フルサイズミラーレス ソニー「α」で残す星空絶景|北山輝泰

北山輝泰
フルサイズミラーレス ソニー「α」で残す星空絶景|北山輝泰

2025年11月29日(土)に世界各地で月食や日食、オーロラなど様々な天文現象を撮影している北山輝泰さんを講師に迎えたソニープロカメラマンセミナーを開催します。「フルサイズミラーレス「α」で残す星空絶景」をテーマにSONYフルサイズミラーレスカメラ”α”の魅力を紹介します。

セミナーは全国のカメラのキタムラ50店舗にて無料ライブ中継!星空撮影について学びたい、ソニーのカメラやレンズを使ってみたいと考えている方はぜひ奮ってご参加ください。セミナーの詳細は文末に記載しています。

はじめに

星景写真家・写真講師の北山輝泰です。今回は私が星景写真で愛用しているSONY フルサイズミラーレス「α」シリーズで撮影した写真をお見せしながら、星景写真撮影のための機材選びのポイントについてまとめたいと思います。これから星景写真撮影を始める方や作品のワンランクアップを目指している方におすすめの内容です。なお、こちらの記事は、2025年11月29日(土)に開催されます「カメラのキタムラ×SONY プロカメラマンオンラインセミナー&α体験会」のコラボ記事になっています。こちらの記事で星空撮影に興味を持っていただけた方は、ぜひそちらのイベントにもご参加いただけると嬉しいです。

フルサイズミラーレス「α」との出会い

αシリーズと私との出会いは今から12年前に遡ります。2013年11月に発売された「α7」は、世界初の35mmフルサイズイメージセンサーを搭載したミラーレス一眼として華々しくデビューしましたが、量販店の店頭で手に取り、その軽さとコンパクトさ、そして画質の美しさにとても感動し購入したことが「α」と私の出会いでした。当時のカメラ業界はまだまだデジタル一眼レフカメラが主流の時代。ミラーレスに移行して大丈夫なのかと不安な気持ちもありましたが、今のカメラ業界のことを考えるとそれは杞憂でした。

それから今まで私はαシリーズを使い続けていますが、特に印象的な機材は「α7 III」です(発売は2018年3月)。エントリー機材でありながらも優れた高感度耐性で、それまで使いにくいと感じたISO3200以上6400までの撮影がストレスなくできるようになったこと。そして暗所でのライブビューの視認性を向上させる「ブライトモニタリング機能」が加わったことで、構図合わせの手間から解放され、どんな環境下でもスピーディーに撮影できるようになったことは、時間的制約がある一瞬の撮影においてなくてはならない機能です。

またこの頃になると、高感度撮影に特化した「α7Sシリーズ」、高画素に特化した「α7Rシリーズ」、高速連写に特化した「α9」といったように、αのラインナップも多岐に渡り展開されるようになり、機材を用途や被写体に応じて使い分けられるようになりました。もちろんボディ展開と並行して、フルサイズミラーレス用の専用設計のレンズも多く発売されてきていることも、αシリーズを信頼し使い続けている大きな理由の一つになります。

■撮影機材:ソニー α7 + FE 14mm F1.8 GM
■撮影環境:ISO2500 F2.8 30秒 WB 蛍光灯温白色-1 焦点距離14mm
ポータブル赤道儀「ポラリエU」を使って冬の天の川を追尾撮影しました。この時は複数箇所でタイムラプス撮影を行っていた関係で、星景写真を撮れる機材が手元になく、久々にα7を引っ張り出して撮影を行いました。10年以上前の機材でも撮り方にさえ気をつければまだまだ現役の機材として使えることを再認識しました。
■撮影機材:ソニー α7 III + FE 20mm F1.8 G
■撮影環境:ISO3200 F1.8 30秒 WB 蛍光灯温白色-1 焦点距離20mm
伊豆大島の三原山と南中するりゅうこつ座のカノープスを撮影した写真です。α7 IIIになり、これまで使いにくかったISO3200の撮影も積極的に行えるようになったことで、星を止めて撮ることがこれまでよりも簡単にできるようになりました。
■撮影機材:ソニー α7S III + FE 35mm F1.8
■撮影環境:ISO12800 F1.8 0.5秒 WB 蛍光灯温白色-1 焦点距離35mm
手で持ったレンズボールの上に映り込むオリオン座をブラさず撮るために、ISO感度を高くして速いシャッタースピードを選択して撮影を行いました。12800という高感度でも、高感度ノイズ特有のざらざら感はあまり感じません。
■撮影機材:ソニー α7S III + FE 35mm F1.8
■撮影環境:ISO64000 F1.8 1/80秒 WB 蛍光灯温白色-1 焦点距離35mm
2021年11月に全国で見られた部分月食と、今は定期運行が終了した特急やくも381系を写した作品です。電車の動きをできる限り止めて撮影するために1/80秒で撮影を行いましたが、結果的にISO64000という高ISOになったものの、イメージに近い作品を残すことができました。α7S IIIの高感度耐性をいかんなく発揮した作品と言えます。

「どういう星景写真が撮りたいか」から機材を選ぶ

すでにαシリーズを使われている方にも、これからαシリーズを購入したいと思われている方にも考えていただきたいのが「自分にとってのベストな機材は何か」です。豊富なラインナップがあるαシリーズでは、どの機材を選ぶべきか迷ってしまいますが、ポイントは「どういう星景写真を撮りたいか」を意識して選ぶということです。

星景撮影における私の今のメイン機は「α7 IV」ですが、他に「α7CR」「α7S III」「ZV-E1」などを使い分けています。それぞれの使い分けですが、以下のようになっています。

● α7 IV 汎用的な撮影シーンでの使用
● α7CR 暗所性能を必要としない撮影シーンでの使用 / トリミングが必要となる撮影で使用
● α7S III 暗所性能を必要とする撮影シーンでの使用
● ZV-E1 主に星景やオーロラを動画(リアルタイム動画及びタイムラプス)で表現する際に使用

星景写真の撮影は必ずしも「夜、暗い場所で撮影するもの」とは限りません。朝夕の薄明の時間帯などに撮らなければいけない現象もありますし、あえて市街地近くで撮影することもあります。また日本では撮影できない星空や天文現象を撮影するために海外に遠征に行くこともしばしばありますので、軽量かつコンパクトな機材も必要になってきます。私は写真や動画を撮ることを生業にしていますので、複数の機材を所有することが必須になりますが、皆様に全部揃えてくださいというのは難しいかもしれません。そのため、まずは「どのような星景写真を撮ってみたいか」をじっくり考えてご自身に合う機材を選ぶようにしましょう。

例えば、車をお持ちでなくて空が暗いところにあまり撮影にいけないよという方は、α7S IIIのような暗所撮影に強い機材よりも、軽量コンパクトで持ち運びがしやすく、高画素で風景を美しく切り撮れるα7CRをおすすめします。または、特に時間や移動手段の制限なく色々な星景写真撮影に挑戦してみたいという方は、ある程度高感度耐性もあり、画素数もある汎用的なα7 IVをおすすめします。

レンズについても同様です。超広角から望遠まで幅広いラインナップがある中で、どのレンズが星景写真向けなのかというご質問を多くいただきますが、それも皆様がどのような星景写真を撮影したいかによって変わってきますのでお答えはマチマチです。ただし、やはりF値は明るい方が有利な撮影シーンが多いですので、迷ったらなるべくF値が明るいレンズを選ぶようにしましょう。以下は私がαとEマウントレンズで撮影した様々な星景写真です。カメラとレンズの組み合わせと機材選びのポイントも明記しておりますので、ぜひ参考にしていただければと思います。なお、29日のイベントではなぜこのようなチョイスをしたのかについてより深く言及したいと思います。

■撮影機材:ソニー α7S III + FE 20mm F1.8 G
■撮影環境:ISO500 F1.8 15秒 WB 蛍光灯温白色-1 焦点距離20mm
薄明の時間は刻一刻と明るさが変化し、イメージ通りの作品を撮れる時間は数分程度しかありません。迅速に撮影を完了させるためには、機材の扱いに慣れていることも重要ですが、ブライトモニタリングなどの機能が必須になります。
■撮影機材:ソニー α7CR + FE 24-70mm F2.8 GM II
■撮影環境:ISO6400 F2.8 8秒 WB 蛍光灯温白色-1 焦点距離30mm
石垣島の有名な観光スポットにて撮影した、沈む金星と土星と干潟のマングローブの写真です。あまりたくさんの機材を持っていけない遠方での撮影では、いつも以上に機材選びに慎重になります。この時は薄暮に見られるかもしれない彗星撮影をメインにしていたため、高感度耐性よりも携帯性を重視しα7CRを選択しましたが、夜の星景撮影もストレスなく行うことができました。
■撮影機材:ソニー α7CR + FE 24-70mm F2.8 GM II
■撮影環境:ISO6400 F2.8 128秒 WB 蛍光灯温白色-1 焦点距離70mm
2024年の秋に話題になった紫金山・アトラス彗星を撮影するために大分へ遠征を行いました。日の出直前の東の空に昇ってくる彗星を捉える難しい撮影でしたが、地球照を抱えた月と鳥居との美しいコラボを作品として残すことができました。高画素のα7CRならでのキリッとした描写は細部の表現が重要になる撮影ではとても重要になります。
■撮影機材:ソニー α7 IV + FE 12-24mm F2.8 GM
■撮影環境:ISO6400 F2.8 15秒 WB 蛍光灯温白色-1 焦点距離12mm
長崎県の離島、福江島の鬼岳で撮影した天の川の星景写真です。私がα7 IVをメイン機にしている理由は、3300万画素という中画素機である程度トリミング耐性もありながら、ISO6400から12800までの高ISO時でも色乗りも良くてざらつき感が気にならない高感度耐性にあります。汎用的な機材でどの現場に持って行っても安心して使えるため、スペースに余裕があれば必ず持っていくようにしています。
■撮影機材:ソニー α7 IV + FE 12-24mm F2.8 GM
■撮影環境:ISO5000 F2.8 15秒 WB 蛍光灯温白色-1 焦点距離12mm
私が特に好きな時間は朝夕の薄明の時間帯です。昼と夜とが入れ替わる瞬間は、シャッターを切るごとに露出も変わり、作品の印象が変わっていきます。自分がベストだと思える瞬間に完璧な構図と明るさで撮影を行えるかは、撮影知識だけでなく日頃から機材の扱いに慣れているかの技術も重要です。一生に一度しか見られない現象なども多々あるため、いざという時に失敗しないよう手持ち機材の扱い方を今一度しっかり身につけましょう。

星空の作品表現は静止画から動画へ

近年、カメラの技術進歩とSNSの普及によって、誰でも簡単に星景写真を撮影し、気軽に公開できるようになりました。人気の撮影地では深夜でも多くの人が撮影をしている光景を目にします。このように星景写真が一部の人だけが楽しむジャンルから一般的なジャンルへと変化する中で、他とは違う作品表現に挑戦してみたいと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような方におすすめしたいのが、星空の動画作品です。

動画というと従来はビデオカメラで撮影するものというが通例でしたが、今はミラーレス一眼の動画モードで撮影する人も増えてきています。また、カメラメーカーも動画撮影者に向けたレンズを発売するなど、静止画から動画へという動きも見られるようになってきました。動画撮影の垣根が低くなる一方で星空の動画撮影はどうなのかというと、通常の機材ではまだまだ難しいというのが現状です。

少し話はそれますが、星空が動いている映像をどこかでご覧になったことがあるかもしれません。その多くがタイムラプスという技法で作られた動画で、連続で撮影した静止画を動画にしたものです。元になるのは静止画ですので、特に機材の縛りはなく、インターバル撮影できるカメラ機材とパソコンさえあればどなたでも挑戦することができます。ただし、実際に見た星空の美しさというよりも長時間の動きを圧縮した異なる動きの動画ですので、リアルタイムで見た星空の感動をそのまま伝えたいという目的がある場合は、やはり通常の動画撮影を行うしかありません。

一般的に動画で用いられるシャッタースピードは、記録フレームレートに対して約2倍分の1秒程度を選びますが、その設定で星空の動画撮影を行うとすると、ISO感度を極端に高くしないといけなくなります。そうすると高感度ノイズが酷くまともな映像にならないため、難しいというのが現状です。そのブレイクスルーとなった機材がソニーのα7Sシリーズです。

このシリーズの特徴は、あえて画素数を減らし、その代わりに高感度耐性を最大まで強化することで、星空の下など暗所での動画撮影でも美しい映像を記録できることです。さらにα7S IIIになると、手ぶれ補正にダイナミックアクティブモードが追加され、手持ちでもまるでジンバル雲台を使ったような映像を撮影することができ、より本格的な動画撮影も行えるようになりました。ちなみに、2023年4月にVLOGCAMシリーズから発売された「ZV-E1」は、αシリーズと同じくフルサイズセンサーを搭載しつつ、α7S IIIと同等の高感度耐性を持ち、かつ小型軽量で持ち運びがしやすいという、星空動画撮影向けの機材です。名前にαは付いていませんが、私のメイン機として活躍してくれています。下記の動画は2024年にカナダのイエローナイフで撮影したオーロラのVlog動画になりますが、こちらは全てZV-E1で撮影しています。タイムラプス動画と通常動画をミックスした映像作品になりますのでよろしければご覧ください。動画の撮影秘話についてもイベントでは詳しくお話ししたいと思いますので、ご興味ある方はそちらもお楽しみにしていてください。

まとめ

今回は私が撮影した星景写真を紹介しつつ、機材選びのポイントについてご紹介いたしました。もっと色々な写真を見てみたい、または星景写真や動画の撮影のコツを知りたいという方は、ぜひ11月29日のイベントにご参加いただければと思います。皆様のご参加を心よりお待ちしております。最後までお読みいただきありがとうございました。星景写真家の北山輝泰でした!

ソニープロカメラマンセミナー「フルサイズミラーレス「α」で残す星空絶景」11月29日(土)開催

北山輝泰さんによるソニープロカメラマンセミナー「フルサイズミラーレス「α」で残す星空絶景」を2025年11月29日(土)に開催します。SONYフルサイズミラーレスカメラ”α”シリーズを使った撮影のコツや、星空撮影で使いやすいソニーのおすすめレンズなどを紹介します。普段からαを使って星空撮影を楽しまれている方も、これからソニーのカメラやレンズを使って撮ってみたいと考えている方へも役立つ内容になっています。

本セミナーは全国のカメラのキタムラ50店舗でライブ中継にて開催します。参加費は無料!講師への質問もできますのでこの機会にぜひお気軽にご参加ください。セミナー終了後、一部の店舗では普段取り扱いのないカメラやレンズが特別に体験できます。開催店舗をぜひご確認ください。

【概要と申込み】
■開催日:2025年11月29日(土)
■時間:【第一部】11:00~12:00【第二部】14:00~15:00
■参加費:無料
■場所:カメラのキタムラ ライブ中継先店舗(下記店舗一覧よりご確認ください)
■定員&申込み:希望店舗へお問い合わせ、ご連絡ください
■申込み期限:各開催日前日の店舗営業時間内

【店舗一覧】
募集状況や申込み、ご質問などは申込み希望店舗へお電話ください。
★の表記がある店舗では当日限定のラインナップでカメラやレンズの体験ができます。

■北海道:札幌/羊ケ丘通り店
■北海道:札幌/元町店
■青森県:弘前/高田店
■秋田県:秋田/広面店
■山形県:山形/馬見ヶ崎店
■宮城県:仙台/泉店
■栃木県:小山/小山店
■茨城県:水戸/下市店
■埼玉県:熊谷/熊谷店
■埼玉県:埼玉/坂戸店
■埼玉県:大井/ふじみ野店
■千葉県:千葉/おゆみ野店
■東京都:新宿/北村写真機店
■静岡県:富士/市役所前店
■静岡県:浜松/柳通り店
■静岡県:藤枝/田沼店
■新潟県:三条/ピア店
■長野県:松本/並柳店
■富山県:富山/掛尾店
■富山県:高岡/鐘紡町店
■石川県:小松/小松店
■石川県:金沢/有松店
■石川県:金沢/浅野本町店
■福井県:武生/武生店
■福井県:福井/バイパス南店
■愛知県:名古屋/天白・植田店
■愛知県:一宮/中島通り店
■三重県:四日市/西浦店
■滋賀県:草津/野村店
■京都府:京都/四条西院店
■大阪府:堺/福田店
■兵庫県:姫路/英賀保店
■岡山県:倉敷/沖新店
■岡山県:岡山/東岡山店
■岡山県:岡山/下中野店
■鳥取県:鳥取/鳥取店
■島根県:松江/学園通り店
■広島県:広島/祇園店
■山口県:山口/バイパス吉敷店
■香川県:高松/高松南店
■徳島県:徳島/沖浜バイパス店
■高知県:高知/堺町店
■高知県:高知/土佐道路店
■福岡県:福岡/ミーナ天神店
■福岡県:久留米/上津店
■大分県:大分/光吉店
■熊本県:熊本/東バイパス中央店
■熊本県:熊本/くまなん店
■宮崎県:宮崎/中央店
■鹿児島県:鹿児島/中山バイパス店

【北山輝泰プロフィール】

世界各地で月食や日食、オーロラなど様々な天文現象を撮影しながら、天文雑誌「星ナビ」ライターとしても活動。また、タイムラプスを中心として動画製作にも力を入れており、観光プロモーションビデオなどの制作も行っている。星空の魅力を多くの人に伝えたいという思いから、全国各地で星空写真の撮り方セミナーを主催している。

・HP:https://kitayamateruyasu.com/
・Instagram:teruyasu_kitayama

 

 

 

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