タムロン 70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2|待望のZマウントでスナップ
第2世代「G2」 大三元シリーズの望遠ズームレンズ
タムロンから、ニコンのフルサイズミラーレスカメラZマウント用 大口径望遠ズームレンズ「70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2(Model A065)」が2025年10月23日に発売されました。「70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056)」の後継機で、第2世代「G2」モデルとしてリニューアル。レンズ構成で色収差などを補正し、コーティングでフレアやゴーストを抑えているのでズーム全域の光学性能が上がりました。
手振れ補正機構VCの搭載で手持ちの撮影でも使いやすく、AFはタムロン史上最高レベルの高速・高精度なリニアモーターフォーカスで、被写体の動きが速いシーンでのシャッターチャンスに強くなりました。また、高画質で世界最小&最軽量の機動性を両立したレンズは、大口径F2.8の美しい柔らかなボケのある描写力も魅力です。
大口径F2.8の柔らかなボケと機動性、AF性能も魅力的

Nikon Z8に70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2をつけると、望遠ズームですがコンパクトに感じます。

フィルター径はφ67mm で、標準装備として花型フードがついています。重さは865g。レンズの長さは158.7mmです。最短撮影距離は広角側で0.3mm、望遠側で0.85mmなので思ったよりも近づいて撮ることができます。

ズームリングとフォーカスリングの鏡胴部分はホールドしやすく、艶のあるブラック塗装はキズや指紋がつきにくいデザインで、品のあるビジュアルから撮る気持ちも上がります。リングラバーの凸凹が細かくなり、グリップ感も増しているように感じます。内部機構に金属パーツを追加した効果で滑らかにズームでき、動画でピントを送るときもスムースです。

機能を割り当てることができるカスタムスイッチCUSTOM1/2/3、フォーカスリングの機能や割り当てができる丸いフォーカスセットボタンとコネクターポート(USB Type-C)がついています。コネクターポートに別売のTAMRON Connection Cableでパソコンやスマートフォンに接続し、専用ソフトウェアTAMRON Lens UtilityTMからフォーカス関連の機能を割り当てることができます。またフォーカスリングのカスタマイズや、レンズのファームウェアを最新バージョンにアップデート(PC版のみ)することもできます。
望遠ズームレンズで公園と動物園でスナップ
望遠ズームレンズは遠いところを大きく写すことができるので、「70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2」をNikon Z8につけて見晴らしの良い広い公園と動物園へ出かけました。柔らかな雰囲気やシャープな雰囲気、被写界深度をいかした表現やフAFの被写体検出を組み合わせた連写など様々なシーンでスナップをしました。

■撮影環境:絞り優先・F11・1/500s・+1.7・ISO800・WB自然光オート
横浜にある港の見える丘公園の展望台から、みなとみらいの方を眺めると豪華客船が停泊していました。今までに見たことがないとても大きい客船は、初めて入港したノルウェージャン・サンと後日知りました。遠くに見える船も望遠ズームのおかげで大きく撮ることができてラッキーです。180mmで捉えると、レンズの圧縮効果で海と大さん橋と船がギュッとまとまり、自然と建造物に囲まれた港の様子がわかる光景になりました。F値を絞り込むと船室のひとつひとつをシャープに描写できました。色も鮮明で空気感のある港の臨場感も漂うようです。

■撮影環境:絞り優先・F2.8・1/1600s・+0.7・ISO400・WB自然光オート
道路沿いの植え込みの植物が風になびいていました。時折風が強かったので高速シャッターで動きをとめています。F値をあけて樹木を背景に玉ボケをいれてみると、ややレモン型のボケになっていますがそれ以上に透明感のある描写に驚きました。また植物の針のように細い一本を拡大してみても色収差がなく、すっきりと浮き上がる繊細な描写感です。

■撮影環境:絞り優先・F2.8・1/1250s・+0.7・ISO400・WB自然光オート/figcaption>
一輪のバラのすぐ後ろから、さらに奥へと様々な花や植物が咲いていました。バラにピントを合わせて離れた場所が背景になるアングルからF2.8で撮ると、周りの花や葉を大きくぼかし切り、ふんわりとカラフルなボケにすることができました。開放値が明るいレンズはいいですね。逆光で光に囲まれたイメージにしています。

■撮影環境:絞り優先・F2.8・1/1000s・+1.3・ISO400・WBマニュアル
遠くに噴水が太陽の光を受けてキラキラ輝いていました。画角が狭い望遠の特徴をいかして180mmで噴水が樹木と重なるアングルを見つけ、シャドーの中に飛沫の形や動きを強調するように撮りました。彫刻や飛沫がしっかりと描写されインパクトも感じられます。

■撮影環境:絞り優先・F2.8・1/1000s・+1.3・ISO400・WBマニュアル
双子コーデの女の子たちがバラの向こうに歩いていく様子を自然な雰囲気で捉えることができました。あ!と思った瞬間、遠くても望遠ズームがあると逃さず撮ることができるのでうれしいです。ここではスナップでしたが、背景をボカした雰囲気のあるポートレートにも向くレンズだと思いました。

■撮影環境:絞り優先・F2.8・1/10000s・ISO400・WB曇天
チューバッカを空に発見。長い毛並みと身軽な姿にスターウォーズを思い出しました。実際はオランウータンの空中散歩です。くるりと回転して正面だったり背中だったり、素早い動きで器用に綱渡りして歩いていく様子を連写しました。構図内での被写体は小さいですが、しなやかな筋肉やふさふさの毛並みが豊かに描写できています。70mm側で捉えると空も清々しく、のびやかな景観のある雰囲気になりました。

■撮影環境:絞り優先・F2.8・1/8000s・ISO400・WB曇天
そして次はやはり大きく撮りたい。どのような表情で空を歩いているのか見てみたいと思い、180mmにしました。うーん、あともう少し。NikonのテレコンバーターZ TELECONVERTER TC-1.4x、Z TELECONVERTER TC-2.0x、どちらも対応していないので、カメラの撮像範囲をDXにしてクロップ撮影にしました。掴む力強さや目元もわかり、微笑んでいるような様子が伝わります。

■撮影環境:絞り優先・F2.8・1/3200s・-0.7・ISO400・WB晴天
インドサイの親子が陽だまりの中で草を食べていました。穏やかにゆっくりと食べている様子を感じさせるために広い構図にしました。F2.8の効果をいかして植え込みの葉を大きくボかし、光で囲むような表現を加えると優しい雰囲気を演出できました。明るい色で可愛いさもアップしています。

■撮影環境:絞り優先・F2.8・1/1250s・-0.7・ISO400・WB晴天
大きな猛禽類がいるバードゲージへ。ここではAF精度と被写体検出の相性を知りたくて、AF-C&3Dトラッキング、被写体検出を「鳥」に設定して、フェンスの外側から飛んでいる瞬間を狙い連写しました。遠景のフェンスは被写界深度の中にあるため残っていますが、鳥の目にピントを合わせて追い続けて撮ることができました。たった1回の撮影ですが、タイムラグを感じることもなく純正レンズと同等の印象です。普段、鳥を全然撮らないわたしでもズバッと撮ることができました。

■撮影環境:絞り優先・F2.8・1/500s・ISO500・WB曇天
優しいまなざしがファインダー越しから伝わる瞬間、まるで素通しで目が合っているようでした。実際は柵とフェンスの向こうにユキヒョウがいます。180mm側でクロップ撮影にすると、180mmよりさらに1.5倍大きく、F2.8の効果と合わせてフェンスをより目立たなくすることができるので、自然な姿や迫力のある臨場感を捉えることができるのがうれしいです。
まとめ
高倍率ズームの便利さと比較すると、やはりF2.8で表現できる望遠ズームレンズの世界は特別に感じました。ボケ感のあるふんわりした雰囲気や、動物園のフェンスを目立たなく素通しのように描写することができ、もちろんF値を絞り込めばシャープで鮮明です。風が強い時は揺さぶりを手振れ補正の効果でフォローすることができました。AF性能やF2.8の描写力も、狙ったようにしっかり撮れて、思った以上に美しく撮れるとうれしいですね。携帯しやすい大口径の望遠ズームレンズはスナップやポートレート、風景、様々なシーンで活躍する1本になると思います。
■写真家:ミゾタユキ
猫や日常、旅先でみつけた情景を作品として撮り続け、近年では2023年Nikon THE Galleryで「Pastel~夢をめぐる」、2024年FUJIFILM HoP Galleryで「Time to cross」個展を開催。カメラ誌やWEBでの執筆、カメラメーカーのセミナー講師、フォトコンテストの審査などを通じて写真の楽しさを伝える活動にも携わる。著書「カメラでパチリ へやねこ そとねこ」、共著「美しいボケの教科書」など多数。
撮影会&web講評「フォトプラネッタ」主宰
ニコンカレッジ講師
FUJIFILMメタバースHouse of Photographyアンバサダー
日本作例写真家協会会員【JSPA】















