キヤノン RF45mm F1.2 STM レビュー|自然な視線を捉える標準単焦点レンズ

GOTO AKI
キヤノン RF45mm F1.2 STM レビュー|自然な視線を捉える標準単焦点レンズ

はじめに

こんにちは、写真家のGOTO AKIです。
今回取り上げる「RF45mm F1.2 STM」は、個人的に待ち望んでいた焦点距離のレンズです。私は予約して11月の発売日に自宅に届き、2ヶ月ほど使用してきました。早速、シンプルで楽しいレンズのレビューを始めましょう。

RF45mm F1.2 STMのスペック

「RF45mm F1.2 STM」は、開放F1.2という大口径を持つ標準単焦点レンズです。
「EOS Rシステム」用のRFレンズとしては比較的コンパクトで、全長75mm、質量は約346g前後。AF駆動には静音で動画撮影の際もスムースなピント移動を可能にするSTM(ステッピングモーター)を採用しています。

STMによるフォーカスは滑らかで、静止画・動画ともに扱いやすく、撮影者に無理な緊張を強いません。立ち止まり、構え、シャッターを切る。その基本動作を、静かに支えてくれます。実際に持ち歩くと「大口径なのに軽い!」と感じるでしょう。

フィルター径は67mmで、使用頻度の高い77mm~82mm径のフィルターもステップアップリングでカバーしやすく、今までのフィルター資産も使用しやすいのが魅力です。レンズ側面にはAF/MFの切り替えスイッチのみが搭載されたシンプル設計。イメージスタビライザー(IS)は未搭載ですが、ボディ内手ブレ補正機構搭載のカメラに装着すれば、手ブレの心配もほぼないでしょう。

レンズの外観です。RFレンズの定番、コントロールリングはレンズの前側に搭載されています。

45mmという視野に近い画角

肉眼に近いと言われている50mmレンズよりも、少し広い45mmという焦点距離は、35mmほど周囲を写し込むこともなく、絶妙な距離感です。

「撮るぞ!」「見るぞ!」と力を入れずに、普通に歩いている時の自然な視線に近いという印象を抱くのではないでしょうか。「広く見せたい!」、「迫力を出したい!」という欲望から距離を取れる画角だからこそ、素直に構図が整理されます。何をどう撮るかよりも、どこに立つかが大事なレンズですね。

■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF45mm F1.2 STM
■撮影環境:F1.2 1/5000秒 ISO100

風景写真では、どうしても広角レンズが主役になりがちです。広角を使えば空、地形、海、雲を一枚に収められる反面、情報量が多くなり、主題が曖昧になることも少なくありません。

一方で「RF45mm F1.2 STM」を使うと、画面に入る情報が自然に整理されます。45mmは風景を誇張する画角ではなく、「どこを見ているのか」をはっきりさせやすい画角といえるでしょう。

■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF45mm F1.2 STM
■撮影環境:F1.2 1/8000秒 ISO100

被写界深度F1.2の世界

F1.2と聞くと、派手なボケを想像する人も多いのではないでしょうか。確かにそうなのですが、ボケを際立たせているのは画面の中にピントが合っている被写体があるからこそです。ピントを合わせた被写体はRFレンズらしいシャープな描写です。「RF45mm F1.2 STM」は実売価格で5万円台のレンズであることを思うと、十分なクオリティです。

海岸線を見下ろしたカットでは、崖のラインと海面の輝きが、肉眼で見るときの印象に近い自然な描写です。とはいえ、絞りをF1.2に設定して一番遠景にピントを合わせると前面が大きくボケて、レンズの味が出てきます。平面の中の空間といいますか、奥行きは味わい深く、撮影していてワクワクするレンズです。

■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF45mm F1.2 STM
■撮影環境:F1.2 1/125秒 ISO100

木の幹にピントを合わせて撮影。その前後はF1.2でやわらかにぼけ、写真の上に空間が生まれます。

■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF45mm F1.2 STM
■撮影環境:F1.2 1/125秒 ISO100

ピントをあわせた竹林はきちんと描写されていますが、エッジが立ちすぎず、トーンが滑らかに繋がるため、像が硬くならない。近年の高解像レンズにみられる緊張感がなく、長時間使っても疲れない。このやさしさは、数値では語れない大きな魅力だと思います。カメラを地面に置いて大きな前ボケと共に撮影した一枚です。

■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF45mm F1.2 STM
■撮影環境:F1.2 1/100秒 ISO200

画面の奥にピントを合わせて大きな光の前ボケを作った作例です。プリントしたら、光に包まれるような臨場感がうまれます。

■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF45mm F1.2 STM
■撮影環境:F1.2 1/4000秒 ISO100

オブジェの一番奥にピントを合わせています。F1.2でふわっと記憶にアクセスするような写真が撮りやすくなりました。派手にしない、見たままの色。ピクチャースタイルはニュートラルに設定しています。

■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF45mm F1.2 STM
■撮影環境:F1.2 1/8000秒 ISO100

最短撮影距離

「RF45mm F1.2 STM」の最短撮影距離約45cmです。
葉の曲線を写したカットでは、葉脈の立体感や、光を受けた表皮の微妙な反射が、過剰にならずに描写されています。「寄りすぎず、引きすぎない」バランスで被写体が誇張されず、自然な視線を捉えてくれるレンズです。マクロ描写は「RF35mm F1.8 MACRO IS USM」など他のレンズに任せましょう。

■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF45mm F1.2 STM
■撮影環境:F1.2 1/8000秒 ISO100

絞るとシャープ

どうしてもF1.2という明るさに着目してしまうレンズですが、F8に絞ったこの描写力はいかがでしょうか?カリッと被写体の質感や線を再現し、まぎれもなくRFレンズであることを実感します。シャープさとやわらかさの共存で、表現の幅が広いのが魅力ですね。

■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF45mm F1.2 STM
■撮影環境:F8 1/400秒 ISO100

F1.2で星を撮る

こちらはカメラを三脚に固定して、背面モニターを拡大し、星にピントを合わせてタイムラプス機能で撮影しました。F1.2は明るく、肉眼で見えない光も描写してくれました。

■撮影機材:Canon EOS R5 Mark II + RF45mm F1.2 STM

まとめ

「RF45mm F1.2 STM」を日常使いする中で感じるのは、見せたい要素を45mmという画角が整理してくれて、肩に力を入れずに撮れる気楽さです。F1.2で前景と背景の関係性を作ることも簡単で、何かを誇張するでもなく、素直に撮ることが楽しいレンズです。もしこのレンズを手にしたら、ズームレンズを家に置いて、「RF45mm F1.2 STM」だけを持って、気の向くままに撮り歩いてみてはいかがでしょう。

 

 

■写真家:GOTO AKI
1972年川崎市生まれ。世界一周の旅(1993~94年)を機に写真と出会う。1999年より写真家として活動を開始。自然風景と旅をモチーフとした写真作家活動の一方、教育活動にも力を注ぐ。写真集・写真展『terra』(赤々舎・キヤノンギャラリーS・2019)にて2020年日本写真協会賞新人賞受賞。新作写真集「terra | Landscape Topologies」(赤々舎)を26年3月出版予定。武蔵野美術大学造形構想学部映像学科(2017~2025年)、日本大学芸術学部写真学科(2021~2023年)にて非常勤講師を務め、2024年より日本大学芸術学部准教授。CANON表現講座・EOS学園講師。

 

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