案外難しいピント合わせのコツ|カメラ用語を正しく理解しよう vol.14
はじめに
こんにちは! ShaSha編集部です。いつもご覧いただき、ありがとうございます。
ShaShaはご存じのとおりカメラやレンズなどの機材、また撮影方法などを写真愛好家の皆さまに紹介するサイトです。毎日更新される記事内では、少し難しい専門用語がたくさん飛び交っていますね。もちろん内容をすぐに理解できる写真上級者の方も多いかと思いますが「それってなんのこと?」と、?マークが出ている読者の方もいらっしゃると思います。
このシリーズではそんな初心者の方に、つまずきがちな写真用語をわかりやすく解説していきたいと思います。「なんとなくはわかってはいるけど……」という方も、用語をきちんと理解できると写真生活がますます楽しいものになるはずです。
もちろん中・上級者の方も、おさらいに是非読んでみてくださいね。
いくらカメラの機能が良くても…
最近のカメラやレンズの機能は本当にすごいですね。手ブレ補正や被写体認識など、驚くほど高性能なものばかりです。そんな機材を使って絶好のタイミングで撮った写真。しかし見返してみると「あれ、なんかピントが合っていない」ということはありませんか?
「ピントが合っている」ことが、写真の基本中の基本ということは皆さんもご存じかと思います。しかし、いくらカメラの性能が良くても狙った被写体にピントを合わせるのって意外と難しいときがあります。もちろん表現として故意にピントを外す写真もありますが、今回はそんな写真の基本となるピント合わせについてお話しします。

ピントが合わない理由
狙った被写体の前後にピントが来ている
まずピントが合っていない一番の理由はこれでしょう。狙った被写体にきちんと焦点が来ていない状態です。カメラ側の設定によりピントが合わない場合があり、自分がピントを合わせたい対象とカメラがピントを合わせる対象の認識が違うことで、意図した部分にピントが来ていないという原因が多いです。また、動きの速い被写体にピント合わせがついていけていないということもあります。

手ブレしている
次に、手ブレが考えられます。狙った被写体にピントをきちんと合わせるにはブレをおこさないことが大事です。カメラをしっかりと構えましょう。いくら手ブレ補正が5段ついていようと、夜間など暗い場所でカメラを持つ手や体を動かしたら、やっぱりブレます。高性能なカメラで写真を撮り続けている屈強な腕を持つカメラマンでも、シャッターを切るときにはブレに注意されています。一般的にシャッタースピードは「1/焦点距離」を目安にするとよいでしょう。例えば焦点距離100mmのレンズで撮影する場合は、シャッタースピード1/100秒以上で撮影するとブレにくくなります。

被写体が動いている
手ブレのほかにも被写体がブレていることがあります。例えば一見動きのない花を撮っていても、微妙に風が吹いていて被写体ブレをおこす場合などがあります。そんなときはシャッタースピードを速くする必要があります。何を表現したいかで絞りやISOを調整して、シャッタースピードを上げましょう。特に最近のカメラは高画質な分ブレが目立ちやすいので、シャッタースピードは速めに設定することをおすすめします。

レンズの被写界深度が浅い
絞り開放付近やマクロレンズなどは、被写界深度が浅くなりピントが合いづらくなります。これも狙った場所の前後にピントが来てしまっていることが原因です。背面液晶などではピントが合っているように見えても、家に帰って大きな画面で見てみると微妙にピントが合っていないということがよくあります。

どうしたらピントが合うの?
レンズのピント合わせは、カメラが自動的に合わせてくれるオートフォーカスと、手動で合わせるマニュアルフォーカスのふたつがあります。どちらを選ぶかは被写体によっても変わりますが、まず初心者の方はオートフォーカスで撮影してみることをおすすめします。
オートフォーカス
オートフォーカスには大きく分けると2種類があり、被写体によって使い分けます(名称は各メーカーによって違います)。
AF-S
動きの少ない被写体に向いているオートフォーカスです。風景などを撮るときに設定します。被写体にピントを合わせ、シャッターを半押しするとピントが固定されます。シャッターを半押しし続け、ピントが被写体に固定されたまま上下左右に構図を変えることができます(フォーカスロック)。
AF-C
動きの多い被写体に向いているオートフォーカスです。スポーツや動物などを撮るときに設定します。シャッターを半押ししてピントを合わせるとカメラが自動的にピントを合わせ続けます。最近のカメラでは特定の被写体を追従し続ける瞳AFなど、さらに精度の高いオートフォーカスが可能になっています。予想できないような動きにも合わせてくれるのでとても便利です。
慣れてきたら…フォーカスロック
フォーカスロックは、上述したようにシャッターを半押しし続けることで狙った被写体にピントを合わせ、ピントを合わせたまま構図を変えて撮影するのに便利です。動いている被写体、動きの少ない被写体どちらにも対応するので、慣れてきたらこの機能を練習することをおすすめします。これをマスターすると流し撮りなどもできるようになり、写真の腕がぐっと上がりますよ。
各メーカー名称
・ニコン・ソニー・富士フイルム…AF-S AF-C
・キヤノン…ワンショットAF サーボAF
・OMシステム…S-AF C-AF
など
AFエリア
次に、被写体によってどの場所にピントを合わせるかを設定するAFエリアです。一般的に一眼レフはAFエリアが狭く、ミラーレスはAFエリアが広い機種が多いのですが、AFエリアが広いほうが動く被写体を画面の隅々まで捉え続けることができます。エリアは中央1点をはじめ、ゾーン、ワイドなど様々な種類のモードを選択することができます(メーカーによって名称が違います)。動きの少ない被写体には1点、動きの多い被写体にはゾーンがおすすめです。
これらを使い分けることによってピントが合う精度を高くします。

おすすめのモード
動かない被写体 → AF-S + 1点AF
動く被写体 → AF-C + ゾーンAF(+追尾)
※気をつけたいポイント
タッチパネルでシャッターがきれる機種もありますが、片手でカメラを持つ場合は手ブレに注意!
マニュアルフォーカス
次にマニュアルフォーカスの使い方です。マニュアルフォーカスとは、手動でピントを合わせることです。レンズのピントリングを回して調整します。昔はオートフォーカス機能がありませんでしたから、すべてマニュアルでピントを合わせていました。しかし現代はオートフォーカスの精度が進み、マニュアルフォーカスを使う機会はあまりないでしょう。そんな万能にみえるオートフォーカスですが、実はピントを合わせることが難しい被写体があります。例えば暗い夜空で輝く満天の星や、同じような色の被写体が多いシーンなど、どこにピントを合わせれば良いのかわかりづらいようなときです。またF値の小さなレンズの絞り開放付近で撮ることによって被写界深度が浅くなっているとき、さらにマクロレンズで花を撮るときなど、より細かい部分にピントを合わせたいシーンではマニュアルでピントを合わせる必要があります。

最短撮影距離に注意
また、カフェで頼んだおしゃれなスイーツや可愛い花に近づいて撮ろうとしたのに、ピントが合わないことはないでしょうか。それは使用しているレンズの最短撮影距離より被写体に近づいてしまっていることが原因です。最短撮影距離とは、被写体にピントが合った状態で一番近づける距離のことで、各レンズでその距離は違います。デジタルカメラの場合、イメージセンサーから被写体までの距離のことを言います(ワーキングディスタンスとはレンズ先端から被写体までの距離のことを指します)。ですので、設定されている最短撮影距離より被写体に近づいてしまうとピントが合わなくなります。テーブルフォトなどを撮りたい方は、レンズを購入するときに最短撮影距離を確認するようにしましょう。マクロレンズが被写体に寄って撮ることができるのは、最短撮影距離がかなり短いからです。ズームレンズは焦点距離によって最短撮影距離が変わるものがあります。

おすすめの機能
マニュアルフォーカスで撮影するときにフォーカスピーキング機能を使うと、ピントが合っている部分をカメラが色などで表示してくれます
※気をつけたいポイント
マクロ撮影をするときには、液晶画面を拡大して狙ったところにピントが来ているかしっかりと確認しよう!
どこにピントを合わせる?被写体別ピント合わせのコツ
▼ポートレート…瞳に合わせる。絞りは開いて背景をぼかすのが基本

▼風景…全体に合わせる。絞りはF8~F16ぐらいに設定するのが基本

▼商品撮影など…ロゴなどにピントを合わせるよう絞り気味で撮るのが基本


※気をつけたいポイント
モデルが商品を持っているときには、瞳と商品の両方にピントが来るように位置や絞りを調整しよう!
おわりに

いかがでしたか? 一概にピントを合わせるといっても、何を表現したいかによってどこにピントを合わせるのか明確にすることがまず大事なようですね。カメラやレンズに手ブレ補正機能がついている場合は必ずONにすること、またファインダーの視度調整をすることも忘れずに!
いかがでしたか? 理解できた方も、そんなこと知っているよという方も、なにかしら参考にしていただけたら幸いです。
それでは今日も楽しく撮影に出かけましょう! カシャカシャ!
■人物撮影:簗田郁子














