キヤノン EOS R6 Mark II レビュー|バランスの良いミラーレス機

はじめに
こんにちは。杉本です。今回はCanonのEOS R6 Mark IIのレビューです。
僕が現在使っているメインカメラの一つです。高い次元でまとまった非常にバランスの良いカメラですが、今回は実際に現場で写真を撮った感触も交えてカタログとは違う面からもアプローチしたいと思います。
基本性能

■撮影環境:105mm 1/320 f8.0 ISO100
冒頭でカタログとは違った面からもと言ったのですが、最初はカタログ的なスペックの紹介をさせてください。なんだかんだ基本性能は機材選択においてとても比重の大きい項目だと考えています。いくつか基本的な性能を紹介します。
以下公式サイトより引用。
約2420万画素※1の新しい35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載。EOS R6から画素数がアップしたことで解像感も向上。新シャープネス処理で、EOS 5D Mark IV(約3040万画素)を凌ぐ解像性能を達成※2しています。
映像エンジンDIGIC Xとの連携で、低ノイズ・高感度、高速連続撮影性能、6Kオーバーサンプリングによる4K動画など、さまざまな進化を果たしています。※1 RF/EFレンズ使用時。使用するレンズまたは画像処理により、有効画素が減少することがあります。
※2 ISO12233準拠のCIPA解像度チャートでの評価、ピクチャースタイルの初期条件にて。
実際にサードパーティ製のレンズを使ったからといって大きく低下することはないと思うのですが、RF/EFレンズ使用時と公式には注釈が入っています。
僕はこの画素数こそがこのカメラ最大の魅力だと思っています。現在の市場には高画素機が多く存在します。
以前にも書きましたが一億画素という一昔前では考えられないような機材もあり、5000万画素などでは驚くこともなくなってしまいました。そういったいわゆる高画素機からすると少ない画素に感じますが、あえて一言で言い切ってしまうと2420万画素で十分です。少なくとも日常使いや展示でこの画素で足りないというのはかなり特異なケースです。一般的な仕事の範疇でも困ったことは全くありません。
むしろデータ管理において2420万画素という取り回しの良さこそがメリットになっています。編集時におけるPCスペックも過度に求められることはなくスムーズな写真の扱いを可能にしています。高性能さと裏腹に気軽に写真が撮れる、扱えるというのは大きなメリットです。
またダブルスロットでSDカードが2枚差し込めるようになっていますのでデータ残量や重さを気にするとこなく撮影できますし、バックアップの面からも安心して使用できます。同じデータを双方のSDに記録したり、JPEGとRAWを分けたりといった個々による運用の違いもできますから安心して撮影に望めると思います。
余談ですが僕はLeica Qを長いこと愛用しているのですが、そちらもデータが軽い方がいいと考えて初代を使用しています。Q2、Q3と機能が高くなるにつれ画素数も上がっています。Qのレビューを書く機会があれば細かく書きたいと思います。
また5軸対応、最大8.0段の手ぶれ補正を搭載しています。僕はポートレートを撮影する機会が多く人物側の人の動きがありますから、基本的には低速でシャッターを切る機会はそこまでないのですが、手持ちで撮影可能な領域が広がるということはそのまま表現の自由度が高まることに他なりません。特に夕日や、日が沈んだ後の時間には強い味方になってくれると思います。
そのほかにも4K動画撮影やAF機能の向上、シャープネス処理など様々な特徴があるのですが、全て書いていると機能の紹介で終わってしまうので細かいところは以下のメーカーの公式サイトを見てみてくだい。
撮って出しの綺麗さ

■撮影環境:50mm 1/400 f8.0 ISO100
RAWをそのまま書き出しました。とてもあっさりしていて素直な状態です。この程よい優しい色味が編集しやすいと思っています。目に優しい雰囲気なので長時間撮影していても疲れにくいですし、肌の色や黒の出力も良いのでレタッチ工程まで含めてストレスなく写真と向き合えると感じています。
昨今のカメラの進化を考えれば特定のメーカーのRAWデータが著しく優れていたり、劣っていたりということは考えにくいと思っています。好みの領域かなと思うものの、背面液晶も含めてすっきりした色味とコントラストで好印象です。上の写真でもハイライトから山のシャドウの部分まで豊かな諧調で撮影できているのが見て取れると思います。広いダイナミックレンジも相まって仕上がりの自由度が高いので、安心して撮影に集中できるのは嬉しいポイントです。
質感と解像感

■撮影環境:105mm 1/320 f8.0 ISO320

■撮影環境:105mm 1/160 f8.0 ISO100
これらの写真は絞って最も望遠側の105mmにして撮影したものです。1枚目はビニール袋、2枚目はサビが浮いた鉄ですが質感はしっかり残っています。シャープの処理に優れていて細かく描写できています。画素数以上に解像感を感じると思います。レンズの性能もありますがしっかりと写したいという撮り手の要望に答えてくれる性能を備えています。
2枚目はISOを100にしたまま手ぶれ補正でいけるかなと思って撮影しました。ブレてはいませんね。ただここまで近寄るとf11くらいまで絞らないと少しボケてしまいますね。わずかなペンキの浮き具合でもボケてしまうので絞るか、いっそ画素数と解像度の高さを利用して少し離れて撮ってトリミングするといった判断でも良さそうです。
機材の性能が高いとアウトプットまでの道筋のパターンを増やすことができます。僕個人としてはこの質感を誤魔化さない解像度の高さとシャープ具合をとても気に入っています。
丁寧な仕上がりを目指す

■撮影環境:1/2500 f1.8 ISO320
桜の写真です。昨今のカメラであれば当然ですが、広いAFポイントを持つので開放で端の方に被写体を配置しても瞬時にAFが合います。ダイナミックレンジが広いので桜の色や空の色、緑の部分など情報がしっかり残っています。撮影後にPCで編集するという方が多いと思いますが、編集時にある程度自由に調整してもノイズが乗ったりしにくいのでそこも含めて楽しめると思います。
この写真はレビューということもあり少し強めに、色を濃く仕上げています。ここまで濃くしても問題ないので安心してレタッチや現像に取り組めると思います。
持ち運び性能
ここまで撮影した写真をベースに話してきましたが、持ち運び性能はとても大切です。特に重さですね。バッテリーとカード1枚で約670g(公式より)と記載されています。小型のカメラと比べてしまうとそれなりに重いですが、この性能の一眼カメラと考えれば特段重くもないので、まぁこれくらいはするよね、みたいな重さです。
レンズを付けるとさらに重くなりますが、ボディのグリップ感が良いので撮っていてしんどいみたいなことにはならないと感じています。重さはレビューするのが難しいですね。
個人の体格や身長、首から下げるのか手に持つのかでも感じ方が違うので、購入前に販売店やメーカーで持ってみて判断するしかないのかなと思います。個人的には少し太めのストラップを付けると安心感もあるし疲れにくいと思っています。このカメラには購入時に付属する公式のストラップを付けています。
しっかり両手で構えて撮影するカメラなので高性能な手ぶれ補正とも相性がよく、安心感があります。

■撮影環境:65mm 1/320 f4.0 ISO100
バリアングルモニターで視野が広がる

■撮影環境:70mm 1/400 f4.0 ISO100
以前にレビューを書いたEOS 5D Mark IVは背面液晶が動かないカメラでした。今回のEOS R6 Mark IIはバリアングルモニターになっていますので、高い位置や低い位置からの撮影のしやすさは格段に向上しています。水平も維持しやすいですし非常に便利な液晶になっています。
液晶は固定のものや、チルト、バリアングルなど好みが分かれるポイントですが僕は使いやすいと思います。個人的に良いカメラの条件に「使用時にストレスがないこと」があると考えていてこのカメラはまさにそれで、スマートにあらゆる環境に対応してくれるのでありがたいです。僕にとっては撮影に集中させてくれる頼れる相棒です。
終わりに|他の選択肢も魅力的

■撮影環境:40mm 1/500 f5.6 ISO100
画素がもっと欲しいという方はEOS R5(有効画素4500万画素)や、軽量の優先度が高いという方にはEOS R8など広い選択肢が用意されています。センサーがAPS-Cでも良いということであればEOS R10もとても良いカメラです。ご自身がカメラになにを求めるのか、どんな機能が充実していれば嬉しいのかを考えてマッチするカメラを選ぶとハッピーだと思います。
RFレンズも現在は非常に充実していますし、アダプターを持っていればEFレンズも使えますのでレンズ資産を活かしたままミラーレスに移行することも可能です。非常に使いやすいカメラですのでぜひ皆さんも選択肢に入れてみてください。
■写真家:杉本優也
東京都生まれ東京都在住。妻を撮影し続けている活動がテレビメディアに特集されたことを機に、フォトグラファーとしてのキャリアをスタートさせる。ライブ撮影やメーカーへの作例提供、機材レビューなどの活動をしている。