精美なものからクスッと笑える作品まで|写真家 Hiromichi氏に個展「meguru」の魅力を聞いてみた!

ShaSha編集部
精美なものからクスッと笑える作品まで|写真家 Hiromichi氏に個展「meguru」の魅力を聞いてみた!

本インタビューについて

新宿 北村写真機店で2023年12月18日~12月24日に写真家 Hiromichi氏の初となる個展「meguru」を開催します。写真を撮り続けた10年の総集編として、これまで巡り見てきた様々な世界を展示する予定です。今回は、「玄光社フォトテクニックデジタル」や「PASHA STYLE認定作品展」、「日本広告写真化協会 APA AWARD」等で数々の賞を受賞してきたHiromichi氏に個展の開催を記念して、インタビューを行ってきました。写真をはじめたきっかけや本展の見どころ、展示作品について伺ってきましたので是非ご覧ください。

 

Hiromichi 個展「meguru」
2023年12月18日(月)~12月24日(日)の期間中、新宿 北村写真機店 6Fイベントスペースにて開催中。作品はポートレートを中心に構成され、美しい四季の作品や独創的なファインアート、そして Hiromichi 氏の代表的作品である「喪黒雨造」シリーズは未公開の新作も含め展示する予定です。
https://www.kitamuracamera.jp/ja/event/20231218_photoexhibition_hiromochi

写真の世界に魅了されて

– 写真をはじめたきっかけを教えてください

旅行が好きで、旅行雑誌をみたり、インターネットで綺麗な風景写真を見たりしているうちに、自分でも撮れるのかな?と思うようになり、家の近くにあったカメラのキタムラに立ち寄ってみることにしました。

最初だったのでどんなカメラがあれば雑誌やネットで見たような写真が撮れるのか分からなかったので店員さんに相談したところ色々と教えてくれて、おススメしてもらったお手頃のカメラを購入しました。

最初色々なものを撮っていたのですが、あるとき仕事帰りに風景を撮り、その撮った写真を見たらとても良くて、自分でもこんなに綺麗な写真が撮れるんだってすごく感動したのを覚えています。

– 写真をはじめる前に何か創作活動をしていましたか

いいえ、していませんでした。学生の頃はずっと野球をやっていて創作や芸術分野からは程遠いところにいました。ですので写真をはじめた事で新しい自分を発見したように感じていて嬉しい気持ちになりました。またその仕事帰りの風景写真がきっかけで、どんどん写真を撮ることにのめり込んで行きました。

はじめての個展

– 個展を開催しようと思ったきっかけを教えてください

気が付くと写真の世界に魅了されて10年が経ちましたので、この辺で1回区切りをつけたいと思い個展を開こうと考えました。また自分の写真のはじまりがカメラのキタムラだったので、人生はじめての個展もキタムラさんで出来たら嬉しいなと思い、駄目もとで併設のギャラリーへ応募したところ、縁あってスタート地点のような場所で個展をひらけることになりました。

– 「meguru」というテーマについて教えてください

10年間写真を撮り続けてきて今まで自分が巡り見てきた様々な世界を展示します。そして写真展に来場いただくお客様にも私が巡ってきた世界を見て頂けたらなと思い「meguru」というテーマにしました。

表現の大元となる「風景の美しさを活かす」事と「物語を感じるような写真を撮る」という事は一貫してきましたが、撮影するジャンルやテーマは変化していますので、それぞれの作品の世界観を巡るように楽しんで頂けると嬉しく思います。

また今回の個展で中心になる作品は人物が入ったポートレートになりますが、私の作品の場合、ポートレートであっても風景が主体になっていますので、ジャンルの違う風景だけの作品が混ざっていても、つながりを持って見てもらえるかと思います。

プリント

– A1やそれを超える大きいサイズで展示するとお伺いしましたが

一般的にポートレートというと人物が大きく写っている写真を想像されると思いますが、私の写真は風景の中にポツンと人物がいる作品が多くあります。そういった作品というのはSNSにアップしてスマホの小さな画面で見ても魅力を伝える事が難しいと感じていましたので、こういった展示の機会にはA1くらいの大きいサイズでプリントしたものを見て頂きたいなと考えこの大きさにしました。

実際プリントしたものを見てみると、私の作品の魅力を伝えるには最低でもA1の大きさが必要かもしれないと感じています。

– どのようにプリントされましたか

広告や店舗装飾などの大きい印刷物を扱う会社で働いていることもあり、今回は自分自身でプリントしました。今回個展をやるということで、会社もいろいろ協力してくれていて、会社にあるプリンターを使用させて頂いてます。

展示作品の紹介

– 展示される作品を一部ご紹介頂けますか

 

こちらの作品は土手みたいなところで手前に菜の花を入れて見上げるように撮影しました。降り注ぐ白いものは桜吹雪で、カメラに装着したLEDライトに照らされて白く輝くように映っています。最初撮る時はこんなふうに桜吹が撮れるとは思っていなかったのですが、撮っていると風が吹いて桜が舞い降りてきて、この1枚が撮れました。偶然も重なって出来たこの作品をとても気に入っています。

 

手前に大きい木を入れて奥行を出す事とシルエットを意識して撮りました。シルエットの中にも細かい表情が見えるようにして、赤い傘を持った女の子とその周りに彼岸花が綺麗に見えるようにしています。絵本の中の1シーンのようなイメージで仕上げています。

 

私は絵本のような世界観をつくる為によく赤い傘をさした人物を作品に登場させています。あるモデルさんに仕事を依頼した時に、たまたまそのモデルさんが赤い傘を持ってきていて、雪景色の中に赤い傘をさして立ってもらうと、絵本のような世界を感じていいなと思ったのが最初でした。それから色々な景色の中で登場させて、今回の作品でもこういう世界観の写真を撮るために登場させています。

 

コロナ禍になって緊急事態宣言が解除された後に渋谷の街を撮った1枚です。普段人で賑わっている渋谷の街から人や車がいなくなった様子をモノクロで表現しました。撮ったのは緊急事態宣言解除後だったので実際は街中に人が居て車が走り、ビルの窓には沢山の人影が写っていたのですが、それを編集で全て消して、代わりに交差点の真ん中に赤い傘をさした女性を1人だけ立たせています。絶望の中にも希望の光を感じられるように、赤い傘をさした女性を希望の象徴としました。

 


この作品は喪黒雨造シリーズの一番最初に撮ったものです。秋葉原の駅前は昼間沢山の人がいるのに深夜になると誰もいなくなり、日常と非日常のギャップのようなものを感じていました。そこで、真夜中の誰もいないところにポツンとサラリーマンがいたら更に大きなギャップと非日常感が出て面白いだろうなと思い作品づくりを進めました。

 

サラリーマン像を固めるためにアニメの呪術廻戦の中に出てくる領域展開から発想を得てキャラクター設定を考えて行きました。日中は普通に仕事をしているのですが、深夜になると街を徘徊する裏の顔を持ったサラリーマンという設定にして、名前は喪黒雨造と命名しました。

また喪黒雨造の設定はここからスタートして様々な作品を撮る中でより魅力的な喪黒さん像を作り出してきました。

 

ひたち海浜公園のネモフィラの丘に喪黒さんがいっぱいいたら独特な世界観になるだろうと思い、この作品づくりを進めました。赤い傘をさしているのは全て喪黒さんで、片足立ちしていたり、座ったりと1カットづつポージングをしてもらい300人くらいの喪黒さんが登場する作品になっています。こちらの作品は既にSNSで発表していた作品なんですが、小さな画面だとこの作品の魅力は伝わらないので、今回A1サイズで展示します。是非この作品を大きくプリントしたもので見て頂けたら嬉しく思います。

さいごに

12/18から開催する個展は、純粋に美しい作品だったり、クスッと笑えるような作品が混ざっていると思うので、ちょっとしたテーマパークのように様々な作品を巡って頂けたらと思います。
今回個展を開催するにあたってこれまでを振り返ってみると、編集や合成といったつくり込んだ作品に夢中になった10年だったことを改めて感じました。今後は風景の美しさを活かす事と物語を感じる写真を撮る事は一貫しつつも、もう少しモデルさんの内面に迫るようなポートレートも撮ってみたいと思っています。
今回の個展も、これからの作品も楽しんで見て頂けたら嬉しく思います。

Hiromichi氏 プロフィール
1980年埼玉県川口市生まれ。日常生活の中からイメージした空想の世界を写真で表現する事や、美しい自然風景を舞台としたポートレート撮影を得意とする。現在、2022年からスタートした喪黒雨造シリーズの制作を中心に行い、様々な合同展で作品を発表しながら創作活動を続けている。

-Awards-
■日本広告写真化協会 APA AWARD 2023 入選
■PASHA STYLE認定作品展
・Vol.3 グランプリ(2021)
・Vol.4 準グランプリ(2021)
・Vol.5 準グランプリ(2022)
・Vol.6 準グランプリ(2022)
■玄光社 フォトテクニックデジタル
・年間最優秀作品賞(2020)
・読者投稿ギャラリー 年間ランキング1位(2017)
・年間最優秀ポートレート部門賞(2016)
■日本写真作家協会 第16回JPA公募展 銀賞
■One Eyeland Photography Awards 2020 Gold / Bronze
■One Eyeland World’s Top 10 Portrait Photo Contest 2022 Bronze
■Tokyo International Foto Awards 2020 Gold / Bronze

Hiromichi 個展「meguru」

・日時:2023年12月18日 (月) ~ 12月24日 (日) 10:00 ~ 21:00
・場所:新宿 北村写真機店 6 F イベントスペース
・住所:東京都新宿区新宿3丁目26-14
    地図は地図はこちら
・入場料:無料

関連記事

人気記事