撮りたいが撮れるに変わる ソニー α7 V |山本まりこ

山本まりこ
撮りたいが撮れるに変わる ソニー α7 V |山本まりこ

はじめに

春がやってきた。
私の住む小さな海まちは、河津桜や菜の花が咲き、メジロなどの鳥たちが楽しそうに飛び交っていて春の訪れを教えてくれている。

ああ、撮りたい。
菜の花の中で飛び回るメジロを、撮りたい。
SONY α7 Vを持って、たまらず小さな山に向かう。

SONY α7 V / FE 70-200mm F4 Macro G OSS II / F4 / SS1/6400 / ISO100
SONY α7 V / FE 70-200mm F4 Macro G OSS II / F4 / SS1/1000 / ISO1600

昨年2025年12月19日、SONY α7 Vが発売となった。
有効約3300万画素のα7 IVの発売2021年12月から約5年、そして、有効約6100万画素を誇るα7R Vの発売2022年11月から約4年の月日を経ての発売。
2月末に開催された「カメラと写真映像のワールドプレミアショーCP+(シーピープラス)」ではもちろん注目の的、α7 Vをすでに購入した方や検討している方が溢れるように訪れていた。

α7 Vの大きな特徴は、

01. 有効最大約3300万画素の部分積層型フルサイズCMOSイメージセンサー採用
02. 新開発部分積層型CMOSイメージセンサーと、AI処理機能を内蔵した新世代の画像処理エンジンBIONZ XR2を採用し、α7 IVと比較して認識性能と追随性能が大幅に向上
03. 高精度なAI被写体認識を行いながら、秒間最大約30コマのブラックアウトフリー高速連続撮影が可能
04. ダイナミックレンジによる豊かな階調と高画質を実現(最大約16ストップ)
05. 中央最大7.5段、周辺最大6.5段の高性能光学式5軸ボディ内手ブレ補正により夜間などの手持ちスローシャッターに効果を発揮

などがある。

筆者はいつも、エアリーという言葉をコンセプトに、柔らかい空気感の写真を撮影している。そんな写真を撮る筆者なりに、特に気になる視点からα7 Vを見つめていきたいと思う。

「速い」が簡単に撮れる

特に気になるのは、新開発部分積層型CMOSイメージセンサーと、AI処理機能を内蔵した新世代の画像処理エンジンBIONZ XR2を採用し、α7 IVと比較して認識性能と追随性能が大幅に向上したというところ。また、最大約30コマ/秒のブラックアウトフリー高速連続撮影が可能になったというのも嬉しいところ。

それにしても、難しい言葉がたくさん並んでいるなあ…いつもそんなことを思いながら新型カメラの紹介文やスペックを見る。
簡単に書いてみると、
新しく開発されたイメージセンサーと新世代なるAI処理機能に優れた画像処理エンジンBIONZ XR2により、被写体を認識する強さや追う性能が格段に上がり、シャッターを切る際、画像が途切れずに1秒間に30枚撮影することができるようになったということ。

ちなみに、比較対象に挙げられるα7R V、α7 IVの画像処理エンジンは、BIONZ XR。
α7 VのBIONZ XR2は、一体、どんな作品を撮らせてくれるのだろう。

近くの小さな山の上に向かい、菜の花の中でちょこちょこと動き回るメジロにレンズを向ける。

シャッターを、切る。

SONY α7 V / FE 70-200mm F4 Macro G OSS II / F5.6 / SS1/500 / ISO800
SONY α7 V / FE 70-200mm F4 Macro G OSS II / F5.6 / SS1/500 / ISO800

か、か、か、かわいい。
メジロ、かわいい。

そして、なんとも簡単に撮影出来る。
被写体を追うAIの認識が素晴らしくてびっくりする。
ファインダーの中で、メジロを被写体として認識する枠が、メジロの動きに合わせてあっちに行ったりこっちに行ったり、目に合ったり、目まぐるしく変わっていく。

私は、メジロがフォーカスエリアの中にいるように、カメラを動かしながら、シャッターボタンを切り続けているだけ。

上の写真の中では、メジロはゆっくりと止まって菜の花の中にいることを楽しんでいるようなイメージだが、実際は、ものすごく速い。あっちに行ったりこっちに行ったり動き回っている。上記の場所にとどまっている時間は、1秒もない。だけれども、AIの被写体認識が強く、激しく動くメジロをバンバン追ってくれる印象。α7 Vには、プリ撮影モードも搭載されている。プリ撮影モードをオンにすれば、例えば、シャッターを切る0.3秒前のメジロの動きも記録される。

筆者は、α7 IVを長いこと使っていたので、α7 VのAIの認識力にしばし驚愕。
α7 Vは、秒間最大約30コマのブラックアウトフリー高速連続撮影が可能と前述したが、その撮影の滑らかなる感じも気持ちいい。ちなみに、α7 IVは秒間10枚の高速連続撮影が可能。

ちなみに、一般的な撮影方法として、メジロのような鳥を撮るときは、下記の設定にするといい。

01. AIの被写体認識対象は鳥を選択
02. ドライブモードは連続撮影を選択(確率を上げたい場合はHi+)
03. フォーカスモードはコンティニュアスAFを選択
04. フォーカスエリアは、ファインダーの中を激しく動く回る被写体の場合はゾーンなどの大枠を選択。ある場所に少し止まっていて動くなどの場合はトラッキング(拡張スポット)に

以上の設定で、動き回るメジロが面白いくらい簡単に撮ることができる。

「撮りたい」が「撮れる」になるカメラだと思った。
撮りたいと思う気持ちにパワフルなアシストをしてくれる、そんなカメラ。

ただ、ドライブモードは連続撮影(特にHi+)にしていると、とんでもない枚数が短時間に記録されるので注意が必要。
実際、このメジロは、4分間撮影して、合計500枚くらいの写真を撮影していた。
長時間撮影したり、場所を移動して撮影したりすると、1日で1万枚以上撮影することも少なくない最近。

自分の記録メディアと相談しながら、作品撮りが出来たらベストですね。

「トリミングする」が身近に

河津桜の中で楽しそうに蜜を吸うメジロたちがいた。
こちらでも、あっちにこっちにと、せわしなく右に左に上に下にと動き回っている。

使用する望遠レンズにもよるけれど、筆者の場合、鳥撮影の場合はカメラ内のクロップ機能を多用している。

クロップするということはどういうことかというと、フルサイズのイメージセンサーに対して、APS-Cサイズにトリミングして撮影するということ。もっと簡単に書けば、フルサイズのイメージセンサー内の真ん中の部分をトリミングして撮るようなイメージ。倍率で言えば1.5倍。

例えば、70-200mmの望遠レンズで最大望遠200mmの焦点距離で撮影する場合、クロップして撮影すれば、300mmで撮影しているのと同じことになるということ。そこまでの倍率の望遠レンズを持っていなかったとしても、それが撮れるということ。ただ、クロップするということは、画素数は減ってしまうということになる。

下は、焦点距離200mmでクロップして撮影したメジロ。
だから、フルサイズに比べて約1.5倍である焦点距離300mmで撮影していると同じということになる。

SONY α7 V / FE 70-200mm F4 Macro G OSS II / F4 / SS1/800 / ISO1250

こちらも、クロップして撮影したメジロ。

SONY α7 V / FE 70-200mm F4 Macro G OSS II / F4 / SS1/1000 / ISO1600

次に載せる写真は、上に掲載したクロップして撮影したメジロの写真を、パソコン内でトリミングして、2倍にしたメジロ。
焦点距離200mmの1.5倍で300mm、その2倍なので600mmで撮影したと同じことになるとういうこと。

SONY α7 V / FE 70-200mm F4 Macro G OSS II / F4 / SS1/1000 / ISO1600

目も、毛並みも、美しくくっきり。

トリミングがより身近になるカメラだなと、筆者はしみじみ思うのです。
それはやはり、フルサイズだからそれができるということ。確実にピントを合わせた写真を撮影しておいて、後からゆっくり構図を決めてトリミングする、という選択肢も大いに考えられるカメラ、α7 V。

α7 Vでのトリミングは、カメラ内で出来る。パソコンでももちろん出来るので、どちらでトリミングをするかは、自身の好みで判断すればよい。

ちなみに筆者は、気に入った画像は、すぐにレーティングをして判別できるようにしている。また、作品はJPEG撮りっきり、明るさ、色合い、コントラストやシャープネスもその場で全て設定して、自分の大好きを最大限に記録する撮影方法が好き。だから、構図もできれば撮影時に全て決めて撮影したいのだけれど、野鳥などの撮影時はやはりトリミングしたくなる写真も出てくるので、画像をカメラ内でトリミングして、すぐに大好きの完全版に仕上げて保存している。後程パソコン内でレタッチすることは、ほとんどない。大好きな写真を感覚的に撮ることが出来る、それがαの好きなところ。でもこれは、筆者の私的な思い。もちろん、RAWで撮影して後程いろいろ調整する撮影が楽しい人も多いだろう。いろいろを自分の好きに選択できる、それが楽しい現代の撮影時間。

ハイライトとシャドウがある場所も気軽に

ダイナミックレンジによる豊かな階調と高画質を実現したα7 V。

新開発の有効最大約3,300万画素の部分積層型フルサイズCMOSイメージセンサー Exmor RSと、新開発の画像処理エンジンBIONZ XR2の組み合わせにより、最大約16ストップのダイナミックレンジを実現し、シャドウからハイライトまでの豊かな階調表現が可能になった。

さらに、全ての感度域で最適なノイズリダクション処理を施し、高い解像性能を発揮する。静止画(ISO50-204800)および動画(ISO102400まで拡張可能)の幅で実現する。

菜の花の中にいるメジロを撮影しているとき、山に沈みかけた夕日が輝いていた。
菜の花と夕日を撮影。

SONY α7 V / FE 70-200mm F4 Macro G OSS II / F5.6 / SS1/3200 / ISO800

こちらは、夕日の海辺のシーン。

SONY α7 V / FE 70-200mm F4 Macro G OSS II / F9 / SS1/8000 / ISO100

夜、梅の花を撮影。玉ボケになっているのは、星。

SONY α7 V / FE 70-200mm F4 Macro G OSS II / F2.8 / SS1/2 / ISO1600

日中、イルカが飛び込んだ際の水しぶきを撮影。

SONY α7 V / FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS / F4.5 / SS1/8000 / ISO1600

夜の街灯り。
こちらは感度をISO12800まで上げて撮影。

SONY α7 V / FE 50mm F1.2 GM / F1.2 / SS1/50 / ISO12800

いずれにしても、ハイライトからシャドウまで豊かな諧調表現で描かれている。また、かなりの高感度でも、美しい絵作りが出来ることが分かる。

これまでフォトセミナーの際に「ISO感度は出来るだけ低く、出来ればISO1600までが美しい。上げてもISO3200まで。」と言い続けてきたけれど、これを撮影して、そんな時代ではなくなっていることを実感。これからは、ISO12800で撮影した作品が世の中に増えてゆく時代になってくる、そう実感する。「夜はブレやすいからISO感度は12800まで上げてどんどん撮影してOKよ。」そう説明する未来も近いのかもしれない。

オートホワイトバランスの的確さ

光源の色を推定する処理にAIディープラーニング技術を採用し、オートホワイトバランス(AWB)の精度が向上した α7 V。 α7 IVのAWBでは難しかったシーンでも、より正確で安定したホワイトバランスを実現している。

オートホワイトバランスとは、ホワイトをホワイト(白色)で表現する機能のこと。太陽光、曇天、蛍光灯など、様々な光源下では、ホワイトが黄色くなったり青みがかったりしてしまうことも多い。オートホワイトバランス機能によって、ホワイトがホワイトとして写るようにカメラ側で調整される。α7 Vは、その機能が、今まで以上に安定したということ。

筆者においては、 α7 VのAIの認識のすごさばかりに気をとられていて、オートホワイトバランスの安定さには最初は気づかなかった。だけどある日、オートホワイトバランスに頼ることが多くなったと実感したことがあったのだ。

建物が竣工した際に竣工写真撮影をする仕事も多い筆者。室内の現場は、蛍光灯、電球、LEDなど、様々な光源が混じることが多く、色温度設定が非常に難しかった。難しいというのは、見た目と、カメラ側が決めたオートホワイトの色味が微妙に違うことが多かったということ。特に、外光が入らない室内の撮影では、実際の見た目よりも赤みが強かったり、ピンクがかっていたり、青っぽかったりして液晶画面に写っていた。そのため色合いは、色温度+ホワイトバランス微調整(A-B、G-Mをプラスマイナスする)し、現場の色を毎度決定していた。だけれども、 α7 IVからα7 Ⅴに変えてから、現場でカメラを三脚に載せてファインダーをのぞいた際に、あれ、何かが違う…何だろう…と思ったことがある。いつもより、設定することが少ない….そうか、まだホワイトバランスを設定していなかった。オートホワイトバランスでばっちりとその場の色味が合っている!とある時にハッと気づいたのだ。

そういえば、 α7 Vのオートホワイトバランスは、 α7 IVに比べて安定したと聞いていたけれど、これがそういうことか、これは本当に安定感が強い、そう実感した。

いろいろな光源下で撮影してみた。

大雪が降った日。雪がやんだ曇天の空の下で。

SONY α7 V / FE 24-70mm F2.8 GM II / F2.8 / SS1/500 / ISO100
SONY α7 V / FE 24-70mm F2.8 GM II / F3.2 / SS1/500 / ISO100

ざんざんと降る雪の中で。

SONY α7 V / FE 24-70mm F2.8 GM II / F5.6 / SS1/320 / ISO100

晴天時。B(ブルー)を少し足して爽やかに。

SONY α7 V / FE 70-200mm F4 Macro G OSS II / F4 / SS1/250 / ISO100

晴れの日。
的確なAWBだったので、B(ブルー)を大きく足して撮影。

SONY α7 V / FE 40mm F2.5 G / F2.5 / SS1/320 / ISO100

大雪の日。雪がやんだ時。
オートホワイトバランスにB(ブルー)を足して、幻想的な空気感に。

SONY α7 V / FE 24-70mm F2.8 GM II / F3.2 / SS1/320 / ISO100

外光が少し入る部屋の中、電球の灯りの下で。

SONY α7 V / FE 24-70mm F2.8 GM II / F2.8 / SS1/25 / ISO400

外光が強く入る部屋の中で。

SONY α7 V / FE 40mm F2.5 G / F2.5 / SS1/80 / ISO100

屋外でも屋内でも、どんなシチュエーションでも、オートホワイトバランスが的確に色を出してくれる確率が高く、気持ちの良い撮影が出来る。

エアリーな空気感の写真を撮る筆者は、その的確なオートホワイトバランスに+αの色を足して、自分の思う色合いにすることが多い。その土台となるオートホワイトバランスが適格だというのは、とても嬉しく心強い。

おわりに

筆者なりに気になっていた下記を中心にレポートしてみた。

・AIの認識力は変わったのか
・動きが速い被写体を撮る快適さはどうか
・ハイライトとシャドウがどう描かれるか
・高感度時にどう映るか
・ホワイトバランスの安定感はどうか

いずれにしても、とても満足感があり、α7 Vの底力を感じた。

実は筆者、α7 Vは、最初はお借りして撮影をしていた。SONYのカメラとレンズのお話をするという仕事のために、数週間お借りしていたのだ。

いろいろなシチュエーションで撮影を重ねるごとに、これは素晴らしい…と実感。特に、メジロを撮影しているときにAIの俊敏な被写体認識に驚き、その撮影成果に確実な手応えを感じた。結果、即購入を決断。今は、愛機として、毎日持ち出して撮影している。

α7 Vは「撮りたい」が「撮れる」に変わるカメラ、そう実感している。

SNSで流れてくる写真を見て思う。
一昔前は撮れなかった写真が、カメラの進化とともに誰もが簡単に撮れるような時代になった、そう強く実感する。昔はプロが苦労してやっと撮影していたような写真が、全世界から毎秒数多に披露されている。そんな今のSNS全盛時代に、α7 Vは、強い存在感を示すカメラとして君臨することは間違いないだろう。

物というのは、買えば手に入る。
手にすれば、その実力を、自分の撮影の結果として残すことが出来る。

いつか、買おうかな。
迷ったままか、今か。
買うか、買わないか。
0か100か。

未来は自分で描くもの。
これを読んでくれたみなさんが、愛するカメラに出会えますように。

 

■写真家:山本まりこ
写真家。理工学部建築学科卒業後、設計会社に就職。25歳の春、「でもやっぱり写真が好き」とカメラを持って放浪の旅に出発しそのまま写真家に転身。風通しがいいという意味を持つ「airy(エアリー)」をコンセプトに、空間を意識した写真を撮り続けている。

 

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