初心者におすすめのカメラ『キヤノン EOS R10』|写真家 金森玲奈
はじめに
携帯電話にカメラが付いてから、写真を撮るという行為が身近なものになった人も多いのではないでしょうか?スマートフォンでの写真撮影をきっかけにカメラに興味を持った人にオススメしたいのが、今回ご紹介するキヤノンのミラーレス一眼「EOS R10」です。
気負わずに連れ出せるちいさな相棒
キヤノンのEOS R10はAPS-Cというサイズのセンサーを搭載しており、ちいさくて軽いのが特長のひとつ。キットレンズの「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」を装着しても約560gと非常に軽量のため気軽に持ち出せますし、日常使いだけでなく旅先に連れて行くのもオススメです。
上位機種に引けを取らないポテンシャルを持つカメラ
EOS R10は約2420万画素のCMOSセンサーを搭載しており、被写体の情報を多く取り込めるため質感の再現性に優れています。

■撮影機材:Canon EOS R10 + RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM(38.0mm)
■撮影環境:1/80sec F5.0 -1 1/3補正 ISO2500 WBオート
「人」「動物」「乗り物」をそれぞれ優先的に検出する機能を搭載しており、撮りたい被写体に合わせて選択することでよりピント合わせが楽になります。
また、「AF動作」の設定を動きを捉えやすい「SERVO」にし、ピントを合わせた被写体の動きを追い続ける「追尾(トラッキング)」機能をONにすれば、おもちゃで遊ぶ猫や走る犬の動きもしっかりと捉えることができるでしょう。身近な存在であるペットを撮りたい人はぜひ「瞳検出」機能と一緒に使ってみてください。

■撮影機材:Canon EOS R10 + RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM(18.0mm)
■撮影環境:1/640sec F4.5 +2補正 ISO6400 WBオート
カメラだからできる「動き」の表現を楽しもう
メカシャッター撮影時、最高1/4000秒の高速シャッターを切ることができます。また、一秒間に最高約15コマの撮影が可能なので、ほんの少しの動きの違いの中からベストな一枚を選ぶことができるでしょう。

■撮影機材:Canon EOS R10 + RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM(150.0mm)
■撮影環境:1/4000sec F6.3 ISO6400 WBオート
シャッタースピードを速くして高速で動く被写体の一瞬の動きをピタリと止めるだけでなく、シャッタースピードを遅くすることで被写体の動きをブラし、動感を表現することもできます。

■撮影機材:Canon EOS R10 + RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM(20.0mm)
■撮影環境:1/10sec F5.0 -1 1/3補正 ISO800 WBオート
少しコツと練習が必要になりますが、被写体の動きを表現する「流し撮り」という手法をご紹介します。被写体の動きを追うようにカメラを動かすことで被写体の動きは止めつつ、周囲が流れたような描写になる撮り方で、電車や車などの撮影で活躍します。

■撮影機材:Canon EOS R10 + RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM(20.0mm)
■撮影環境:1/15sec F22 -1補正 ISO100 WBオート
ちなみに、EOS R10には撮りたいシーンに適した撮影モードをセレクトしてくれる「SCN(スペシャルシーンモード)」があり、この中に「流し撮り」も搭載されているのでシャッタースピードの設定などはカメラに任せて流し撮りに挑戦することもできます。
さまざまな世界観を楽しめる「クリエイティブフィルター」
目の前の風景をミニチュアのようにしたり、写真を絵画調に変えてみたりと、現実世界に+αの面白さをくれるのが「クリエイティブフィルター」です。見慣れた風景にひと味加えてみたい時に試してみてください。

■撮影機材:Canon EOS R10 + RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM(45.0mm)
■撮影環境:1/100sec F6.3 ISO6400 WBオート クリエイティブフィルター:ラフモノクロ

■撮影機材:Canon EOS R10 + RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM(20.0mm)
■撮影環境:1/250sec F9.0 ISO100 WBオート

■撮影機材:Canon EOS R10 + RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM(18.0mm)
■撮影環境:1/80sec F5.0 ISO100 WBオート
豊富なレンズラインナップも魅力
ここまではR10のキットレンズで撮影したものを中心にご紹介してきましたが、キヤノンはレンズのラインナップも豊富です。そんな中でも単一の焦点距離に対応した単焦点レンズの写りはキットレンズとは一線を画すものがあります。
単焦点レンズの特長は明るい開放F値によって得られる大きなボケ味や、暗い所でも速いシャッタースピードで手ブレを抑えることができることなどが挙げられます。
試しにR10のキットレンズである「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」とフルサイズ対応の「RF50mm F1.4 L VCM」で写りの違いを比べてみました。
「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」は可変絞りと言って、焦点距離によって開放F値が変わります。そのため、最も望遠側である45mmで撮影した場合の開放F値はF6.3になります。

■撮影機材:Canon EOS R10 + RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM(45.0mm)
■撮影環境:1/13sec F6.3 +1補正 ISO200 WBオート
次に「RF50mm F1.4 L VCM」の開放F1.4で撮影したものがこちらです。

■撮影機材:Canon EOS R10 + RF50mm F1.4 L VCM
■撮影環境:1/200sec F1.4 +1補正 ISO200 WBオート
「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」と「RF50mm F1.4 L VCM」では焦点距離に差があるため、撮影時にほぼ同じ画角になるように若干カメラ位置を調整しましたが、それを差し引いても開放F値によって写り方がこれだけ変わるということはお分かり頂けたのではないでしょうか?
また、近年レンズメーカーが開発したキヤノンのミラーレス一眼用レンズも増えてきました。その中でもシグマはキヤノンRF用レンズを多数発売しており、単焦点レンズではF1.4などの大口径レンズを展開するほか、ズームレンズでも全域で開放F2.8を実現したものなどもあります。開放F値が明るいだけでなく、軽量でコンパクトなレンズボディも大きな特長のひとつです。

開放F値が同じで焦点距離が近いキヤノンの「RF50mm F1.4 L VCM」とシグマの「56mm F1.4 DC DN|Contemporary」の大きさを比較してみました。
これだけを見ると同じ開放F値やほぼ同じ焦点距離で大きさは約半分ならシグマ一択!と言いたくなる所ですが、シグマのレンズには手ブレ補正が非搭載という点を忘れてはいけません。
EOS R10はボディに手ブレ補正(IS)機構が搭載されていないので、レンズ側に手ブレ補正が搭載されているかいないかはレンズを購入する際の大きなポイントになると思います。そういった点では純正レンズのアドバンテージは大きいと言えますが、ご自身の撮影スタイルや予算に合わせて色々な選択肢を持てるという点で、レンズメーカーの存在の大きさも感じます。
純正レンズだからこそ操作性を含めたそのメーカーならでは良さを最大限に引き出してくれるものと、レンズメーカーのレンズだからこそカメラメーカーとは違った視点でより極めたレンズ性能を楽しませてくれるもの、それぞれの良さをR10と共にぜひ体感してもらえたらと思います。

■撮影環境:1/250sec F1.4 +1補正 ISO100 WBオート

■撮影環境:1/125sec F7.1 ISO1000 WBオート

■撮影環境:1/100sec F1.4 ISO160 WBオート

■撮影環境:1/30sec F2.8 +1 1/3補正 ISO6400 WBオート

■撮影環境:1/80sec F2.8 -2/3補正 ISO1250 WBオート

■撮影環境:1/1000sec F1.4 +3補正 ISO100 WBオート

■撮影環境:1/2500sec F1.4 +1 2/3補正 ISO125 WBオート
さいごに
今やスマホで不自由なく写真が撮れてしまう時代にあえてカメラを使うのは「手軽」だけではない、撮りたいと思った瞬間を思った通りに残せる可能性をたくさん秘めているからです。
キヤノンのEOS R10は、はじめての人でも分かりやすい操作性と上位機種に引けを取らない性能を併せ持っています。レンズラインナップも充実しているので、写りの違いをダイレクトに実感してもらうことでより写真を撮る楽しみも広がると思います。
はじめてカメラに触れる人にとって、一緒に写真の世界を楽しむ最初の一台としてオススメしたいカメラです。
■写真家:金森玲奈
1979年東京生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。東京藝術大学美術学部附属写真センター勤務等を経て2011年からフリーランスとして活動を開始。フォトレッスン&ワークショップ「ケの日、ハレの日」を主宰。
祖師ヶ谷大蔵のアトリエ「Maison PHOTOGRAPHICA」で大切な思い出の一枚を手に取れるカタチで残すプリントサービスを展開しつつ、毎週金曜日は写真と雑貨のお店としてオープンしている。
個展・企画展多数。













