人気フォトグラファー中西学が教える腕時計の選び方 〈前篇〉その日のカメラに合わせて腕時計をチョイスする楽しみ

中西学
人気フォトグラファー中西学が教える腕時計の選び方 〈前篇〉その日のカメラに合わせて腕時計をチョイスする楽しみ

はじめに

ティーンエイジャーの頃からファッションに関心が高かった私は、プロのフォトグラファーになっても、ジャケットとパンツをコーディネートするように、その日に使うカメラにどんな腕時計を合わせるか――日々、楽しんでいます。昔からカメラ好きは時計好きとよく言われますが、私の場合はカメラのボディにカスタムを施したり、腕時計のストラップを替えたり、ファッション的な要素をさりげなく取り入れるのがポイント。今回は4パターンのスタイリングを初披露させていただきます。

ライカQ2 ダニエル・クレイグ×グレッグ・ウィリアムズ&オメガ シーマスター ダイバー300M 007エディション

カメラと腕時計のスタイリングで大切にしているのは親和性です。その最たる例がこのコンビネーション。私は英国情報局秘密情報部(MI6)に所属するスパイ、ジェームズ・ボンドを主人公とする映画『007』シリーズが大好き。とりわけ前作まで主役を演じていた6代目ボンド役のダニエル・クレイグの大ファンです。彼が主演した5作品は何度も見直すほどの熱が入っています。

だから、ダニエル・クレイグと写真家のグレッグ・ウィリアムズがコラボした「ライカQ2」の特別モデル(世界限定750台)にはぞっこん。このライカを持って撮影に出るときに合わせるのは、オメガの「シーマスター ダイバー300M 007エディション」。これ以外あり得ないくらいの相性です。

このQ2前面に位置する「Leica」ロゴはそれまでの同ブランドに存在しなかったゴールドとブラックのコンビ。操作部分の数字や文字、ストラップをかけるアイレットにはゴールドが使われており、特別なリュクス感が漂っています。

一方、2021年公開の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』に合わせてリリースされた「シーマスター ダイバー300M 007エディション」は、文字盤のインデックスやベゼルの数字を彩っているトロピカル・ブラウンがヴィンテージの趣きを醸し出します。どこかレトロな雰囲気と機能的ながら高級感を醸し出す佇まい。ライカとオメガという全く異なるブランドにもかかわらず、「ジェームズ・ボンド」という稀代のキャラクターがひとつの世界観を作り上げるのです。

また、ダニエル・クレイグ自身が元々ライカの熱狂的なファンであり、もうひとりのコラボ相手である同じくライカのヘビーユーザー、写真家のグレッグ・ウィリアムズの2人が、この特別モデルのデザインにアイデアを出したというストーリーに気持ちが高まります。

このシーマスターのケース素材は軽量ながら堅牢なチタン。同様にチタンを採用したメッシュタイプのブレスレットもスタイリッシュで気に入っています。そして、ライカQ2が水滴の侵入を防ぐ特殊シーリングを施しているのに対して、シーマスターはダイバーズウォッチに相応しい300m防水。機能性の高さも競い合っているというわけです。

実はこのシーマスターの文字盤上に「007」の文字がありません。そのため、「007」エディションだと気づかない人が少なくない。ところが、裏を返すとケースバックに小さく「007」のロゴが刻まれています。こんなさりげないディテールが気に入っているのです。
●オメガ シーマスター ダイバー300M 007エディション ケース径:42mm ムーブメント:自動巻 300m防水

ソニー VLOGCAM ZV-1 & ファーウエイ ウォッチバズ

私はスチル写真だけでなく、ムービーも撮るビデオグラファー。動画撮影の際に愛用しているのがソニーの「ZV-1」で、誰でも簡単にVlog(Video Blog)が撮れるように設計されたコンパクトデジタルカメラですが、ワンタッチでボケ感を調整できるなど、小さいサイズながら便利な機能が満載です。

まさにVlog時代の申し子ともいえる「ZV-1」を携えて出かけるときは、スマートウォッチであるファーウエイの「ウォッチバズ」で決まり。最初に紹介したライカとオメガが高級感溢れるハイブランドだとしたら、この組み合わせの共通点は最新テクノロジーでガジェット的な楽しみ方ができること。気軽に扱えることも魅力で、出動頻度が高い組み合わせでもあります。

「ZV-1」のボディにデザート迷彩のスキンシールを貼り、「ウォッチバズ」のストラップはレザーからラバーに替えて、自分流にカスタマイズしています。昔から軍モノが好きなので、カメラや腕時計にもミリタリーのテイストを盛り込んで楽しんでいるのです。

このスマートウォッチ、一見したところオーソドックスな姿なのですが、実は身体の状態をモニタリングして健康データをチェックできる優れモノ。睡眠の質、血中酸素レベル、ストレスなどスマホ用アプリと連動させて管理することが可能なのです。

さらに驚きなのが、小型のワイヤレスイヤホンを内蔵していること。イヤホンはマグネット吸着式で、ケースの内部に収納したまま充電。取り出しもスムーズで、使いたいときにはすぐに装着できるのは非常に便利。こんな腕時計、ほかにありません。
●ファーウエイ ウォッチバズ ケース径:47mm ムーブメント:クオーツ

ソニーα7R V & チューダー ブラックベイ クロノ S&G

ソニーのミラーレス機「α7R V」とレンズ「Gマスター」の組み合わせは「最高峰」の名に恥じません。そんな最高峰のボディ&レンズに相応しいのは、チューダーの「ブラックベイ クロノ S&G」。このブラックベイはチューダーのフラッグシップ・モデルであり、ストップウォッチ機能を備えたクロノグラフはスポーツウォッチの中でも最高峰といってもよいでしょう。まさに、「α7R V」と「Gマスター」で撮影する日に、これ以上ふさわしい腕時計はありません。

また、S&GつまりS=ステンレスとG=ゴールドというモデル名の通り、この腕時計はステンレススチールとイエローゴールドのコンビ仕様。ダイヤルやベゼルのタキメーター刻印、そしてリューズにはイエローゴールドが採用されています。イエローゴールドはプレミアム感があるのですが、ブレスレットまでコンビ仕様だと、ラグジュアリー過ぎる印象も。そのため、コンビのブレスレットをNATOストラップに付け替えています。この方がスポーティだし、イヤらしくならないという意図があるのです。

「α7R V」はフルサイズミラーレスαの高画素モデルRシリーズの5世代目であり、現行モデル。有効約6100万画素は4代目からそのままに「AIプロセッシングユニット」を搭載したことで、被写体検出の精度がアップ。対する「ブラックベイ クロノ S&G」も41mmのケースにクロノメーター認定の高精度ムーブメントを搭載。しかも、200m防水という高スペックを誇ります。この組み合わせは完璧です。
●チューダー ブラックベイ クロノ S&G ケース径:41mm ムーブメント:自動巻 200m防水

富士フイルム X-H2 & ルミノックス ネイビーシールズ

かなり高い頻度で行動を共にするのが、富士フイルム「X-H2」とルミノックス「ネイビーシールズ」のコンビです。とにかく、両者とも使い勝手がいい。スペックが高く、使いやすい上に、サクッと手に取って撮影に行ける手軽さが気に入っています。
「X-H2」はフルサイズではなくAPS-Cサイズのセンサーながら、4020万画素を誇る「Xシリーズ」のフラッグシップ。40コマ/秒の高速連写中もAF/AE追従できるスペックの高さが特徴です。

そして、腕時計はルミノックス「ネイビーシールズ」をチョイス。ルミノックスはミリタリーウォッチで名高い米国ブランド。アメリカ海軍特殊部隊などで採用されている“本物”のミリタリープロダクトです。このモデルは、オールブラックの精悍さが魅力ですが、オメガのような高級ウォッチではなく、気軽に扱えることもヘビーローテーションの所以かもしれません。

スチル写真にも動画撮影にも便利なオールマイティさが魅力の「X-H2」に対して、「ネイビーシールズ」も機能性では引けを取りません。ダイバーズウォッチらしく、200m防水性能&逆回転防止ベゼルを搭載。そして、何と言っても最大の特徴は自己発光システム「ルミノックス・ライト・テクノロジー」で、ボタン操作や外部の光源なしで約25年間、針や文字盤、ベゼルの数字が発光し続けます。これは、腕時計の世界でも唯一無比の機能です。

また、ここでも私のカスタマイズ好きが顔をのぞかせていて、オリジナルはラバーベルトでしたが、私はカーキのNATOストラップに替えることで、ゴツさをおさえています。
●ルミノックス ネイビーシールズ ケース径:45mm ムーブメント:クオーツ 200m防水

おわりに

このように、今回は4パターンの「カメラと腕時計のスタイリング」をお見せしました。撮影の内容に合わせてカメラとレンズを選ぶように、身に着ける腕時計をスタイリングする楽しみをそこに加えてみる。撮影とはコミュニケーションです。もし、被写体となるモデルがカメラと腕時計のスタイリングに気づいてくれたら、しめたもの。そこから会話が始まり、やわらいだ関係性が築ければ、もっと質の高い写真に仕上がるかもしれない。みなさんも「このカメラだから、あの腕時計」の妙味を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

撮影:ShaSha編集部

■写真家:中西学
岡山県出身。一般企業に勤めながら、独学で写真&動画を始める。フリーランス転向後、2011年からは自らの個展も開催。いち早くドローン技術を取り入れ、日本の絶景写真を撮り始める。2020年開催の個展「躍動」では富山県高岡市の伝統文化やそれを後世に受け継ぐ人々を中心とした撮影を行う。富山に限らず、日本の四季や伝統文化をオリジナリティ溢れる視点やカラーで表現するを常に意識し活動を行っている。2022年にはNetflixで展開中のULTRAMAN写真展「Inhnritance」開催。

​Microsoft(MCT)
公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
dji CAMP Specialist
SONYαアカデミー講師
FUJIFILM Xフォトグラファー
​DavinchResolve18 Certifild Trainer

 

 

 

人気記事