ネイチャースナップのすすめ|ピーク過ぎの紅葉を楽しむ
はじめに
秋の自然イベントといえば紅葉がもっとも注目されるものですが、最近の安定しない天候などから紅葉がピークのときにタイミングよく撮影に行けるかというとなかなか難しいですよね。
ただ、紅葉がピークのタイミングだと定番の風景としてはきれいですが、ワンパターンになってしまうことも多く、作品をまとめていくうえでは違うバリエーションも欲しくなってきます。
今回はあえて紅葉のピークから10日ほど過ぎた現場などで、私がどんなところを見ながら撮影しているかを解説してみたいと思います。

■撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF24-240mm F4-6.3 IS USM
■撮影環境:F11 1/60秒 -2EV補正 ISO400 WB太陽光

視点を変えよう
絶景の紅葉を撮るぞ!といった気持ちで盛りあがっている時に現地の様子がイメージ通りではなかったりすると、撮るものがないと感じられてなかなか被写体も見えてこなくなってしまいます。
自然の状態は理想のものになることの方が少ないですから、ここは気持ちを切り替えて、今の状態を冷静に見つめ、その様子を切り取る視点を持つようにしましょう。
紅葉の景色の場合は、赤や黄色の葉が一面に広がる景色といった先入観があると思いますから、理想の状態ではなかったら、今の景色に合わせて視点を変えます。
紅葉のピーク過ぎであれば、色に注目して残っている紅葉を探していくという感じです。今回撮影したところではほとんど落葉していたので、視点を足元に向けていくようにしました。地面一面に広がっている落ち葉をメインに、気になったところを撮影していくのです。こういった風景も季節の移り変わりを表現するうえでは大切な要素になりますので、じっくり見ていきましょう。


■撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF24-240mm F4-6.3 IS USM
■撮影環境:F9 1/250秒 -0.7EV補正 ISO1600 WB太陽光

■撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF24-240mm F4-6.3 IS USM
■撮影環境:F11 1/80秒 -1EV補正 ISO800 WB太陽光


■撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF24-240mm F4-6.3 IS USM
■撮影環境:F10 1/80秒 ISO1600 WB太陽光

■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW
■撮影環境:F11 1/250秒 -1.3EV補正 ISO1250 WB太陽光

■撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF24-240mm F4-6.3 IS USM
■撮影環境:F13 1/60秒 -0.7EV補正 ISO500 WB太陽光

■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-DA★16-50mm F2.8ED PLM AW
■撮影環境:F10 1/40秒 -0.3EV補正 ISO320 WB太陽光
晩秋の雰囲気を探していく
晩秋というとどんなイメージがあるでしょうか。完全に落葉して落ち葉の色も褪せてしまったら、冬のように見えてしまいますが、画面の中に秋っぽい色を入れながら画面構成していくことで晩秋らしさを表現できると思います。そんな景色を探していきます。
例えば、落ち葉でもまだ赤や黄色の残っているところを選んで撮影していきます。傷んでしまった葉があった時には、そのものを見せるのではなくて、背景に小さく入れることで季節感を表現できますから、脇役にするのもいい方法です。画面の中に小さく秋の色を入れるだけで十分です。
ただ、完全に枯れた茶色はボケていてもはっきりわかるので、そのあたりはうまく選びながらきれいなイメージを作っていきましょう。


■撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF24-240mm F4-6.3 IS USM
■撮影環境:F8 1/250秒 -1EV補正 ISO800 WB太陽光


■撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF24-240mm F4-6.3 IS USM
■撮影環境:F9 1/125秒 -0.7EV補正 ISO1600 WB太陽光

■撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF24-240mm F4-6.3 IS USM
■撮影環境:F11 1/8秒 -1EV補正 ISO200 WB太陽光

■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-DA★16-50mmF2.8ED PLM AW
■撮影環境:F8 1/250秒 +1EV補正 ISO200 WB太陽光

■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + smc PENTAX-D FA MACRO 50mmF2.8
■撮影環境:F9 1/100秒 ISO1600 WB太陽光
色を目立たせよう
色を見つけたら、うまく引き立てられるように撮影していきます。画面の中で見せたい色が目立つようにフレーミングや背景、光などを選んでいくのです。
遠景などはざっくりフレーミングを決めることも多いと思いますが、切り取りの風景ではちょっとした違いで作品の印象が大きく変わってきます。中でもメインの被写体となる色を目立たせることは重要ですから、ネイチャースナップとはいえワンカットごとに丁寧に構図を決め、光を読んで撮影しています。
色をきれいに見せるうえでは、前回の記事で紹介したC-PLフィルターを使うことも有効なので、ぜひ活用してください。


■撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF24-240mm F4-6.3 IS USM
■撮影環境:F13 1/60秒 ISO1600 WB太陽光


■撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF24-240mm F4-6.3 IS USM
■撮影環境:F8 1/250秒 ISO200 WB太陽光


■撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF24-240mm F4-6.3 IS USM
■撮影環境:F10 1/250秒 -0.7EV補正 ISO1600 WB太陽光


■撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF24-240mm F4-6.3 IS USM
■撮影環境:F13 1/60秒 -0.7EV補正 ISO1250 WB太陽光

■撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF24-240mm F4-6.3 IS USM
■撮影環境:F10 1/80秒 ISO320 WB太陽光

■撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF24-240mm F4-6.3 IS USM
■撮影環境:F10 1/60秒 +2.7EV補正 ISO1600 WB太陽光
紅葉以外のものも見ていこう
紅葉がきれいなときは、どうしても紅葉にばかり目がいってしまって、他のものが見えなくなってしまいますが、これはまさに今がチャンスなのでいいと思います。でも、紅葉が終盤となってくるとだんだん他のものが目に入ってくるようになってくるはずです。
今回も紅葉をメインに歩いているときにはあえて避けていた緑も落ち葉の中では鮮やかに見えてきて、いい被写体になりました。紅葉がいっぱいで鮮やかに見えていた木も、枝ぶりが目立つようになって違う魅力を感じられるようになりました。何か興味を引くものがないか探してみて、いいと思えるものがあれば、積極的に撮影しましょう。

■撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF24-240mm F4-6.3 IS USM
■撮影環境:F11 1/125秒 -0.3EV補正 ISO1600 WB太陽光

■撮影機材:PENTAX K-3 Mark III + HD PENTAX-DA★16-50mmF2.8ED PLM AW
■撮影環境:F10 1/60秒 +3EV補正 ISO2500 WB太陽光

■撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF24-240mm F4-6.3 IS USM
■撮影環境:F7.1 1/160秒 -0.7EV補正 ISO640 WB太陽光

■撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF24-240mm F4-6.3 IS USM
■撮影環境:F11 1/125秒 +0.7EV補正 ISO640 WB太陽光

■撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF24-240mm F4-6.3 IS USM
■撮影環境:F14 1/6秒 +0.3EV補正 ISO400 WB太陽光
まとめ
紅葉に限らず、毎年同じ風景ばかり撮っているなと感じている人は、あえてタイミングをずらして撮影することをお勧めします。
同じ構図でもタイミングが違えば季節感も変わってきますし、いつもと違うところが見えてくるかもしれません。定番もおさえてさらに違うところが撮れるのが理想ですが、なかなか思い通りにはいかないことの方が多いものです。
ちょっとイメージと違うなと思っても、ゆっくりと歩いてみれば意外と面白い被写体を見つけられることの方が多いですから、諦めずにじっくり撮ってみるといいと思います。きっと新しい写真を撮ることができますよ。
■自然写真家:小林義明
1969年東京生まれ。自然の優しさを捉えた作品を得意とする。現在は北海道に住み、ゆっくりとしずかに自然を見つめながら「いのちの景色」をテーマに撮影。カメラメーカーの写真教室講師などのほか、自主的な勉強会なども開催し自分の視点で撮影できるアマチュアカメラマンの育成も行っている。















