遊び心満載!流れるようなボケを創り出すレンズベビー「コンポーザープロII Sweet 50」

坂井田富三
遊び心満載!流れるようなボケを創り出すレンズベビー「コンポーザープロII Sweet 50」

はじめに

今回紹介するのは、レンズベビー「コンポーザープロII Sweet 50」。あまり聞きなれないレンズかもしれませんが、Lensbaby(レンズベビー)シリーズは、アメリカ合衆国オレゴン州に本社を置くLensbaby社が製造するレンズラインナップで、日本では株式会社ケンコー・トキナーの取り扱いで販売されています。

とても癖のあるレンズがラインナップされており、普通のレンズに飽きた方にはとてもハマってしまうレンズです。レンズベビーの数あるラインナップから、今回は流れるような周辺ボケが特徴のティルトレンズ「コンポーザープロII Sweet 50」の特徴とその写りを紹介します。

「コンポーザープロII Sweet 50」の魅力

レンズベビー「コンポーザープロII Sweet 50」の最大の魅力は、とにかく流れるような大きな周辺ボケです。絞りを開けて撮影すると、ボケ過ぎてピントを合わせるのが少々難しいぐらいのレンズで、普通に撮るのが難しいと感じてしまうレンズです。

若干手ごわさも感じるレンズですが、このレンズでしか撮れない世界があり、目で見る日常の風景が大きく変わって撮影できるレンズは、一度使ってみるとその写りにハマってしまうレンズでもあります。

コンポーザープロII Sweet 50
焦点距離 50mm(フルサイズ)
最短撮影距離 0.38m(レンズ先端からの距離)
絞り開放 F2.5
レンズ構成 1群2枚
ティルト角度 0-15°(任意方向)
絞り羽根枚数 12枚
フィルター径 46mm
全長x最大径 50.8mmx63.5mm
重量 184g
発売 2016年11月

今回紹介する「コンポーザープロII Sweet 50」は、正確には「コンポーザープロII」と「Sweet 50 オプティック」のセット商品で、「コンポーザープロII」の部分が筺体でピントリングやティルト機能を有する部分になり、「Sweet 50 オプティック」がレンズユニットになっている組み合わせです。

左:「Sweet 50 オプティック」レンズユニット 右:「コンポーザープロII」キヤノンEFマウント

レンズ部分のオプティックは、単体でも発売されており焦点距離の違うものやボケの効果の違うものが各種ラインナップされています。交換しながら使うことも可能です。

筆者の所有している「コンポーザープロII Sweet 50」はキヤノンEFマウントなので、今回の撮影はマウントアダプター「SIGMAマウントコンバーターMC-11」を使用してソニーαで撮影
任意方向に最大15度ティルトすることが可能
絞りをF5.6に合わせた状態。絞りの変更はレンズ先端部を回転させて変更。ピント合わせはコンポーザー部分の前面のシルバーのリングを回転させてピント合わせ。

ピントが合う部分はピンポイントになるので、撮影に慣れるまでに少々苦労する場合があります。上手く扱う方法としては、絞りは少し絞ってF4~F5.6あたりにするとピント合わせをしやすくなります。また撮影する際には、ピント拡大確認をしながら撮影をしたほうが良いでしょう。

また最初は、ティルト機能を中央固定にして撮影をした方が安定してピント合わせがしやすいので、レンズの特性に慣れるまではあまりティルトしない方が良いかもしれません。

■使用機材:SONY α7 IV + Lensbaby コンポーザープロII Sweet 50
■撮影環境:シャッター速度1/640 絞りF4 ISO800 焦点距離50mm
※ティルト機能は真っ直ぐ
■使用機材:SONY α7 IV + Lensbaby コンポーザープロII Sweet 50
■撮影環境:シャッター速度1/640 絞りF5.6 ISO800 焦点距離50mm
※ティルト機能を使用し少し右下にピント部移動

焦点距離50mmのレンズですが、通常のレンズでは表現できない大きなボケと流れるボケが発生します。今回の撮影はフルサイズ機で撮影をしていますが、レンズベビー「コンポーザープロII Sweet 50」には、フジXマウントやマイクロフォーサーズのマウントもあります。その場合は、焦点距離が変わるのはもちろんのこと周辺の大きなボケの部分はカットされてしまうので、レンズベビーの独特な描写は少しスポイルされてしまいますので、APS-C機やマイクロフォーサーズ機で使用する場合は、少し注意が必要になります。

「コンポーザープロII Sweet 50」でミニチュア風に撮る

■使用機材:SONY α7R IV + Lensbaby コンポーザープロII Sweet 50
■撮影環境:シャッター速度1/160 絞りF5.6 ISO800 焦点距離50mm
※下方向にティルト

レンズベビー「コンポーザープロII Sweet 50」で、ミニチュア風の写真撮影にチャレンジしてみました。ミニチュア風の写真を撮るコツは、少し高いところから撮影するのがポイントです。ピントの合う部分がピンポイントになるので、周りの風景が大きくボケて俯瞰してみた景色がミニチュアっぽく見える写りになります。

撮影場所の設定や撮り方などの制限があり、なかなか難しいのですが普段とは違った写真が撮れるのはとても楽しく、試行錯誤しながらレンズを様々な方向に向けてティルト撮影を楽しんでしまいました。

■使用機材:SONY α7R IV + Lensbaby コンポーザープロII Sweet 50
■撮影環境:シャッター速度1/1000 絞りF4 ISO800 焦点距離50mm
■使用機材:SONY α7R IV + Lensbaby コンポーザープロII Sweet 50
■撮影環境:シャッター速度1/1250 絞りF4 ISO800 焦点距離50mm
※上方向にティルト
■使用機材:SONY α7R IV + Lensbaby コンポーザープロII Sweet 50
■撮影環境:シャッター速度1/500 絞りF8 ISO800 焦点距離50mm

「コンポーザープロII Sweet 50」でイルミネーションを撮る

■使用機材:SONY α7R IV + Lensbaby コンポーザープロII Sweet 50
■撮影環境:シャッター速度1/250 絞りF8 ISO1600 焦点距離50mm

レンズベビー「コンポーザープロII Sweet 50」で撮影して、一番楽しい被写体はイルミネーション。イルミネーションの点光源が大きくボケ、不思議な世界観を写し出してくれます。

ファインダーを覗きピント合わせをする被写体を探しながら、流れるボケを楽しむ時間はあっという間に過ぎていきます。

■使用機材:SONY α7R IV + Lensbaby コンポーザープロII Sweet 50
■撮影環境:シャッター速度1/100 絞りF4 ISO1600 焦点距離50mm

今回は夜のストリートイルミネーション撮影を気楽に楽しむ為に手持ちで撮影し、ティルト撮影ではなく、レンズをまっすぐ向けて周辺部に流れるボケを作るように撮影をしています。

■使用機材:SONY 7R IV + Lensbaby コンポーザープロII Sweet 50
■撮影環境:シャッター速度1/10 絞りF5.6 ISO100 焦点距離50mm
■使用機材:SONY α7R IV + Lensbaby コンポーザープロII Sweet 50
■撮影環境:シャッター速度1/125 絞りF4 ISO1600 焦点距離50mm

まとめ

ピント合わせはマニュアル、ピントの合うエリアは非常に狭く、周辺は大きく流れる個性的なレンズレンズベビー「コンポーザープロII Sweet 50」。オートフォーカスでの撮影に慣れている人には撮影の際の苦労や手間は多くはなりますが、他のレンズでは撮れない不思議な世界を撮影する事ができるレンズです。普通のレンズに飽きた人や、人とは違った撮影をしてみたい人におすすめできるレンズです。

 

 

■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。

・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師

 

 

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