35mm判換算ってなに? |カメラ用語を正しく理解しよう Vol.1

ShaSha編集部
35mm判換算ってなに? |カメラ用語を正しく理解しよう Vol.1

はじめに

こんにちは! ShaSha編集部です。いつもご覧いただき、ありがとうございます。

ShaShaはご存じのとおりカメラやレンズなどの機材、また撮影方法などを写真愛好家の皆さまに紹介するサイトです。毎日更新される記事内では、少し難しい専門用語がたくさん飛び交っていますね。もちろん内容をすぐに理解できる写真上級者の方も多いかと思いますが「それってなんのこと?」と、?マークが出ている読者の方もいらっしゃると思います。

このシリーズではそんな初心者の方に、つまづきがちな写真用語をわかりやすく解説していきたいと思います。「なんとなくはわかってはいるけど……」という方も、用語をきちんと理解できると写真生活がますます楽しいものになるはずです。

もちろん中・上級者の方も、おさらいに是非読んでみてくださいね。

「35ミリ判換算」ってなに?

記事を読んでいると、よく「35ミリ判換算」という用語が出てきます。「フルサイズ換算」とも呼ばれています。ひとことで言ってしまうと、例えば焦点距離50ミリのレンズをAPS-C機につけて撮影した場合、そのレンズの画角はどれくらいになるものか? ということなのですが、少しわかりづらいですよね。一から説明していきますよ。

まずは「焦点距離」と「画角」について簡単に説明させてください。

「焦点距離」というのは、デジタルカメラのイメージセンサーからレンズの中心までの距離のことです。すなわち使用するレンズによって変わります。焦点距離が短いほど広角に写り、長いほど望遠に写ります。

次に「画角」です。画角とは写る範囲を角度で表したものですが、実際には写真に写る範囲と覚えておけば良いでしょう。広角レンズほど画角が広くなり、望遠レンズほど画角が狭くなります。

そして「35ミリ判換算」です。

そもそも35ミリってなんのことだと思いますか? それはフィルムカメラ時代までさかのぼります。現在ではデジタルカメラが主流ですので、フィルムを見たこともないような若い方もいらっしゃるかもしれませんが、35ミリというのはこのフィルムの幅のことです。今、大人気の「写ルンです」も35ミリ判フィルムを使用しています。

昔から35ミリ判フィルムのほかにも中判フィルムや大判フィルムを使う大きなカメラ、逆に小さなカメラもありましたが、ほとんどが35ミリ判フィルムを使用する大きさだったので、これがカメラのオーソドックスとなった模様です。

2000年代に入ってからデジタルカメラが普及すると、世の中は一気にデジタル一色となりました。しかし、もともとフィルムを使っていた多くの方たちがデジタルに移行したので、その名残としてわかりやすい「35ミリ」という用語がベースになったと言われています。構造的にはフィルムカメラのフィルム部分が、デジタルカメラのイメージセンサーと呼ばれる部分になりました。

そして時代は進化し、今度はそのデジタルカメラのセンサーサイズがどんどん小さなものになっていきます。それがまたよくわからない「フルサイズ」「APS-C」「マイクロフォーサーズ」という、あれのことです。

「フルサイズ」「APS-C」「マイクロフォーサーズ」とは

デジタルカメラにはイメージセンサーがついています。そのイメージセンサーの大きさによって写真が写る範囲が変わってくるのですが……。

まず「フルサイズ」は「35ミリ」を基本として作られたサイズで、デジタルカメラで使用されている上記3つのなかで一番大きなイメージセンサーをつけたカメラになります。3つのイメージセンサーの中で一番面積が大きく、データ量や画質の良いものを撮影できます。これよりもひとつ小さいサイズが「APS-C」、そのもうひとつ下が「マイクロフォーサーズ」です。

さて、この3つ何が違うのか? 試しに各カメラに焦点距離50ミリレンズをつけて撮ってみましょう。

まずはフルサイズ機に50ミリのレンズをつけて撮ったものです。

次にAPS-C機に50ミリのレンズをつけて撮ったものです。

さらにマイクロフォーサーズ機に50ミリのレンズをつけて撮ったものです。

すべて同じ距離から撮っています。違いがわかりますか? そうなのです、APS-C機やマイクロフォーサーズ機のほうがフルサイズ機で撮った写真よりも大きく、望遠に写っています。

フルサイズ機50ミリ

APS-Cサイズ機50ミリ

マイクロフォーサーズ機50ミリ

これがイメージセンサーの大きさによるレンズの見え方の違いで、同じ焦点距離のレンズでもこのような差が出るのです。この差を埋めるために、基準であるフルサイズではどれ位の画角なのかという認識を統一しようと「35ミリ判換算」という用語が出てきたのです。

35ミリ判換算する方法は?

35ミリ判換算する方法、それは意外と簡単です。

あなたがご使用のカメラのイメージセンサーがもしAPS-Cサイズの場合

レンズの焦点距離×1.5倍(キヤノンの場合は1.6倍)

イメージセンサーがマイクロフォーサーズの場合

レンズの焦点距離×2倍

すれば35ミリ判換算できます。

先ほどの例でいうとAPS-C機で使用した焦点距離50ミリのレンズは、35ミリ換算すると50ミリ×1.5=75ミリで撮影したということになり(キヤノンだったら80ミリ)

APS-C機50ミリ

フルサイズ機75mm

マイクロフォーサーズ機で使用した焦点距離50ミリのレンズは、35ミリ判換算すると50ミリ×2=100ミリで撮影したということになります。

マイクロフォーサーズ機50ミリ
フルサイズ機100ミリ

逆にフルサイズ機に50ミリのレンズをつけて撮った画角と同じものをAPS-C機で撮りたい場合には、50ミリ÷1.5で33ミリ相当のレンズが必要になるということです。マイクロフォーサーズ機で撮りたい場合には50÷2で25ミリ相当のレンズをつけなければなりません。

と、ここまで理解いただけたでしょうか?

「理解はできたけど、なんでそんな面倒くさいことするの。ふつうに焦点距離75ミリ、100ミリって言えば済む話じゃん……」と思われた方、いらっしゃいませんか?

お気持ちお察しいたします。しかし思い出してください。最初に説明しましたが、焦点距離とは何のことだったでしょうか? そうです、焦点距離とはイメージセンサーからレンズの中心点までの距離のことでしたね。ですから、どのイメージセンサーサイズのカメラで撮っても、やはりこの場合は焦点距離50ミリのレンズで撮影したということになります。よって35ミリ判換算という計算法が生まれたという訳です。

色々なカメラやレンズを楽しもう

もしご使用のカメラがフルサイズ機だけ、APS-C機だけといった場合にはそれほど気にしなくても良い問題なのだと思います。しかし軽くてコンパクトで望遠撮影に優れているAPS-C機、もっと手軽なマイクロフォーサーズ機、ボケなどの階調が豊かで画質も良いフルサイズ機など各カメラで特徴が違いますから、きっと皆さん色々なカメラを使ってみたいですよね。フルサイズ機用のレンズはAPS-C機用に比べ、各メーカーの豊富なラインナップが揃っています。高品質で画質の良いレンズをAPS-C機につけられるのですから、是非活用したいものですね。しかしそんな時には、このイメージセンサーの違いを覚えておかなければなりません。

※ニコンではフルサイズ機をFXフォーマット、APS-C機をDXフォーマットと呼んでいます。

ちなみにフルサイズ機用に作られたレンズはほとんどがAPS-C機やマイクロフォーサーズ機にもつけることができますが、APS-C機用に作られたレンズをフルサイズカメラにつける場合(つけられないものもある)、下の例のようにイメージセンサーの大きさの違いによってケラレ(四隅が黒くなること)が出るので気をつけましょう。クロップ機能があるカメラなら自動で切り落としてくれるので大丈夫です。

さいごに

まあ、やっぱりややこしいですね(笑)。でもこれは覚えてしまえば簡単なことなので、面倒くさがらずに覚えてしまいましょう。35ミリ判換算表も載せておきますので、ぜひ活用してください。

フルサイズ APS-C マイクロフォーサーズ
14㎜ 9㎜(8.5) 7㎜
24㎜ 16(15)㎜ 12㎜
28㎜ 18(17.5)㎜ 14㎜
35㎜ 23(22)㎜ 17.5㎜
50㎜ 33(31)㎜ 25㎜
60㎜ 40(37.5)㎜ 30㎜
75㎜ 50(47)㎜ 37.5㎜
85㎜ 56(53)㎜ 42㎜
100㎜ 66(62.5)㎜ 50㎜
135㎜ 90(85)㎜ 67.5㎜
200㎜ 133(125)㎜ 100㎜

( )→キヤノンフォーマット

 

いかがでしたか? 理解できた方も、そんなこと知っているよという方も、なにかしら参考にしていただけたら幸いです。

それでは今日も楽しく撮影に出かけましょう! カシャカシャ!

 

 

関連記事

人気記事