ライカM EV1が登場!|電子ビューファインダー搭載のM型ライカ

ShaSha編集部
ライカM EV1が登場!|電子ビューファインダー搭載のM型ライカ

はじめに

ライカカメラ社は「ライカM EV1」を2025年11月1日に発売することをリリースした。M型ライカとして初めて電子ビューファインダー(EVF)を内蔵し、伝統と最新技術を融合した革新的なモデルとなっている。

本記事では、ライカ表参道店で行われたプレス向けイベントで語られたステファン・ダニエル氏(ライカカメラAG 副社長)によるプレゼンテーション、そして本機で試し撮りを行った写真家・佐藤健寿氏のインプレッションを通して、新しいM型ライカの思想とその手応えを探る。

「ライカM EV1」製品概要

「ライカM EV1」は、70年を超えるM型ライカの歴史において初めて電子ビューファインダー(EVF)を内蔵したモデルである。ファインダーには576万ドットのEVFを採用し、使用レンズや絞り値に応じたリアルタイムの被写界深度や露出プレビューが可能となり、特にピント合わせがシビアなレンズや超広角・望遠・マクロ撮影時にその性能を発揮する。「ライカM EV1」は「M11」をベースに、約6030万画素の裏面照射型のCMOSセンサーとトリプルレゾリューション技術を搭載したモデルである。高い色再現性と解像力、広いダイナミックレンジを備える。画像処理エンジン「Maestro III」により、高速なデータ処理と64GB内蔵メモリーへの保存を実現している。

ステファン・ダニエル氏が語る、M型ライカの系譜と新章のはじまり

壇上でプレゼンテーションを行ったのは、ライカカメラAG副社長で写真・デザイン部門を統括するステファン・ダニエル氏。彼の語り口は穏やかだが、その一言ひとことにはライカの哲学が込められていた。

ライカカメラAG副社長で写真・デザイン部門を統括するステファン・ダニエル氏

―1954年、M3から始まった物語

「M型ライカの歴史は1954年のフォトキナで発表されたM3から始まりました。それ以来、30を超えるモデルが生まれ、それぞれが時代の写真家たちに選ばれてきました。」

ダニエル氏自身がライカに入社した1984年には、名機「M6」が登場。レンジファインダーカメラに露出計を内蔵し、アナログM型の完成形と称されたモデルだ。そのM6は2022年に復刻され、今も現役機として愛用者が絶えない。

―デジタルへの進化、そしてライカM EV1へ

2009年、ライカは「M9」で初のフルサイズセンサー搭載M型ライカを発表。以後、M10、M11へと進化を続け、技術とクラフトマンシップを両立させてきた。「2022年に登場したM11は、技術・画質・歴史的価値を体現するモデルでした。そして今日、その流れを受け継ぎながら、まったく新しいアプローチで誕生したのがライカM EV1です。」

ライカM EV1は、レンジファインダーを置き換えるものではなく新たな選択肢を提示するもの。ファインダーで見たままの構図・色・明暗をリアルタイムで確認でき、フォーカスピーキングや拡大表示による精密なマニュアルフォーカスも可能。「ピント合わせがシビアなノクティルックスなどの大口径レンズでこそ、EVFの真価が発揮される」とダニエル氏は語る。

「レンジファインダーの精密機構はこれからも継続します。ライカM EV1はその伝統を尊重しながら、別の世界を見せてくれるモデルなのです。」

写真家・佐藤健寿氏が「ライカM EV1」を語る

発表会では、『奇界遺産』などで知られる写真家の佐藤健寿氏が登壇。ライカM EV1を実際に使用し、スリランカと沖縄で撮影を行った際の印象を語った。

写真家・佐藤健寿氏

「旅先でいつも通り撮ってみました。これまでレンジファインダーでは難しかった広角や望遠レンズでも、EVFで“見えているまま”に構図をつくる事ができるのが新鮮でした。」

―EVFが広げるレンズの可能性

佐藤健寿氏が最も印象的と語ったのは、ノクティルックス M75mm F1.25 ASPH.の使用感だ。被写界深度が極端に浅く、ピント合わせが難しいこのレンズも、EVFの拡大表示を使えば的確にフォーカスを合わせることができる。

また、コロンボのモスクで撮影したというズミルックス M24mm F1.4 ASPH.では、レンジファインダーでは難しい近い距離でのシンメトリー構図を正確に追い込めたという。

「24mmのような広角レンズは、これまでM型ではレンジファインダーとの相性が難しい部分もありました。しかしEVFでは28mm以上の広角レンズであっても画角に収まる範囲の画を確認してパララックスもなく思い通りに撮影することができました」

「これまでMレンズをEVFで使用するには、SLボディーにマウントアダプターを介して装着するか、Mボディーに外付けEVFを取り付ける必要がありました。今回のライカM EV1ではEVFがボディに統合されたことで、MボディとMレンズの組み合わせだけで完結。スマホのアプリがネイティブ対応した時のように、“ネイティブなEVF体験”に気持ちよいというか快適さを感じました。

―描写と色の印象

使用感はM11に近いが、発色にはわずかな違いを感じたという。「聞いていた話では同じ色味とのことでしたが、実際に使ってみると少しすっきりした印象でした。ホワイトバランスの影響かもしれませんが、適度なコントラストで扱いやすく、オールドレンズとの相性も良かったです」と語る。

―軽さとスタミナ

「バッテリー含む質量で500gを切るところも魅力のひとつ。SLシリーズからは勿論のこと、M11と比べても軽くなっていますので、旅先でも持ち歩きが苦になりません。」

バッテリー持ちはEVF機としては優秀で、電力消費を抑える工夫をすることで「バッテリー1本で700枚ほど撮影でき、M11とあまりかわらない印象だった」とのこと。

―Mユーザーにも、初めての人にも

「レンジファインダーのMと、このEVFのMを使い分けるのが理想。広角・望遠や今までためらっていた被写界深度の非常に狭いレンズはEV1、標準域は従来のMで。初めてライカを使う人にとっても、怖がらずにM体験を始められる1台だと思います。」

さいごに

「ライカM EV1」は、Mシステムに新しい可能性をもたらす存在だ。光学レンジファインダーの伝統に、電子ビューファインダー(EVF)の利点を融合することで、M型ライカの撮影スタイルの幅を大きく広げるだろう。そして今回のリリースは、1925年に「ライカI」が誕生してから100年を迎える節目の年に行われた。「ライカM EV1」は、100年のクラフツマンシップと革新の精神を受け継ぎながら、Mシステムの未来へと続く新しい物語を描き始めている。

会場のタッチ&トライコーナーでライカM EV1を使って撮影

 

新宿 北村写真機店 6Fライカフロア

撮影協力:新宿 北村写真機店6Fライカフロア

新宿 北村写真機店はカメラのキタムラのフラッグシップストアとして位置付けられており、6Fライカフロアにはライカブティック / 中古ライカコーナー / ライカヴィンテージサロンがあります。ライカカメラ社公認のブティックでは新品のカメラボディやレンズを中心に、双眼鏡やお持ちのカメラをドレスアップするカメラアクセサリーを取り揃えています。中古を取り扱うスペースも隣接しているため、ライカの新品×中古もシームレスにご覧いただけます。またヴィンテージサロンでは海外のオークションに出品されるような珍しいカメラの取り扱いもございますので、定期的にご来店いただければ、都度発見があるはずです。

どのような機種が良いか分からない方もライカの知識を有するコンシェルジュがサポートしてくれますのでぜひ足を運んでみてください。

新宿 北村写真機店
〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目26-14[地図

 

 

 

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