記事を書きましたが、あのようなEFマウントのボディに装着すれば当然アダプターは不要で、一段と薄くなります。EFマウントのボディを使用している時は本当にレンズの重さをほぼ感じないです。
最短撮影距離が0.3mですので、軽い、安いからといって便利さがトレードオフになっていない点は素晴らしいと思います。フィルター径は52mmです。開放値はレンズ名称からもわかる通りF2.8と明るいレンズです。小さくて軽いので、当時はカメラバッグにとりあえず入れておくレンズとして持っている方が多かった印象があります。
意外とよくボケる

■撮影環境:1/640 F2.8 ISO100
最初のカットにちかいですが、開放で撮影しています。
40mmですから、領域としては標準と呼んでいいと思います。標準の中では少し広角よりかな?みたいな焦点距離なのでボケにくい印象ですが、実際に開放でこの距離でも立体感のあるボケ味を見せてくれます。かといって違和感のあるボケではなく滑らかなボケ味です。
見た目と裏腹によく写る

先ほどの写真をトリミングしたものです。エッジの部分がしっかりしています。スカートの質感なども残っていて、安価なパンケーキレンズというイメージと裏腹に解像感は高く、線も細い印象です。ぶら下がっているベルトの縫い目の糸の部分のコントラストなど細かいところを見ても好印象です。
背景の石や草などの輪郭はかなりややこしい(通常ならあまり画角に含まないようにしたい感じ)ですが、かなり柔らかく写っています。違和感なく自然に、でもちゃんとしたボケを、というラインを遵守してくれているので安心して使用できます。開放が明るいレンズは一段絞るとよく写るなどと言いますが、開放でこの倍率でトリミングしてこの写りなので頼もしいですね。
多少の甘さもある

こちらも同じ写真のトリミングですが、ベルトの金具部分にはパープルフリンジが出ています。洋服や指の線は綺麗に出ていますが、この辺りは最新のレンズに比べると甘く見えるかもしれません。それでも費用対効果で見たらとんでもないパフォーマンスのレンズですが、こういったところが気になる方はLightroomやPhotoshopなどで撮影後に処理をしておくといいと思います。衣装が紫色だったので、今回は僕はあまり気にならず特別何かの処置を施しはしなかったです。
余談ですが、Lightroomにはパープルフリンジを除去できる機能がありますが、洋服や背景などにパープルのものがあるとそれらの色を巻き込んでしまう場合があるので、その場合はブラシ等の部分補正を使いスポット的に除去してあげると違和感なく仕上げることができます。
AF速度

■撮影環境:1/1600 F2.8 ISO100
最新の爆速AFに比べると劣るものの、不便な感じは一切なくスムーズにピントが合います。これくらい離れていても迷いませんでした。こういうシーンではモデルが小さい上に、洋服に対して地面側の明るさがあるので迷いそうなものです。
これはもしかするとカメラ側の影響かもしれません。EOS R6 Mark IIはAF性能が非常に高いので、当時はそこまでAFが速い印象ではなかったレンズでも気持ちのいいAFで使用することができます。他のEFレンズでも試してみましたが、やはりAFはあまり外さなかったのでEFレンズをRFマウントのミラーレスのボディで使用するとしっかり恩恵は得られるようです。
寄っても撮れる

■撮影環境:1/125 F5.6 ISO100
座ってもらっていますがウエストアップくらいの感じです。端っこの手の流れ方も自然でそこまで歪みに対して神経質になる必要はないと思われます。ただし、一応は広角寄りではあるので画面の隅っこに斜めに顔を配置するなど、特定の条件を満たしてしまうと歪む可能性はもちろんあります。全く気にしなくていいわけではありませんが、通常の使用において特別ケアしなくてもいいのかなと思います。
周辺減光もそこまで派手ではないので素直なレンズですね。Canonの純正レンズは高品質で素直なものが多いのでとても使いやすいですが、このレンズもその系譜をしっかりと継いでいる印象を受けます。
パンケーキから高級料理を連想する人はそういないと思います。レンズでもやはり安価な部類に含まれ、身近で手の届きやすいレンズというイメージです。それでも性能面では頑張ってくれていますね。中古市場で人気があるのも頷けます。
絞ってみた

■撮影環境:1/100 F11 ISO400
F11まで絞って撮影してみました。ここまで絞ることはあまりないと思いますが、しっかり写っています。この距離だと背景の緑はF11でも拡大するとまだボケています。
パンフォーカスにしたい場合はもう少し離れておいた方が良さそうです。

■撮影環境:1/200 F5.6 ISO100
F5.6です。この辺りが現実的な絞りでしょうか。
葉っぱの輪郭を見ても綺麗ですね。輪郭が綺麗なので編集耐性も高い気がします。モデルの輪郭も少しエッジが立っている感じで気持ちがいいです。この記事中に金額を記載すると何かの拍子に相場が変わった時に困るのでいくらとは書きませんが、記事内のリンクで製品の価格がわかるはずなので見てみてください。結構驚愕のコストパフォーマンスだと思います。
欲を言えばもう少しちゃんとハイライトの光が入る日に撮りたかったです。この記事の執筆中、何をしても晴れず撮影日がほぼほぼ雨と曇りで構成されていてどうにもならず。そこだけ悔しいですが、このレンズは僕が所持しているマイレンズですので、晴れた日の写真などはまたどこかで載せることができたらいいなと思います。
総合的に

■撮影環境:1/100 F11 ISO400
2012年と一昔前のレンズですが、性能は今も現役レベルです。また安価なのでとりあえず一本持っておくにはいいレンズだと思います。
ズームレンズと単焦点を1~2本となった時、大口径レンズだと重いという方には最適解になり得ると思います。ちょっと広いレンズが欲しいとか、そういう時にあるといいですね。あとはお散歩レンズとしても良いです。小型軽量の極みみたいなレンズですので身体的なストレスになりにくい点で非常に優秀です。
僕自身、使うか分からないけどとりあえず入れておくかみたいなことは頻繁にあります。50mmだと狭いけど35mmF1.4を持っていくほど荷物を増やしたくないなとか、写真をやっているとそういうなんか我儘な日ってあると思うんですけど、そういう時に助けてくれるレンズでもあります。
あと我が家では、EFマウントのフィルムカメラでもこのレンズを使っているので(主に妻が)、僕と妻の間を最も行ったり来たりするレンズでもあります。小さいからといって侮るなかれみたいなことですね、使ったことがない方はぜひ使ってみてください。持っている方はこのレンズで撮ったお気に入りの写真をSNSなどに上げてくれると嬉しいです。ではまた。
■写真家:杉本優也
東京都生まれ東京都在住。妻を撮影し続けている活動がテレビメディアに特集されたことを機に、フォトグラファーとしてのキャリアをスタートさせる。ライブ撮影やメーカーへの作例提供、機材レビューなどの活動をしている。













