コントラストが際立つモノクロ写真の撮り方
はじめに
私は2025年1月頃にモノクロ写真家、アラン・シャー氏の作品を知り、モノクロでもここまで豊かな表現ができるのかと深く感動しました。それをきっかけにモノクロ撮影にのめり込み、休日はほとんどモノクロ撮影を中心に楽しんでいます。
これまでに実践してきた内容をもとに、モノクロ写真の撮影テクニックやカメラ設定についてご紹介します。
カメラの設定
まずカメラの設定についてですが、白と黒をよりくっきり分けたい場合は、撮影シーンの明るさに応じて露出補正を -1〜-3 程度に設定しています。
撮影時にカメラをモノクロモードにしておくと、仕上がりのイメージをその場で確認しやすいため、おすすめです。
また、カメラの撮影設定でコントラストを調整できる機種であれば、 +2〜+3 ほどに上げると立体感が出て、より印象的なモノクロ写真になります。
ISO設定についてはオートで問題ありません。たとえ高感度になったとしても、黒をしっかり取り入れて撮影することで、ノイズはほとんど気にならなくなります。
構図の考え方
私は人物を入れて撮影することが多いため、人物のシルエットや動きがはっきりと伝わる背景を選ぶことを意識しています。

■撮影環境:1/30秒 f/5.6 ISO100
また、撮りたい場所の背景が黒っぽい場合は白い服を着た人を、背景が明るい場合は黒い服を着た人を待って撮影するようにしています。さらに、背景に強い光が当たっているシーンでは、白い服を着た人物であっても暗く写り、シルエットのような表現になることがあります。

■撮影環境:1/250秒 f/11 ISO1000
このように明暗の対比を意識することで、色の情報がなくても「そこに人がいる」ということが直感的に伝わる写真になると思います。

■撮影環境:1/200秒 f/7.1 ISO640
単調な壁だけでなく、水たまりの反射や地面に落ちる影を利用することで、人物の存在感をより印象的に表現することができます。

■撮影環境:1/250秒 f/16 ISO320
人の影を主役にした写真を撮りたい場合は、晴れた日の朝や夕方を狙うのがおすすめです。朝夕は太陽の位置が低く、自然と影が長く伸びるため、影そのものを印象的に写し出すことができます。
その際は、橋の上や高台など少し高い位置から、下を歩く人をほぼ真上から撮影してみてください。撮影後に写真を上下反転させることで、影が主役となる、少し不思議で印象的な作品に仕上がります。
成功するととても面白い表現になるので、ぜひ一度試してみてほしい撮影方法です。
モノクロで撮影したくなるような写真
これは完全に好みの問題ではありますが、私自身が「この写真はモノクロのほうがしっくりくる」と感じた作品を選びました。

■撮影環境:1/50秒 f/6.3 ISO100

■撮影環境:1/50秒 f/6.3 ISO100
例えば高架下のトンネルで撮影した写真では、人物のシルエットがはっきりと映し出されています。カラーでも十分に魅力的な一枚ですが、モノクロにすることで渋さが増し、ライトの立体感や人物の存在感がより明確に伝わるようになります。
余計な色の情報を省き、白と黒だけで構成することで、自然と視線を誘導でき、画面全体も整理された印象になります。結果として、ごちゃつきのない、すっきりとした作品に仕上がると感じています。
こちらの作品は、カラーで見ると工事現場によくある大きなライトの前に人が立っているだけの、ごく普通の写真です。しかしモノクロに変えてみると、日常的な光源が抽象的な存在に変わり、どこか宇宙を感じさせるような、アート性の高い作品へと印象が変化します。
夜でも光を作れば撮れる

■撮影環境:1/30秒 f/8 ISO200
これらの写真は、夜中の真っ暗な場所で、ストロボのみを使用して撮影しました。
ストロボを自由にコントロールできるようになると、より雰囲気があり、渋くてかっこいい作品を撮ることができます。

■撮影環境:1/30秒 f/5.6 ISO200
ストロボ撮影はとても難しく、光の強さや角度を細かく調整しながら、被写体に動きやポーズ、タバコを吸うタイミングまでしっかり指示して、ようやく一枚が完成します。屋外での撮影のため、少しでも風が吹くとタバコの煙がきれいに立ち上らず、そのタイミングを見極めるのも重要なポイントでした。
顔が見えないようにストロボの角度を調整しつつ、同時にタバコの煙がしっかり浮かび上がるように光を当てる必要があり、そのバランスを取るのは非常に難しい作業です。しかし、狙い通りの一枚が撮れたときの感動は大きく、撮影そのものがとても楽しく感じられます。

■撮影環境:1/30秒 f/8 ISO200
また、モノクロ写真であっても、黒のトーンやグラデーション、質感の違いがはっきりと表現されるため、衣装選びにもこだわりました。ストロボの光を適切に調整できれば、レタッチはほとんど必要なく、その場で完成度の高い写真に仕上がります。実際に、この3枚の写真もほぼレタッチは行っていません。
このようなモノクロ撮影は時間と手間はかかりますが、その分、アーティスティックで印象的な作品を生み出すことができるので、とてもおすすめです。
まとめ
モノクロ写真は、色がない分ごまかしがきかず、光と影、構図、被写体の存在感がより強く問われる表現だと感じています。その一方で、余計な情報を削ぎ落とくことで、撮り手の意図や感情がストレートに伝わるのも、モノクロ写真ならではの魅力です。
露出やコントラストの設定、背景と被写体の明暗の関係、影の使い方、そして夜のストロボ撮影など、意識するポイントは多くありますが、どれも「白と黒をどう見せたいか」を考えることが出発点になります。完璧な設定や正解があるわけではなく、自分がかっこいいと感じるバランスを探し続けることが大切だと思います。

■撮影環境:1/100秒 f/8 ISO1000
この記事が、モノクロ写真に興味を持つきっかけや、実際に撮ってみようと思う後押しになれば嬉しいです。
ぜひ、身近な光と影から、自分だけのモノクロ表現を見つけてみてください。
■写真家:あらぽん
1997年埼玉県生まれ。都会のスナップや自然風景を中心に撮影している。フォトコンテスト入賞や企業案件、アンバサダーなど写真活動の幅を広げている。

















