【レビュー】Batisシリーズ最新作単焦点レンズは「CF」が凄い!|ZEISS Batis 2/40 CF

齋藤千歳

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Batisシリーズ初となる標準レンズZEISS Batis 2/40 CF

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■ZEISS Batis 2/40 CF /ボディ:Sony α7R III
■絞り優先AE(F8.0、1/250秒)
ISO 100/露出補正:+0.7EV
WB:オート/クリエイティブスタイル:ビビッド

 新しいレンズやカメラを見ると、解像力や周辺光量落ち、最短撮影距離などを実写チャートで測定したくなるという少し変わったクセをもつ齋藤千歳です。今回は、現代カメラレンズの巨人カールツァイスのZEISS Batis 2/40 CFを取り上げます。


 ZEISS Batisシリーズは、マニュアルフォーカス(MF)のシリーズであるLoxiaとともに、ソニーαシリーズの35mm判フルサイズに対応したEマウント用のレンズです。レンズの性能を詳細にみていくとBatisとLoxiaのシリーズには、光学性能的な意味がいろいろと盛り込まれていることを感じますが、基本的にはAFを搭載して大きさの割に軽いレンズがBatisシリーズ、MFで小さい割に重たいレンズがLoxiaと覚えてもらうとわかりやすいかと思います。
 中でもZEISS Batis 2/40 CFは、2019年8月現在、ZEISS最新のEマウント向けレンズです。すでに4本のBatisシリーズのレンズが発売されていましたが、標準域の焦点距離はZEISS Batis 2/40 CFが初で、ZEISSの公式HPでは「新世代の万能レンズ」と解説されています。※1私自身、実写チャートおよび様々な被写体を撮影するにつれて、ZEISSが本レンズを「新世代の万能レンズ」と呼ぶ大きなポイントは40mmの焦点距離とCFだと感じるようになりました。

 

※1 ZEISS Batis 2/40 CF | Fullframe autofocus lens for Sony α series
https://www.zeiss.co.jp/camera-lenses/photography/products/batis-lenses/batis-240cf.html

一般的な標準50mmよりもわずかに短い40mm

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■ZEISS Batis 2/40 CF /ボディ:Sony α7R III
■絞り優先AE(F2.0、1/1,000秒)
ISO 100/露出補正:−0.3EV
WB:オート/クリエイティブスタイル:ビビッド

 50mm前後のレンズが標準と呼ばれる理由には諸説あり、人間の視野角にもっとも近い画角であるといった話は代表的なものでしょう。景色を人間の肉眼で見たままの印象で切りとれる焦点距離のレンズといえますが、撮り方によっては望遠的にも、広角的にも撮影できるのが標準レンズの魅力です。しかし、日常的に撮影をするスマホのレンズが広角であったり、少し昔に比べると高性能な広角レンズが安価に普及したこともあったりと、我々の目は以前よりも広角に慣れてしまったように感じます。
 実際、私自身も以前よりも標準の50mmの画角を狭く感じることが多いのです。わずかに広角の標準焦点域40mmを選択したZEISS Batis 2/40 CFの作例をご覧いただければ、10mmの違いとは思えない広角感が得られているのではないでしょうか。メーカー自身がいうように新世代の万能レンズとしては、このわずかに広角ということが表現上のキーポイントになっているように感じます。

CF=クローズフォーカスとは?

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■ZEISS Batis 2/40 CF/ボディ:Sony α7R III
■絞り優先AE(F2.0、1/1,250秒)
ISO 50/露出補正:+0.3EV
WB:オート/クリエイティブスタイル:ビビッド
 ZEISS Batis 2/40 CFのレンズ名称には最後にCFが付いています。このCFは聞き慣れないのですが、クローズフォーカスの略とのことです。※なにを意味しているかというと近接撮影が可能なこと表しています。聞き慣れた言い方をするならマクロが該当するでしょう。最短撮影距離が24cmでクォーターマクロを超える最大撮影倍率0.3倍での撮影可能にしています。このマクロ撮影能力がZEISS Batis 2/40 CFを新世代の万能レンズにするための大きな役割を果たしています。

従来の標準50mmを越える表現の自由度

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■ZEISS Batis 2/40 CF/ボディ:Sony α7R III
■絞り優先AE(F2.0、1/160秒)
ISO 100/露出補正:+0.7EV
WB:オート/クリエイティブスタイル:ビビッド
 撮影の仕方によって、広角的にも、望遠的にも撮影でき、表現の自由度が高いことが標準レンズの魅力のひとつと言えます。しかし、ZEISS Batis 2/40 CFは前述の通り広角的な表現がしやすいように40mmを選択しています。その分、望遠的な表現は難しいと言えるでしょう。この望遠的な表現を補完するのが、CF(クローズフォーカス)だと私は感じています。
 一般的に標準の50mmというと最短撮影距離は45cm前後で、最大撮影倍率は0.15倍程度が一般的です。そんな中ZEISS Batis 2/40 CFは、最短撮影距離が24cmで最大撮影倍率が0.3倍でマクロ撮影に強く、撮影距離を短くできるので、大きなぼけを得ることができます。焦点距離が短く、開放F値が極端に明るいわけではないですが、近接撮影能力を付加することで、大きなぼけ表現を容易に、撮影手法次第で大口径の中望遠レンズのような表現も実現できる設計となっています。

新世代万能レンズの光学性能はどうなのか?

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■ZEISS Batis 2/40 CF/ボディ:Sony α7R III
■絞り優先AE(F2.0、1/640秒)
ISO 100/露出補正:+0.3EV
WB:オート/クリエイティブスタイル:ビビッド

 ZEISS Batis 2/40 CFの光学性能はどうなのでしょうか。ここでは私がAmazon Kindle電子書籍『Foton機種別作例集256 実写とチャートでひと目でわかる! 選び方・使い方のレベルが変わる! ZEISS Batis 2/40 CF 機種別レンズラボ』を制作した際に撮影した、実写チャートを元に客観的に解説していきます。
 
 解像力については、ZEISSらしいやや控え目な開放F値のためか、中央部分は開放から十分な解像力を発揮していました。F2.2でさらにコントラストが上がり、F2.8付近から完全に画質が安定し、回折による解像力低下が起きるF13くらいまで高い解像力がキープされます。周辺部の解像力については、中央部には劣るものの、絞るほどに解像力がアップし、F8.0前後では、中央部とほぼ遜色のない高い解像力を画面全体で得られます。また、気になる収差や歪曲もほぼ見受けられませんでした。
 周辺光量落ちについては、カメラボディ側による「周辺光量補正」の効果もあるのでしょうが、わずかに気になるのは開放F2.0の時だけで、F2.2以降はほぼ気にならないレベルまで減少し、それ以降は実際の撮影で気になることはほぼありませんでした。

表現の幅も広く、光学的な弱点もほぼ感じない魅力の1本

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■ZEISS Batis 2/40 CF
ボディ:Sony α7R III
絞り優先AE(F2.0、1/60秒)
ISO 100/露出補正:−0.3EV
WB:オート/クリエイティブスタイル:ビビッド

 ぼけの実写チャートについては、見たところ特殊硝材や非球面レンズの影響が出やすいとされる、「タマネギぼけ」などと呼ばれる同心円状のシワ現象も上手に抑制されています。ぼけの円自体も非常にフラットな描写で、素直で美しいぼけが得られる結果を見ることができました。
 若干気になるのは、65cm以下の近接撮影時にF2.8未満の明るいF値を選択していると、自動的に絞りがF2.8になるというクローズフォーカスの仕様です。ZEISSならではの近接撮影時の高画質保持に対するこだわりからの仕様なのではないかと思っています。レンズの仕様と理解してしまえば大きな問題はないですが、戸惑うこともあるので注意しておきたいポイントです。
 やや広角気味の焦点距離を選択することで近接撮影能力を高めた、ZEISSが提案する新しい標準焦点距離のZEISS Batis 2/40 CFは、光学性能面からも弱点はほぼ感じられず、広角的にも望遠的にも表現の幅の広い、まさに新世代の万能レンズに仕上がっていました。普段からボディに付けておきたい常用したい標準単焦点レンズです。唯一の弱点があるとすれば価格でしょうか。開放F2.0の標準単焦点レンズと単純に考えると、決して安くはないお値段です。しかし、一度、その使い勝手の良さと、ZEISSならではの表現力と描写性能の高さを味わってしまうと、ぜひ手に入れたくなる非常に魅力的な1本になっています。

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