シャッタースピードで表現する写真術|カメラ用語を正しく理解しようvol.4

ShaSha編集部
シャッタースピードで表現する写真術|カメラ用語を正しく理解しようvol.4

はじめに

こんにちは! ShaSha編集部です。いつもご覧いただき、ありがとうございます。

ShaShaはご存じのとおりカメラやレンズなどの機材、また撮影方法などを写真愛好家の皆さまに紹介するサイトです。毎日更新される記事内では、少し難しい専門用語がたくさん飛び交っていますね。もちろん内容をすぐに理解できる写真上級者の方も多いかと思いますが「それってなんのこと?」と、?マークが出ている読者の方もいらっしゃると思います。

このシリーズではそんな初心者の方に、つまづきがちな写真用語をわかりやすく解説していきたいと思います。「なんとなくはわかってはいるけど……」という方も、用語をきちんと理解できると写真生活がますます楽しいものになるはずです。
もちろん中・上級者の方も、おさらいに是非読んでみてくださいね。

シャッタースピードとは

暗い場所などで写真を撮ったときにブレてしまったことや、星の軌跡の写真を見て「これってどうやって撮ってるの?」と思ったことはありませんか?これ、ほとんどシャッタースピードが関係しています。今回はシャッタースピードについて解説していきます。

シャッタースピードには主にふたつの役割があります。1つ目はシャッタースピードを速くすることで、明るい場所などの光を取り入れすぎることを防ぎ、逆にシャッタースピードを遅くすることで、暗い場所でも光を集めることができます。2つ目にシャッタースピードが速いと、目で追いきれない被写体の瞬間を写しとめることができます。またシャッタースピードが遅いと、肉眼では見られない被写体の流れるような動きを写し出すことができます。

このようにカメラの機能的な役割と、写真の表現としての役割ふたつがあるのです。

速いシャッタースピード

遅いシャッタースピード

考え方を変えてみると、被写体が静止している状態で撮影したい場合、シャッタースピードが遅すぎるとブレが発生することがあります。暗い場所では、光を集めるためにシャッターが長く開いていると手ブレが起こることがありますし、明るい場所でも被写体が速く動いていると、被写体ブレの原因になることがあります。

♪豆知識♪
ブレにはふたつのブレがあります。自分が動いてしまってブレて写ることを「手ブレ」、被写体がブレて写ることを「被写体ブレ」と言います。どちらもシャッタースピードが遅いことが原因のことが多いです。

夜間撮影で手ブレした花火

風に吹かれて被写体ブレした桜

シャッタースピードのしくみ

シャッタースピードとは、カメラのシャッター幕が開いている時間のことです。シャッターボタンを押すとシャッター幕が開閉してイメージセンサーやフィルムに露光されます。シャッタースピードが速いと光を取り込む時間が短くなり、遅いと光を取り込む時間が長くなります。

現代のデジタルカメラにはメカシャッターと電子シャッターふたつの機能がありますが、メカシャッターでしたらシャッターボタンを押すと「カシャッ」「カッ…シャッ」などと音が違うので、耳で認識することもできますよ。電子シャッターは機械式のシャッター幕がないのでしくみが少し違いますが、シャッタースピードとしての機能は同じです。

※メカシャッターのしくみ

シャッタースピード・絞り・ISOの関係

次に露出の説明です。露出とは写真の明るさのことで、シャッタースピード、絞り、ISOには深い関係性があります。まずシャッタースピードは秒で表し、例えばシャッタースピード1/30秒から1/60秒は1段、1/30秒から1/125秒は2段と数えます(デジタルカメラの設定はもっと小刻みになっていて、下の図を基準に1/3段や1/2段と数えます)。絞りやISOも同様にひとつ分が1段です。

※シャッタースピード・絞り・ISOの関係図。適正露出はその都度変わります
※上の図で左に行くほどカメラが取り入れる光の量が少なくなります

上の図で見て、絞りF5.6・シャッタースピード1/30秒・ISO1600が適正露出(※1)だとします。しかしシャッタースピードを1/125秒に変えたいとき、2段分の露出が足りなくなりますね。しかしその分、絞りをF2.8に2段上げると、同じ露出を得ることができます。ISOを6400に2段上げても同様です。このように3つは絡み合っているのです。

※1 適正(標準)露出とは?
目で見た明るさにすること。
※F5.6・1/125秒・ISO6400でも同様の露出になります

カメラはこの適正露出を判断して、プログラムオートモードでは3つを自動で連動させます。他にも、例えばシャッタースピード優先モードでは固定しているシャッタースピード以外の絞り(ISO感度オートの時は絞りとISO)を自動で連動させ、絞り優先モードではシャッタースピード、もしくはシャッタースピードとISOを自動で連動させます。

自分で撮影したいイメージがある場合、マニュアルモードで露出をコントロールできます。例えば、暗い場所で速いシャッタースピードが必要な場合、絞りを開放したりして光を取り込むことで適切な露出に近づけます。ただし、絞りを狭めたい場合は光が足りなくなるため、ISO感度を上げるなどして調整します。

手ブレしないシャッタースピードとは?

さて、露出のしくみはなんとなくご理解いただけたと思うのですが、実際どれくらいのシャッタースピードで撮れば良いのでしょうか?

まず手ブレしないシャッタースピードについて。それは「1/焦点距離」と言われています。例えば焦点距離50ミリのレンズのときには1/50秒、200ミリのレンズの場合には1/200秒といった具合です。しかし最近は高画素化が進んでいるので、それ以上に速いシャッタースピードが求められることもあります。また、カメラの手ブレ補正機構の性能もかなり良くなりましたが、望遠になるほど手ブレが生じますので注意が必要です。

しかし、比較的動きが少ない被写体であまり細かいことを気にしないで良いときには、大体1/60秒にはなるようにイメージしてシャッタースピードを決められると良いでしょう。ご自身が静止した状態で撮影しても、1/60秒より遅いシャッタースピードになると手ブレの可能性が出てきます。

シーン別シャッタースピードの目安

下記はシーン別シャッタースピードの目安です。こちらは被写体ブレを防ぐシャッタースピードになります。シャッタースピード優先モードがおすすめです。

 

【1/500秒以下】スポーツ・動物・車など動きの激しい被写体

【シャッタースピード1/2500秒】縦横無尽に飛び回るユリカモメを速いシャッタースピードで撮影

 

【1/250~1/500秒】子ども・スナップ・動いているポートレートなど

【シャッタースピード1/400秒】歩いている子どもを撮影

 

【1/60~1/250秒】ポートレート・室内・風景など

【シャッタースピード1/60秒】変な体勢で眠っている猫を撮影

 

【1/2~1/60秒】夕~夜景・被写体の流れを表現したいときなど

【シャッタースピード1/2秒】夜祭で神輿をかつぐ人の波を撮影

 

【1秒以上】花火・軌跡など

【シャッタースピード2.5秒】屋形船を遅いシャッタースピードで撮影

三脚・一脚・ストロボがあると尚良し!

暗い場所での撮影や被写体の流れを出したい時など、シャッタースピードを遅くしなければならない場面でもカメラを固定して置けるような状況にない場合は、三脚があるとベストです。1秒以上が必要になるシーンでは三脚は必至になります。それ以外で三脚は重いからちょっと……と思われる方は一脚などもありますよ。また光量が足りない場合にはストロボを使用して光を足すこともできます。

ちょっと上級テクニック

流し撮り

被写体にピントを合わせながらカメラを振って撮る方法です。シャッタースピードを1/60秒前後~125秒前後にして、背景が流れるような画をつくりだします。それ以上速いシャッタースピードだと背景が流れず、遅いと被写体がブレてしまいます。シャッタースピード優先モードで挑戦してみましょう。

シャッタースピード1/50秒・絞りF20・ISO100・焦点距離400ミリ

長時間露光

三脚にカメラをセットして、シャッタースピードを1秒以上などに設定し、長時間露光する方法です。シャッターを長時間開けているため、作例のような車や星の軌跡などを撮ることができます。30秒以上露光するような撮影はカメラをバルブモードに設定して、レリーズを使って撮影します。

シャッタースピード30秒・絞りF13・ISO100・焦点距離20ミリ

さいごに

基本的にシャッタースピードは速いほうが手ブレや被写体ブレを防ぐことができそうですね。ただしISO感度を上げ過ぎるとノイズが出やすくなったり、絞りを開け過ぎることでボケが強調されてイメージしていたような画にならない可能性もありますので、撮った画像を確認しながら調整を行い、是非思い通りの1枚を残してください。

いかがでしたか? 理解できた方も、そんなこと知っているよという方も、なにかしら参考にしていただけたら幸いです。
それでは今日も楽しく撮影に出かけましょう! カシャカシャ!

 

 

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