おもしろフォトグラファー 田津原理音の芸人撮影記 #02

はじめに
こんにちは。
おもしろフォトグラファーの田津原理音です。
このおもしろフォトグラファーっていうのはおもしろ写真をとる人ってことではなく写真を撮る人がおもしろいってやつです。
ややこしくてごめんなさい。
分かってたよって人は分かってたのに言ってしまってごめんなさい。
今回は第二弾ということでちょっと深めにカメラのお話をさせてもらいます。
僕は普段芸人をしながらデジタル一眼カメラで風景だったり芸人のライブポスターだったりを撮影しています。
使っている機材はcanonのEOS R5。
ですが舞台合間の楽屋、打ち上げ、いわゆる日常のオフショット的なものはフィルムカメラで撮ることが多いです。
今回はそのフィルムカメラにフォーカスを当てていきたいと思います(カメラだけに)。
フィルムは記憶
まず僕のフィルムカメラはCanon A-1というマニュアルフォーカスの一眼レフです。
なのでまずピントは当然のように外しまくります。
そしてISOは固定なので明るさを優先するとブレます。
色もデジタルほど鮮やかには写りません。
あと連写もできないので半目ショットも量産してしまいます。
今のハイテクデジタル一眼と比べると、とても撮りやすいとは言えません。
でもなぜフィルムにハマったのかというと、やはりしっかり撮れたときの満足感がすごかったからです。
あとフィルムで撮るってだけでなんかオシャレ。
自分に酔えるという特典付き。
とまぁ最初は、そんなところがニクいよねっ!ってくらいの感覚で撮ってました。
ですがある日、とある芸人の先輩(滝音の秋定さん)にフィルム写真を見せたときお褒めの言葉ついでにこう言われました。
「確かに記憶の中の色って鮮明じゃないもんなぁ」
衝撃でした。
心に電流が流れました。
もうバチバチって音がしました。
確かに記憶の中のあの人やあの人は何色の服を着ていて、その日の空はどんな青だったかははっきりしていません。
写りすぎていない写真というのは記憶に近い画なんだと確認させられたのです。
そこから僕は記憶の片隅に置いておきたい日常の出来事はフィルムで撮るようになったのです。
というわけで今回はフィルムで撮った僕の記憶を見てもらえたらと思います。
フィルムで撮った芸人たち

まずはエルフのお二人。
所属劇場のホームページ用写真を撮ってもらっているところです。
このときも十分ギャルのはずなんですが今より控えめですね。
荒川の爪がまだまだ短いです。

これはラニーノーズの山田が荒川にギャルメイクしてもらったのをさや香の新山さんに見てもらってるところ、おそらく酷評。

メイク繋がりでいうとこの写真も大好きです。
シシガシラの脇田さんが出番に遅刻して出られないので、その場にいた今井らいぱちさんを白塗りして脇田さんに見たてようとしてる写真。
何言ってるか全く分からない人はなんか楽しそうだなってだけ思ってもらえたらです。
みんな救われます。

ちなみに今井らいぱちさんは普段こんな感じの人です。
どんな感じの人?

ちょっとメイクしてる写真多いですねすみません。
ちなみにこれは守谷日和さんが女キャッチャーになろうとしているところです。
なんかはい、すみません。


9番街レトロ京極とケビンス仁木さん。
先ほども言いましたが僕のカメラはマニュアルフォーカスなのでピントを外すこともしばしばなのですが、失敗写真とは思えないのがフィルムのいいところ。
酔ってるときの焦点ってこんな感じの気もしますしね。

これもお恥ずかしい意図せぬピンボケ写真。
でもピントがジョッキに合ってることによって打ち上げ感が増してますね。
人は男性ブランコの平井さんです。
ボケていても伝わってくる幸福感。

川瀬名人と市川刺身がM-1グランプリ2回戦の結果発表を聞いているところ。
スカイサーキットさんが合格していたのでこの後ふたりで大はしゃぎ。
芸人は芸人のことをとても応援しています。
青春とはこのこと。

ネタを書いているZAZYさん。
座りながら書くほうが楽なんじゃないかって思いますね。

こちらは天才ピアニスト竹内のネタ書き風景。
最近はパソコンでネタを書く芸人も多いです。
令和ならではのネタ書き姿勢なのかもしれません。

モノクロも大好きです。
蛙亭の中野さん。
絵を描く時だけハットをかぶるという謎設定を後ろのkento fukayaさんにつけられていました。

左から蛙亭岩倉さん、大自然ロジャーさん、シカゴ実業中川ひちゃゆきさん、セッツァーつげちゃん。
∞ホールであった劇場所属芸人全員出演のフェス的なライブの打ち上げのときに撮りました。
芸人50人ほどが参加している大打ち上げだったのですが、その中でもこのテーブルが一番優しいテーブルでした。

やはり芸人の中にはカメラを向けると絶対にふざけてしまうという人種が存在します。
華山のにこらすさんもその1人。
撮る側としたらありがたい反面、そんなんいらんねんけどなぁってなることも。

ニッポンの社長さん。
よしもと漫才劇場の雑誌を作ろうとなり、それ用の写真を海まで撮りに行ったときです。
ケツさんが旗の棒を分解してしまってそれを直す待ちの辻さん。
旗ひとつでなんとなくコンビの関係性が見えますね。


いぬ有馬さん、滝音秋定さん、ケビンス山口コンボイの3人とクレープ屋さんに行った日。
なんか息子と仮定するとものすごい愛おしい写真ですね。
仮定するとですが。

タイムキーパーのひでき。
専用の板?を使ってタップダンスの練習をしているところ。
体重計に乗ってショックを受けているわけではありません。
手前の後ろ姿は練習を見守っていたぽっちゃり芸人、シスターの週末。
健康診断での体重測定に並んでる人ではありません。



若手芸人につきものなのが「ネタバトル」
こちらは漫才劇場に所属するためのバトルライブでの結果発表の瞬間。
自然とガッツポーズが出てしまう系の熱いライブです。
これだけ熱くなれる瞬間が人生であと何回くらいあるんだろうって思います。
あとみんなコロナ禍なのでマスクしてますね。
懐かしく思える今がすごく嬉しい。

僕の青春R-1グランプリ
足はさや香の新山さん。
マイクはまだ壊れてないですね。
なんのことか分からない人はR-1の新山さんのネタで検索してみてください。

最後はこちら。
ダブルアート真べぇさんの結婚式の余興でミルクボーイさんが漫才をしているところ。
結婚式の余興史上一番ウケていました。
出席していた芸人はネタが強すぎてみんな引いてました。
さいごに
今回はこんな感じです!
失敗することが多いフィルム写真ですが失敗と思わせない写真になるのがラッキーです。
あと失敗することで気づいたこともあります。
ブレてもボケていても誰か分かるのが芸人のすごいところですね。
薄目で見てもあの人はあの人。
滲み出る華があるからだと思っています。
僕も滲み出せるように頑張ります。
あ!ちなみにですが仕事で撮るってなって、こんな失敗ばっかりだと大目玉ものなので使い分けはしないといけません!お気をつけて!
ではまた!
■芸人/フォトグラファー:田津原理音
1993年5月25日生まれ。奈良県出身。B型。NSC(吉本総合芸能学院)大阪35期を卒業後、コンビ活動を経て、2015年からピン芸人として活動。2023年「R-1グランプリ」チャンピオン。2025年「R-1グランプリ」3位。特技は、写真撮影、デザイン、イラスト、レタリングなど。フォトグラファーとして、2023年に大阪で、2024年に東京で個展を開催。芸人ライブのポスターの撮影やデザインなども手がけている。