キヤノン EOS RPレビュー|小型レンズとも好相性。持ち歩きしやすいフルサイズミラーレス

GOTO AKI
キヤノン EOS RPレビュー|小型レンズとも好相性。持ち歩きしやすいフルサイズミラーレス

はじめに

こんにちは。写真家のGOTO AKIです。今回レビューするのは2019年3月発売のキヤノン「EOS RP」です。

「なぜこのモデルを今レビューするの?」という声が聞こえてきそうですが、「EOS RP」は発売から4年経った今も売れ続けている大人気カメラ。発売当初は少なかったRFレンズの本数が2023年3月現在30本となり、お好みのレンズと組み合わせる楽しみが増えてきました。

あらためて「EOS RP」の魅力に触れてみようと撮影旅行へ行ってきましたので、早速チェックしていきましょう。

デザイン・外観

有効画素数2620万画素のフルサイズカメラでありながら、ボディの質量は約485グラムと超軽量。横幅約132.5mm、高さ85mmの小型ボディで持ち運びがしやすいコンパクトなサイズが魅力です。グリップはカメラを指先で深くホールドできる設計で、手から安心感が伝わってきます。手のサイズが大きめの方はエクステンショングリップ「EG-E1」を装着するとさらに持ちやすくなるでしょう。

カメラ上部の操作系は至ってシンプルです。モードダイヤルは撮影シーンに合わせてカメラが全自動で適切な設定を行う「シーンインテリジェントオート」、撮影シーンをさらに細かく分類して設定する「SCN=スペシャルシーンモード」のかんたん撮影ゾーンと「FV、P、TV、AV、M、B」の応用撮影ゾーンに分かれています。エントリーユーザーにも馴染みやすい視認性の高いモードダイヤルです。

このほか撮影でよく使うのは、メイン電子ダイヤルとサブ電子ダイヤルです。それぞれ絞り、シャッター速度、露出補正、ISO感度などの設定を表現の意図に合わせて調整します。

液晶モニターは視野率約100%で7段階の輝度調整が可能です。自然風景は外で撮影することが圧倒的に多いため、反射などでどうしても見にくい時は濃いグレーか黒のA4サイズの紙(折り曲げられる薄い紙でOK)でモニターを覆って画像を確認するといいでしょう。液晶はタッチパネルで、ピントを合わせたい箇所をタッチしたり、スマホ操作と同じように2本指で拡大・縮小できるなど直感的な操作が可能です。

バリアングル液晶モニターは、前方向に約180°、後ろ方向に約90°、水平方向に約175°に展開します。ローポジション、ハイポジションでの撮影時に無理な姿勢なく撮影でき、自由な構図で撮影が楽しめます。

SDカードは標準的な「SD/SDHC/SDXCメモリーカード」を使用します。バッテリーは「LP-E17」で、1日中撮り歩くには容量がやや足りないかなという印象です。予備のバッテリーかモバイル充電器があると、いざという時活躍するでしょう。

高速AF 0.05秒を実現

「EOS RP」は小型軽量ということで、自然風景の現場でも手持ちで撮影していくスタイルが向いています。キヤノンのAF技術、デュアルピクセルCMOS AFは撮像面の広い範囲(横約88%、縦約100%の範囲)での測距が可能で、使用レンズに応じて最速で0.05秒の高速オートフォーカスを実現しています。体感的にはいいなぁと思った瞬間にAFが合い、サクサクとシャッターを切ることができる印象です。

次に、小型軽量の単焦点RFレンズ「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」との組み合わせで撮影した作例を見ていきましょう。

■撮影機材:Canon EOS RP + RF35mm F1.8 MACRO IS STM
■撮影環境:F1.8 1/4000秒 ISO100

「EOS RP」を片手に歩いた海沿いの遊歩道から、火山活動の痕跡である荒々しい岩の表情をF1.8で前ボケを作り、遠近感を強調して捉えました。AFは写真画面の右1/3にある岩に瞬時に合わせてシャッターを切っています。

■撮影機材:Canon EOS RP + RF35mm F1.8 MACRO IS STM
■撮影環境:F1.8 1/1600秒 ISO100

海辺の森に光が射し込み、葉の葉脈と色彩が艶やかに光っていました。絞り数値をF1.8に設定して、AVモードで撮影し、ピントは一点AFで葉に合わせ背景を大きくぼかしています。軽いレンズとの相性がとてもよく、最短撮影距離17センチまで近づいて手持ちで撮影しています。

■撮影機材:Canon EOS RP + RF35mm F1.8 MACRO IS STM
■撮影環境:F1.8 1/1250秒 ISO100

同じく海辺の森の中で、歩きながら、なんとなくいいなぁと思った瞬間に「EOS RP」で軽やかにシャッターを切った一枚です。何か特定の被写体を狙いすまして撮るよりも、ふと出会った自然の表情や光など、撮影者の視線そのままに記録できる操作性が快適です。作例写真は、絞り数値F1.8でピントを合わせた箇所はシャープに描写し、空間的な奥行きはボケで表現しています。

■撮影機材:Canon EOS RP + RF35mm F1.8 MACRO IS STM
■撮影環境:F5.6 1/500秒 ISO100

岩の質感を描写するために、F5.6で撮影しました。「EOS RP」も「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」も決してハイエンド向けのカメラやレンズではないのですが、それでもここまでシャープで高画質なのは驚きです。類似色の差異も美しく再現されています。

■撮影機材:Canon EOS RP + RF35mm F1.8 MACRO IS STM
■撮影環境:F5.6 1/1250秒 ISO100

次は岸壁の下へカメラとレンズを向け、画面中央の海面にAFを合わせています。岩と水、質感も色彩も異なる被写体の表情を再現し透明感も感じます。

バリアングルで新鮮な絵作り

■撮影機材:Canon EOS RP + RF24-105mm F4 L IS USM
■撮影環境:F8 0.6秒 ISO100

カメラを水面ギリギリの岩場に置き、バリアングルで構図を整え2秒タイマーでシャッターを切りました。岩場の質感だけでなく、川の奥行きも捉えた作例です。バリアングルを使えば、普段肉眼では見ることができない新鮮な絵作りが楽しめます。作例は夕方のフラットな光での撮影でしたが、岩の立体感の描写は見事です。

上の写真の撮影現場です。ファインダーを覗けない時や三脚が使えないシーンでバリアングルモニターが活躍します。

シャープな解像感とグラデーション

「EOS RP」に標準ズームのLレンズ「RF24-105mm F4 L IS USM」を装着した作例をみてみましょう。解像感のピークは絞り開放値から2~3段絞ったF8前後で、被写体の質感や色彩を繊細に捉えています。

■撮影機材:Canon EOS RP + RF24-105mm F4 L IS USM
■撮影環境:F11 1/20秒 ISO400

絞り値をF11に設定して光芒を描写。画面いっぱいに色彩が広がるように切り取りました。黄、オレンジ、赤の微妙な色の違いもしっかりと表現しています。

■撮影機材:Canon EOS RP + RF24-105mm F4 L IS USM
■撮影環境:F8 1/250秒 ISO400

木々の繊細な枝の表情と色彩だけでなく、シャドウ部の葉の表情も細かに描写しています。

手ブレ補正機能があるRFレンズと組み合わせて

「EOS RP」自体にはボディ内手ブレ補正機能はついていませんが、手ブレ補正機能があるRFレンズ単体と組み合わせればスローシャッターの撮影が手軽に楽しめます。

以前にShaShaの記事でご紹介した「RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM」、「RF24mm F1.8 MACRO IS STM」、「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」、「RF24-105mm F4-6.3 IS STM」、「RF85mm F2 MACRO IS STM」などの小型軽量レンズとの組み合わせは、軽くて手持ち撮影もしやすいため個人的におすすめです。

■撮影機材:Canon EOS RP + RF24-105mm F4 L IS USM
■撮影環境:F11 0.8秒 ISO100

曇天の冬の森は日中も薄暗く光量は少なめの撮影現場でした。レンズのISをオンにして、手持ちで撮影した一枚です。ピントは岩場に合わせています。1/15秒~1秒ぐらいの、遅すぎないスローシャッターはIS機能がついたレンズを使って丁寧に撮れば三脚なしでもブレずに撮れるでしょう。

上の写真の撮影シーンを、焦点距離を変えて捉えた動画クリップです。ピクチャースタイルは風景モード、ホワイトバランスは太陽光で撮影しています。「EOS RP」は動画の守備範囲も広く、高感度ISO12800での4K撮影、4Kタイムラプス、フルHDではフレームレート60Pに対応した撮影が可能です。日常ユースには十分なスペックですね。

まとめ

今回は小型軽量のフルサイズミラーレスカメラ「EOS RP」のインプレッションをお届けしました。ハイスペックすぎない使いやすさ、小型のRFレンズとの相性の良さで短期の旅行や身近な被写体の撮影にぴったりです。本文では触れませんでしたが、お値段的にも10万円台前半で買えるというコストパフォーマンスの良さも魅力的です。

選べるRFレンズのラインナップが増えた今だからこそ、積極的に「EOS RP」という選択はアリではないでしょうか?

 

 

■写真家:GOTO AKI
1972年 川崎生まれ。1993~94年の世界一周の旅から今日まで56カ国を巡る。現在は日本の風景をモチーフに創作活動を続けている。2020年日本写真協会賞新人賞受賞。日本大学芸術学部 准教授・武蔵野美術大学造形構想学部 非常勤講師・キヤノンEOS学園東京校講師。

 

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