極上の描写性能! SIGMA 135mm F1.4 DG Art Lマウント|水咲奈々

水咲奈々
極上の描写性能! SIGMA 135mm F1.4 DG Art Lマウント|水咲奈々

はじめに

シグマから、AF対応の135mmレンズでは世界で初めて※開放F値1.4を実現した「Sigma 135mm F1.4 DG | Art」が発売されました。発表から話題沸騰の本レンズのレビューを、ポートレートをテーマにお送りします。
※2025年9月時点、Sigma社調べ

滑らかなグラデーションと澄んだボケ!さすがの描写性能!

■使用機材:SIIGMA fp L + SIGMA 135mm F1.4 DG Art
■撮影環境:■撮影環境:絞り値:::F1.4 シャッタースピード:1/250秒
露出モード:マニュアル WB:オート ISO400
カラーモード:ポートレート

焦点距離は35mm判換算135mmで開放絞りはF1.4と、なかなか驚異的な数字の本レンズ。105mmのフィルター径もインパクトがあって、実際に持つと「おお」と声が出てしまうほど存在感のあるレンズです。

最大径111.7mm、長さ135.5mm(Lマウント)なので、長いというよりも太いという感想がぴったり。三脚を使わずに手持ちで撮影していたので、撮影中の移動では腕に寝かせるように持ち運んでおり、赤ちゃんの頭みたいだなぁと思いました。

そんな、シグマのレンズらしく1時間以上手持ちで撮影することに不安を感じるサイズ感なのですが、言わずもがな、シグマのレンズらしく描写は極上です!

大口径だからボケやすいなんて、安易な言葉は使いたくないほど滑らかなグラデーションで澄んだボケを、当たり前のように生み出してくれます。ピントの合っている主役の立体感は恐ろしいほどに際立ち、この描写は200mm画角のレンズでよく見る描写に近いとも思いました。

難しい明暗のグラデーションも綺麗に描く

■使用機材:SIIGMA fp L + SIGMA 135mm F1.4 DG Art
■撮影環境:絞り値::F1.4 シャッタースピード:1/200秒
露出モード:マニュアル WB:オート ISO800
カラーモード:ポートレート

自然光の影響の少ない場所で、わざと赤みのある室内灯を点けて撮影。明るいところで撮影して綺麗な描写なんて当たり前すぎるでしょうと、わざと暗めのミックス光で撮影してみましたが、これが大ハマリ。肌の明暗のグラデーションをとても繊細に描き出してくれるので、暗さと赤みがマッチして、しっとりとした情緒のあるポートレートに仕上がりました。

もともと筆者はSIGMA fp Lで撮影するときは、他のメーカーのカメラよりも露出を少し落として撮るのが好みなので、このレンズとの相性はバッチリでした。

モデルの主役感をさらに引き上げる、ふんわりとした優しいボケ味

■使用機材:SIIGMA fp L + SIGMA 135mm F1.4 DG Art
■撮影環境:絞り値::F1.4 シャッタースピード:1/500秒
露出モード:マニュアル WB:オート ISO100
カラーモード:ポートレート

ボケの綺麗なレンズなら、試してみたくなるのが前ボケでしょう。スタジオ前の木を前ボケに使用しました。細かい葉っぱなのにそんなことを感じさせない、水彩画のようにふんわりとした優しいボケを作り出してくれました。

モデルからそれほど離れていない後ろのドアもしっかりとボケているので、ピントを合わせたモデルの主役感がさらに引き立っています。

AFは、瞬時に合うほど素早い!というほどではありませんが、撮影に支障が出るほど遅いわけでもありません。大人数の団体撮影ではちょっと工夫が必要ですが、一対一でじっくり撮影できる個人撮影なら、そうストレスなく撮影できるAF性能でしょう。

見惚れるグラデーション

■使用機材:SIIGMA fp L + SIGMA 135mm F1.4 DG Art
■撮影環境:絞り値::F1.4 シャッタースピード:1/500秒
露出モード:マニュアル WB:オート ISO200
カラーモード:ポートレート

ポートレートで顔のアップを撮影するとき、両方の目にピントを合わせるか、任意のどちらかの目に合わせてもう片方をボカすかは、目的のある商業撮影でなければ個人の好みでいいと思っています。筆者は、片方の目をボカすほうが、何か言いたげなミステリアスなムードが高まるので多用しています。

開放F値1.4の大口径レンズだけあって、目にピントを合わせてもその前にある前髪は大きくボケて、モデルの顔だけで遠近感を作り出せるのはさすがです。

レンズ構成はFLDガラス4枚と非球面レンズ2枚を含んだ13群17枚で、13枚の絞り羽根は円形絞りを採用しています。色収差の補正、口径食の抑制により、中心部はもちろん四隅に至るまで、とろけるようなボケと自然なグラデーションを描き出しています。

シグマのArtラインのレンズは、どれもため息が出るほどグラデーションが美しいのですが、このレンズも例外なく見惚れるほどのグラデーションの描き方でした。

そこそこ重さのあるレンズなのでしっかり支えて撮影しましょう

■使用機材:SIIGMA fp L + SIGMA 135mm F1.4 DG Art
■撮影環境:絞り値::F1.4 シャッタースピード:1/250秒
露出モード:マニュアル WB:オート ISO400
カラーモード:ポートレート

このカットは、床に近いかなり低い位置から見上げるように撮影しています。本レンズの重さは1,430g(Lマウント)で、そこそこの重量があります。三脚を使用しないで撮影する場合は三脚座を外すか、自分から向かって右側に回して、レンズ部分を左手で下からしっかり支えると撮影しやすいでしょう。

レンズフードは装着して撮影することを推奨します。その分、全長が長くはなりますが、レンズ前面を見るとフードを付けたくなります。なぜかというと、レンズ面があまりにも綺麗で輝いているので、万が一にでもぶつけたりして、この輝きに少しでも傷をつけることは許されない!という気持ちになるからです。

レンズの大きさに比例せず、AF音は静か!

■使用機材:SIIGMA fp L + SIGMA 135mm F1.4 DG Art
■撮影環境:絞り値::F1.4 シャッタースピード:1/250秒
露出モード:マニュアル WB:オート ISO400
カラーモード:ポートレート

撮影最短距離は110cmですが、ポートレートで使用する分には不便を感じません。逆に、このように面の大きなレンズでグイグイ寄られたら、モデルさんがびっくりしちゃうかも。このボケ味だとテーブルフォトでも使用したくなると思うので、そのときは、もうちょっと寄りたいと思うかもしれませんね。

フォーカス音は、デュアルHLAの採用でレンズの大きさに比例せず静かです。ポートレートを撮るにはドキッとするほど大きなレンズですが、静かなAF音はその場のムードを壊さずに撮影ができます。

フレア、ゴーストの抑制もばっちり!

■使用機材:SIIGMA fp L + SIGMA 135mm F1.4 DG Art
■撮影環境:絞り値::F1.4 シャッタースピード:1/200秒
露出モード:マニュアル WB:オート ISO1000
カラーモード:ポートレート

今回は屋内、屋外共に色々な光線の状況で撮影しましたが、いずれのシーンでもクリアーで抜けのいい画が得られました。フレアとゴーストの抑制がしっかりされており、逆光耐性も強いと感じられました。

また、シグマンレンズはデザインが格好良いですね。シンプルながら使いやすい絞りリングと、動画撮影時に重宝する絞りリングのデクリック機構も搭載されています。今回はスチールのみの撮影でしたが、このレンズで動画を撮ったらどんな仕上がりになるのだろうと、とても興味を惹かれました。

眺めていても楽しいレンズ

■使用機材:SIIGMA fp L + SIGMA 135mm F1.4 DG Art
■撮影環境:絞り値::F1.4 シャッタースピード:1/500秒
露出モード:マニュアル WB:オート ISO100
カラーモード:ポートレート

当日は雨が降ったり止んだりと、不安定な天気でした。本レンズのボディは防塵防滴仕様で、レンズ最前面には撥水防汚コートが施されています。雨上がりで木から水滴が落ちてくる心配があるような状況でも、撮影を進められるのは助かりました。さすがに土砂降りの中では撮影しませんし、綺麗なレンズを汚したくないので、水滴にも気を配りますけどね。

そのサイズ感故に、撮影シーンを選ぶかもしれませんが、使えば間違いない描写が得られるレンズです。レンズ面の綺麗さも素晴らしいので、ぜひ、一度手にとってご覧いただきたい眺めていても楽しいレンズでした。

 

 

■モデル:大川成美
Instagram/X

■写真家:水咲奈々
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。日本写真家協会(JPS)会員。

 

 

関連記事

人気記事