ソニー FE 600mm F6.3 GM OSSレビュー|ついにここまできた軽量の超望遠単焦点レンズ

山田芳文
ソニー FE 600mm F6.3 GM OSSレビュー|ついにここまできた軽量の超望遠単焦点レンズ

はじめに

ソニーから超望遠の単焦点レンズ、FE 600mm F6.3 GM OSSとFE 400mm F4.5 GM OSSの2本が発売されました。2026年9月15日に正式発表されてから、SNS上では野鳥ファンたちの間で、この2本の話で随分と盛り上がっていて、気になっている人が多いことを実感しました。

僕もこの2本を先行で使わせていただきましたが、ひとまず今回は、前者のFE 600mm F6.3 GM OSSで撮影した野鳥写真を通じて、どのようなレンズなのかお伝えしていきます。

1kgを切る世界最軽量の600mmレンズ!

このFE 600mm F6.3 GM OSSは、35mmフルサイズセンサーのカメラ用で、開放値がF6.3よりも明るい600mmレンズでは世界最軽量のレンズです。質量は何と約995g(三脚座除く)という驚異的な軽さです。加えてレンズの重量バランスがカメラボディ側に寄せられているので、持った時の体感は数字以上に軽く感じます。

その昔、僕が愛用していた600mm(F4)が6kgもあったことを思うと、隔世の感があります。当時「オランダ人でロッピャク(昔はロクヨンという言葉はなかった)を手持ちで撮影する人がいるらしいよ」と聞いた時、「そんなやつはおらんやろ」と返したことが懐かしく思い出されます。

今回登場したFE 600mm F6.3 GM OSSであれば、筋トレをしていない僕のような非力なオジサンでも、「普通に長い時間」手持ちで野鳥を撮影することができます。

600mmは野鳥撮影の基本の焦点距離

セミナーやトークショーをした時によくいただく質問に、「これから野鳥を撮影しようと思いますが、初心者でも長いレンズ(望遠レンズ)を扱えますか」があります。僕は逆に、初心者ほど焦点距離が長いレンズが必要だと思っているので、「最初はむしろ長いレンズが必要だと思います」と返すようにしています。

はじめのうちは観察能力(次の行動を読むスキル)があまりないので、待って撮ることや隠れて撮ることが難しく、結果的に野鳥への負荷が大きくなり、短めのレンズでは届かない、となってしまいます。したがって、600mm前後が野鳥撮影のはじめの焦点距離であり、基本の焦点距離である、と思っています。

観察能力が上がってくると、鳥の行動がある程度読めるようになるため、目当ての鳥が来る前に隠れて撮ること、遠隔操作で撮ること、ができるようになります。これができるようになったら、短めの焦点距離にもチャレンジしていくのが最適な順番ではないかと思っています。

F6.3という開放値

F6.3という開放値は明るいとは言いにくく、写歴が長い人はこのF6.3という数字が(よくない意味で)気になる人も多いのではないでしょうか。

正直に申し上げると、7〜8年前にこのレンズが発売されていたら、F6.3という開放値であるがゆえに、人様にあまりおすすめしていないかもしれません。しかしながら、2026年の今、ISO感度を高めに設定して撮影しても、かつてのようにノイジーな画像にはなりにくくなりました。そして、それなりにノイズがのったとしても、撮影後の画像編集でノイズを綺麗に消すこともできます。

ほんの数年前までは画像編集でノイズを消すと、残念なことに質感も消失し、画像はのっぺりとして違和感のあるツルツル画像になっていました。それが最近は、最新の画像編集ソフトであれば、ある程度の質感を残しつつ、ノイズを消すことができるようになってきているので、撮影後にノイズは消すと割り切って、ISO感度を上げて撮影するのもありかなと思ったりもします。

そんなことから、このレンズは今の時代に野鳥を撮る人におすすめのレンズであると言えます。

ISO6400(左)とISO640(右)で撮り比べたカワウ。ISO6400で撮った左の画像は撮影後に不自然にならない範囲で少しだけノイズの低減処理をしている。大きなPCの画面でじっくりと見比べると、ノイズや質感の違いが多少わかるが、スマホの小さな画面ではわかりにくいほどの差。軽量でコンパクトなこのレンズ、機動力を活かすためにISO感度をそれなりに上げて手持ちで撮るのもおすすめ。
(左)F6.3 1/1000秒 ISO6400 (右)F8 1/60秒 ISO640

解像性能を検証する

僕がレンズでいちばん大切だと思っているところが描写性能です。世界最軽量の600mmといっても解像性能に難があれば、その謳い文句も霞んでしまいます。そんなわけで、今回もレンズの解像力をホシゴイ(ゴイサギの幼鳥)のポートレートで検証しました。

1枚目がノートリミングのフル画面で、2枚目の白枠を拡大したのが3枚目。
拡大画像を見ると、さすがにGマスター、必要にして十分に解像していることがわかる。
■撮影機材:SONY α1 II + FE 600mm F6.3 GM OSS
■撮影環境:F8 1/250秒 ISO200

野鳥の行動の写真を撮る

手つかずの大自然のようなところに行かなくても、私たちが住んでいるすぐ近くでもたくさんの鳥たちが暮らしています。そんな身近なところにいる普通種でも深く観察することで、飛ぶことや食べることといった普通の行動にもいろいろな気づきがあり、これも野鳥観察の楽しさのひとつです。

十分な観察をした後に、身近な野鳥の動きを読みながら、行動を丁寧に撮ることはとても大切なことであると思います。600mmという野鳥撮影では基本となる焦点距離とともに観察と撮影を繰り返すことで、基礎となる土台が出来上がるのではないでしょうか。

ここではダイサギの飛翔シーンとダイサギとハマシギの捕食シーン、ヤマガラの水浴びを作例としてご覧ください。

青空背景に白い鳥が飛んでいるところは本当に美しい。これをストレートに伝えるために、色に重きを置いて撮影した。
■撮影機材:SONY α1 II + FE 600mm F6.3 GM OSS
■撮影環境:F8 1/2000秒 ISO320
サギたちの狩場でサギがくる前に到着、息を潜めてじっと待つ。はじめにやって来たのがこのダイサギ。ほどなく、獲物のオイカワをとらえた。撮り手が大きな動きをすると、獲物をくわえたまま飛び去って別のところで食べることがあるので、レンズを振ったりする動きは慎重に。これが軽量コンパクトなレンズを使うときの注意点。
■撮影機材:SONY α1 II + FE 600mm F6.3 GM OSS
■撮影環境:F8 1/1600秒 ISO320
干潟でハマシギがゴカイを引っ張り出す直前のシーン。上のダイサギの写真のようなまさにその瞬間ではなく、前のシーンを写すことで、写真を見る人に「次」を想像してもらう写真とした。背景に脇役を3羽入れることで、写っていないところにもハマシギはもっとたくさんいるのだろうかと想像がふくらんでいくような構成にしている。
■撮影機材:SONY α1 II + FE 600mm F6.3 GM OSS
■撮影環境:F6.3 1/1000秒 ISO640
水浴び直後のヤマガラ。上のハマシギとは逆に、後のシーンを写すことで、見る人に水しぶきが飛び散った音が聞こえてくるような「前」を想像してもらう写真にしている。
■撮影機材:SONY α1 II + FE 600mm F6.3 GM OSS
■撮影環境:F6.3 1/60秒 ISO 400

バンの成長記録を撮る

僕は「100種類の鳥よりも1種類を100回」をモットーに野鳥を撮り続けています。つまみ食いするかのごとく、野鳥の上っ面をなぞるように撮影するよりも、同じ種類の鳥を深く掘り下げることで、撮った写真にコクや深み、説得力が出ると思っているからです。近年は3種類の鳥をそれぞれ3ヶ月ずつ、年間9ヶ月ぐらいかけて撮影しています。

同じ種類の鳥をたくさんの写真で組んで見せる場合、単調にならないようにいろいろなタイプの写真を撮る必要がありますが、いちばん簡単に絵面を変えることができるのが、レンズの焦点距離を変えることです。なので、僕は広角から超望遠までたくさんのレンズを使って撮影していますが、野鳥撮影ではやはり、基本となるのが600mmではないかと感じています。

ここでは、僕が近年取り組んでいる3種類の鳥のうちのひとつ、バンを見ていきます。以下の2枚は同じフィールドで撮影、1枚目は親子、2枚目の幼鳥は1枚目の幼鳥と同じ個体です。

雨降りの日のバンの親子。親は雄で、子どもは生後約2週間。雨に濡れないように親が子どもをケアするのは通常この時期まで。こういった天候の日は軽量でコンパクトな超望遠レンズは重宝する。
■撮影機材:SONY α1 II + FE 600mm F6.3 GM OSS
■撮影環境:F8 1/125秒 ISO 640
上の写真の22日後に撮影。同じ個体とは思えないぐらいすっかり大きくなり、単独でいる時間も増えてくる。このような年齢の幼鳥は行動が読みにくいので、次の予想が外れることがあるが、軽量のこのレンズをもってすれば咄嗟に対応することができる。
■撮影機材:SONY α1 II + FE 600mm F6.3 GM OSS
■撮影環境:F8 1/1000秒 ISO 640

まとめ

FE 600mm F6.3 GM OSSのレビューはいかがでしたでしょうか。昔の600mmの重さはいったい何だったのか、ついにここまできたか、と思ってしまうほど軽い!軽量なおかげで機動力を活かして手持ちでも長い時間撮影でき、Gマスターレンズとあって描写力も間違いがありません。これからの時代の野鳥撮影の定番レンズになるであろうこのFE 600mm F6.3 GM OSSで、皆さんも野鳥撮影を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

 

■写真家:山田芳文
「100種類の鳥よりも1種類を100回」をモットーに野鳥を撮り続ける。ライフワークは鳥がいる風景写真。主な著書は『SONY α7 IV 完全活用マニュアル』(技術評論社)、『SONY α6600 基本&応用撮影ガイド』(技術評論社)、『写真は構図でよくなる!すぐに上達する厳選のテクニック23』(エムディエヌコーポレーション)、『やまがら ちょこちょこ』(文一総合出版)など。最新刊は『SONY α7C II 完全撮影マニュアル』(技術評論社)。

 

関連記事

人気記事