パナソニック LUMIX G9PROIIで瞬間を切り取る|A☆50/Akira Igarashi

パナソニック LUMIX G9PROIIで瞬間を切り取る|A☆50/Akira Igarashi

はじめに

■撮影機材:Panasonic LUMIX G9PROII + LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4.0-6.3 II ASPH./POWER O.I.S. 
■撮影環境:ISO100 F9 1/500sec 焦点距離400mm 福岡空港

LUMIX G9PROIIは自ら「瞬撮フラッグシップ」と謳う通り、マイクロフォーサーズ規格のセンサーを搭載する静止画フラッグシップカメラとして2023年10月に発売されました。先代G9 PROの発売から約5年、Gシリーズでは初めて像面位相差AFを採用した意欲的モデルです。ヒコーキ撮影を含む動体撮影において重要視されるカメラの性能に、AF性能、手ぶれ補正の性能、連写性能など挙げられますが、そのどれもが先代よりもパワーアップ。さらに一瞬を捉えやすく進化しています。

マイクロフォーサーズ規格が望遠側を多用するヒコーキ撮影にフィットしている点として挙げたいのが、35mm判フルサイズセンサー搭載カメラに比べレンズの焦点距離が約2倍になること。今回はLEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4.0-6.3 II ASPH./POWER O.I.S.を多用しましたが、このレンズを開放F値そのままに200-800mmの画角のレンズとして使用できることに大きなメリットを感じました。

外観と携行性

オフィシャルホームページより

LUMIX G9PROIIのカメラサイズは134.3×102.3×90.1mm。本体重量は約575gで先代(約586g)とほぼ同様です。先代から大きく変わったのはカメラ本体のデザインで、Sシリーズの人気機種であるS5IIのデザインやボタン配置などを踏襲したボディを採用。LUMIX G9PROIIとS5IIを二台持ちし、それぞれの強みを活かして交互に撮影する際など、操作性が近く便利です。

マイクロフォーサーズ搭載機ながら、ボディは小さすぎず大きすぎずちょうど良い感じ。とくにヒコーキ撮影においては望遠~超望遠レンズを多く使うため、しっかりと握れるボディと動く機体を追いかけやすいカメラとレンズのバランスの良さを頼もしく感じました。

シャッターボタンの横にはホワイトバランス、ISO、露出補正の3つのボタンを配置。ファインダーで機体を追いかけながらこれらのボタンで数値を操作でき、非常に便利です。コンパクト性を追求するあまり、ボタンやダイヤル同士が接近しすぎて操作しにくいということもありません。手持ちでカメラやレンズを動かすことの多い動体撮影においても、非常にハンドリングしやすいカメラです。背面モニターはフリーアングル式を採用。水面リフレクションなどローアングルの撮影もやりやすくなっています。ヒコーキ撮影をする際にもっとも馴染み深い場所として空港の展望デッキが挙げられますが、こちらでよく見るワイヤーフェンスにレンズが干渉しにくいサイズ感というのもメリット。静止画のみならず動画の撮影もしやすくなっています。

LUMIX G9PROIIの画質1

■撮影機材:Panasonic LUMIX G9PROII + LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4.0-6.3 II ASPH./POWER O.I.S. 
■撮影環境:ISO100 F8 1/640sec 焦点距離350mm 大阪国際空港

カメラの心臓部には新開発、有効画素数約2521万画素Live MOSセンサーを搭載。フルサイズセンサーに比べ小さなマイクロフォーサーズサイズのセンサーは、被写界深度が深くフォーカスが合っているように見える範囲が広くなるため、ヒコーキ撮影にピッタリといえます。主に機体のみで写真を構成する場合、ディテールがどれだけ精細に描写されているか解像感が重視されることも多く、これはメリット。遠くの機体と遠くの背景を組み合わせることが多く、どちらかというとボケ味よりもカリカリ感を重視するからです。

「COLORS OF LUMIX」を謳うLUMIXのカメラだけあって、階調性豊かで色の出方も素直な印象。撮影後に現像などで手を加えずともレンズ性能をしっかり引き出す高品質な画を堪能できます。LUMIX G9PROIIには手持ち撮影可能な「ハイレゾモード」を搭載。駐機している機体など、最大約1億画素相当の生成画像で機体のディテールをさらに精細に表現できます。

LUMIX G9PROIIの画質2

■撮影機材:Panasonic LUMIX G9PROII + LEICA DG VARIO-ELMARIT 35-100mm/F2.8/POWER O.I.S. 
■撮影環境:ISO2500 F9 1/1250sec 焦点距離120mm 福岡空港

LUMIX G9PROIIにはダイナミックレンジブーストが装備されます。ダイナミックレンジはセンサーサイズの大きさによるところが大きく、35mm判フルサイズセンサーに比べマイクロフォーサーズサイズのセンサーはやや不利ですが、この機能によりフルサイズセンサー搭載機並みのダイナミックレンジ、ハイライトやシャドー部分の階調を実現しています。

GH6ではISO800など高感度から作動していましたが、LUMIX G9PROIIではISO100から作動。とくにこちらから機能を作動させる必要はなく、シーンに合わせてカメラが自動でダイナミックレンジブーストを作動させてくれます。高感度域の画質にも進化を感じます。輝度ノイズ、カラーノイズともに先代より目立たず、使えると思える感度が一段分は上がった印象です。

LUMIX G9PROIIのAF

■撮影機材:Panasonic LUMIX G9PROII + LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4.0-6.3 II ASPH./POWER O.I.S. 
■撮影環境:ISO200 F8 1/640sec 焦点距離400mm 大阪国際空港

LUMIX G9PROIIのヒコーキ撮影的に最大のトピックは、LUMIX Gシリーズ初の像面位相差AFを搭載したこと。とくに夜間など低輝度下で動く機体を撮影する時、AFの食いつきや追従性が大幅に進化した印象です。いくら良いセンサーを積んでいても、AFが被写体を捕まえてくれずピンボケ状態の画を記録していては意味がありません。ヒコーキを含む動体撮影では一瞬の捕捉をAFに任せる機会も少なくないため、この大幅なAF性能の進化には手放しで喜べます。

向かってくる機体への追従性なども問題ナシ。非常に精度の高い合焦性能を発揮してくれます。残念ながらヒコーキの認識にはまだ未対応ですが、リアルタイム被写体認識AFも進化。人物や動物に加えて、動物の瞳や車、バイクの認識にも新たに対応しています。

LUMIX G9PROIIの連写性能

■撮影機材:Panasonic LUMIX G9PROII + LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4.0-6.3 II ASPH./POWER O.I.S. 
■撮影環境:ISO400 F8 1/500sec 焦点距離250mm 熊本空港

連写性能はメカシャッター使用時は最高約14コマ/秒(AFS/MF使用)。電子シャッター使用時は最高約75コマ/秒(AFS/MF使用)となっていて、どちらも先代よりコマ数がアップしています。電子シャッターの進化、コマ数の多さに驚かされますが、メカシャッターのコマ数にも驚かされます。ひと昔前は超ハイスペックカメラに搭載されていたようなコマ数が、このクラスのカメラにまで装備されています。

G9 PROIIにはSHプリ連写記録という機能を装備。これは、シャッターボタンを半押しした状態でカメラ内に記録が開始されていて、シャッターボタンを全押しした状態から遡って記録がされているという機能です。ヒコーキ撮影では、真っ暗な中で月に機影が刺さるシーンなどで重宝。ここでは、機体の主翼にヴェイパーが発生してからシャッターボタンを押しても、ヴェイパーが発生し盛り上がった瞬間をしっかり記録できていました。LUMIX G9PROIIでは、1.5秒、1秒、0.5秒とさかのぼれる時間の設定が可能。この機能により、以前は捉えるのが難しかった画を容易に捉えることができるようになりました。

LUMIX G9PROIIの手ブレ補正

■撮影機材:Panasonic LUMIX G9PROII + LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4.0-6.3 II ASPH./POWER O.I.S. 
■撮影環境:ISO200 F8 1/200sec 焦点距離400mm 大阪国際空港

ボディ内手ブレ補正の効果は先代の6.5段から8段にパワーアップ。対応するレンズとの協調補正では最大7.5段の補正効果を得ることができます。望遠域の手持ち撮影が多いヒコーキ撮影においてもこの手ブレ補正効果は必要十分。シャッタースピードを稼げない時間帯での撮影、流し撮りなどで効果をしっかり体感することができます。静止画だけでなく、LUMIXが得意とする動画でも手ぶれ補正の効果は大。電子手ブレ補正などにより手持ちで走り撮りをした時に大きな効果を体感することができます。

まとめ

■撮影機材:Panasonic LUMIX G9PROII + LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4.0-6.3 II ASPH./POWER O.I.S. 
■撮影環境:ISO6400 F8 1/8sec 焦点距離400mm 大阪国際空港

35mm判フルサイズセンサーに比べ2倍相当の画角を得られる点、被写界深度が深めでかための表現をしてくれる点などマイクロフォーサーズ規格自体がヒコーキ撮影に適しています。さらにLUMIX G9PROIIでは待望の像面位相差AFを搭載しヒコーキ撮影を含めた動体撮影によりアジャストしてきた印象。先代から連写性能や手ぶれ補正機能の強化など、今までは難しいと感じることが多かった「瞬間」の切り取りを容易にしてくれたカメラ。ぜひ、撮影者自らが「おお!」となるような一瞬を切り取り、感動していただきたいと思います。

 

 

■写真家:A☆50/Akira Igarashi
またとない一瞬を追い求めヒコーキ、車中泊、下道を駆使して全国を放浪する瞬撮系航空写真家。幼少の頃より山下清画伯に憧れる。雑誌、WEBなど各種メディアに出演、作品を提供するかたわら大手航空会社やカメラメーカーなどのオフィシャル撮影を担当。公益社団法人 日本写真家協会会員。

 

 

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