風景写真の引き出しを増やす!|その17:Lightroomを使った画像処理で作品をレベルアップ2

高橋良典
風景写真の引き出しを増やす!|その17:Lightroomを使った画像処理で作品をレベルアップ2

はじめに

前回はRAW現像アプリ「Lightroom」の導入→写真の開き方→編集の基本中の基本部分→書き出しについてお伝えしました。RAW現像や画像処理についての経験が浅く、初めて本記事をご覧いただいた方は、まず前回の「風景写真の引き出しを増やす!|その16:Lightroomを使った画像処理で作品をレベルアップ1」をご覧いただいてから進むとより理解が深まります。

今回の「Lightroom」での画像処理は撮影時にできなかったことを補うツール。使用頻度の高い「シャドウ」と「ハイライト」を中心にその他解説をしてまいります。

1枚目【「シャドウ」「カメラプロファイル」】

では早速始めましょう!写真は彼岸花にバッタがいるのに気づいて撮影したものです。露出(明るさ)は撮影時に適正露光になるように調整しています。これはこれで良いのですが、写真をよく見ると弱い逆光状態のため原画ではバッタが暗くシルエット気味に写っていると感じます。そこで「シャドウ」ツールを使って修正していきます。後に「カメラプロファイル」の変更についても解説いたします。

Before(原画) 

After(編集後)

写真を開きます ※開き方は前回の記事をご参照ください

シャドウの調整
シャドウのスライダをプラス側に調整すると写真のシャドウ部(暗いところ)のみが明るくなり、マイナス側に調整すると暗くなります。露光量の調整と決定的に違うのは画面の暗い部分にのみ効果が表れるところです。但し、黒つぶれを起こしてしまった部分には効果がありませんので撮影時の露出に注意しましょう。

シャドウをプラス側に調整するとシルエット気味のバッタが明るくなりました。「0 → +80」 (1)。それに伴い彼岸花の赤色も少し明るくなっていますが背景のグリーンの明るさは変わっていません。

カメラプロファイルの変更
カメラプロファイルと聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、実は単純。いわばカメラに搭載のピクチャーモードのようなものだと考えればよいでしょう。カメラメーカーによって呼び名は違いますが代表的なものを挙げるなら「クリエイティブルック(ソニ―)」「ピクチャースタイル(キヤノン)」「ピクチャーコントロール(ニコン)」などのことで、RAWデータであればLightroomを使ってそれらを変更することが可能です。但しあくまでもLightroomはAdobe社のアプリでカメラメーカー純正ではありません。そのためカメラメーカー独自の色が100%再現されているわけではないので注意が必要ですが、概ね色味を近づけてくれている印象です。Lightroomの初期設定で読み込むとカメラプロファイルが「Adobeカラー」になってしまうので、よりカメラメーカーの色味に近づけたい場合はカメラプロファイルを変更すると良いでしょう。

赤枠部分をクリックするとカメラプロファイルの変更ができます(2)
カメラマッチングを選択すると(3)→(4)に進みカメラプロファイルが選べるようになります。
筆者はソニーのカメラを使っているのでカメラプロファイルはカメラ搭載の「クリエイティブルック」に準じた名称が表示されます。こちらはスタンダード系の「ST」。
こちらは「VV」。ビビッド系の発色となり全体の彩度やメリハリがアップします。ハイキー調の淡い色味のため鮮やかさがプラスされた「VV」も良いですね。

カメラプロファイルに関してはどれが良い悪いではなく、好みで決めればよいのですが何でもかんでもビビッド系を選んでしまうとすべての写真が派手になりすぎて現実離れしてしまう恐れがあります。筆者は基本的にはスタンダードな「ST」を選ぶことが多いです。

こちらは「PT」いわゆるポートレート向きのモードですが、全体的に柔らかな印象となる「PT」を最終的に選び完成としました。

元画像(上)と完成画像(下)

■撮影機材:ソニー α7R V + FE 70-200mm F4 Macro G OSS II
■撮影環境:焦点距離 200mm 絞り優先AE(F4、1/45秒、+1EV) ISO400 太陽光 CPLフィルター

2枚を比べてみるとシャドウ部の諧調が出ています。カメラプロファイルを「PT」にしたことで全体的に柔らかな印象となりました。

2枚目【「ハイライト」「シャドウ」】

それではもう1枚。波しぶきが引き立つよう逆光で撮影した写真です。こちらも露出(明るさ)は撮影時に適正露光になるように調整していますが、波の白い部分と影になっている岩のディテールをもう少し感じさせたいところ。そこで「ハイライト」と「シャドウ」ツールを使って修正していきます。

Before(原画)

After(編集後)

写真を開きます

ハイライトの調整
ハイライトのスライダをマイナス側に調整すると写真のハイライト部(明部)のみが暗くなり、プラス側に調整すると明るくなります。露光量の調整と決定的に違うのは画面の明るい部分にのみ効果が表れるところです。
但し、白飛びを起こしてしまった部分には効果がありませんので撮影時の露出に注意しましょう。

ハイライトをマイナス側に調整。画面右下の白波のディテールが出てきました。「0 → -90」 (1)。白波以外の明るさは変わっていません。

シャドウの調整
こちらは1つ前の彼岸花の写真と同様、シャドウのスライダをプラス側に調整することで暗部を持ち上げます。

シャドウをプラス側に調整。黒くなっている岩の部分が明るくなりました「0 → +30」(2)。それ以外の明るさは変わっていません。

繰り返しになりますが、黒つぶれを起こしてしまった部分には効果がありませんので撮影時の露出に注意しましょう。

元画像(上)と完成画像(下)

■撮影機材:ソニー α7R V + FE 20-70mm F4 G
■撮影環境:焦点距離 40mm 絞り優先AE(F11、1/1000秒) ISO2000 太陽光 CPLフィルター

2枚を比べてみると白波と岩の諧調が出ていることがわかります。もう少しメリハリが欲しいという方はハイライトの調整を控えめにしてもよいでしょう。

3枚目【「ハイライト」「シャドウ」を中心に総合的な処理】

次の写真では画面全体を見ながら総合的に処理をしていきます。霧が立ち込めるシーンですが手前の紅葉に対して背景が極度に明るく、輝度差が大きな状態です。原画の状態では暗く感じますが、撮影時に「白飛び」や「黒つぶれ」を起こしてしまった写真では編集に限界があるので、後処理を前提に「飛ばさず、つぶさず」の露出としました。

Before(原画)

After(編集後)

写真を開きます

シャドウの調整
シャドウのスライダをプラス側に調整することで暗部を持ち上げます。

シャドウをプラス側に調整。暗く感じる紅葉や背景の木々、そして浮見堂が明るくなりました。「0 → +80」(1) 

ハイライトの調整
ハイライトのスライダをマイナス側に調整することで明部を抑えます。

ハイライトをマイナス側に調整。白っぽかった空のブルーが出てきました。「0 → -40」(2) 

削除ツールで画面左下の人物を消す
撮影時に気づいていなかったのですが画面の左下に小さく人物が写ってしまいました。このような時には削除ツールが便利です。

削除ツールをクリックします(3)
消しゴムマークの「削除」を選び(4)→ 削除したいものの大きさに合わせてサイズを調整(5)→ その下の「生成AIを使用」にチェックを入れます(6)
削除したい箇所にポインタを合わせてクリックorドラッグすると赤く塗られその箇所が削除されます(7)
人物が消えました(8)

ホワイトバランスの変更
WBに関しては第1回目でもお伝えしましたが、少しおさらいです。「昼光(太陽光)」を基準として「曇天(くもり)」や「日陰」にすると青みが抜け(黄色味が強くなる)、逆に「蛍光灯」や「タングステン(電球)」にすると青みが強くなります(黄色味が抜ける)。また、色温度の数値を直接調整してもOK。色温度で調整する場合は数値を大きくすれば青みが抜け(黄色味が強くなる)逆に数値を小さくすると青みが強くなります(黄色味が抜ける)調整はどちらで行っても構いません。

写真全体がやや青みを帯びており紅葉の色に冴えがないためWBを調整します。前工程の削除ツールから編集モードに戻り(9) 、直接色温度の数値を調整「5850K→6500K」(10)とすることで画面全体の青みを抜き、黄色味に振って紅葉の発色を良くしました。

彩度の調整
彩度は鮮やかさを調整するツールです。プラス側に調整すれば色鮮やかになりますが、なんでも派手にすればよいというわけではありません。現場の情景と照らし合わせて不自然にならない程度にとどめるのがコツです。逆にマイナス側にすれば色が薄くなります。マイナス100にすると完全に色が抜けてモノクロになります。

色温度の調整だけで思い通りの発色が得られなかったので彩度を調整「0→+20」(11) 。紅葉が鮮やかになりました。それに伴い青空も少し鮮やかになっていますね。

明瞭度の調整
質感や立体感をコントロールする明瞭度。大まかな言い方ですがプラス側に調整すると全体がクッキリとシャープになる印象ですが、彩度同様にやり過ぎは禁物です。逆にマイナス側では柔らかな印象となります。

柔らかな霧の情景を描いた写真ですがややぼんやりとした印象が否めません。そこで明瞭度を調整して少しクッキリさせました「0→+15」(12)

露光量の調整
露光量に関しても1回目の内容をおさらいしておきましょう。スライダをプラス側に調整すると写真が明るくなり、マイナス側に調整すると写真が暗くなります。

(12)までの処理でほぼ完成形なのですが、もう少しだけ明るい方が良いと感じたので最後に露光量を微調整しました。「0→+0.5」(13) これで完成です!

元画像(上)と完成画像(下)

■撮影機材:ソニー α7R V + FE 16-35mm F2.8 GM II
■撮影環境:焦点距離 21mm 絞り優先AE(F11、1/60秒) ISO800 太陽光 CPLフィルター

確かに原画では暗く感じるのですが、輝度差の大きな状況でプラス補正を強めて紅葉の色を出そうとすれば空が「白飛び」状態になってしまいトーンがなくなってしまいます。撮影時にできないことでもRAW現像によってイメージ通りに仕上げられるとわかっていればシーンに合わせた撮り方が意識できるようになるでしょう。

【補足】編集前後の比較を表示する
Lightroomには編集前後の写真を並べて比較表示できるようになっていますので必要に応じて使ってみるとよいでしょう。方法は以下の手順に従ってください。

比較画面が表示されました。
元の1枚表示に戻すにはこちらの手順に従います。
1枚表示に戻りました。

まとめ

今回の記事では撮影時にできなかったことでも「Lightroom」を使って補えばイメージ通りに仕上げられるといった内容でしたが、いかがでしたか?次回はさらに踏み込んだ部分補正についてお送りします。本記事が皆さんのご参考になれば嬉しく思います。最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

■写真家:高橋良典
(公社)日本写真家協会会員・日本風景写真家協会会員・奈良県美術人協会会員・ソニープロイメージングサポート会員・αアカデミー講師

 

 

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