シンプル&軽量な標準レンズで粋な撮影を楽しもう OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II
はじめに
2025年3月に発売されたOM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 IIは、開放絞り値がF1.8の明るい単焦点レンズだ。マイクロフォーサーズ規格に準拠していることから35mm判換算では実焦点距離25mmの2倍である50mm相当の標準域画角となる。2014年に発売されたM.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8のリニューアルモデルとして、光学設計と外装の基本デザインをそのまま継承したうえで、新たに防塵防滴に対応した製品だ。そこでここでは旧モデルとの外観比較に加え画質の検証を行うことでこのレンズの特徴を紹介しよう。
M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II の主なスペック
■マイクロフォーサーズ規格マウント
■焦点距離:25mm (35mm判換算50mm相当)
■レンズ構成:7群9枚(非球面レンズ2枚含む)
■最短撮影距離:0.25m
■最大撮影倍率:0.12倍(35mm判換算 0.24倍相当)
■フォーカシング機構:Movie and Still Compatible(MSC)機構
■絞り羽枚数:7枚(円形絞り)
■開放絞り値:F1.8
■最小絞り値:F22
■大きさ:最大径59.4mm 全長42.0mm フィルターサイズ46mm
■質量:156g (レンズキャップ、レンズリアキャップを除く)
■防塵防滴仕様:保護等級1級 (IPX1) OM SYSTEM / OLYMPUSの防塵防滴仕様カメラとの組み合わせに限る
レンズ外観





実写による解像力の検証
M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 IIをOM SYSTEM OM-1 Mark IIに装着して、絞りを開放F1.8からF22まで変えながら撮影した画像を、等倍に拡大して中央部および周辺部の画像の解像具合を確認する。

まず画像中央部の画像の解像感を比較。開放絞りF1.8ではほんの僅かな収差による柔らかな描写。F2.0~F4.0の間で解像力がもっとも高まり、F5.6~F8.0は安定した描写になる。F11を超えると小絞りの影響が出てくるようで解像感が徐々に低下し、F22では解像感が大きく下がる。
次に周辺部を確認する。開放絞りF1.8~2.0は柔らかな描写、F4.0からは描写が向上しF8.0までの間で解像力がもっとも高まりF11までは安定した描写となる。F16を超えると小絞りの影響により解像感が徐々に低下し、F22では影響がさらに大きくなる。
これらの結果から中央部および周辺部ともに開放F1.8~F2.0あたりまでは収差の影響で柔らかな描写となるが、F2.8まで絞ると解像力が大きく改善しF8.0~11あたりまでは安定した描写となる。F16以上に絞ると小絞りの影響が顕著となるが、等倍まで大きくして使用するなどでなければ気にするほどのものではないだろう。
これらを踏まえた結果、M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 IIはPROレンズほどの高い解像力とは言えないものの、スタンダードクラスのレンズであることを考えると十分な描写力を持つレンズであると言える。価格差やレンズの大きさ重さの差を考慮すれば積極的に選択する大きな理由となる。
M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II 実写作例

■撮影環境:F1.8 1/200秒 ISO200 絞り優先モード +1.0EV WBオート 仕上がりモードNatural S-AF 単写 S-IS Auto

■撮影環境:F1.8 1/1600秒 ISO200 絞り優先モード +0.7EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF 単写 S-IS Auto

■撮影環境:F2.0 1/2000秒 ISO200 絞り優先モード +0.7EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF 単写 S-IS Auto

■撮影環境:F4.0 1/25秒 ISO200 絞り優先モード +1.0EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF 単写 S-IS Auto

■撮影環境:F4.0 1/640秒 ISO200 絞り優先モード +0.3EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF 単写 S-IS Auto

■撮影環境:F2.8 1/250秒 ISO200 絞り優先モード +0.3EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF 単写 S-IS Auto

■撮影環境:F3.5 1/1600秒 ISO200 絞り優先モード +0.3EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF 単写 S-IS Auto

■撮影環境:F2.8 1/250秒 ISO200 絞り優先モード +0.3EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF 単写 S-IS Auto

■撮影環境:F2.8 1/2500秒 ISO200 絞り優先モード -0.3EV WBオート 仕上がりモードVivid S-AF 単写 S-IS Auto

■撮影環境:F1.8 8秒 ISO400 マニュアルモード WBオート 仕上がりモードVivid S-AF 単写 S-IS Auto ライブコンポジット178枚
撮影の醍醐味を存分に楽しめるミニマムな単焦点標準レンズ
M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 IIは旧モデルとほぼ同様の見た目と大きさ・質量のままでありながら新たに防塵防滴に対応したレンズだ。以前は防塵防滴レンズといえばPROレンズの特徴であったが、ここ数年はスタンダードクラスのレンズにも対応レンズが増えており、防塵防滴対応のカメラであるOM-1 Mark IIとOM-3、OM-5 Mark II(および防塵防滴対応の旧モデルカメラ)と組み合わせることで撮影可能なフィールドを大きく拡げている。
ただ同じ25mmの焦点距離を持つOM SYSTEMのPROレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」とはレンズの大きさや重さも全く異なることから、想定する被写体の棲み分けが明確に成されていることが判る。M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROは浅い被写界深度を活かした撮影で生まれるボケ味の良さを重視することで、人物ポートレートに最適なレンズ設計となっているのだ。
一方、M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 IIはその小ささと軽さが撮影者の負担を大きく軽減することで、スナップ撮影やテーブルフォトといった日常的なシーンでの取り回しの良さを重視する設計とされている。同時にアウトドアフィールドでのトレッキングなどに携行する際にはミニマムなカメラセットとして最適な選択肢となる。何よりストレートなスタイリングのOM-3や軽さと小ささが特徴のOM-5 Mark IIとの組み合わせでは、その効果を実感できるはずだ。
ところで35mm判における50mmレンズは、人が肉眼で見る視野の画角や遠近感に近いと言われていることから標準レンズと呼ばれている。つまりカメラに標準レンズを装着して撮影することで、人が日常的に認識する自然な光景を写真として表現することができる訳だ。もっともズームレンズのような画角調整の便利な自在さは得られないので、撮影者自らが被写体との位置関係を調整する必要がある訳だが、このあえて不便と思われる作業を行うことで、きっと構図をより洗練したものとすることができるはずだ。
ズームレンズの便利さからあえて離れ、M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 IIを装着したカメラ一台のみを手に出かけ単焦点レンズ撮影の醍醐味を味わう。このような粋な楽しみ方を提案してくれるレンズだ。

■ネックストラップ協力
https://oriental-hobbies.com/fs/camera/c/wotancraft
■写真家:礒村浩一
広告写真撮影を中心に製品・ファッションフォト等幅広く撮影。著名人/女性ポートレート撮影も多数行う。デジタルカメラ黎明期よりカメラ・レンズレビューや撮影テクニックに関する記事をカメラ専門誌に寄稿/カメラ・レンズメーカーへ作品を提供。国境離島をはじめ日本各地を取材し写真&ルポを発表。全国にて撮影セミナーも開催。カメラグランプリ2016,2017外部選考委員・EIZO公認ColorEdge Ambassador・(公社)日本写真家協会正会員













