【オールドコンデジ】離して、楽しむ!自由な撮影スタイルが可能なカシオ「EX-FR10」

はじめに
今回は2014年に発売されたカシオ「EX-FR10」をご紹介します。購入した2014年の当時は外観が非常に特徴的で面白そうなデジカメだと思い、発売と同時に購入したもののまったく上手く使いこなすことができなくて、すぐにお蔵入りしていたコンパクトデジカメでした。
それから10年も経過したので、苦手意識ももう無くなったのではないかと思い撮影にチャレンジしてみた次第です。カシオ「EX-FR10」は、今見ても斬新なデザインのデジカメですが、機能や写りがどんなものかご紹介します。
カシオ「EX-FR10」の特徴と基本スペック

カシオ「EX-FR10」はかなり特徴的なコンパクトデジカメです。カメラ部分と液晶モニター部分を切り離すことができ、自由なアングルで撮影できるユニークな構造を持っていて、自分撮りだったり、アクションカメラ的な使い方だったりを楽しむ事を提案したカメラです。発売当時、その独特なデザインや構造に興味を惹かれ購入したユーザーも多くいたのではないでしょうか。発売から10年ほど経過したカメラですが、そのデザイン性は今なお新鮮に感じられます。
カシオ「EX-FR10」の基本スペック
カシオ「EX-FR10」 | |
発売日 | 2014年9月 |
センサーサイズ | 1/2.3型 |
センサー | CMOS(裏面照射型) |
有効画素数 | 1400万画素 |
F値(開放) | F2.8 |
焦点距離 | f=3.8mm(35mm換算:約21mm) |
フォーカスモード | コントラスト検出方式オートフォーカス |
フォーカスエリア | インテリジェント、マルチ |
ISO感度 | Auto |
絞り | F2.8 |
シャッター | CMOS電子シャッター |
露出制御 | プログラムAE |
その他撮影録音機能 | 静止画撮影:プレミアムオート、インターバル撮影、アートショット、タッチシャッター、Wi-Fiリモート撮影、顔検出、
メイクアップ動画撮影(FHD):プレミアムオート、インターバル撮影、Wi-Fiリモート撮影 |
モニター | 2.0型TFTカラー液晶、230,400ドット(960×240) 静電容量式タッチパネル |
記録画素数 | 静止画:14M(4320 x 3240) / 16:9(4320 x 2432) / 5M(2560 x 1920) 動画:Full HD(1920 x 1080) |
ファイル形式 | 静止画:JPEG(ExifVer2.3、DCF2.0準拠) 動画:MOV形式、H.264/AVC準拠、IMA-ADPCM音声(モノラル) |
内蔵メモリー | 約65.9MB |
記録メディア | microSDメモリーカード、microSDHCメモリーカード、microSDXCメモリーカード対応 |
撮影可能範囲 | (レンズ先端から)オートフォーカス:約10 cm~∞ |
電源 | 【カメラ】専用リチウムイオン充電池(内蔵) 【コントローラー】専用リチウムイオン充電池(内蔵) |
質量(g)(本体のみ) | 【カメラ】約63g ※ヒンジ含まず、メモリカード含む 【コントローラー】約80g 【合体時】約175g |
ボディサイズ (幅×高さ×奥行) | 【カメラ】約63g ※ヒンジ含まず、メモリカード含む 【コントローラー】約80g 【合体時】約175g |
質量(g)(本体のみ) | 【カメラ】(直径)60.9mm × (奥行)28.8mm ※ヒンジ含まず 【コントローラー】(幅)49.7mm × (高)84.2mm × (奥行)18.9mm 【合体時】(幅)60.9mm × (高)153.1mm × (奥行)34.2mm ※ ヒンジ含む |
有効画素数はスペック上で1400万画素あるので、現代でも十分に通用する画素を有していますが、液晶モニターに関しては解像度も低いので、モニター上でピントの確認とかは正直辛いものがあります。


電源ボタン・録画ボタン・シャッターボタンは、カメラ部と液晶部にそれぞれあり、カメラ部の電源ONの状態だけでも撮影は可能となっています。しかし液晶部の電源をいれていないと、どんな感じで撮影できているかまったく分からないので、カメラ側だけONの状態で使うのはあまり実用的ではありません。
カメラ部と液晶部のあいだの情報(ライブビュー・再生など)は、Bluetoothを使用していてペアリングした状態で出荷されるため、ユーザーでの設定は特に必要はなく、すぐにそのまま使えるのは非常に良く出来ています。


カメラ部と液晶部でそれぞれ内蔵バッテリーが搭載されていて、それぞれを充電しなければいけないのが少々面倒なカメラです。

実際に使っていると、カメラ部と液晶部のそれぞれの電源管理やボタンを押す頻度などが非常に面倒で煩わしく感じます。


撮影モードは全自動のプレミアムオートのほか、5種類のアートショットも搭載されています。トイカメラ・ソフトフォーカス・ライトトーン・セピア・モノクロとなっていて、メニューから切り替えが可能です。

左上:P-AUTO、中上:TOY、右上:SOFT、左下:LIGHT、中下:SEPIA、左下:MONO

■撮影環境:シャッター速度1/250 絞りF2.8 ISO1600 焦点距離4mm(35mm換算21mm相当)
※TOYモードで撮影
カメラ内でそれぞれ画像処理をおこなっているのですが、もともとあまり画質が良くないカメラなのに更に画質が劣化します。トイカメラモードであれば、本当に低画素のトイカメラで撮影したレベルの画像になります。

■撮影環境:シャッター速度1/100 絞りF2.8 ISO125 焦点距離4mm(35mm換算21mm相当)
※白黒モードで撮影
10年ぶりに改めて撮影をしてみましたが、現代のスマホやデジカメと比較すると取り扱いにくさを感じます。広角21mm相当といったワイドなカメラですが、全体的な解像感は低いためトイカメラのようなジャンルとして撮影していただくと良いと思います。それでもカメラ部と液晶部が分離する機能は斬新なので、その特徴を活かす方法があればより楽しむ事ができるかもしれません。
カシオ「EX-FR10」でスナップ撮影

■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF2.8 ISO100 焦点距離4mm(35mm換算21mm相当)
カシオ「EX-FR10」を使う際に気を付けなければならない点があります。それは特徴であるカメラ部と液晶部が分離できる構造によるもので、カメラの画像を液晶部にBluetooth通信をしながら表示している点です。Bluetooth通信による液晶の表示は、カメラ部で見ている画像と液晶部で表示している画像にはタイムラグが発生しており、液晶を見ながらシャッターボタンを押してもカメラ部を動かしてしまうと、ブレた画像や歪んだ画像など、思っていたような画像が撮れていないことが多く発生します。
カシオ「EX-FR10」で撮影する際には、カメラを構えて構図が安定してからシャッターを押し、シャッターを押した後にすぐにカメラを動かさないようにするのが安定した画像を記録するコツになります。急いで撮影すると下の写真のように意図したものと違った構図になったり、歪みが大きく発生したりする事もあります。


■撮影環境:シャッター速度1/1000 絞りF2.8 ISO400 焦点距離4mm(35mm換算21mm相当)
カメラ部と液晶部を分離して撮影する場合は、カメラ部をしっかりと固定して撮影すると安定して良い画像を撮影することができます。特にローアングルで撮影する時には、カメラ部と液晶部を固定するヒンジユニット部を活用してカメラ部を立たせて撮影するのがおすすめです。

■撮影環境:シャッター速度1/125 絞りF2.8 ISO200 焦点距離4mm(35mm換算21mm相当)

■撮影環境:シャッター速度1/160 絞りF2.8 ISO100 焦点距離4mm(35mm換算21mm相当)
カシオ「EX-FR10」は、JIS/IEC防水保護等級6級の防水・防塵性能があるので、下の様な写真を撮影するのも安心して撮影する事ができます。この写真はカメラ部と液晶部を分離して、カメラ部を水たまりのなかにヒンジユニットをスタンド状態にしてセットしています。濡れても安心して撮影できるのは、カシオ「EX-FR10」の魅力ポイントです。

■撮影環境:シャッター速度1/400 絞りF2.8 ISO100 焦点距離4mm(35mm換算21mm相当)

■撮影環境:シャッター速度1/1000 絞りF2.8 ISO200 焦点距離4mm(35mm換算21mm相当)

■撮影環境:シャッター速度1/1000 絞りF2.8 ISO800 焦点距離4mm(35mm換算21mm相当)
上の2枚の写真は、カシオ「EX-FR10」のカメラ部を一脚にセットしてハイアングルでの撮影をしてみました。構図は手元にある液晶部で確認しながら、液晶部にあるシャッターで撮影しています。撮影の際にはやはり液晶部でみえている画像のタイムラグがあるので、しっかりとハイアングル状態のカメラを固定する事が必須になります。
カメラ部部分の重量も軽いので、小型の一脚や自撮り棒のようなものに固定して撮影すると、普段とは違った撮影アングルが楽しめるので、この点はカシオ「EX-FR10」の魅力的なポイントになります。
※一脚や三脚などにカメラ部ヒンジユニットに固定するには、付属の三脚ナットが必要です
カシオ「EX-FR10」で動画撮影
カシオ「EX-FR10」で撮影できる動画設定は一種類のみで細かな設定はできません。動画は1ファイル最長29分まで撮影可能になっています。動画撮影モードではアートショットの効果は無効になるため、本当にプレミアムオートでの撮影オンリーになります。
動画撮影時には常時ブレ補正が機能しますが、現在のアクションカメラの様な強力なブレ補正ではないので正直厳しいと言わざるを得ません。また、画角に関しても静止画撮影の焦点距離21mmではなく動画撮影時はブレ補正の影響で画角が狭くなってしまいます。動画機能に関しては、物足りなさを感じるカメラです。
動画画質 | Full HD |
フレームレート | 30fps |
画像サイズ | 1920×1080 |
アスペクト比 | 16:9 |
カシオ 「EX-FR10」は最大4倍までデジタルズームを使用する事ができます。このデジタルズームは画像中央をデジタル処理することによって拡大する仕様なので画像の劣化が発生しますが、いざという時には使える機能になります。ただ動画撮影時に使用する場合は、あらかじめデジタルズームの操作を行ったのちに動画撮影開始をしないといけない仕様になっていて、動画撮影中にズーム操作ができない点が少々残念なところです。
指定した日に撮った写真をまとめる「ハイライトフォト」・「ハイライトムービー」機能

カシオ「EX-FR10」には1日の出来事を1枚の画像にする「ハイライトフォト」という機能が搭載されています。この機能は日付ごとにおすすめの静止画が選択され、1枚の静止画に合成する機能で、「ハイライトスコア」機能でつけた点数や撮影時の情報などをもとに自動的に選ばれます。このハイライトスコアは撮影した画像に★マークでレーティングする機能で、撮影画像の再生画面で設定する事ができます。
★0は、初期値
★+1は、優先的にハイライトフォトなどに使用されます
★-1は、ハイライトフォトなどに使用されなくなります



カシオ「EX-FR10」で作れるハイライトフォトは、画像サイズ「1920×2560ピクセル」のJPEGで生成されます。選べるテンプレートは10種類搭載されており、気に入ったテンプレートを選ぶだけで自動的にピックアップされた撮影データで合成された画像ができあがります。撮影した後も楽しめる、面白い機能です。
「ハイライトフォト」機能はテンプレートに合成する機能ですが、もう一つの「ハイライトムービー」は日付ごとにおすすめの静止画や動画が選択され、1つのムービーに自動的に編集する機能です。撮影時の情報やハイライトスコアの点数によって、できあがるムービーの再生時間や効果が自動的に決まります。
撮影した後も簡単に楽しめる「ハイライトフォト」・「ハイライトムービー」機能は、カシオ「EX-FR10」の魅力のポイントの一つです。
そこでダメ元で、他のデジカメで撮影した2400万画素のデータをマイクロSDにコピーしてカシオ「EX-FR10」で「ハイライトフォト」・「ハイライトムービー」が作れるかチャレンジしてみました。
結果は無事作ることができました。ただメーカー推奨の方法では無いので、画像サイズやフォーマットの種類によってはできない可能性もあるかもしれません。

まとめ
10年前買った当初は使いこなすことができなくて早々にお蔵入りしたカシオ「EX-FR10」でしたが、今更ながら少し楽しむ事ができました。カメラ自体の写りは正直言ってレベルが低いデジカメですが、カメラ部と液晶部が切り離すことできる事による自由なアングルで撮影チャレンジできる楽しさと、撮影した後にも簡単に楽しめる「ハイライトフォト」や「「ハイライトムービー」など改めて発見することができました。
カシオ「EX-FR10」は、中古市場では特殊なスタイルゆえに人気もなく比較的低価格で購入できるコンパクトデジカメです。写りは期待できませんが、手軽に面白いデジカメを試してみたい方におすすめです。
■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師