野鳥撮影は露出で決まる! ISO・絞り・シャッター速度の関係+撮影モードの使い分け
はじめに
私は現在、旅行社で撮影ガイドも行っています。ここで悩ましいのが、お客様のすべてが露出を理解しているわけではないという事。露出を「理解している」のが30%、「なんとなく」が50%、「理解していない」が20%という感じです。これは無理もない事で、フィルム時代はこの「露出」でほとんどの人が脱落をしていたからです。しかしデジタルになってからは撮影結果がすぐわかるようになり、明るさを失敗しても現場ですぐ補正ができるので露出の失敗が減りました。ましてや現行のミラーレスカメラはEVFが基本になり性能も大進化しているので、露出を理解していなくてもきれいな野鳥写真が簡単に撮れてしまう。しかし露出を理解できていないと「ただカメラが野鳥の写真を撮っている」だけになってしまいます。それでいいという方はいいのですが、上手になりたいと思う方には「もったいない」と感じていました。やはり写真の基本はピントと明るさなんです。
そこで露出を含めて、今回3回に分けてもう一度「野鳥写真的露出って何か」を解説したいと思います。
※基本どのメーカーにも共通事項ですが、ここではキヤノンのカメラを中心に書かせていただきます。

夜間ライトアップをしてリュウキュウコノハズクを撮影。ライトの角度的に右半分に光が当たっている。正面から光を当てたいところだが、ある表現ができる事に気がついた。そこでISO感度をISO51200まで上げてから顔の左半分が黒くつぶれるようにISO10000まで下げるとリュウキュウコノハズクの黄色い目を印象深く表現することができた。
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R7 + RF100-500mm F4.5-7.1 IS USM
■撮影環境:M F7.1 1/125秒 ISO10000 WBオート
露出の基礎の基礎の基礎
ここからは面倒なことが書いてありますが、できるだけわかりやすくしているはず?なので頑張って理解してください(笑)。
写真の露出(明るさ)は絞り・シャッター速度・ISO感度の三角関係で決まります。
写真を撮っていて明るすぎたり、暗く過ぎたりして「失敗」を経験したことがあるはず。
絞り・シャッター速度・ISO感度を調整する事で明るさが変わりますが、ほとんどの方がカメラ任せで撮影しているので、失敗の理由がわからないという状況だと思います。
「明るさなんてあとで、PCで修正ができるから」と気にしてない方も多いと思いますが、「あとで大きく調整したもの」と現場でしっかり露出の決定をしたものでは、結果に差が出ます。ですので基本をしっかりマスターしましょう!
適正露出と標準露出
露出には適正露出と標準露出があります。標準露出とはカメラが「OK」と判断した露出で、明るすぎず暗すぎない平均的な明るさで写しています。それに対して適正露出とは撮影者が表現したい明るさの写真で「ただ単に明るい、暗い」という失敗写真とはまったく違います。この二つの露出を混同されている方が多いのでぜひ理解してください。
※標準露出とはカメラが反射率18%グレーを基準に露出を決定します。簡単に言うと人の肌を中心に自然な明るさを表現できるようにしています。
▼明るさを変えた写真

逆光のツメナガセキレイを自動露出(オート)補正なしで撮影をすると、カメラが逆光の明るさを18%グレーにするため全体がアンダーになってしまう。
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + EF500mm F4L IS II USM + EF1.4xIII
■撮影環境:FV F5.6 1/1250秒 ISO640 WB太陽光


▼ローキーの写真

「バックが暗い+鳥が白い」という表現は、一眼レフ時代、露出を変えて数カット撮影した後モニターで確認して一番良いものを選んでいた。しかしミラーレス機ならファインダーで明るさを確認できるので「自分好み」の明るさにできる。この時はバックをまっ黒にしてダイサギの羽のディテールを出す事で、インパクトを強調してみた。
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF100-500mm F4.5-7.1 IS USM + RF1.4x
■撮影環境:FV F14 1/4000秒 ISO500 WB太陽光
▼ハイキーの写真

山茶花の植え込みの奥にナベヅルのペアがいた。手前の花に近づき、花を大きくぼかしてフレームに入れてみた。赤い花をピンクのパステル調にするため、ファインダーで明るさを確認しながら露出を+1~1.5EV(1~1.5段)変えて撮影をしてみた。
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF100-500mm F4.5-7.1 IS USM
■撮影環境:FV F7.1 1/2000秒 ISO800 WB太陽光
露出の基礎の基礎
露出を決める三角関係
野鳥を照らす光に対して露出を決定するのは絞り・シャッター速度・ISO感度の三角関係で決まります。下のイラストを参考に話を進めましょう。
標準露出はこの三角関係で決定します。
自動露出(オート露出)ではISOオートをONにすると以下のように各値が変わってきます。
シャッター速度を変えると絞りとISO感度の値が変わり標準露出を決定します。
絞りを変えるとシャッター速度とISO感度の値が変わり標準露出を決定します。
※ISOオートをOFFにするとISO感度は任意の感度に設定されるので、明るさはシャッター速度と絞りで変わり、標準露出を決定します。
| 光が強い時 | 光が弱い時 | |
| 小さい(F2.8 ) | 大きい(F22) | |
| ボケる | ボケにくい | |
| 遅い(1/8秒) | 速い(1/2000秒) | |
| 大きくなる | 少なくなる | |
| 明るい時は低く設定できる | 暗い時は高く設定 | |
| 少なくなめらか | ノイズが多くザラつく |
F値(絞り値)
F値はレンズの絞り具合を示す数値で、F値はレンズの焦点距離fを有効口径Dで割って計算されます。F値を小さく(F22からF2.8にする)することを「絞りを開く」と言い、レンズに取り込める光が多くなり、より明るい写真になります。逆にF値を大きく(F2.8からF22にする)することを「絞りを絞る」と言い、とレンズに取り込む光が減り暗い写真になります。ぶっちゃけ何が違うかと言えば、F値を小さくすれば被写体深度が浅くなるので、中心以外が大きくボケる事が特徴。逆にF値を大きくすれば中心の手前から奥までピントの合った写真が撮れます。
▼明るいボケのある写真

センダイハギに近づき花をパステル状にぼかしながら明るさを決定した。黄色の花のボケを画面に多くしているので、ファインダーで明るさとボケ具合を確認しながら撮影。自動露出(オート)の場合+1~1.5EVが必要になる。
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R7 + RF100-500mm F4.5-7.1 IS USM
■撮影環境:FV F8 1/4000秒 ISO400 WB
▼絞り込んだ写真

ハイマツの上で休息するライチョウのバックに立山を入れて狙う。広角レンズなので絞り込まなくても被写界深度は深いが、やはり少しでもパンフォーカスしたいのでF10まで絞り込んだ。
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R5 + EF16-35mm F4L IS USM
■撮影環境:M F10 1/2000秒 ISO400 WB太陽光
シャッタースピード
速いシャッタースピードにすると取り込める光の量は少なくなる分、野鳥の動きを止める事ができます。逆に遅いシャッタースピードにすれば多くの光を取り込めますが、手ブレや被写体ブレが目立ちやすくなります。たとえば青空バック(順光)で飛翔する場合は1/2000秒が目安で手ブレや被写体ブレを抑えた撮影できます。暗い場所で動かない野鳥を撮る場合は、1/10~1/60秒にすることでISO感度を低くした「きれいな写真」を撮ることができのです。
※スローシャッターの場合三脚使用かカメラのホールディングをしっかりすることでブレを抑える事が必要になります。
▼高速シャッターの写真

高速シャッターを使用する場合、明るさが足りないと絞りを開けるかISO感度を上げる事になる。野鳥撮影では基本、絞り開放なので1/4000秒で水飲みをするハリオアマツバメの動きを止めるため、ISO5000にした。マニュアル露出での明るさの設定はファインダーで確認しながら調整した。
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + EF500mm F4 L IS USM + EF1.4xIII
■撮影環境:M F8 1/4000秒 ISO5000 WBオート
▼ブレた写真

船に乗って飛び立つケイマフリを高速連写で狙う。1/1000秒に設定したのは「たぶん顔のブレは止められる」と確信していたから。そして翼の動きは止められない=ブレるように想定。これで躍動感を出すことができると確信。鳥の動きによって止められるシャッター速度が違うのであとは経験的に覚えるしかない。
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF100-500mm F4.5-7.1 IS USM
■撮影環境:FV F7.1 1/1000秒 ISO2000 WBオート
ISO感度
ISO感度はセンサーが受け取る光に対する感度を表し、ISO感度を上げると暗い場所でも明るい写真を撮ることができます。ただし上げ過ぎると高感度ノイズの目立つ写真になります。明るい時は低めのISO感度にすることできれいな写真を撮ることができます。
目安としては晴れた屋外ではISO100~ISO800、暗い場所ではISO1000~6400がいいでしょう。
▼感度の低い写真

明るい環境であればISO感度を下げても、速いシャッター速度を得ることができる。ましてや明るい開放絞り値のレンズであればなおの事。しかし大口径の明るいレンズ=超高価なので誰でも使う事が難しい。しかしそのようなレンズがある事は知っておいたほうがいい。
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF600mm F 4L IS USM
■撮影環境:FV F4 1/2000秒 ISO160 WB太陽光
▼高感度ノイズが目立つ写真

F2.8という明るいレンズであっても被写体をある程度大きくしたいので1.4倍のテレコンを装着してF4で撮影。この時、肉眼ではツバメを確認ができないような状況だったが手ブレを防ぐため1/125秒を確保してISO感度を40000まで上げると、アシの穂で眠るツバメがはっきりと見えた。かなりノイズが目立つがこの状況で撮れることに驚いた。
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF400mm F2.8 L IS USM + RF1.4x
■撮影環境:FV F4 1/125秒 ISO40000 WBオート
露出決定に「自分は何を優先するのか?」
さて、ここで一番の問題は「自分は何を優先するのか?」です!
まず速いシャッタースピードを優先して、飛翔する野鳥の動きを止めたいのであれば、必然的に1/2000~1/8000秒のシャッタースピードが必要になります。開放F値で撮影する場合、ISO感度で露出を調整しなければいけません。明るい場合はいいのですが、暗い場所ではISO感度を大幅に上げる事により「高感度ノイズの荒れ」を受け入れなければなりません。どちらも嫌だという場合、高価な明るいF値のレンズを使用する事になります。
風景的なパンフォーカスの効いた写真が撮りたい場合、野鳥が大きな動きをしないことが前提ですが、ISO感度を下げて(ISO100~200)F値を11~16にすると、被写界深度が増した野鳥のいる風景的な写真を撮ることができます。しかしシャッター速度は遅くなるので、手ブレ防止に三脚使用したり、カメラを木や車の窓枠などにしっかり固定して手ブレを抑えた撮影が必要になります。
「自分は何を優先するか?」ノイズの少ない低感度のなめらかな写真?高感度ノイズは目立っても動きを止めた瞬間的なシーン?自分がどのような写真を撮るかが重要になりますので、撮影シーンに合わせて自分の優先順位を選べるようにしましょう。「この設定ですべてOK」は初心者の時だけにとどめ、ステップアップするには「何を優先するか?」を常に考えましょう。
戸塚的野鳥撮影術
意図しない場合、絞りは「開放絞り」にするので、明るさ調整はシャッター速度かISO感度で調整している。
露出(明るさの違いを体感する)
ここまでいろいろ書いてきましたが、理解できましたか?
文で読むと何やら難しいですよね?よくわからないから、もっとわかりやすくできないかと思いますよね?そこで提案をしましょう!
現在のミラーレス機のファインダーは直感的にわかりやすくなっています。それがEVF:電子ビューファインダー(Electronic View Finder)です。ミラーレス機はすべてこれになります。最大の利点はファインダーの中の明るさが、そのまま仕上がり写真に反映されるからです。
ファインダーの中の明るさの変化を体感するためには、まず撮影モードをM(マニュアル露出)にしてください。そこで絞りをF5.6、シャッター速度1/500秒、ISO感度を1000に設定したあとファインダーを覗きながら絞り、シャッター速度、ISO感度をいろいろと動かしてファインダーの中の明るさを調整してみましょう。ここで明るさの変化がわかると思います。あとはファインダーの中で自分が「きれい」と感じた状態があなたの「適正露出」となります。シャッター速度、ISO感度を駆使して、自分が撮りたいシーンにどう活用するかを考える事になります。
露出の基礎
現行のレンズ交換式ミラーレスカメラには、状況に応じて使い分けられる複数の撮影モードがあるので説明しましょう。
AV(絞り優先モード)
フィルム時代は一番使われた機能で、今でも使う方が多い撮影モードです。絞りを開放(一番小さな値)にすることで速いシャッター速度を確保できるので、動くことが前提の野鳥には重宝されています。風景的なパンフォーカスの効いた撮影には絞り込むことが基本です。しかしむやみに絞り込むと、枝が混みあったような場所では周囲がごちゃごちゃした「汚い写真」になることもあります。
ISOオートだとシャッター速度とISO感度で標準露出を決定します。
ISOオートをOFFにした場合、自分で決めたISO感度に固定されるので、シャッター速度だけで標準露出を決定します。
TV(シャッター優先AE)
この撮影モードを使っている方も多いでしょう。1/2000秒などに設定した場合、絞りを開放値にしても明るさが足りないとカメラはISO感度をガンガン上げて標準露出にします。高感度ノイズが目立つ写真になる場合がありますが、動きを止める撮影には向いています。逆にスローシャッター1/8~1/60秒で「流し撮り」を演出する場合も便利です。サギなど動きがあまりない鳥の場合、川の流れをシルキーに表現して静と動を同じフレームに入れる事もできます。
ISOオートがONだと絞りとISO感度で標準露出を決定します。
ISOオートをOFFにした場合、自分で決めたISO感度に固定されるため絞りを変えて標準露出を決定します。
FV(フレシキブルAE)
キヤノンではEOS Rから標準装備された撮影モードで、私がメインに使っている機能です。私はあらかじめシャッター速度と絞りを決めて、明るさはISO感度をメインダイヤルで調整しています。似たような機能はニコンではずいぶん前から装備されていたので、他メーカーにもあると思います。言ってみればオートとマニュアル露出のいいとこ取り?のようなものでしょうか。
私は、飛翔する野鳥は基本1/2000秒、とまっている野鳥は1/60~1/500秒を基準にしています。絞りは開放にして、ファインダーで明るさを確認しながらメインダイヤルを使い、ISO感度を調整(撮影中にもダイヤルを回すだけで明るさを変えられる)します。
これは以前に比べて高感度ノイズが飛躍的に改善されたことで、今はこの撮影モードをメインに使っています。この場合ISOオートは必ず外すこと。外さないとこの機能は使えなくなります。
戸塚的野鳥撮影術 どのシャッター速度が良いの?
戸塚はシャッター速度をケースバイケースで設定している。
とまりもの&動きが少ない場合 1/60~1/500秒
動きが多少ある場合 1/250~1/1000秒
小鳥の飛翔など 1/4000~1/8000秒
大きな鳥の飛翔など 1/500~1/2000秒
P(プログラムAE)
ミラーレス機以前では露出決定に悩んだ時にはとても重宝した撮影モードでした。ISO感度をオートにしてあれば、絞り・シャッター速度・ISO感度をカメラが標準露出になる様にしてくれます。
プログラムAEモード使用時は以下のようになります。
ISOオートだとシャッター速度とISO感度と絞りをカメラが調整して標準露出を決定します。
ISOオートをOFFにした場合、自分で決めたISO感度に固定されシャッター速度と絞りで標準露出を決定します。
A+(全自動撮影)
ほぼPと同じですが、初心者向けと考えていい撮影モード。
M(マニュアル露出)
絞り・シャッター速度・ISO感度を、撮影者の意図通りに調整しながら明るさを変えて撮影できます。基礎がわかっていれば上記の自動撮影モードよりも使いやすいかもしれません。フィルム時代は今ほどカメラの露出計が優れていなかったので外部の露出計も使って露出を決定をしていましたが、現在のミラーレス機ではファインダーを覗くことで写真の明るさが決定できるので、露出がしっかりとわかっていれば使いやすいと思います。
明るさが変わらない!?そんな時は露出補正
露出補正はFV,Mには適用されません。AV/TV/Pなどの自動露出(オート)での撮影時に適用されます。露出補正とは、カメラが自動設定した標準的な露出を意図的に明るくしたり暗くしたりする機能です。特に明暗差が激しい雪や青空バック、白や黒い被写体などカメラが標準露出をはじき出せない場合に使います。露出補正で得た露出が「適正露出」となり、+1EVで1段明るく、-1EVで一段暗く撮影できます。
戸塚的野鳥撮影術 ISOオートはON? OFF?
戸塚は基本OFF。+シャッター速度&絞りを固定。明るさはISOで調整している。
ISOオートは天候により日差しがころころ変わる時などには、他の設定を変えなくてもいいのでとても有効だ。
▼順光オートの写真

順光で緑バック。ツメナガセキレイの体色はバックに近い黄色=明暗差が無いのでM/FV以外の撮影モードはどれでもほぼ同じ明るさになるが、シャッター速度・絞り・ISO感度は、モードごとに多少の違いが出る。
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + EF500mm F4L IS USM + EF1.4xIII
■撮影環境:FV F5.6 1/2000秒 ISO320
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF100-500mm F4.5-7.1 IS USM + RF1.4x
■撮影環境:FV F9 1/100秒 ISO12800 WBオート
18%グレーに近いズグロミゾゴイの体色だが、手前が明るく奥が暗いシーンだとオートの場合バックの暗さを明るくしようとするので、左のような明るさになる。そのため-1EV程度補正をすると右のような写真になる。
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF100-500mm F4.5-7.1 IS USM
■撮影環境:FV F10 1/125秒 ISO400 WB太陽光
ルリビタキがちょうど影に入り、周囲は直射日光が当たり明暗差が激しい。日の当たる場所をカメラが18%グレーにしようと暗くすると影の中のルリビタキはつぶれてしまう。オートの場合+1.5EV(1.5段)明るくすることで身体の色を出すことができる。
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF100-500mm F4.5-7.1 IS USM + RF1.4x
■撮影環境:FV F10 1/2500秒 ISO3200 WB太陽光
これはみなさんよくやっているのでは?青空バックで飛翔するタカを撮ったら黒くつぶれてしまった!「身体の色が出したかったのに」という場合、基本+1EV補正(1段)をするとアカハラダカの下面の模様と色がはっきりでる。明るくし過ぎると失敗するので注意が必要。
白い鳥は青空と反射率が近いので補正なしでも大丈夫だったりするが、カラスのような黒い鳥では+2EVくらいの補正が必要になる。
▼青空バックの白い鳥

青空に白い鳥は、基本補正は不要だ。ミラーレス機はファインダーで明るさを変えられるので、好みで調整しよう。この写真ではタンチョウの下は雪面で、タンチョウの下面が雪のレフ版効果で照らされることで美しさが倍増している。
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R6 Mark II + RF200-800mm F6.3-9 IS USM
■撮影環境:FV F9 1/3200秒 ISO500 WB太陽光
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R1 + RF200-800mm F6.3-9 IS USM
■撮影環境:FV F9 1/2000秒 ISO2000 WBオート
雪面に黒っぽい鳥+曇り空なので、写真にメリハリがない。雪のトーンは少し飛ばすことになるが、+1~1.5EV(1~1.5段明るくする)補正するとカワガラスの茶色い身体色がはっきりとわかり、目の位置も目立つようになる。
まとめ
だいたいお分かりになりましたか?始めたばかりでよくわからない方は、まず「全自動(AUTO)かP」で撮影してみましょう!きれいな野鳥が撮れる喜びを味わってください。撮影していて「失敗を経験」されたら、もう一度この記事を読んでみてください。「なぜ失敗をしたのか?」を探してみましょう。そしてマニュアル露出や露出補正を撮影中の暇な時間に実践してみることで、きっと「答えのヒント」が見つかると思います。露出をマスターすることで上達への道が一気に広がるはずです。

青空バックに飛翔するツバメチドリ。オートなら+1EVで大丈夫。明るいレンズだったので、翼の動きを止めるため1/3200秒にしたが、ISO200という低感度で撮影ができた。
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R5 + RF100-300mm F2.8 L IS USM + RF1.4
■撮影環境:FV F4 1/3200秒 ISO200 WB太陽光

曇りの朝、コチョウゲンボウの飛び立ちを狙うが暗い。1.4倍のテレコンを使用したため、余計に暗くなってしまった。1/2000秒で動きを止めるためISO25600まで上げるとノイズは目立つが飛び立つ瞬間を写し止める事はできた!
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF100-500mm F4.5-7.1 IS USM + RF1.4x
■撮影環境:FV F10 1/2000秒 ISO25600 WBオート

高速で水面に突き刺さり魚をくわえて浮上するが、飛び立つ前の一瞬で飲み込んでしまう。何とか魚をくわえているシーンを狙うため、1/2500秒に設定。あわせて魚とカツオドリの目にピントが来るように1段絞った。
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM + RF1.4x
■撮影環境:FV F14 1/2500秒 ISO1250 WB太陽光

タンチョウは大きな鳥なので、多少距離があっても広角レンズでタンチョウとわかる写真が撮れる。広角レンズの場合、雪面でも補正はしなくてもいい。カメラを雪面に置きバリアングルでローアングル撮影を試みた。パンフォーカス効果を期待して、F10に絞り込んだ。ISO200の低感度でも1/2000秒で撮影できたので手ブレはまったくなかった!
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF24-105mm F4 L IS USM
■撮影環境:M F10 1/2000秒 ISO250 WB太陽光

木の枝で眠るエゾフクロウのヒナを狙う。手前の枝が若干邪魔だが、解放絞りにしたことと+1.5EV(1.5段明るく)した事で手前の枝ボケて、目立たなくなった。そして新緑の空バックなのでヒナの白い羽毛がハイキーっぽくなり、よりもふもふ感を出すことができた。
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R7 + EF500mm F4L IS USM
■撮影環境:FV F4 1/500秒 ISO1600 WBオート

清流+白い川底+濃い水草+陽が強く当たり、色がとびかけたオシドリ。超難しい条件だが、オシドリの動きを最低限止められそうな1/800秒にして、ファインダーを覗きながらオシドリの色が出るように周囲の明るさを調整。以前は悩んでいてチャンスを無くしたシーンにもミラーレス機のEVFはチャンスを逃さない。
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
■撮影環境:FV F7.1 1/800秒 ISO200 WB太陽光

月のクレーターの模様がわかるように月で露出を決定。マガンはシルエットにして、動きを止められる1/2000秒を選びISOをISO1000に設定。月に入る瞬間を待ち連写で対応した。
■撮影機材:撮影機材:CANON EOS R5 Mark II + RF200-800mm F6.3-9 IS USM
■撮影環境:M F9 1/2000秒 ISO1000 WB太陽光
おまけですがフィルム時代、超望遠の安価なレンズは開放絞りでは使えませんでした。理由は色のにじみやピントが甘くなるためです。考えてみれば当たり前で、例えば10万円のレンズと100万円の物が同じではないからです。私がキヤノンのLレンズを愛用しているのは開放絞りでもこの悪影響が出ることが無く、開放絞りが使える=速いシャッターが使えるからです。しかしミラーレス機全盛の今、安くても「悪いレンズ」は見当たりませんので、まずは解放F値で撮ってみましょう。もしイマイチだなぁと思ったら絞りを1段くらい絞ると(F4をF5.6、F7.1をF8)ピントの合った写真を撮ることが可能でしょう。他のメーカーにもある設定だと思いますが、キヤノンのカメラには「明瞭度」を設定することができます。結果を見ながら設定しておくと見た目「カリッ」とした写真が撮れると思います(私は+2に設定)。自分で好きな値を探してみましょう!
■野鳥写真家:戸塚学
幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから野鳥の撮影にのめり込む。「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどに多数発表。
・日本野鳥の会 会員
・西三河野鳥の会 会員
・日本自然科学写真協会(SSP)会員





















