ソニー α7 V レビュー|野鳥撮影でも進化が止まらない新Basic機

山田芳文
ソニー α7 V レビュー|野鳥撮影でも進化が止まらない新Basic機

はじめに

今回ご紹介するのは、昨年12月に発売されたソニーのα7 Vです。
前モデルのα7 IVは2021年12月の発売だったので、ちょうど4年の月日が流れたことになりますが、α7 IVと比べてどのように進化したかも含めて、野鳥の作例とともにお伝えしていきます。

前モデルのα7 IVからどのように進化したのか

α7 IVと比較して進化したところは、
・センサーが部分積層型になったこと
・シャッターを切る前の瞬間を記録できる「プリ撮影」機能がついたこと
・フォーカスエリアのスポットにXSとXLが追加され、新たに3つのカスタムがついたこと
・手ブレ補正が中央最大7.5段、周辺最大6.5段になったこと
・動画では4K 60pがクロップなしで記録でき、4K 120pでも記録(Super35mmにクロップされる)できる

などなど、言い出すときりがないほどですので、今回は僕が個人的にこれはいいと気に入っているところに絞って、次からご紹介していきます。

マルチアングル液晶モニターになった

チルト式とバリアングル式の「いいとこどり」のマルチアングル液晶モニターは、2022年に発売されたα7R Vで初めて採用されてから、その後に発売されたα9 III、α1 IIにも採用され、搭載機種を増やしてきました。

ですが、2023年に発売されたα6700はマルチアングルではなくバリアングルだったので、果たしてα7 Vがどうなるか気になっていましたが、期待通りマルチアングル液晶モニターになりました!これは個人的に非常に嬉しく思っています。

左がα7 IVのバリアングルモニターで、右がα7 Vのマルチアングルモニター
ハクセキレイ。このように、カメラ位置をうんと低くして撮る場合にマルチアングル液晶モニターは非常に便利。
■使用機材:SONY α7 V + FE 50-150mm F2 GM
■撮影環境:66mm F2.8 1/2500秒 ISO200

連続撮影が最高約30コマ/秒(電子シャッター時)になった

α7 IVはドライブモードを「連続撮影:Hi+」に設定時、最高約10コマ/秒(ブラックアウトします)ですが、α7 Vでは、電子シャッターに設定後、ドライブモードを「連続撮影:Hi+」にすると、ブラックアウトフリーで最高約30コマ/秒の撮影ができます。これは野鳥などいわゆる「動きもの」を撮る人にとって非常に嬉しい、大きな進化なのではないでしょうか。

電子シャッターで動きものを撮影する時に気になるのがローリングシャッター歪みですが、α7 Vはスキャン速度が大幅に向上したため、実用上ローリングシャッター歪みを気にせずに、何の問題もなく電子シャッターが使えます。
ですので、α7 Vで野鳥を撮る場合、僕は基本的には常時電子シャッターに設定しています。

朝陽を背景に飛翔するナベヅルを「連続撮影:Hi+」に設定して連写。約30コマ/秒で撮れるので、4羽と太陽や雲などの位置関係がいちばんいいものを選ぶことができた。電子シャッターでの撮影だが、ご覧の通りローリングシャッター歪みは出ていない
■使用機材:SONY α7 V + FE 600mm F4 GM OSS
■撮影環境:F8 1/2500秒 ISO250
飛翔するマナヅルを青空バックで撮影。超望遠レンズの狭い画角で背景が空一色というシンプルな構成では、マナヅルのフォルムが肝となるが、約30コマ/秒で連写したことで、イメージ通りのカットを撮影することができた
■使用機材:SONY α7 V + FE 600mm F4 GM OSS
■撮影環境:F5.6 1/2000秒 ISO160

認識AFの精度が大幅に向上した

新しいカメラが出た時に外せないテスト項目が、僕の場合は被写体認識AFの精度なのですが、これに関してはかなり向上したことがはっきりと体感できました。α7 IVと比較して最も進化したのが、この被写体認識AFではないかとさえ思っています。

α7 IVで野鳥を撮る時は、被写体認識しないであろうと予想できるシーンでは、「AF時の顔/瞳優先」を[切]にして撮ることもありましたが、α7 Vでは基本的には常時「AF時の被写体認識」を[入]にして撮影(認識対象は鳥に設定)しても問題はないというのが、現時点での僕が出した答えです。それなりにハードルを上げてテストしましたので、検証結果をご覧ください。

横向きでクチバシの輪郭がわかり、足も見えている状態のチョウゲンボウ。認識しないはずはないと思いつつも一応テスト。予想通り、瞳を認識して合焦してくれた。
■使用機材:SONY α7 V + FE 300mm F2.8 GM OSS
■撮影環境:F4 1/800秒 ISO640
見返りの正面顔で足が見えていない状態のチョウゲンボウ。もしかしたら認識しないかも?と思ったが、余裕で認識&合焦してくれた。
■使用機材:SONY α7 V + FE 600mm F4 GM OSS
■撮影環境:F5.6 1/1000秒 ISO400
尾を上げて、尾の裏側の白黒模様が見えた時、尾を瞳と誤認識することがあるとの声を聞くヒクイナでテストしたが、何の問題もなく、正確に認識して合焦してくれた。
■使用機材:SONY α7 V + FE 300mm F2.8 GM OSS
■撮影環境:F2.8 1/500秒 ISO1600
首が長い鳥は瞳を認識しにくいと言われているので、マナヅルでテスト。下を向いた時に一時的に瞳をロストすることはあったが、すぐにリカバリー、再認識してフォーカスを合わせてくれた。下を向く前からシャッターの半押しを始めると、リカバリーが早いように感じた。
■使用機材:SONY α7 V + FE 300mm F2.8 GM OSS
■撮影環境:F4 1/1000秒 ISO250
タゲリ。飾り羽を瞳と誤認識しないか、水面の映り込みの方の瞳を認識して合焦するのではないか、を試したが、一時的なロストなども全くなく、余裕で認識&合焦してくれた。
■使用機材:SONY α7 V + FE 300mm F2.8 GM OSS
■撮影環境:F4 1/1000秒 ISO500
遠くからこちらに向かって飛んでくるトビでテスト。距離が遠い時は瞳を認識しなかったが、一定の距離になってからはずっと認識し、正確に合焦し続けてくれた。
■使用機材:SONY α7 V + FE 600mm F4 GM OSS
■撮影環境:F5.6 1/2000秒 ISO320

スローシャッターや遠隔操作で撮る時などはRMT-VP2を活用する

最後に、α7 Vであまり語られていないレリーズの注意点についてです。

α7 IVはUSB Type-C端子がひとつでしたが、α7 Vではふたつになりました。これによって、α7 Vでは有線のリモートコマンダー「RM-VPR1」を接続する端子がなくなりました。したがって、スローシャッターなど、シャッターボタン手押し厳禁の撮影時などはBluetooth接続で使用する無線のリモートコマンダー「RMT-VP2」を使います。

ソニー公式ホームページによると、RMT-VP2は「360度、最大約10m通信可能」「障害物があっても通信可能」「晴天下でも安定通信」とありますので、カメラから離れて遠隔操作で野鳥を撮る場合でも便利です。ぜひ活用してみてください。

左がα7 IVの接続端子で、下のマルチ端子にRM-VPR1を接続できる。右はα7 Vの接続端子で、USB Type-C端子がふたつある
RMT-VP2は10mぐらいまでなら通信が可能なので、カメラ位置から離れて遠隔操作で野鳥を撮る場合にも便利だ
十分に観察を繰り返した結果、ハクセキレイのだいたいの行動が読めるようになったので、ハクセキレイが来る前にフレーミング、自分はカメラから離れてRMT-VP2でシャッターを切った。
■使用機材:SONY α7 V + FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
■撮影環境:70mm F5.6 1/1250秒 ISO100

まとめ

被写体認識AFが大幅に進化して、ローリングシャッター歪みを気にせずに電子シャッターで最高約30コマ/秒で撮影できるα7 Vは、α7 IVの後継機というよりもα1 IIの弟分のようなイメージがあります。これをBasicと呼んでいいのかと正直思いますが、キャッチコピーに「塗り替えろ。」とあるように、Basic機の概念を再定義したのだと思います。α7 Vは野鳥などいわゆる動きものの撮影を楽しんでいる全ての人にぜひ一度使っていただきたい、そんなカメラです。

 

 

■写真家:山田芳文
「100種類の鳥よりも1種類を100回」をモットーに野鳥を撮り続ける。ライフワークは鳥がいる風景写真。主な著書は『SONY α7 IV 完全活用マニュアル』(技術評論社)、『SONY α6600 基本&応用撮影ガイド』(技術評論社)、『写真は構図でよくなる!すぐに上達する厳選のテクニック23』(エムディエヌコーポレーション)、『やまがら ちょこちょこ』(文一総合出版)など。最新刊は『SONY α7C II 完全撮影マニュアル』(技術評論社)。

 

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