レンズやアクセサリーで写真は変わる!いつもと違った春のイメージを撮ってみよう!

坂井田富三
レンズやアクセサリーで写真は変わる!いつもと違った春のイメージを撮ってみよう!

はじめに

梅や桜、菜の花やチューリップ、ネモフィラ、芝桜といった花が咲き、色鮮やかで撮影が楽しくなる春、これからいろいろと撮影スケジュールを考えている方も多いと思います。今回はいろいろなレンズやアクセサリーを使って、様々な表現をしてみた作例とちょっとした撮影のアイデア、テクニックなどをご紹介します。

いつもと違った春のイメージ撮影(レンズ編)

■撮影機材:SONY α7R V + Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS
■撮影環境:シャッター速度1/1000 絞りF4 ISO200 焦点距離16mm

最初は広い景色を広角レンズで撮影する場合です。カメラをローアングルで撮影してみると、より景色を広く感じる撮影ができます。
特にお花畑が広がるシーンなどで有効です。絞りを絞るのではなく、絞りを開けて奥にピントを合わせることで手前がアウトフォーカスになり、広角レンズでも奥行き感を演出することができます。

次は望遠レンズで撮影する場合です。望遠レンズを使用することで街中でも、近くの公園でもどこでも春の風景を大胆に切り取ることができます。望遠レンズのよる効果は、画角が狭くなる事による圧縮効果と大きな背景のボケの効果を得られることです。

■撮影機材:SONY α7R V + TAMRON 35-150mm F/2-2.8 Di III VXD
■撮影機材:シャッター速度1/500 絞りF2.8 ISO800 焦点距離225mm(APS-Cクロップ撮影)

絞りを開けることにより、望遠レンズの効果と相まって大きな背景ボケの効果を得ることができ、被写体を浮き立たせて印象的に撮影する事ができます。特に同色系の背景を活用することで全体的に柔らかい印象を作り出すことができます。撮影の際には、背景になる部分の角度を変えたり場所を移動したりして撮影をしてみましょう。

次にマクロレンズです。春のお花撮影に大活躍するレンズとして近接撮影が可能なマクロレンズは、広角レンズや望遠レンズとは違った世界の撮影が可能になります。

マクロレンズの近接撮影機能を利用した撮影テクニックとしてガラスを使ったものを紹介します。桜の季節に車で出向いた先で撮影したものになります。少し桜が散り始める頃、車の窓に舞い散ってきた桜の花びらが印象的だったので、車の室内からフロントガラスに乗った花びらを撮影してみました。
背景になる場所を少しコントロールしながら撮影したり、舞い落ちてきた花びらをアレンジして配置したりする事で普段とは違った撮影をする事も可能です。機会があればチャレンジしてみてはどうでしょうか?

■撮影機材:Canon EOS 5D Mark III + EF100mm F2.8Lマクロ IS USM
■撮影機材:シャッター速度1/6000 絞りF2.8 ISO200 焦点距離100mm
■撮影機材:Canon EOS 5D Mark III + EF100mm F2.8L マクロ IS USM
■撮影機材:シャッター速度1/750 絞りF2.8 ISO200 焦点距離100mm

マクロレンズの中でも少し特徴のあるレンズがあります。筆者のお気に入りのレンズの一つでもあるキヤノン「RF100mm F2.8 L MACRO IS USM」です。このマクロレンズは、ボケ描写を自由に変えられる「SAコントロールリング」を搭載しているのが大きなポイントです。
「SAコントロールリング」は、球面収差を変化させることができる機能で、ユーザーの好みに合わせた自由なボケ描写を実現してくれます。

キヤノン「RF100mm F2.8 L MACRO IS USM」
球面収差を変化させることができるSAコントロールリング機能を搭載

下の写真は「RF100mm F2.8 L MACRO IS USM」で撮影したもの。「SAコントロールリング」を+端にして撮影したもので、背景のボケの輪郭が強調されたバブルボケのような表現になっています。

■撮影機材:Canon EOS R8 + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM
■撮影機材:シャッター速度1/2500 絞りF2.8 ISO200 焦点距離100mm

いつもと違った春のイメージ撮影(フィルター編)

■撮影機材:SONY α7 R III + Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS
■撮影機材:シャッター速度1/500 絞りF16 ISO400 焦点距離16mm
※marumi サーキュラー CPLフィルター使用

今あるレンズとフィルターの組み合わせで、ワンランクアップの撮影にチャレンジしてみませんか?フィルターには様々な種類があり、手持ちのレンズと組み合わせるだけで普段とは違ったイメージで撮影する事が可能になります。
今回は、定番のPLフィルター、NDフィルターに加えグラデーションNDフィルター、ホワイトミスト、レインボーハロなど少し変わり種フィルターまで様々なものをご紹介します。

定番のPLフィルターは、反射光をコントロールすることで、鮮やかな発色やコントラストが得られます。風景写真撮影には定番のフィルターで、水面やガラス面、樹葉、建物などの表面反射を抑えたり、青空をより鮮やかにして被写体本来の色彩を引き出します。

ここでは水のある春の風景で、あえて水面の反射を強調させるのにPLフィルターを使った作例を紹介します。PLフィルターはフィルターを回転させる事でその効果を調整しますが、青空の下の水面に青色をあえて強く反射させる事で、イメージを大きく変えることができます。

下の写真は、川辺の桜の散り始めに撮影したもので、使っているレンズは高倍率の標準ズームレンズですが、ピントは水面に流れる花びらに合わせてPLフィルターで水面反射を強め、青空の色を川に映し込んでいます。

■撮影機材:SONY α1 + タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD
■撮影機材:シャッター速度1/80 絞りF10 ISO200 焦点距離79mm
※marumi サーキュラー CPLフィルター使用

次に紹介するフィルターは「ホワイトミスト」です。「ホワイトミスト」フィルターの効果は、ハイライトとシャドウのコントラストを抑え、全体を淡い色調にしつつ、ほんのりと柔らかな描写をします。逆光時にはオールドレンズのフレアのように、光に包まれるような拡散効果が得られます。

ケンコーから発売されている「ホワイトミスト」フィルターには、「ホワイトミストNo.1」と「ホワイトミストNo.05」の2種類があり、「ホワイトミストNo.05」は「ホワイトミストNo.1」の半分の効果になります。

左:ケンコー「ホワイトミストNo.1」 右:ケンコー「ホワイトミストNo.0.5」

「ホワイトミスト」フィルターは、柔らかい春のイメージを表現するのにマッチしたフィルターで、手軽に雰囲気を変えた写真の撮影が可能です。

■撮影機材:SONY α7R V + FE 100mm F2.8 Macro GM OSS + 2.0X テレコンバーター(SEL20TC)
■撮影機材:シャッター速度1/800 絞りF5.6 ISO800 焦点距離200mm
※ケンコー「ホワイトミストNo.1」フィルター使用

次は少し個性的な特徴があるケンコーのフィルター「レインボーハロ」です。被写体を包み込むような渦巻き状のボケで主役を際立たせるレンズフィルターになります。

ケンコー「レインボーハロ」フィルター

光の取り込み方で虹色のリングやゴーストを出すことができ、肉眼で見えている世界とは大きく異なる幻想的な写真の撮影が可能になります。レンズの焦点距離によってフィルター効果も大きく変わるので、ズームレンズで使用すると焦点距離の変化によって異なるイメージの作品をいくつか作ることが可能です。また絞りの値によっても効果が変化するので、撮影の際に様々な効果を確認しながら撮影を楽しむ事ができます。

■撮影機材:SONY α6700 + E 18-135mm F3.5-5.6 OSS
■撮影機材:シャッター速度1/1250秒 絞りF5.6 ISO200 焦点距離109mm
※ケンコー「レインボーハロ」フィルター使用
■撮影機材:SONY α6700 + E 18-135mm F3.5-5.6 OSS
■撮影機材:シャッター速度1/800秒 絞りF5.6 ISO800 焦点距離93mm
※ケンコー「レインボーハロ」フィルター使用

「レインボーハロ」はフィルター径が82mmの一種なので、フィルター径が82mm以外のレンズを使用する場合は、ステップアップリングなどで調整する必要があります。フィルター径に合わせていくつもステップアップを用意するのもいいのですが、ここで便利アイテムを一つご紹介。H&Yから発売されている「REVORING(レボリング)」という商品です。

REVORINGは1つのフィルターを様々なレンズに取り付け可能な可変式ステップリングです。絞り羽根の原理を応用した構造で、1つのフィルターを複数の口径のレンズに取り付けることを可能にしてくれる便利なアイテムです。

H&Y 可変式ステップリング REVORING(レボリング)
ケンコー「レインボーハロ」フィルターを、H&Yの可変式ステップリング「REVORING」でレンズに装着した状態

次の写真はグラデーションNDフィルターの活用です。青空などを広く構図に入れた風景を撮影する際に効果を発揮します。空の部分とメイン被写体となる部分の明暗差を調整するためによく使用するフィルターです。グラデーションNDフィルターの多くは、グラデーションの位置を調整しやすいように角形のタイプのシステムがほとんどです。

フィルターの濃度やグラデーションの種類もいろいろとありますが、今回使用しているのは、一番使いやすい「ソフト」タイプとH&Yから新しく発売された「ミディアム」タイプです。
左:「ソフトGND」 中:「ミディアムGND」 右:「ハードGND」

H&Yから発売された「ミディアムGND」は、「ソフトGND」と「ハードGND」のギャップを埋める中庸なグラデーション幅。特に標準ズームなどでは、広角端から中望遠域に至るまで境界がなじみやすく、望遠レンズ+ソフトGNDでは効果がわかりにくい、あるいは超広角+ハードGNDでは境界が目立つようなシーンで役立つフィルターになっています。

グラデーションNDフィルターありなしの効果の違い
左:H&Y 100x150mm Kシリーズ GNDフィルター「Medium GND 8」使用
右:フィルター無

青空を鮮やかに表現するのによくPLフィルターを使用しますが、太陽の位置によってはPLフィルターの効果が得られない場合もあります。そういった場合には、グラデーションNDフィルターを使用することで空の濃度とメイン被写体の濃度を調整することできます。

■撮影機材:SONY α7R V + LK SAMYANG AF24-60mm F2.8
■撮影機材:シャッター速度1/400 絞りF2.8 ISO100 焦点距離60mm
※H&Y 100x150mm Kシリーズ GNDフィルター「Medium GND 8」使用
■撮影機材:SONY α7R V + FE 20mm F1.8 G
■撮影機材:シャッター速度1/160 絞りF1.8 ISO800 焦点距離20mm
※H&Y 100x150mm Kシリーズ GNDフィルター「Medium GND 8」使用

最後はフィルターの合わせ技です。下の青空が池に映り込んでいる写真は3種類のフィルターを重ねて使用しています。

フィルターの1枚目はPLフィルターで、PLフィルターを使用する事で池の水面の反射を強め、青空の青色の映り込みを強調させています。2枚目のフィルターはGNDフィルターで、空の明るさと池の明暗差を調整しています。反射面はどうしても空の実像部分よりも暗くなるので、空の部分にGNDフィルターをあて露出を落として全体の明暗差を調整します。

3枚目のフィルターは高濃度のNDフィルターの使用です。今回はND1000という高濃度のNDフィルターを使用しています。ND1000はカメラに入ってくる光の量を10段分減らす効果があり、日中の明るさでもスローシャッターで撮影することができます。下の写真で高濃度のNDフィルターを使用した理由は、公園内にいる人の気配を消すために使用しています。実際にこの構図内には何人かの人がお花見を楽しんでいましたが、スローシャッターで長秒撮影する事によって、動いている人の姿を消すような撮影ができます。

■撮影機材:SONY α7R V + LK SAMYANG AF 14-24mm F2.8 FE
■撮影機材:シャッター速度25秒 絞りF16 ISO100 焦点距離14mm
※CPLフィルター + ソフトGND8フィルター + ND1000フィルター使用

次の写真は、フィルター2種を重ねて撮影した写真になります。

■撮影機材:SONY α7R IV + FE 70-200mm F2.8 GM OSS
■撮影機材:シャッター速度13秒 絞りF16 ISO100 焦点距離300mm(APS-Cクロップ撮影)
※CPLフィルター + ND1000フィルター使用

フィルターを使うことによって、普段の風景を少し違った世界で表現する事ができます。また組み合わせによってより違った風景やイメージを作り出すことも可能です。

いつもと違った春のイメージ撮影(特殊レンズ・オールドレンズ編)

■撮影機材:SONY α7R V + Tokina SZ 300mm PRO Reflex F7.1 MF CF
■撮影機材:シャッター速度1/250 絞りF7.1 ISO400 焦点距離450mm(APS-Cクロップ撮影)

次は少し変わったレンズやオールドレンズと呼ばれるものを使って撮影した作例を紹介します。最初に紹介するレンズは、リングボケが特徴のミラーレンズです。最近ではほとんど見られなくなったミラーレンズですが、TokinaからSZ PROシリーズとして各マウントで発売されています。フォーカスはマニュアルになりますが、小型軽量の特徴のレンズです。

小型軽量のミラーレンズ「Tokina SZ 300mm PRO Reflex F7.1 MF CF」

なかなか使いどころが難しいレンズにはなりますが、望遠レンズの効果と背景やアウトフォーカスになる輝度の高い部分がリング状になり、他のレンズにはない独特な表現になるのが魅力のポイントです。

■撮影機材:SONY α6400 + Tokina SZ 300mm PRO Reflex F7.1 MF CF
■撮影機材:シャッター速度1/2000 絞りF7.1 ISO800 焦点距離450mm(APS-Cクロップ撮影)

次は、オールドレンズからソフトフォーカス系のレンズを紹介します。ソフトフォーカスレンズは、収差による柔らかい表現をするレンズで独特の写りをします。これまでに紹介してきたレンズよりもやや難易度はあがりますが、現代のレンズにはないレトロな収差を活かした表現ができるのが魅力です。

比較的入手のしやすいソフトフォーカスのオールドレンズを3本ピックアップしてみました。

左:キヨハラソフト VK70R 70mm F5
中:SMC PENTAX SOFT 85mm F2.2
右:ケンコー MC SOFT 85mm F2.5

最初はキヨハラ光学の「キヨハラソフト VK70R 70mm F5」です。オールドレンズのソフトフォーカスとしては、中古市場で割と流通量が多く、マウント種も豊富なので選びやすいレンズです。

■撮影機材:SONY α7R V + キヨハラソフト VK70R 70mm F5
■撮影機材:シャッター速度1/1000 絞りF5 ISO100 焦点距離70mm
※マウントアダプター焦点工房使用

次のレンズは、「SMC PENTAX SOFT 85mm F2.2」です。こちらのレンズはソフトフォーカスに加えて独特なグルグルボケの描写が特徴のレンズです。

■撮影機材:SONY α7R III + SMC PENTAX SOFT 85mm F2.2
■撮影機材:シャッター速度1/1600 絞りF2.2 ISO200 焦点距離85mm
※マウントアダプター焦点工房使用

最後は「ケンコー MC SOFT 85mm F2.5」です。ケンコーと言えばフィルターのイメージですが、かつてはソフトフォーカスレンズを作っていました。

■撮影機材:SONY α7R III + ケンコー MC SOFT 85mm F2.5
■撮影機材:シャッター速度1/2500 絞りF2.5 ISO100 焦点距離85mm
※マウントアダプター焦点工房使用

オールドレンズは使ったことのないユーザーにとっては少しハードルが高いですが、現代のレンズでは味わえない癖のある描写が楽しめ、独特の世界観を表現できます。特にソフトフォーカスレンズはハイライト部分がにじんだ柔らかい表現になるので、普段とは違った撮影を楽しむ事ができ、春の優しいふんわり感を表現するのにはマッチしたレンズではないでしょうか。

今回紹介した3本のソフトフォーカスオールドレンズは、中古市場でも手軽に入手しやすいレンズです。通常の撮影には癖がありすぎて使いづらいレンズですが、独特の撮影をできる面白いレンズです。

まとめ

今回は様々アイテムやレンズを紹介しましたが、レンズの特性やフィルターの効果を知ることで、撮影できる景色を変えることができます。お花の名所で撮影するのも素敵ですが、身近な公園などでの撮影もレンズやアイテムで工夫することでいつもと違う写真を撮ることができます。この春の風景を一味違った写真を撮って楽しんでみてはどうでしょうか。

 

 

■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。

・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師

 

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