Primaシリーズ第2弾 シャープな描写と心地よいボケが魅力のサムヤン「AF 85mm F1.8 P FE」
はじめに
今回紹介するレンズはサムヤン「AF 85mm F1.8 P FE」。サムヤンレンズ第3世代の「プリマシリーズ」第2弾のレンズで、第1弾は2025年1月に発売されている「AF 35mm F1.4 P FE」です。今回はこの「AF 85mm F1.8 P FE」と同時に、もう一本「AF 16mm F2.8 P FE」という超広角単焦点レンズを発表していますが、「AF 85mm F1.8 P FE」を先行して使用する機会を得たので先に紹介いたします。
サムヤンのレンズはリーズナブルな価格で高性能なラインナップを揃えていて、特に単焦点レンズには魅力ある商品が揃っています。今回の新しいモデルの特徴と、どのような描写をするのかをご紹介します。
SAMYANG AF 85mm F1.8 P FEの基本スペックと魅力

サムヤンの第3世代「Prima(プリマ)」シリーズのコンセプトは、ラテン語で「最初の」を意味し、「撮影時に最初に手に取るレンズ」となるよう、小型軽量をコンセプトに設計されたレンズになっています。今回紹介する「AF 85mm F1.8 P FE」も、非常にコンパクト軽量で扱いやすいレンズに仕上がっています。
同スペックで競合するレンズはソニー純正レンズ「FE 85mm F1.8」になりますが、純正レンズよりもひと回り小さく軽いレンズとなっています。絞り羽根の枚数や最短撮影距離などの基本性能はほぼ同等ですが、大きな違いと言えば「AF 85mm F1.8 P FE」には、カスタマイズ可能なフォーカスホールドボタンが搭載されていないところになります。
サムヤン「AF 85mm F1.8 P FE」とソニー「FE 85mm F1.8」のスペック比較
| SAMYANG AF 85mm F1.8 P FE | SONY FE 85mm F1.8 | |
| 焦点距離 | 85mm | 85mm |
| レンズ構成 | 8群9枚 | 8群9枚 |
| 開放絞り | 1.8 | 1.8 |
| 最小絞り | 22 | 22 |
| フィルター径 | 62mm | 67mm | 絞り羽根枚数 | 9枚 | 9枚 | 最近接距離 | 0.80m | 0.80m | 最大撮影倍率 | 0.12倍 | 0.13倍 | 手ブレ補正 | 無 | 無 | フォーカスホールドボタン | 無 | 有 | フォーカスモードスイッチ | 有 | 有 | 全長×最大径 | 71.5×69.8mm | 82x78mm | 重量 | 約272g | 約371g | 発売 | 2025年8月 | 2017年3月 |









■撮影機材:SONY α7R V + SAMYANG AF 85mm F1.8 P FE
■撮影環境:シャッター速度1/2000 絞りF1.8 ISO200
肝心な写りの方ですが、焦点距離85mmF1.8開放で撮影した時の、大きなボケからの奥行き感がある深みのある描写は非常に印象的に感じます。ポートレート撮影や、日常のスナップ撮影などをニュートラルに表現することができ、扱いやすいレンズであると感じました。
ボケに関して言えば、同シリーズの「AF 35mm F1.4 P FE」が大きくバブルボケがでる傾向にありましたが、今回の「AF 85mm F1.8 P FE」はその傾向は無く非常に好感が持てる仕上がりです。

■撮影環境:シャッター速度1/2500 絞りF1.8 ISO100
少し気になった点は、かなり輝度差の厳しい条件で撮影した場合にみられた色収差です。下の写真は晴天下でハーバーに停泊しているヨットを撮影した画像です。色収差などがよくわかるシチュエーションでヨットに張られたロープ部分を拡大してみてみると、かなりの色収差が発生しているのが分かります。今回はあえて症状が分かりやすく出るように絞り開放で撮影をしていますが、もちろん絞りを絞って撮影することで色収差の症状を抑えることはできます。

■撮影環境:シャッター速度1/8000 絞りF1.8 ISO100
オートフォーカス性能に関しては、リニアSTMモーターを使用している事もあり高速なオートフォーカス性能を持っています。ただ連写性能は他のサードパーティーレンズ同様、秒間15コマの制限がかかっています。通常ではそれほど問題になる事ではありませんが、スポーツなどによっては、カメラの最大限のスペックの恩恵を受けられない場合があります。


■撮影環境:シャッター速度1/4000 絞りF1.8 ISO1600
いろいろなシーンで、小型軽量で大きなボケも演出できる中望遠単焦点レンズ「AF 85mm F1.8 P FE」を使用してみた第一印象は、とにかくピントが合った面のシャープさに驚きを感じました。前後の大きな柔らかな心地よいボケの間に鋭くシャープなエリアが同居する画像は、大変魅力的に感じます。またレンズ自体が非常にコンパクトなので、予備としてカメラバッグに常時入れておいても良いレンズです。
SAMYANG AF 85mm F1.8 P FEでストリートスナップ撮影

■撮影環境:シャッター速度1/1600 絞りF1.8 ISO800
「AF 85mm F1.8 P FE」は焦点距離85mmとスナップ撮影には少し長めのレンズにはなりますが、思い切って気に入ったシーンを切りとるには楽しいレンズです。焦点距離85mmの中望遠と開放F1.8の組み合わせは、メインの被写体をより印象的に表現できます。「AF 85mm F1.8 P FE」は絞り開放で撮影しても、ピント面は非常に鋭くシャープな写りをし、より被写体を際立たせることができるレンズです。

■撮影環境:シャッター速度1/125 絞りF1.8 ISO100

■撮影環境:シャッター速度1/2000 絞りF1.8 ISO100

■撮影環境:シャッター速度1/6400 絞りF1.8 ISO800

■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF11 ISO100

■撮影環境:シャッター速度1/80 絞りF1.8 ISO800

■撮影環境:シャッター速度1/400 絞りF1.8 ISO800

■撮影環境:シャッター速度1/640 絞りF1.8 ISO100
小型軽量な「AF 85mm F1.8 P FE」は、一日中持っていても苦にならず使い勝手の良いレンズです。レンズ自体のデザインもシンプルで仰々しさも無くスマートに手軽に撮影ができ、薄暗くなってきた夕方や夜の撮影シーンでも、開放F値F1.8のおかげでISO感度を大きく上げることなく撮影を進めることもできました。
SAMYANG AF 85mm F1.8 P FEで花撮影

■撮影環境:シャッター速度1/2000 絞りF1.8 ISO100
お寺を散策しながら花を撮影するのに「AF 85mm F1.8 P FE」を持って行ってみました。最短撮影距離0.80mと寄れるレンズではないので、小さな花の撮影はやや苦手な感じですが、比較的大き目の花であれば、前後の大きなボケを活かした撮影で花をより引き立てた撮影が可能です。

■撮影環境:シャッター速度1/3200 絞りF1.8 ISO100

■撮影環境:シャッター速度1/400 絞りF1.8 ISO100

■撮影環境:シャッター速度1/200 絞りF1.8 ISO100

■撮影環境:シャッター速度1/1600 絞りF1.8 ISO100
とにかく軽くてコンパクトなレンズなので、お散歩に持ち歩いていても負担にならず小さなバッグの中にも忍ばせることができるので、常に持ち歩きたくなるレンズです。
SAMYANG AF 85mm F1.8 P FEで室内猫撮影

■撮影環境:シャッター速度1/160 絞りF1.8 ISO800
明るい単焦点レンズは室内撮影において非常に頼もしいです。小型犬や愛猫などのペット撮影では、室内でも自然光を活かした柔らかいソフトな感じに撮影することができ、背景も大きなボケを活かすことで室内のごちゃごちゃ感を軽減する事もできます。被写体認識「動物」での瞳AFの動作も軽快でペット撮影も楽しくこなせます。

■撮影環境:シャッター速度1/160 絞りF1.8 ISO1600

■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF1.8 ISO800

■撮影環境:シャッター速度1/500 絞りF1.8 ISO800
まとめ
サムヤン「AF 85mm F1.8 P FE」は、開放F値F1.8と明るいレンズながら重量は約272gという軽量化を達成しているので、長時間持ち歩いての撮影でも負担が少なくなります。明るいF値を活かして一日中スナップ撮影を気軽にできるレンズで、なによりもコストパフォーマンスが高く、ピントがあった面のシャープな描写と前後の心地よいボケが両立する魅力的なレンズです。
■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師












