風景写真撮影テクニック ~露出ブラケット編~|齋藤朱門

齋藤朱門
風景写真撮影テクニック ~露出ブラケット編~|齋藤朱門

はじめに

今回は風景写真撮影を楽しむ上で知っておくと役に立つ基本的な撮影テクニックの一つである、露出ブラケット撮影の撮影方法と撮影後のRAW現像処理の方法を紹介したいと思います。

 

輝度差の大きいシーンでの撮影

風景撮影といっても、シーンによってその撮影方法はさまざまですが、特に太陽を逆光で捉えるような輝度差が大きいシーンでは、ダイナミックレンジが広いフルサイズや中判のカメラを使っていたとしても、そのままでは1枚で捉えきれない場合があります。

こちらは雪原での枯れ木と夕日を撮影した作例です。

■撮影機材:FUJIFILM GFX100S + GF45-100mmF4 R LM OIS WR
■撮影環境:マニュアル露出(露出ブラケット撮影)・52.9mm・F18・ISO100・1/200秒

こういった輝度差が大きなシーンでも白飛びや黒潰れを極力抑えながら、自然に見たまま風景を撮影するための撮影テクニックの代表的方法としては、以下の3つがあります。

1) ハーフNDフィルターを使う
2) カメラのHDR撮影機能を使う
3) 露出ブラケット撮影を行う

ハーフNDフィルターを使う方法

この方法は風景撮影では幅広く用いられている方法ですので、使用されている読者の方も多いと思います。具体的にはハーフNDフィルターと呼ばれる、上下で減光率が異なるNDフィルターをレンズの前に装着することで、例えば空と地面の輝度差を抑えて撮影を行う方法です。

撮影シーンに合わせた様々なタイプのハーフNDフィルターが各フィルターメーカーから販売されていますので、撮りたいシーンに合わせて選択する必要があります。

ハーフNDフィルターを使う長所としては、1枚撮りでRAWでもJPEGでも撮影出来るという点が挙げられます。欠点としては、実際の被写体となる地形や輝度変化にピッタリと合致するフィルターは原理的には難しいため、使用するフィルターによっては意図しない部分に輝度ムラが生じてしまう点だと筆者は考えます。

■撮影機材:FUJIFILM GFX100S + GF23mmF4 R LM WR
■撮影環境:マニュアル露出・23mm・F14・ISO100・0.5秒・ハーフNDフィルター使用

HDR(High Dynamic Range/ハイダイナミックレンジ)撮影

多くのミラーレス一眼カメラではカメラ本体でHDR撮影機能を備えていますので、このHDR撮影機能を使用する方法です。(DRO等)

この方法ではカメラが自動的に露出の異なる複数枚の画像を撮影し合成することにより、輝度差が大きなシーンでも肉眼での見た目に近い自然な結果を手軽に撮影することが可能な方法です。

欠点としては撮影結果がRAWデータで保存できず、JPEG等の圧縮データとなる点だと思います。また、自然な結果を得るにはある程度の手動設定が必要という点も挙げておきます。

露出ブラケット撮影

カメラに備わっている露出ブラケットと呼ばれる機能を使用し、適正露出を中心にアンダー露出・オーバー露出の設定でRAW撮影を行っておき、RAW現像時にHDR画像を生成する方法です。

ミラーレス一眼カメラの場合、自動で露出ブラケット撮影が可能な機能を備えていることが多いですが、手動でも可能です。具体的な方法は後述します。

長所としては、RAWデータで実質的には白飛び・黒潰れはほぼない写真とすることができるという点と、RAW現像時に他の方法と比較して、より見た目に近い自然なイメージに近づけることが可能であるという点だと筆者は考えます。

欠点としては、1度の撮影で3枚〜5枚程度のRAW撮影が必要となり、また後処理を行う必要があり多少手間がかかるところです。

露出ブラケットで撮影したRAWデータのヒストグラムです。
アンダー露出のRAWデータは黒潰れしていますが、輝度が高い部分のデータには余裕があります。逆にオーバー露出のRAWデータは白飛びしている部分は多いですが、シャドウ部分に階調があります。後述するHDR画像合成によって、これらの露出違いのRAWデータの良いとこ取りを行うことが可能です。

 

露出ブラケット撮影設定方法

ここではソニー α7R Vの場合の設定方法を紹介したいと思います。
他のメーカー、機種でもほぼ同様の設定が可能です。

ソニーのα7R Vの場合は露出ブラケットは以下の設定で自動で露出ブラケット撮影が可能です。
1. ドライブモードの設定にある”連続ブラケット”を選択します。
2. 希望の露出値と枚数を選択します。

更にブラケット設定でセルフタイマーやブラケット順序を設定することができます。ブラケット順序は筆者の場合は アンダー→適正露出→オーバーとしています。

手動撮影

適正露出での撮影の他に手動で露出計とヒストグラムを確認しながら、必要なアンダー露出、オーバー露出での撮影を行っておきます。

露出を変える際は、絞りは固定したままシャッタースピードを変えることで露出を変えるようにする必要があります。2-3枚のシャッタースピード違いのショットを撮っておくだけですので、毎回露出ブラケット撮影する必要がない場合は手動の方が手軽だと思います。

露出ブラケット撮影時の注意点ですが、自動・手動のいずれの場合でも、三脚を使用しカメラをしっかりと固定した状態で行う必要があります。

 

RAW現像方法(HDR合成)

Adobe LightroomやLightroom ClassicにはHDR合成機能が備わっているため、比較的簡単に露出ブラケット撮影を行ったRAWデータをHDR写真に変換することができます。

1. Lightroom Classic, Lightroomで露出ブラケット撮影を行ったRAWデータを取り込んでおきます。

2. HDR合成に使用するRAWデータを選択した状態でメニューから「写真を結合」「HDR」を選択します。(この例では3枚のデータを選択)

3. プレビューで結果を確認しながら、必要に応じて各種設定を変更します。
(大抵の場合はデフォルト設定のままでも大丈夫ですが、動きが早いシーン等ではゴースト除去量を調整する。)

4. HDR合成されたデータはDNG形式で保存されます。

5. 通常のRAW現像と同様に露出やカラーを調整します。

 

作例

露出ブラケット撮影を行って撮影した作例をいくつか紹介します。

■撮影機材:ソニー α7R V + TAMRON 50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD
■撮影環境:マニュアル露出(露出ブラケット撮影)・171mm・F13・ISO100・1/13秒
■撮影機材:FUJIFILM GFX100S + GF45-100mmF4 R LM OIS WR
■撮影環境:マニュアル露出(露出ブラケット撮影)・54.1mm・F11・ISO100・1/5秒
■撮影機材:ソニー α7R IV + TAMRON 50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD
■撮影環境:マニュアル露出(露出ブラケット撮影)・50mm・F14・ISO100・1/13秒
■撮影機材:ソニー α7R IV + TAMRON 50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD
■撮影環境:マニュアル露出(露出ブラケット撮影)・50mm・F11・ISO100・1/6秒
■撮影機材:ソニー α7R IV + FE 14mm F1.8 GM
■撮影環境:マニュアル露出(露出ブラケット撮影)・14mm・F11・ISO100・1/400秒

 

まとめ

今回は基本的な風景撮影テクニックの一つである露出ブラケット撮影の方法とHDR合成方法について説明しました。輝度差が大きなシーンではハーフNDフィルターを使う方法もよく使われる方法だと思いますが、適切なフィルターを持参してない場合や、複雑な地形の場合等には大きな効果を発揮する方法だと思います。
是非この記事の内容を参考にして露出ブラケット撮影も試してみていただけると嬉しいです。

 

■写真家:齋藤朱門
宮城県出身。都内在住。2013年カリフォルニアにて、あるランドスケープフォトグラファーとの出会いをきっかけにカメラを手に取り活動を始める。海外での活動中に目にした作品の臨場感の素晴らしさに刺激を受け、自らがその場にいるかのような臨場感を出す撮影手法や現像技術の重要性を感じ、独学で風景写真を学ぶ。カメラ誌や書籍での執筆、Web等を通じて自身で学んだ撮影方法やRAW現像テクニックを公開中。

 

 

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