ブラブラ日常スナップ撮影を楽しむための3つのコツ|三井公一

三井公一
ブラブラ日常スナップ撮影を楽しむための3つのコツ|三井公一

はじめに

 日常はステキな光景に溢れています。カメラを持って街を歩くと、見慣れた道も変わって見えてきませんか。そんな変化を気軽にスナップ撮影できたら、写真生活がグンと楽しくなってくるものです。青い空に浮かぶ白い雲や、川のせせらぎ。交差点を行き交う人々の姿や、特徴的な建造物など被写体はいたるところに存在しています。

 歩行中にふと見つけた、そんな「!」なシーンをパッと撮影できると気持ちがいいものです。そのためにはどんなことに注意すればいいのでしょうか?今回はそんなスナップ撮影における「コツ」をお伝えしたいと思います。

■撮影機材:Panasonic LUMIX DC-S5 + 20mm F2 DG DN | Contemporary
■撮影環境:1/60秒 f/2 ISO250
引退する小田急ロマンスカーを撮影。カメラに任せてフォーカスし、車体の文字をバランスよくフレーミングしてシャッターを切りました。

 

よく歩き、自分の機材をよく知ろう

 スナップ撮影のキモは「歩くこと」です。気になったエリアがあったら、くまなくその界隈を歩いてみましょう。光と地形に注意を払ってブラブラしていれば、きっと魅力的な被写体に出会えるはずです。大通りだけでなく路地裏にもいいシーンが潜んでいるのでチェックしたいものですね。

 しかしそのシャッターチャンスは、ほとんどの場合一瞬の出来事です。不意に訪れるワンチャンスを確実にモノにできるように、カメラの設定を予めしておきましょう。そのためには自分が使っている機材をよく知っておくことが大切ですね。素晴らしいカットをものにするには次のことが必要です。

1. 正確なフォーカス
2. 適切な露出
3. 意図したフレーミングとシャッターチャンス

 この3つをとっさの時に遂行できるようにしておくことが重要です。順番に解説していきましょう。

 

1.正確なフォーカス

 狙った被写体にピントが合っていないと散漫なカットになりがちです。それを防ぐためにオートフォーカスのモードを「オートエリア」(機種によって機能や呼称が異なります)に設定しましょう。これにしておくと大体の場合、画面内の被写体にピントを合わせてくれるはずです。

 ただ機種によって苦手な被写体があったり、中抜け傾向が強い場合は注意が必要です。近ごろのカメラは搭載されている「AI」を活用することによって、被写体を自動的に認識して正確に合焦してくれるのでとても便利ですね。

 被写体が人間の場合も顔と瞳だけでなく人体、頭部などもしっかりと判別してフォーカスしてくれます。他にも自動車、ネコやイヌ、鳥などもカメラが自動的に見分けてくれるのです。「Nikon Z 9」を使っていると本当にピントが高速かつ正確で撮影が楽チンです。

■撮影機材:Nikon Z 9 + NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
■撮影環境:1/2000秒 f/6.3 ISO640
ユリカモメが街頭に留まろうとするシーンを撮影。正確な動物認識フォーカスと高速連続撮影機能で思ったとおりのイメージをキャプチャーできました。

 マニュアルフォーカスのレンズを使っている場合は、ピントリングに指を素早くかけてフォーカシングできるように心がけましょう。ワイドレンズを使っている場合はある程度絞り込んで、被写界深度を稼いでピントが深くなるようにしておくとラクですね。これはオートフォーカスの場合でも有効です。

 動きが速くない被写体の場合は「中央」1点オートフォーカスでも大丈夫でしょう。落ち着いてフォーカスロックやAFエリアを移動するなどして対応します。ボクは「SIGMA fp」シリーズの場合、このように撮影しています。

 

2.適切な露出

 とっさのシャッターチャンスで、ほぼ間違いない露出モードは「プログラムオート」でしょう。カメラが瞬時に測光して自動的にシャッタースピードと絞り値を設定してくれます。近ごろ発売されたカメラなら、極端な露出オーバーやアンダーは防げるでしょう。しかし、ほぼおおかた問題ないはずですが、状況によって手ブレしていたり被写体ブレしたりするケースもあります。低照度下や動きの速い被写体が予想される場合、あらかじめ「シャッター優先オート」にして高速シャッター速度にしておくことも必要です。

■撮影機材:Nikon Z 9 + NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
■撮影環境:1/4000秒 f/8 ISO100
水面の眩しい反射、橋および自転車をシルエットに。AEが優秀なのでカメラ任せでイメージどおりのカットに。

 また「PENTAX K-3 Mark III」に搭載の「新ハイパープログラム」だと、モードダイヤルを操作することなく「シャッター優先オート」「絞り優先オート」のモードに瞬時に切り替えられるので、柔軟にシャッターチャンスに対応できるのが便利です。 

■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR RE
■撮影環境:1/320秒 f/5.6 ISO100
明るい海が背景なので露出をプラス1段補正。自分で設定できる「スマートファンクション」は便利。

 「ISO感度オート」も活用すると便利な機能です。感度が低ければノイズも少ない写真が得られますが、歩行中日陰に入った時など、シャッターチャンスに遭遇してもブレブレの写真になってしまうかもしれません。「ISO感度オート」にしておけば、例えばISO 100からISO 800などにカメラが自動的に感度を上げてくれるので、速いシャッター速度を得られるケースが多くなってきます。

 さらに「RAW」モードでも撮影しておくといいでしょう。コントラストが強烈すぎる被写体や露出補正が間に合わなかったカットなど、パソコンのアプリケーションで救うことができるかもしれません。撮影時にしっかりと撮っておけば、後処理でクリーンなイメージをより美しいものへとフィニッシュできることでしょう。

 

3.意図したフレーミングとシャッターチャンス

 フォーカスが合って露出も適切でも、被写体が意図した通りにフレームに入って、狙ったとおりの瞬間にシャッターが切れていないといけません。そのためにはどうすればいいでしょうか。

 まずは装着しているレンズの画角を知ることが大切です。ズームレンズならばワイド端からテレ端までの距離感と画角を。単焦点レンズならばその画角をしっかりと頭と身体に叩き込むことです。自分の立ち位置からどれくらいの範囲を写せるのか、を常にイメージしておきましょう。

■撮影機材:Nikon Z 9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
■撮影環境:1/1250秒 f/9 ISO100
■撮影機材:Nikon Z 9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
■撮影環境:1/1600秒 f/10 ISO100
歩いて行くサーファーをズーミングしながら撮影。人物だけのカットと太陽を入れた2カットを画角変更してシャッターを切りました。

 シャッターチャンスはほぼ一瞬、と書きましたが、それを捉えるにはやはりレスポンスの速い機種が有利です。各カメラメーカーラインナップのハイエンド機は瞬発力があっていいですね。

 また、連続したシーンの場合は連写スピードがものを言う場合があります。より多くのバッファーを積み、高速なメモリーカードを使えるカメラだとチョイスできるカットも増えてきます。加えて「Nikon Z 9」などに搭載されている、シャッターを切った前後の写真も残せる「プリキャプチャ」機能も活用すると、撮り漏らしがなくなります。

■撮影機材:Nikon Z 9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
■撮影環境:1/400秒 f/5 ISO100
■撮影機材:Nikon Z 9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
■撮影環境:1/400秒 f/5 ISO100
連続撮影モードに設定しておけば歩行者のわずかな差も確実にキャプチャーできます。

 とはいえ、手動巻き上げのマニュアルフォーカスフィルムカメラを使って、電光石火の如くカメラを構え、フォーカシングしてシャッターを切るのも楽しいものです。露出も歩きながら眼で測光し「今はF8の1/250秒だな」と、手が自動的に絞りとシャッタースピードをカメラにセットできるようになれば素晴らしいですね。

■撮影機材:SIGMA fp L + 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary
■撮影環境:1/500秒 f/2.8 ISO100
人物と客船のバランス、そして構図が面白くなるよう額縁効果を出すように高架をフレーム内に配置しました。
■撮影機材:Nikon Z 9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
■撮影環境:1/800秒 f/7.1 ISO100
■撮影機材:Nikon Z 9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
■撮影環境:1/800秒 f/7.1 ISO100
同じ場所のカットでもシャッターを切るタイミングで人物の位置が変わって印象が異なってきます。

 この3つのコツを意図した通りに素早くできるようになれば、よりスナップ撮影が楽しくなることでしょう。

 

まとめ

スナップ撮影のコツを3つ挙げましたが、デジタルカメラやフィルムカメラ問わず共通したものということにお気づきでしょうか?

1.正確なフォーカス
2.適切な露出
3.意図したフレーミングとシャッターチャンス

 

■撮影機材:Nikon Z 9 + NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
■撮影環境:1/60秒 f/8 ISO100
■撮影機材:Nikon Z 9 + NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
■撮影環境:1/60秒 f/8 ISO72
縦位置と横位置のカット。同じ場所でもカメラの縦横を変えるだけで印象が大きく異なってきます。

 これらを常に意識して、視野を広く持ち興味のある場所をトコトン歩いてカメラのシャッターを切っていきましょう。撮影する時間や季節を変えてみるとより作品の幅が広がって、スナップ撮影の奥深さを実感できるに違いありません。是非お気に入りのカメラとレンズを持ってスナップ撮影を楽しんでみてください!

 

 

■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなどで活躍中。さまざまな企業のイメージ撮影や、ポートレート撮影、公式インスタグラムの撮影などを多く手がける。スマートフォン撮影のパイオニアとしても活動中。

 

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