一本で超望遠から広角まで!待望のRFマウントで登場。手ブレ補正機構VCを搭載の高倍率ズーム タムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」
はじめに
今回紹介するレンズは2025年9月26日に発売された、タムロンの「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD(Model B061)」キヤノンRFマウント版です。16.6倍の高倍率ズームでありながら小型軽量を実現した魅力的なレンズです。
「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD (Model B061)」は、ソニーEマウント版が2021年9月に発売されたモデルで、2025年8月に「NIKON Z マウント版」、そして今回「キヤノンRFマウント版」の登場となったレンズになります。そんな新しいモデルを発売前にタムロンさんからお借りすることができたので、この新しいレンズのスペックと魅力・写りをご紹介します。
タムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」の基本スペック
今回のタムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」は、キヤノンRFマウント版のAPS-C機用のレンズで、すでにソニーEマウント、富士フイルムXマウント、ニコンZマウントが発売されている実績がある人気のレンズです。フルサイズ換算で広角28.8mmスタートの16.6倍ズームで、望遠480mm相当の焦点距離が特徴的な超高倍率ズームになります。これ一本で様々なシーンに対応できる焦点距離がとても魅力的なレンズです。
キヤノンRFマウントのサードパーティーレンズの種類はまだ少なく、純正レンズには超高倍率のズームレンズが無いので、キヤノンユーザーにとっては新しいレンズを選ぶ選択肢が増え、魅力的に感じるのではないでしょうか。
今回はキヤノン「EOS R7」ボディとの組み合わせで使用しましたが、レンズとボディの重量バランスもよくデザイン的にもマッチしており、とても使い勝手が良かった印象です。
高倍率ズーム機ゆえに多少開放F値が暗くなってしまっていますが、「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」は「手ブレ補正VC」を搭載しているので、ある程度は手ブレ補正機能でカバーできると考えられます。
このレンズにはライバルになるレンズが存在します。2025年4月にシグマから発売された「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」です。ほぼ近いスペックの高倍率ズームで非常に性格の似通ったレンズです。画角的には16mmスタートのシグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」が使い勝手としては一歩リードしている感じですが、価格面で言えばタムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」が2割程度お安く購入できる感じになっていて、価格面においては一歩リードしています。
タムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」と、競合するシグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」とのスペックの違いを一覧にしてみました。
| タムロン 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD |
シグマ Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS |
|
| 焦点距離 | 18-300mm ※35mm換算:28.8-480mm相当 | 16-300mm ※35mm換算:25.6-480mm相当 |
| 画角 | 73°49′-5°10′ | 79.9-5.1° |
| レンズ構成 | 15群19枚 | 14群20枚 |
| 開放絞り | 3.5-6.3 | 3.5-6.7 |
| 最小絞り | 22-40 | 22-45 |
| フィルター径 | 67mm | 67mm |
| 絞り羽根枚数 | 7枚 | 9枚 |
| 最近接距離 | 0.15m (WIDE) 0.99m (TELE) | 0.17m (WIDE) 1.05m (TELE) |
| 手ブレ補正 | 有 | 有 |
| 全長×最大径 | 123.6×75.5mm (RFマウント) | 121.4×73.8mm (RFマウント) |
| 重 量 | 625g (RFマウント) | 625g (RFマウント) |
| 発 売 | 2025年9月 | 2025年4月 |
フィルター径は67mm。タムロンの多くのレンズがフィルター径67mmに統一されているので、複数のレンズを同時に持ち歩いても携帯性が高いことに加え、PLフィルターをはじめとした各種フィルターも共用できるほか、レンズ交換時に径の異なるキャップを探す手間が省けるなど、ラインナップ全体で高い利便性を発揮します。
とは言えこのレンズ「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」の性格を考えると、これ1本でほとんどの撮影をこなせるので、レンズ交換の頻度は少ないと思います。





タムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」の実力

■撮影環境:シャッター速度1/400 絞りF6.3 ISO800 焦点距離300mm ※フルサイズ換算480mm
タムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」の実力が気になるところですが、早速使用してみた所感をお伝えしたいと思います。このレンズの最大の魅力は、なんと言ってもフルサイズ換算で広角28.8mm相当から望遠480mm相当までカバーした16.6倍ズームという広い焦点距離です。
下の2枚の写真は同じ場所から撮影したものですが、レンズ一本で広角28.8mmの世界から超望遠480mmまでの画角の変化は驚異的に感じます。このレンズ一本であらゆる撮影に対応でき、レンズ交換の手間も省け、軽快に撮影をする事ができます。活発なお子さんがいるユーザーや旅行好きの方、日中のイベント撮影などをよくする方などには非常に使い勝手のよいレンズだと思います。

■撮影環境:シャッター速度1/3200 絞りF6.3 ISO800 焦点距離18mm ※フルサイズ換算28.8mm

■撮影環境:シャッター速度1/1250 絞りF6.3 ISO800 焦点距離300mm ※フルサイズ換算480mm
下の2枚の写真は同じ場所から撮影したもので、画角を大きく変えることで撮影イメージをガラッと変えることもでき、レンズ一本で様々なバリエーションを撮影できるレンズです。

■撮影環境:シャッター速度1/125 絞りF16 ISO200 焦点距離18mm ※フルサイズ換算28.8mm

■撮影環境:シャッター速度1/160 絞りF16 ISO200 焦点距離300mm ※フルサイズ換算480mm
超望遠レンズを使用する時に気になるポイントとしてはブレの軽減効果です。「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」には「手ブレ補正VC」が搭載されています。今回使用した「EOS R7」はボディ内手ブレ補正機能がある機種ですが、「EOS R10」、「EOS R50」、「EOS R50 V」、「EOS R100」などのボディ内手ブレ補正機能が無い機種でもレンズの「手ブレ補正VC」が効果を発揮してくれます。
下の写真は少し暗い場所での撮影でしたが「手ブレ補正VC」のおかげで、望遠側でブレやすい低速シャッターでもしっかりとブレを抑えることが可能になり安心して撮影ができました。

■撮影環境:シャッター速度1/20 絞りF11 ISO800 焦点距離232mm ※フルサイズ換算371.2mm
強い逆光での撮影もしてみましたが、タムロンのゴースト・フレアの発生を抑えるBBAR-G2 (Broad-Band Anti-Reflection Generation 2)コーティングの採用をしていることで、下のように直接太陽が入ってくるようなシーンでも、ゴースト・フレアがよく抑えられています。

■撮影環境:シャッター速度1/400 絞りF16 ISO200 焦点距離18mm ※フルサイズ換算28.8mm
シーン別のオートフォーカスの動作性を確認してみました。EOS R7の様々な被写体認識のオートフォーカスを試してみましたが、瞳AFや被写体認識もスムーズに反応し、オートフォーカス性能は非常に良好な結果でした。

ズーミングのトルクは他の高倍率ズーム同様に、レンズの繰り出し量が多くなる100mm辺りを境にやや重くなる傾向がみられますが、それほど気になる事は無く操作性に問題は生じないレベルです。
また、レンズにはズームロック機構が搭載されており、レンズを持ち歩く際に自重による不用意な繰り出しを防止できます。ただ、実際にレンズが一番短くなる広角側で一日撮影で持ち歩いていても自重によるレンズの繰り出しはほとんど起きなかったので、使用頻度は低いかもしれません。
タムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」で下町散歩とイベント撮影

■撮影環境:シャッター速度1/1600 絞りF6.3 ISO800 焦点距離300mm ※フルサイズ換算480mm
高倍率ズームはイベント撮影や旅行などに魅力的なレンズです。レンズ交換の必要がなくあらゆるシーンに対応できる機動力のある万能レンズと言えます。今回は柴又散策撮影にタムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」を持って撮影を楽しんでみました。
広角側18mmで日本庭園や趣のあるお部屋を撮影したり、超望遠の300mmで迫力ある構図を狙ったりと気楽にいろいろなバリエーションを撮影でき、本当に楽しみながら被写体探しができます。広角側がフルサイズ換算で28.8mmなので屋内での撮影などで少しワイド側が足りないかなと当初思ったりしましたが、実際に撮影していてそれほど困る事もありませんでした。

■撮影環境:シャッター速度1/25 絞りF9 ISO6400 焦点距離124mm ※フルサイズ換算198.4mm

■撮影環境:シャッター速度1/640 絞りF6.3 ISO800 焦点距離92mm ※フルサイズ換算 約147.2mm

■撮影環境:シャッター速度1/80 絞りF13 ISO800 焦点距離18mm ※フルサイズ換算28.8mm

■撮影環境:シャッター速度1/40 絞りF9 ISO400 焦点距離32mm ※フルサイズ換算51.2mm

■撮影環境:シャッター速度1/40 絞りF11 ISO800 焦点距離18mm ※フルサイズ換算28.8mm

■撮影環境:シャッター速度1/640 絞りF10 ISO800 焦点距離300mm ※フルサイズ換算480mm
柴又散歩の次は、浅草で行われた「浅草サンバカーニバル」です。色鮮やかな衣装に飾られたサンバカーニバルパレードはとても魅力的で、多くの写真愛好家さんたちが暑い中撮影にきていました。筆者も少しだけ撮影をしてみましたが、体温を超える暑さで早々に退散してしまいました。

■撮影環境:シャッター速度1/800 絞りF6.3 ISO800 焦点距離245mm ※フルサイズ換算 約392mm

■撮影環境:シャッター速度1/1600 絞りF6.3 ISO800 焦点距離98mm ※フルサイズ換算 約156.8mm

■撮影環境:シャッター速度1/1250 絞りF6.3 ISO800 焦点距離300mm ※フルサイズ換算 約480mm
タムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」は非常に便利で、パレードを見る多くの観覧者の中からでも高倍率ズームの機動力を活かすことができ、短時間で様々な撮影をする事ができました。イベントの撮影はタイムリーに撮影できる事が一番のメリットなので、持ち運びが便利な軽量でコンパクト、そして高倍率ズームで様々撮影に対応できる「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」は、非常に魅力的でユーティリティーの高いレンズと言えます。
タムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」で動物園撮影

■撮影環境:シャッター速度1/2000 絞りF6.3 ISO1600 焦点距離300mm ※フルサイズ換算480mm
望遠レンズの威力が発揮できる動物園で撮影をしてみました。フルサイズ換算で望遠480mmまであるタムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」は、迫力ある動物たちを十分すぎるほど撮影する事ができました。今回は動物達だけの撮影でしたが、ご家族連れで動物園を楽しむお子様のスナップ撮影にも対応できるし、本格的な動物撮影もこなせるユーティリティーの高い高倍率ズームで、ママさんにも気楽に扱えるレンズだと思います。今回は「EOS R7」の被写体認識(動物)を使用して撮影をしてみました。
動物園での撮影では、フェンス越しであったりガラス越しでの撮影が多くなったりしますが、そんな時でも被写体認識AFを使うことでピント合わせが楽になります。

■撮影環境:シャッター速度1/500 絞りF6.3 ISO6400 焦点距離259mm ※フルサイズ換算414.4mm

■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF6. ISO3200 焦点距離250mm ※フルサイズ換算400mm

■撮影環境:シャッター速度1/3200 絞りF6.3 ISO800 焦点距離141mm ※フルサイズ換算225.6mm

■撮影環境:シャッター速度1/25 絞りF11 ISO800 焦点距離124mm ※フルサイズ換算198.4mm

■撮影環境:シャッター速度1/60 絞りF16 ISO800 焦点距離277mm ※フルサイズ換算443.2mm
シーンや場所によっては少しスローシャッターを使用する事もありましたが、タムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」は「手ブレ補正VC」を搭載しているので安心感もあり、望遠側を使いながらも積極的にスローシャッターにチャレンジもでき、表現の仕方も工夫することができます。
まとめ
キヤノンのAPS-C機用のRFマウントのサードパーティーのレンズも順次発売されるようになってきて、ユーザーの選択肢も増えてうれしい状態になってきました。今回のタムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」は、先に発売されているシグマ「Contemporary 16-300mm F3.5-6.7 DC OS」と非常に似通ったスペックですが、どちらも甲乙つけがたい便利なレンズです。
これ一本で様々なシーンに対応できる便利なタムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」は、手ブレ補正機能も搭載され低速シャッターでも手ブレを軽減し、オートフォーカス性能はリニアモーターフォーカス機構VXDの効果もあり、高倍率ズームでもスピーディーなピント合せが可能なコストパフォーマンスの高いレンズとなっています。
■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師















