日常を気楽に切りとる手軽な広角単焦点レンズ サムヤン「AF 24mm F1.8 FE」
はじめに
今回紹介するレンズはサムヤン「AF 24mm F1.8 FE」です。焦点距離24mmの画角は標準ズームの広角側でよくあるレンズになり、馴染みの深いユーザーも多いと思います。それゆえに単焦点レンズとして、購入するユーザーが少ない感じもします。しかしサムヤン「AF 24mm F1.8 FE」は、非常に小型軽量の単焦点レンズで手軽に携帯しやすいレンズです。開放F値もズームレンズより明るいF1.8、焦点距離24mmの使い勝手とその写りをご紹介します。
SAMYANG AF 24mm F1.8 FE の基本スペック

サムヤン「AF 24mm F1.8 FE」は2021年に発売されていて、サムヤンの小型軽量タイニーシリーズにラインナップされるモデルのうちの一本です。ソニー純正レンズで焦点距離24mmの単焦点レンズになると、「FE 24mm F1.4 GM」と「FE 24mm F2.8 G」の2本がありますが、「GM・G」シリーズになり高価なレンズのラインナップしかなく少し手が出しにくいと感じます。開放F値F1.8のスペックは他には無く、サムヤン「AF 24mm F1.8 FE」は購入しやすい価格面においても魅力的です。
| 焦点距離 | 24mm |
| レンズ構成 | 8群11枚 |
| 開放絞り | 1.8 |
| 最小絞り | 22 |
| フィルター径 | 58mm |
| 絞り羽根枚数 | 9枚 |
| 最近接距離 | 0.19m |
| 最大撮影倍率 | 0.21倍 |
| 手ブレ補正 | 無 |
| 全長×最大径 | 71.5×65mm |
| 重量 | 約230g |
| 発売 | 2021年6月 |




カスタムスイッチには「レンズステーション」を別途用意することで様々な機能をスイッチに割り当てる事が可能。フォーカスホールドボタンには、カメラ本体のメニュー設定から機能を割り当てる事も可能

使い勝手に関しては開放F値F1.8の明るさのおかげで、広角レンズでありながらボケを楽しむ事ができます。特に最短撮影距離が0.19mmと寄れるレンズなので、絞りを開放で最短撮影した場合には大きくボケを演出した奥行き感のある描写が可能です。他のサムヤンタイニーシリーズレンズと同様に少しクラシカルな描写をする感じを受けますが、日常のスナップ撮影などをニュートラルに表現することができ、扱いやすいレンズではないでしょうか。

■撮影環境:シャッター速度1/100 絞りF1.8 ISO800
少し不満を感じるポイントとしては、絞りを開けて撮影した際に被写体や撮影状況によっては、少し収差の影響が気になる場合があります。玉ボケに関して言えば、収差の影響でバブルボケになる傾向があったり、明暗差の厳しい時には電線などの細い線状のもののフチに収差が目立つ場合がありました。

■撮影環境:シャッター速度1/2000 絞りF1.8 ISO100

オートフォーカス性能に関しては高速で静かなSTMモーターを使用しており、オートフォーカス速度・精度ともに不満を感じることはありません。全体的に軽量コンパクトな面を考えても、コストパフォーマンスは十分に高いレンズと言えます。
SAMYANG AF 24mm F1.8 FE 独自の機能・アストロモード

■撮影環境:シャッター速度 4秒 絞りF1.8 ISO800
サムヤン「AF 24mm F1.8 FE」には、他のレンズには無い特徴的な機能が1点あります。天体写真撮影をサポートするために「LEDインデックス」を備えた「アストロフォーカスモード」です。アストロフォーカスモードを起動すると「LEDインデックス」が1回点滅し、無限遠にピント位置が自動を移動させることができます。フォーカスホールドボタンを使用して、自分好みのフォーカス位置を保存することもできるモードです。

「アストロフォーカスモード」を起動させるには少し固有の操作が必要になりますが、それほど難しくはありません。カメラを電源ONの状態で、レンズのフォーカスホールドボタンを押したままでレンズを装着すると、LEDランプが赤く点灯した後に緑に変わります。これで「アストロフォーカスモード」が起動しピント位置が「無限遠」になります。この状態からピントリングを動かすとLEDランプが赤に変わり、ピント合わせが任意のマニュアルフォーカスに変わります。

ピントを「無限遠」に戻す場合は、ホールドボタンを押せばすぐに「無限遠」に変わりLEDランプが緑に変わります。
「アストロフォーカスモード」起動中に、カメラの電源をOFFにすると「アストロフォーカスモード」は解除され、カメラを電源ONにすると通常のオートフォーカスモードに戻り、LEDランプも点灯しない状態に戻ります。

これから星景写真にチャレンジしてみたい方や、マニュアルピント合わせ(無限遠)が苦手な方にはおすすめの機能です。
SAMYANG AF 24mm F1.8 FE でストリートスナップ撮影

■撮影環境:シャッター速度1/5000 絞りF1.8 ISO100
焦点距離24mmはスマホのカメラなどによく採用されている焦点距離(35mm換算)なので、スナップ撮影を楽しむには扱いやすい画角です。広角レンズですが絞り開放F1.8で撮影すれば、メインの被写体をより引き立たせることができ印象的に表現できます。明るいレンズは絞りを開けることで背景を大きくボカすことができるため、観光スポットなどで撮影する際に写りこむ人の処理に悩むこともありますが、周りをボカすことでストリートスナップ撮影もしやすくなります。

■撮影環境:シャッター速度1/6400 絞りF1.8 ISO100

■撮影環境:シャッター速度1/50 絞りF9 ISO100

■撮影環境:シャッター速度1/500 絞りF1.8 ISO100

■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF1.8 ISO100

■撮影環境:シャッター速度1/20 絞りF8 ISO800

■撮影環境:シャッター速度1/100 絞りF1.8 ISO100
SAMYANG AF 24mm F1.8 FE で屋内撮影

■撮影環境:シャッター速度1/160 絞りF1.8 ISO800
「AF 24mm F1.8 FE」で屋内のいろいろなシーンを撮影してみました。屋内撮影では単焦点レンズならではの開放F値の明るさがメリットになるシーンが多く、ISO感度を無理に上げなくても絞りを開けることでシャッター速度を稼ぐことができ、撮影時に余裕が生まれます。

■撮影環境:シャッター速度1/125 絞りF1.8 ISO800

■撮影環境:シャッター速度1/1000 絞りF1.8 ISO100

■撮影環境:シャッター速度1/60 絞りF1.8 ISO100
水族館の暗いブースでの撮影でも開放F値F1.8の明るさがメリットになり、絞りを開放で撮影する事で、普段使いのISO感度でも十分に撮影が可能になります。

■撮影環境:シャッター速度1/100 絞りF1.8 ISO800
室内で「AF 24mm F1.8 FE」を使って猫の写真を撮ってみました。カメラはAPS-C機のα6700を使用しているので、焦点距離は35mm換算で1.5倍になり36mm相当の焦点距離になっています。猫の全身を撮るのにも撮りやすい焦点距離なので、APS-C機での使い勝手も良いレンズです。また最短撮影距離0.19mmを活かして寄って撮影すると、まるで望遠レンズ系で撮ったような迫力ある撮影もできます。

■撮影環境:シャッター速度1/125 絞りF1.8 ISO800 焦点距離35mm判換算36mm相当
※動物瞳AF使用

■撮影環境:シャッター速度1/80 絞りF1.8 ISO800 焦点距離35mm判換算36mm相当
※最短撮影距離で撮影 ※動物瞳AF使用

■撮影環境:シャッター速度1/2000 絞りF1.8 ISO800 焦点距離35mm判換算36mm相当
※動物瞳AF使用
被写体認識AF「動物」瞳AFも精度高く動作し、シャッターチャンスを逃さないレンズです。室内でのペット撮影においても使いやすい明るい単焦点レンズなのでワンちゃん・猫ちゃんを飼っているユーザーにもおすすめのレンズです。
まとめ
「SAMYANG AF 24mm F1.8 FE」の焦点距離24mmという画角は、スマホの標準的なカメラの焦点距離に採用されているものが多いため、画角的に慣れている人も多く普段使いにピッタリのレンズです。しかしセンサーサイズの小さいスマホとは違い、フルサイズで撮影できる焦点距離24mmは大きなボケを得ることができるので、同じ画角でも撮影できる写真は大きく変わってきます。「SAMYANG AF 24mm F1.8 FE」は、そんな違いをお手軽に楽しむ事ができるコストパフォーマンスの高いレンズではないでしょうか。
■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師












