OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO レビュー|礒村浩一

礒村浩一
OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO レビュー|礒村浩一

はじめに

 オリンパス株式会社から映像部門を継承したOMデジタルソリューションズ株式会社は、これまではブランド移行期間として従来の「OLYMPUS」ブランドと新たなブランド「OM SYSTEM」を併用してきたが、今年2022年11月に発売される「OM-5」以降はカメラ・レンズともにブランドを「OM SYSTEM」に統一する意向だ。

 先行してすでに発売された新製品「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II」「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO」ではすでに「OM SYSTEM」表記となされていることからも、今後はおそらく現在販売中の各レンズも、新たな製造出荷に合わせてロゴ表記が順次変更されていくものと考えられる。

 現在店頭に並んでいる製品の多くはいまだ「OLYMPUS」ロゴ表記となっており、まだしばらくは新ロゴと旧ロゴの製品が共存することとなる。とはいえ当然ではあるが同じ製品であればレンズ性能に変わりはないので安心して購入してよい。

 マイクロフォーサーズ規格の製品自体は2008年の発表以来、すでに多くの製品が世に出されておりレンズラインナップはとても充実している。その中には発売開始より長い期間をかけてロングセラーとなっているレンズがある。

 今回はそのような「定番」となっている製品のなかから、OM SYSTEMの中核となる望遠ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」をピックアップしたい。

 

M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROの主なスペック

■マイクロフォーサーズ規格マウント
■広角端40mm~望遠端150mm (35mm判換算80~300mm相当)
■レンズ構成 10群16枚(非球面EDレンズ1枚、非球面レンズ2枚、スーパーEDレンズ1枚、EDレンズ3枚、HDレンズ1枚含む)
■最短撮影距離 ズーム全域0.7m
■最大撮影倍率 0.21倍
■フォーカシング方式 ハイスピードイメージャAF(MSC)
■絞り羽枚数 9枚(円形絞り)
■開放絞り値 F2.8
■最小絞り値 F22
■大きさ 最大径79.4mm 全長160mm
■質量 760g (三脚座除く)/880g(三脚座含む)
■防塵防滴仕様 IP53相当
※OM SYSTEM(オリンパス)製防滴対応カメラとの組み合わせ時に有効、防塵機構搭載

 

レンズ外観


 OM-1に装着したM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO(付属レンズフード装着)。高性能レンズ設計のPROシリーズであることから、外観デザインおよび金属外装はPROシリーズ共通の高級感のあるものとなっている。

 鏡筒先端部にフォーカスリング、中央部にズームリングを配する。いずれも金属リングに直接刻み込まれたパターンによって指先の滑り止めとなっているが、ラバーのパターンとは違い適度には滑るので皮膚への負荷は少なめだ。


 鏡筒の最大径は79.4mm。フィルターサイズは72mm。開放F値がF2.8の明るいレンズながらマイクロフォーサーズ規格ならではの細身の鏡筒となっている。フォーカスリングにはAFとMFをリング操作で切り替えることができる「マニュアルフォーカスクラッチ機構」を搭載。AF位置からリングを手前にスライドさせると瞬時にMFへ、スライドを戻すと再びAFへと切り替えることができる。

 なおマニュアルフォーカスクラッチでのAF/MF切り替え時は、AFは設定してあるAFポイントに、MFはフォーカスリングで設定された距離へと切り替えられる。つまり、事前にMF状態でピントを合わせておけば、AF状態で撮影をしている最中にMF位置へリングをスライドすることで、あらかじめ合わせておいた距離へ瞬時にピントを送ることができるのだ。ただし、カメラでAF/MF設定をMFにして合わせたピント位置とは連動しないので注意が必要だ。


 レンズ鏡筒中央部にはファンクションボタン「L-Fn」が用意されている、これは使用者が好みのカメラ機能を割り当てることができるボタンだ。カメラの「ボタンの設定」メニューから好みの機能切り替えを割り当てることで、撮影中でも咄嗟に設定を切り替えることができる。

 カメラを構えた時にファインダーを覗きながらでも押せるように、ズームリング手前の左手親指が届く位置に設けられている。


 M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROには直接三脚に据え付けることができる三脚座が用意されている。これはカメラと組み合わせたときにレンズの荷重がマウントに集中することを防ぐ効果と、カメラ全体の重量バランスを重心位置に揃えることでカメラぶれを最小の抑える安定した撮影を可能とすることができる。

 三脚座りングの鏡筒締め付け度合いは自在に変えられるので、横位置・縦位置の撮影構図切り替えもスムーズに行える。なお三脚座は取り外しも可能なので、手持ち撮影時など少しでもカメラを軽くしたいときなどにも対応が可能だ。


 付属のレンズフードは伸縮式のもの。収納時は短く縮めておくことで携行しやすくなり、撮影時はフード部をスライドさせて十分な遮光性能を得ることができる。スライド式なので、一般的なかぶせ式よりも素早く撮影スタンバイが可能だ。


 OM-1に装着したところ。マイクロフォーサーズレンズのなかでは比較的長さのあるレンズではあるが。このサイズで35mm判換算にして最大300mm相当、開放絞りF2.8のレンズとしては圧倒的にコンパクトかつ軽量である。女性の手でも大きすぎて取り回しに困るといったことはないだろう。  

 

M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO実写作例

 M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROのいちばんの特徴は、広角端40mmから望遠端150mmまでの全焦点域にわたりとても高い解像力を発揮する点だ。35mm判換算で80mm相当の中望遠域から300mm相当の超望遠域という、望遠レンズとして使用頻度の高い焦点域をこのレンズ一本でカバーするうえ、適度なコントラストでいわゆる抜けの良い画像を得ることができる。

 合わせてF2.8の明るい最小絞りによる柔らかなボケ味は、フルサイズセンサー機とくらべボケにくいと言われるフォーサーズセンサーでも十分な立体感を得ることもできる。

■使用機材:OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO(40mm)
■撮影環境:F5.6 1/320秒 ISO200 絞り優先モード +0.3EV  WBオート 仕上がりモードVivid S-AF+MF
■使用機材:OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO(40mm)
■撮影環境:F11 1/3200秒 ISO200 絞り優先モード -0.3EV  WBオート 仕上がりモードVivid S-AF+MF
OLYMPUS DIGITAL CAMERA[/caption]
■使用機材:E-M1 MarkII + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO(40mm)
■撮影環境:F5.6 1/1000秒 ISO200 マニュアルモード WBオート 仕上がりモードVivid S-AF
■使用機材:EM-1X + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO(40mm)
■撮影環境:F2.8 1/8秒 ISO400 絞り優先モード -0.7EV  WBオート 仕上がりモードNatural MF
■使用機材:OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO(40mm)
■撮影環境:F2.8 1/1000秒 ISO500 シャッター優先モード WBオート 仕上がりモードVivid C-AF+MF 追尾被写体設定飛行機
■使用機材:OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO(64mm)
■撮影環境:F8.0 30秒 ISO200 マニュアルモード WB晴天 仕上がりモードVivid MF
■使用機材:OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO(106mm)
■撮影環境:F5.6 1/500秒 ISO200 絞り優先モード WB晴天 仕上がりモードVivid S-AF+MF
■使用機材:OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO(150mm)
■撮影環境:F5.6 1/2500秒 ISO200 絞り優先モード WBオート 仕上がりモードVivid MF
■使用機材:OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO(150mm)
■撮影環境:F2.8 1/1000秒 ISO320 シャッター優先モード +0.3EV  WB晴天 仕上がりモードVivid MF
■使用機材:E-M1X + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO(150mm)
■撮影環境:F10 1/400秒 ISO200 絞り優先モード WBオート 仕上がりモードVivid S-AF+MF
■使用機材:OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO(97mm)
■撮影環境:F2.8 1/640秒 ISO200 絞り優先モード +1.3EV WBオート 仕上がりモードNatural S-AF+MF
■モデル:夏弥
■使用機材:OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO(64mm)
■撮影環境:F2.8 1/2500秒 ISO200 絞り優先モード +1.0EV WBオート 仕上がりモードNatural S-AF+MF
■モデル:夏弥
■使用機材:E-M1X + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO(125mm)
■撮影環境:F2.8 1/5秒 ISO800 絞り優先モード -0.3EV WB晴天 仕上がりモードVivid MF

 

どっちを選ぶ? M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO/M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO

 OM SYSTEMにはM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROと同じ焦点距離域を持つ望遠ズームレンズとしてM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PROもラインナップされている。M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PROの詳細はこちらのレビュー記事を参考にしていただければと思うが、画質の面ではM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROと比べてもまったく遜色がないといって構わないだろう。そうなるとこれら二本のレンズをどのように使い分ければよいのかという問題が湧いてくる。そこでこれら二本のレンズの特徴の違いを簡単に紐解いておこう。


 このふたつのレンズのもっとも大きな違いはやはり大きさと重さである。

 まず、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO(右)とM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO(左)を並べるとその大きさの違いがよくわかるだろう。ここではM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PROは沈胴式と呼ばれる機構により、収納時の最小状態となってはいるのだが、この大きさの違いはそれだけが理由ではなく、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PROではM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROより開放絞り値をF4.0とひと絞り分抑えたことによるレンズのサイズダウンも大きく貢献している。

 この点を考えると、カメラのトータルサイズを抑えたいシチュエーションでのM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PROの優位差はとても大きい。

 なお、各レンズの質量はM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROは760g (三脚座除く)/880g(三脚座含む)、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PROが382gであり、この大きな違いも選択基準のひとつとなる。

 一方、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROはM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PROと比べることで大きく感じてしまうが、他メーカーの同焦点域(35mm判換算)のレンズと比べれば圧倒的にコンパクトであることは間違いない。またズームリングを回してもレンズの全長は一定のインナーズーム機構を採用していることから、撮影時の重心移動が最小限で済むことからもホールディング性が優れるといった利点もある。

 開放絞り値が一段分明るいM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROには、カメラに取り込む光量の多さという点では優位点がある。開放絞り値がF4とF2.8とでは絞りとしては1段分明るくなり、シャッタースピードとしては二倍の速い速度で撮影が可能となる。

 露光値はこれら絞りとシャッター速度の組み合わせで決まるので、例えばいずれのレンズでも開放絞り値で撮影するという前提であれば、同じシャッター速度とするならばM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROではM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PROと比べてISO感度は1/2値となり、結果的に高感度ノイズをより抑えた撮影を行うことができる。

 また開放絞り値が一段明るくなると、被写界深度はより浅くなるため開放絞り値での撮影では前後ボケをさらに大きくすることができる。これは人物ポートレート撮影などではとても効果的な描写に繋げられるメリットとなる。

 さらにもう一点、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROにはM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PROには不可能な使い方がある。それは別売りのOM SYSTEMのテレコンバーターが使用可能だという点だ。

 現在、OM SYSTEMには焦点距離を1.4倍に延長できるMC-14と2倍に延長できるMC-20がラインナップされているが、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROとMC-20との組み合わせでは、最大300mm(35mm判換算600mm相当)の撮影が可能となる。これはより望遠効果を高めたい撮影ではとても有用な撮影方法となる。

 これらのメリットをきちんと理解しておけば、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROとM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PROを撮影状況に合わせて適切に選択することができるはずだ。むしろ、これほど明確に製品の性格が分かれていると、結果的に両方のレンズを揃えたくなってしまう悩みが出てきてしまうほどだ。

 

テレコンバーターMC-14使用作例

■使用機材:E-M1X + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO + MC-14(210mm)
■撮影環境:F4.0 1/2000秒 ISO400 絞り優先モードWB晴天 仕上がりモードVivid MF
■使用機材:E-M1X + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO + MC-14(210mm)
■撮影環境:F4.0 1/2500秒 ISO200 絞り優先モードWB晴天 仕上がりモードNatural C-AF+MF 追尾被写体設定飛行機
■使用機材:E-M1X + M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO + MC-14(210mm)
■撮影環境:F4.0 1/2500秒 ISO200 絞り優先モードWB晴天 仕上がりモードNatural C-AF+MF 追尾被写体設定飛行機

 

高い画質と操作性に加え、揺るぎない信頼性を確立したロングセラー望遠レンズ

 マイクロフォーサーズ規格のレンズは複数メーカーが採用するオープン規格であるということから、これまで実に多くの製品が発売されている。望遠ズームレンズにも各メーカーがその時々の最新の技術を投入して、優れた製品を世に出し続けているが、このM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROは、すでに2014年の発売より8年もの間、オリンパスおよびOM SYSTEMの代表的なレンズとして第一線で活躍しつづけている。

 それはPROレンズシリーズとしての高品位モデルであることに加え、最新のカメラOM-1やOM-5のより厳しい耐環境性能にも十分に耐え得るなど、ユーザーからの高い信頼性に基づいた熱い支持があってのものだ。

 同時にこれは開発時にはすでに、未来に求められるであろう性能を見据えた設計が為されていた製品であったという証左にもなる。もちろん今後開発される製品は更なる性能の向上が図られることと思われるが、たとえ新製品が登場したとしても、基本性能が高いレベルにあるこのレンズは、まだまだ定番の座を守り続けることになるだろう。

 プロとして最上の結果を求めるカメラマンから、日々の光景を撮影しつづける写真愛好家まで、幅広いマイクロフォーサーズユーザーにとって最適解ともいえるレンズのひとつであることは間違いない。

 

■写真家:礒村浩一
女性ポートレートから風景、建築、舞台、製品広告など幅広く撮影。全国で作品展を開催するとともに撮影に関するセミナーの講師を担当する。デジタルカメラの解説や撮影テクニックに関する執筆も多数。写真編集を快適に行うためのパソコンのプロデュースも担当。

 

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