新色登場!ニコン Zf シルバーをレビュー|写真家 ミゾタユキ
NEW ARRIBAL 新色Zfシルバー登場
クラシカルなデザインが人気のフルサイズミラーレスカメラ、Nikon Zfに待望の新色、シルバーが登場しました。2023年10月に発売した、往年の名機「FM2」にインスパイアされた“ヘリテージデザイン”を特徴とする「Zf」のカラーバリエーションモデルになります。フィルム時代のクロームメッキボディの質感を彷彿とさせるカラーは、APS-Cの「Zfc」よりも重厚感のあるトーン。光沢のあるブラックモデルとも一味違う、スタイリッシュな雰囲気を感じさせます。

部屋で単焦点キットレンズNIKKOR Z 40mmf/2をつけたZfシルバーを撮ってみました。ただそこに在るだけでオシャレ。手にとりたくなるビジュアルって大切ですね。
Nikon Zfの特徴
使いやすいダイヤルと操作感
シャッターボタンや電源スイッチをはじめ、シャッタースピード、露出補正、ISO感度のダイヤルは質感の高い真鍮製で、回したときの感触や音は五感に響く特別感。撮る前からうれしくなる感じがするから不思議です。ISO感度と露出補正ダイヤルに「C」があるので、カスタムするとさらに自分好みのセッティングで撮ることができます。

レバー操作でカラーからモノクロへ切り替えできる
他のミラーレスカメラにはないZfの特徴として、シャッターダイヤルの手前のレバーで静止画と動画の切り替えに加えてB&Wに変えることができます。カラーで撮っている中、今モノクロにしたい!という気持ちの変化に合わせてスムースに切り替えられるので気持ちがとぎれず撮影に集中できます。予め「フラットモノクローム」か「ディープトーンモノクローム」、どちらか好みを設定しておくのがおすすめです。

タッチ操作ができるバリアングルモニター
背面モニターを閉じると一体感を感じるデザイン。ファインダーも丸形で洗練された印象です。モニターはバリアングル式の3.2型でタッチパネル操作ができます。縦位置のアングルにすると撮影情報などの表示も縦向きになり、モニターの可動域の広さは動画を撮る方にも使いやすいです。細部も「Z8」と同等の防塵防滴でシーリングされ、気温0℃までの動作保証で安心です。

バッテリーは末尾のCを確認
Zfのバッテリーは「EN-EL15C」です。ニコンのカメラでEN-EL15のバッテリーは以前からありますが、末尾のアルファベットがc以外では撮影枚数、バッテリーの持ちが全然違うので、いくつか持っている方は気を付けたいポイントです。充電はAC電源のチャージャーではなく、type-Cのケーブルです。予備バッテリーを忘れたときに、モバイルバッテリーで給電できるので便利です。

プレミアムエクステリアは2color
ボディの人工皮革部分を張替えることができる「プレミアムエクステリア」には、シルバーボディに合わせて「ティールブルー」「モーブピンク」の新たな2色が登場しました。好みに合わせた外観のカスタマイズが可能です(有償)。
愛しさを形にしてみる
ニコンイメージングジャパン公式でもイメージトークが多いZfは「フィルムライクな質感を楽しむ」をキーワードに、ありのままではなく、「気持ち」を色で表現することを推しています。ピクチャーコントロールやクリエイティブピクチャーコントロールのほか、Nikon Imaging cloudに公開されているクリエイターさんのレシピをダウンロードして取り入れたり、自分らしさのアレンジを加えて幅広い表現を楽しみたい方にぴったりです。
Zfシルバーと単焦点キットレンズNIKKOR Z 40mm f/2で気軽にスナップをしました。クラシカルなカメラにはシンプルでコンパクトなレンズが似合います。ほかのZシリーズよりも、被写体や撮影シーンを決めずに持ち歩いて目に留まったときに撮りたくなるスタイルは、自分らしい写真が撮れるワクワク感がありました。

■撮影環境:絞り優先・F2.8 ・1/400s・+1.3・ISO400・WB曇天・メランコリック
街を歩いてふと見るとガラス越しにインパクト強めなオブジェがありました。自分の身長以上の大きさで、まるでSFのような光景でした。独特な雰囲気で見たままでも十分ですが、クリエイティブピクチャーコントロール「メランコリック」に明るさ調整をプラスしてモダンアートなイメージにしました。

■撮影環境:絞り優先・F2.8 ・1/125s・+1.0・ISO900・WB曇天
建物のレンガとブルーが店内の色とリンクしていたので、同系色のフレームのように見立てて、覗き見るアングルで捉えるとミニチュアのようになりました。絞り開放値f2のボケ感でニュアンスをいれて見せたい部分をシャープに。スマホでは表現できない空気感があると思います。

■撮影環境:絞り優先・F3.2 ・1/500s・+0.7・ISO400・WB曇天
ピクチャーコントロールの「リッチトーンポートレート」は「ポートレート」より色ノリがよく、シャドーが深めに描写できるので、曇り空でなんとなく薄くなってしまうシーンで色を濃い目に描写したいときなど、最近よく使っています。ガラスへの映り込みの色も描写できると少し絵画的な雰囲気。

■撮影環境:絞り優先・F4 ・1/800s・+0.3・ISO400・WB曇天・ディープトーンモノクローム
光と影があまりないフラットな光の時はフォルムや立体感をモノクロで撮りたくなります。レバーでB&Wに合わせるだけですぐに撮ることができるので、ファインダー越しの風景もいつも以上に自由な感覚でスナップできます。このレビューを書いているときは間に合いませんでしたが、ZfファームアップVer.3.00で粒状感を加えることで、さらにフィルムライクな描写になる「フィルムグレイン」が搭載されました。3段階の粒子サイズ、6段階の強度で表現できるので、この写真でもフィルムグレインでざらつきのある描写にしてみたかったです。


■撮影機材:Nikon Zf + NIKKOR Z 40mm f/2(SE)
■撮影環境:絞り優先・F4 ・1/125s・-1.3・ISO1100・WB晴天日陰
※after フレキシブルカラーコントロールを使用(カラーブレンダー・カラーグレーディング)
リッチトーンポートレートで撮影した写真をNikonの無料画像ソフトNX-Studioを使って色をアレンジしてみました。ピクチャーコントロールからフレキシブルカラーに設定し、カラーブレンダーとカラーグレーディングで調整しました。少し変えると写真の印象がシネマティックになるような感じがしておもしろいですね。

■撮影環境:絞り優先・F4 ・1/125s・+1.3・ISO1400・WB自然光オート
暖かみのある色合いにポップな色が入るとコントラストが際立ちます。40mmは開放側で撮るとやらかい描写になるのでナチュラルな雰囲気。ライトの反射も玉ボケになり透明感も写し出すことができます。

■撮影環境:絞り優先・F4 ・1/500s・+0.3・ISO800・WB自然光オート
写真の縦横比(アスペクト比)を16:9で。色を変えるように比率も変えて撮りたくなるので、ZfではAE-L/AF-Lボタンに撮像範囲選択を割り当ててカスタムしました。通常のFX(フルサイズ)ほか、DX(APS-C)/1:1/16:9から選ぶことができます。

■撮影環境:絞り優先・F3.2 ・1/250s・+1.0・ISO4000・WBオート1
目が合いました!逆光での毛並みもつぶれずに柔らかな質感や鼻の色もきれいで可愛い。フルサイズならではの空気感とボケで表情もより優しく感じられます。被写体検出AFの動物にすればピントも即座に合わせてくれます。Zfの被写体検出は9種類、人物、犬、猫、鳥、車、バイク、自転車、列車、飛行機です。人物の時はMFのときでもフォーカスエリアが目に移動するので、ピントを合わせやすくオールドレンズを使う方も安心です。

■撮影環境:絞り優先・F3.2 ・1/250s・+1.0・ISO1000・WBオート1
猫がじゃれている瞬間を近いところで撮るとピント合わせに苦労しますが、1秒に14コマの高速連写性能(拡張)と3DトラッキングのAFエリアが搭載されているので、動きが速いシーンでもしっかり狙うことができます。ISO高感度の画質もいいので、部屋の中でもノイズ感を気にせず高速シャッターで撮ることができ、ディテールが美しい描写もうれしいです。

■撮影環境:絞り優先・F3.2 ・1/400s・+1.0・ISO800・WBオート1
なでているのか、ポンとたたいているのか、どちらでしょうか。頭に手を置いた瞬間にお互いの表情は見えないけれど、写真1枚から想像するときは色やトーンが想像力を搔き立てます。可愛らしく表現したいので優しい雰囲気のトーンにしています。色の表現は自分が見たい景色になり、イメージできる世界観をつくることができるように思います。
まとめ
クラシカルなデザイン性と操作感がNikonのミラーレスカメラでは唯一無二の存在Zf。重厚感と品のあるシルバーでますます人気が高まる予感です。ボディに合わせた40mmf2もベストマッチ。作例では夜景を撮りませんでしたが、手振れ補正効果が8段分もあるので手持ちスローシャッターなど撮り方も多彩で楽しめそう。「フィルムライクな色」を意識したカメラに合わせて、自然と表現の自由度も高くなるのが魅力的。「フィルムグレイン」で表現の幅が広がり、自分だけの世界観を撮っていきたいと思わせるのがユニークです。
■写真家:ミゾタユキ
猫や日常、旅先でみつけた情景を作品として撮り続け、近年では2023年Nikon THE Galleryで「Pastel~夢をめぐる」、2024年FUJIFILM HoP Galleryで「Time to cross」個展を開催。カメラ誌やWEBでの執筆、カメラメーカーのセミナー講師、フォトコンテストの審査などを通じて写真の楽しさを伝える活動にも携わる。著書「カメラでパチリ へやねこ そとねこ」、共著「美しいボケの教科書」など多数。
撮影会&web講評「フォトプラネッタ」主宰
ニコンカレッジ講師
FUJIFILMメタバースHouse of Photographyアンバサダー
日本作例写真家協会会員【JSPA】


















