第11回フィルムカメラを始めよう!新生活はミノルタのフィルムカメラで:Minolta X-700編

鈴木啓太|urban
第11回フィルムカメラを始めよう!新生活はミノルタのフィルムカメラで:Minolta X-700編

はじめに

こんにちは!フォトグラファーの鈴木啓太|urbanです。長年オールドレンズやフィルムを中心にポートレート、スナップ、家族写真を撮影しております。今回はフィルムカメラを始めよう!シリーズ第11回として、僕が初めて購入したフィルムカメラ「Minolta X-700」を紹介していきます。

X-700は長期リリースされた機種で中古市場に台数も多く、ファインダーが明るく、絞り優先で軽く、初心者にも使いやすいというメリットがあります。未だに使い続けているMinolta X-700の魅力を紐解いていきたいと思います。

18年のロングセラー機 Minolta X-700

1981年に発売されたX-700は、ミノルタの電子制御一眼レフの普及モデルとして開発されました。絞り優先、プログラムオートなどの機能を備え、発売当初から評価は高く、結果的に約18年にわたり販売が継続された異例のロングセラーモデルとなります。後期には露出を固定するAEロックが付いたモデル(New X-700)が販売されており、筆者もこのNewモデルを使用しています。

プログラムAEの搭載

本機の特徴は「プログラムAE」の搭載です。当時の一眼レフはマニュアル露出や絞り優先が主流でしたが、X-700はシャッター速度と絞りをカメラ側が自動決定するプログラムオート「Pモード」を実装しました。

これにより、
・初心者でも適正露出が得やすい
・シャッターチャンスに集中できる
・失敗カットを減らせる
という大きなメリットが生まれました。

ただしこれには欠点もあり、プログラムオートを使用するためのレンズはMD ROKKORシリーズ以降となっている点です。市場には数多くのROKKORレンズが存在しており、MDの前身となるMC ROKKORでは本モードは使用できません。非常に便利な機能ではありますが、絞り優先「Aモード」の方がボケの量を自分で選択できるため、筆者はほぼ絞り優先を使用しています。初めての方も最初はプログラムオート、慣れてきたら絞り優先に移行していくのが良いでしょう。

操作系とファインダーの完成度

X-700はNikonやPENTAXなど一般的なフィルムカメラと同等の操作系を持ち、わかりやすく合理的です。ファインダーは非常に明るいアキュートマットスクリーンで、中央にスプリットイメージとマイクロプリズムを採用。マニュアルフォーカスでありながら、合焦の判断がしやすい構造です。筆者はマイクロプリズムと言われる中央周辺のジバジバで合わせており、慣れればピントを外すことはほぼありません。

ピントの合わせ方についてはキタムラの記事が詳しいので以下をご参照ください。
https://www.kitamura.jp/photo/express/2006/ex390.html

表示情報も必要十分で、シャッタースピードを瞬時に把握できます。露出補正使用時の表示もあり、露出補正をかけたままシャッターを切ってしまうというミスを防ぐこともできます。シャッター速度は1/1000秒までとフィルムカメラ標準のスペック。デジタルとは違い、フィルムカメラを通じて絞るという行為を覚えられるのもメリットと言えるでしょう。以下にスペックを記載します。

発売年月 1981年
フォーマット 35mmフィルム(135)
マウント Minolta SRマウント
ファインダー/td>

視野率95%、ファインダー倍率0.9倍、アキュートマットスクリーン
シャッター B、1~1/1000
露出制御 TTL中央部重点測光
フィルム感度 ISO25~1600
電源 LR44 または SR44 2個
大きさ 横137mm 高さ89mm 奥行き51.5mm
質量 505g(ボディのみ)

 

ここからは簡単にですが、よく標準レンズでセット売りされているMC ROKKOR-PG 50mm F1.4と各フィルムの幾つかの作例を見ていきましょう。特に筆者が初めて買ったフィルムカメラということもあり、家族写真が多いですがこういった日常を写すにも使いやすいカメラだと言えます。

■撮影機材:Minolta X-700 + MC ROKKOR-PG 50mm F1.4
■フィルム:Lomography Color Negative 35mm ISO 100
■撮影機材:Minolta X-700 + MC ROKKOR-PG 50mm F1.4
■フィルム:富士フイルム C200
■撮影機材:Minolta X-700 + MC ROKKOR-PG 50mm F1.4
■フィルム:富士フイルム SUPERIA SUPERIA X-TRA400
■撮影機材:Minolta X-700 + MC ROKKOR-PG 50mm F1.4
■フィルム:Kodak ULTRAMAX 400
■撮影機材:Minolta X-700 + MC ROKKOR-PG 50mm F1.4
■フィルム:Kodak Gold 200
■撮影機材:Minolta X-700 + MC ROKKOR-PG 50mm F1.4
■フィルム:Kodak Gold 200

Minolta X-700におすすめのレンズ紹介

■撮影機材:Minolta X-700 + MC ROKKOR-PG 50mm F1.4
■フィルム:富士フイルム C200

本体機能の紹介はここまでにして、僕が実際に愛用している使っていただきたいレンズたちを紹介していきます。特にMC ROKKOR-PGとNew MDの50mm F1.4はどちらもオールドレンズとしてデジタルカメラと組み合わせても相性が良いのが特徴です。フィルムで開放を使うとやや柔らかすぎる気がしますが、デジタルとの組み合わせは抜群です。

MC ROKKOR-PG 50mm F1.4

前章の作例でもいくつか紹介しましたが、ボディ購入時にセットでついてきたのがこのMC ROKKOR-PG 50mm F1.4です。表面には薄っすら緑のコーティングが施されている美しいレンズで、開放ではコントラストが低くにじみがみられるレンズです。F2.8で解像力が向上し、ピントに芯が現れ、解像度のピークはF8~11あたりになります。価格も5000円~1万円程度で購入できる事が多く、最初の1本におすすめのレンズです。

■撮影機材:Minolta X-700 + MC ROKKOR-PG 50mm F1.4
■フィルム:富士フイルム SUPERIA X-TRA400
F4程度、柔らかい描写が特徴のレンズです。
■撮影機材:Minolta X-700 + MC ROKKOR-PG 50mm F1.4
■フィルム:Kodak Gold 200
最短撮影距離+開放の描写。ボケはかなり独特で油絵で描いたような描写になります。
■撮影機材:Minolta X-700 + MC ROKKOR-PG 50mm F1.4
■撮影環境:Kodak Gold 200
F8程度、絞ればそれなりにしっかりとした描写になります。
■撮影機材:Sony α7 II+ MC ROKKOR-PG 50mm F1.4
■撮影環境:f1.4 1/4000秒 ISO100 WBオート
デジタルカメラはシャッタースピードが速いため、絞り開放のにじみの描写を活かしやすい。筆者おすすめのレンズのひとつです。

New MD ZOOM 35-70mm F3.5 Macro

盤名はMD ZOOM 35-70mm F3.5と記載されている第三世代のNew MDズームレンズです。コンパクトで描写評価の高い標準ズームで、単焦点に迫る解像力を持ちます。1/4マクロも兼ね備えており、近接性能も抜群。この3世代目のNew MD Zoomは1983年発売で、同年LeicaからVario-Elmar-R 35-70mm F3.5というレンズも発売されており、同一設計なのではと噂されています。旧LeitzとMinoltaは1971年から25年以上業務提携が続いたと公式にあり、その最中の製品という事もあるため、そういった噂が流れたのだと推察されます。

とはいっても真偽については確実とは言えないため、これ以上の言及はできませんが、かなりの描写なのは事実です。ズームでありながら描写の破綻が少なく、マクロ機能も相まって、旅や日常撮影では非常に実用的です。数千円で買えるというところも魅力と言えるでしょう。

■撮影機材:Minolta X-700 + New MD ZOOM 35-70mm F3.5 Macro
■フィルム:富士フイルム FUJICOLOR100
切れのある描写力で、1980年代のズームレンズとは思えない性能を誇ります。
■撮影機材:Minolta X-700 + New MD ZOOM 35-70mm F3.5 Macro
■フィルム:富士フイルム FUJIFILM200
ポートレートやスナップにも十分使用可能です。
■撮影機材:Minolta X-700 + New MD ZOOM 35-70mm F3.5 Macro
■フィルム:富士フイルム FUJIFILM200
F8程度、単焦点レンズ並みの描写ではないでしょうか。
■撮影機材:Minolta X-700 + New MD ZOOM 35-70mm F3.5 Macro
■フィルム:Kodak ULTRAMAX400
1/4マクロモード使用。これが使えるのでとても万能です。

New MD 50mm F1.4

初代MC ROKKORから70gも軽量化した50mm F1.4シリーズの最終モデルです。235gに軽量化され、最短撮影距離も45cmまで短くなり、Minolta最高の標準レンズになりました。MC ROKKORよりもコントラストが高く、やや現代的な描写でコーティング性能の向上により逆光耐性も改善しています。開放では背景が大きく溶け、被写体が浮き上がる立体感があります。X-700のプログラムAEとの連携も良好で、アキュートマットのファインダーを覗き、絞りもシャッタースピードも意識せずに撮影したい方には最適な選択です。

■撮影機材:Minolta X-700 + New MD 50mm F1.4
■フィルム:富士フイルム FUJIFILM200
F1.4の開放。子供たちからはピントが外れてしまいましたが、外れた部分の柔らかい描写も流石Minoltaといったところでしょうか。
■撮影機材:Minolta X-700 + New MD 50mm F1.4
■フィルム:富士フイルム FUJIFILM200
F8程度に絞れば、解像度はMCよりもやや高めです。
■撮影機材:Minolta X-700 + New MD 50mm F1.4
■フィルム:富士フイルム FUJIFILM200
F1.4の開放。しっかりピントが合えば十分な解像力と立体感を持つレンズです。

Minolta X-700購入のポイント

■撮影機材:Minolta X-700 + MC ROKKOR-PG 50mm F1.4
■フィルム:Kodak Gold200

流通量がかなり多いX-700ですが、中古購入時のポイントをまとめておきます。可能であれば実機を触って確認するのが良いですが、ネットで購入する際も以下のポイントが問題ないかを確認しておきましょう。特に電子制御のカメラとなるので、急に故障してしまうというパターンもあり得ます。修理をするのは難しい機種なので、その場合は代替機を購入するという形になります。

シャッターが全速切れるか

基本ですが、電池を入れてAモードでシャッタースピードが全速正常に動作するかは確認ポイントのひとつです。電池を入れないとシャッターが切れない機種なので、故障と勘違いしないようにしましょう。

ファインダーにプリズムの腐食がないか

一眼レフのカメラはファインダーの劣化も良くみられる症状です。X-700の良いところはファインダースクリーンを簡単に外して清掃ができる点で、チリやごみの混入はあまり問題になりません。マイナスドライバー1本で簡単に取り外すことができ、清掃可能です。

電池室の液漏れがないか

電池室に腐食がある場合は、そもそも電気系統がトラブルを起こしている可能性が高いので購入を控えましょう。

 

 

簡単に3点ほど上げましたが、専門店で動作確認済みのカメラを買えば基本的に問題ないのがX-700の強みです。モルトはほとんどが劣化していますが、補修しなくてもあまり問題にならない機種です。露出計の精度も狂っている機種はあまり見たことがないため、そこまで心配する必要はないかと思います。

本体の価格は1万円~2万円程度で、購入しやすいのも魅力です。修理まで考えると機械式が有利なのは百も承知ですが、18年間のリリースによる台数の多さで修理ができないデメリットをカバーしている稀な機種と言えるでしょう。

まとめ

■撮影機材:Minolta X-700 + MC ROKKOR-PG 50mm F1.4
■フィルム:Kodak ULTRAMAX 400

Minolta X-700は、操作性・機能性・描写力のバランスが非常に高い一眼レフです。プログラムAEの安心感、明るいファインダー、豊富なROKKORレンズ群。18年という販売期間は、その裏付けにもなっているのではないでしょうか。フィルムカメラを始める方にも、改めて名機を使いたい方にも最適な選択肢です。プログラムAEで安心して撮り始め、徐々に絞り優先やマニュアルへ移行する。レンズも豊富で、表現の幅も広い。これからフィルムカメラを始めたいという方が「最初の一台」として選んでも後悔しない名機、それがX-700です!

実践的な撮影方法が知りたい場合は、僕が講師を務めるフィルムワークショップ「フィルムさんぽ」にもご参加いただければ嬉しいです!ではまた、次の記事でお会いしましょう!

 

 

■フォトグラファー:鈴木啓太|urban
カメラ及びレンズメーカーでのセミナー講師をする傍ら、Web、雑誌、書籍での執筆、人物及びカタログ撮影等に加えフィルムやオールドレンズを使った写真をメインに活動。2017年より開始した「フィルムさんぽ/フランジバック」は月間延べ60人ほどの参加者を有する、関東最大のフィルム&オールドレンズワークショップに成長している。著書に「ポートレートのためのオールドレンズ入門」「ポートレートのためのオールドレンズ撮影マニュアル」がある。リコーフォトアカデミー講師。

 

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