2004年、日本ばかりでなく地球上のいたるところがいろいろな災害に襲われた。圧倒的なそのパワー。自然が牙をむくとこれほどすごいのだと、改めて思い知らされた。
 スマトラ島沖の大地震に起因するインド洋大津波は、被災が数カ国、数十万人に及ぶという空前のスケールで、まだ、被害の実態さえも明らかになっていない。
 日本では台風による水害が頻発した。そして、その復旧も始まらぬうちに新潟県中越地区で大地震が発生した。10月23日のことだった。当初震度6強と発表された震度は数日後震度7と訂正されるすさまじさだった。土砂に埋まったクルマの中から2歳の男児が救出された光景はまだ多くの人のまぶたに焼きついていることだろう。
 そして被災2ヵ月後の12月23日、新潟県長岡市では元気を出して復興に向け動き始めようという「中越・夢百俵」というイベントが行われた。地元有志が発起人となり、暗い顔では元気も出ない、明るく立ち上がろう!という主旨で開催された。
 その日、新潟県一帯は雪模様だった。冷たい霙(みぞれ)が降るなか、ゲスト歌手や地元小中学生やコーラスグループが歌った。寒さをいとわず懸命に歌った。雪になんか、地震になんか、負けてはいられない!そう決意させる熱唱だった。その最後に全員で歌ったのが「ふるさと」だった。
 うさぎ追いしかの山、
こぶな釣りしかの川・・・
 都市化の進む昨今、そんなのどかな山や川は無いかもしれない。しかし、わたし達のこころのなかにその景色は生きている。だから「ふるさと」は老いも若きも、男も女も、皆が声を合わせて合唱できる。全国の被災地の一日も早い復興を願わずにはいられない。 
               〈か〉
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