【飯桐】竹林からせり出すように枝を伸ばした飯桐が、房状の赤い実をたくさんぶら下げている。あまりに見事な緑と赤のコントラストに、思わずうっとりしてしまった。
■カメラ:キヤノンEOS1N レンズ:EF70-200mm F2.8L 絞り:f8 シャッタースピード:オート フィルム:RVP 11月下旬 撮影地:京都府京都市

【真竹】開き始めた竹皮から覗かせる真竹の稈。とても瑞々しく、その緑の鮮やかさに感動する。
■カメラ:キヤノンEOS1N レンズ:EF70-200mm F2.8L 絞り:f8 シャッタースピード:オート フィルム:RVP 6月上旬 撮影地:京都府亀岡市

【雪竹】風雪にさらされた竹は、節に雪を積もらせて模様をつくる。
降雪量や雪質、風向きやその強さによって形は色々である。
■カメラ:キヤノンEOS1N レンズ:EF70-200mm F2.8L 絞り:f16 シャッタースピード:オート フィルム:RVP 2月上旬 撮影地:京都府亀岡市
3年間にわたり撮りつづけた写真で、
2回の個展を開催。


 1年目は自然風景、そして2年目から竹を本格的に撮りはじめた鉄さん。やがて第1回目の個展『竹林の印象1』を開催。それは、写真を撮りはじめてからわずか4年での快挙でした。
 「その頃は勤めもありましたが、休日の度に撮影に出かけ、3年間で約300日以上は竹を撮影していました」。
 そして、その約2年後には2回目の個展『竹林の印象2』を開催するまでになりました。

自然風景をもっと撮りたくて、
プロとして活動をはじめる。


 2回目の個展を開催する前の年に、「もっと自然風景の写真を撮りたくて」プロの写真家として活動することを、鉄さんは決意されました。
 「竹は3年間追いつづけ、自分でもある程度満足することができましたので、次の撮影テーマとして考えたのが滝でした。勤めていた時のような時間的制約がなくなったので、活動範囲を日本全国に広げ、各地の滝を訪ね歩きました」。
 滝の撮影に対しても情熱を注がれた結果、撮りはじめて一年半後には最初の滝の写真集『日本の名景−滝1』を出版。その後、『日本の名景−滝2』『日本の名景−滝3』と連続して出版されました。

昔から人々の生活に密着した自然風景、
これからも日本の原風景を撮りつづける。


 「滝を撮っていた3年間は、竹は一切撮らず、約1200の滝を巡っていました。やはり自然がつくりあげた美しさに惹かれてしまうんです」。
 撮影中には、崖から滑り落ちるなどのアクシデントも。そうした苦労の中で撮りためた滝の写真で個展を開催することを、鉄さんは計画中です。
 また、これから取り組んでいこうと思われているのが、海岸線や、古い民家のある風景だとのこと。
 「海岸線や民家の撮影では、暮らしの風景も含めた、生活が感じられるような自然風景を、撮っていけたらと思っています」。

世界遺産などの大自然の保護も大切。
しかし、もっと身近な自然にも気配りを。


 自然風景を撮りつづけてきたからこそ感じることがあると、鉄さんはおっしゃいます。
 「日本は世界遺産級の大自然の保護にはとても熱心です。それはいいことだと思いますが、もっと身近で小さな自然にも、目を向けてもらいたい」。
 初期の頃に撮られていたご自宅近くの竹林も、今ではその多くが宅地になってしまったそうです。
 「竹林が減る要因の一つは宅地開発ですが、もう一つ重要なことは、竹そのものの需要が減っていることです。昔から竹はさまざまな道具などに使われてきましたが、現代では竹に代わる素材や製品が数多く出回っているからです」。
 日本人の文化に大きな影響を与えてきた竹の姿が減っていくことに危機感をおぼえているそうです。
 また、田舎の民家でも住む人がいなくなることで、建物が朽ち果ててしまった光景に出くわしたという鉄さん。
 「このように消えつつあるものを、保護・保存することも大事。しかも、私は写真家なので、それを写真に撮って記録するのが使命だと考えています。やはり、写真は『記録』だと思います」。
 日本人ならそれを見た誰もが、心やすらぐ自然風景の記録。鉄さんの活動は、まだまだつづいていくことでしょう。
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