フォトライフ四季

協力:カメラのキタムラ

カメラノキタムラ
Studio Mario

秋 Vol.78 AUTUMN|思い出づくりどっさりの秋 写真の秋、これを撮る

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 思い出をづくり研究所 フォトライフ四季出張編

思い出をづくり研究所 フォトライフ四季出張編

写真教授プロジェクト裏側取材こぼれ話

写真救済プロジェクト裏側大事な写真をずっととっておくために

PCC賛助企業カメラのキタムラは「思い出づくり研究所」を発足、さまざまな思い出の残し方について調べています。 東日本大震災以降、被災地では海水や泥水で汚れた写真を洗って持ち主に戻す運動が活発になっているそうです。 PCCはその活動に興味を持ち、「写真救済プロジェクト」として取り組んでいる富士フイルムの担当者の方々へお話をうかがいました。

さまざまなサンプルを並べ、検証

被害を受けた岩手県山田町
(『フォトライフ四季Vol.77』より)

海水を60パターン作って検証実験

3月22日、「震災により海水や泥に汚れた写真をきれいにする方法を教えてほしい」という最初の問合せが富士フイルムにありました。その対応として、24日にまず2000年の東海豪雨の経験から「水でくっついてしまった写真」の対処法をHPにアップ。ツイッターなどで、被災地に役立つ情報だと大きな反響があったそうです。

しかし、雨水と津波の海水では対処法が異なると考え、対処法を確立させたいと考えた富士フイルムでは、25日から検証実験を開始します。神奈川工場(足柄サイト)技術部門で、小田原・早川港から海水を汲み、工場周辺の土を混ぜた泥水に、さまざまな種類の写真を浸しました。

さまざまなサンプルを並べ、検証

銀塩プリントやインクジェットプリント、インスタント写真などが表と裏がくっついているもの、表同士がくっついているものなど。水に浸す時間も、1時間単位から数日間まで、約60パターンを試したといいます。

 この頃、被災地では自衛隊やボランティアが瓦礫の下から写真を拾い集め、自治体やボランティアが汚れた写真を洗浄する活動が報道などで紹介され、写真救出の重要さ、写真の大切さが広まっていきました。

現地で方法が間違っていなかったと確認

4月9日、富士フイルムの社員3人はエコカーを借り、カロリーメイトなど非常食や水を詰め込み、宮城県の被災地、気仙沼市の階上(はしかみ)中学校へ向かいました。写真を救うボランティアをしていた高井さんを訪ねるためです。高井さん自身も自分のいちご農家が被害を受けた被災者。拾われてきて、海水や泥で汚れた写真を洗浄して持ち主の元に戻す活動をしていました。高井さんからは早い段階で富士フイルムに問合せをいただき、それをきっかけに絆が生まれました。直接お会いし、お話をうかがうことで被災地での写真の損傷状態や、自分たちの公開している洗浄方法が間違いなかったという確認ができました。たくさんの写真を洗っている高井さんとは、その後も連絡をとり続けています。これを絆にして長い付き合いにしたいと笑顔で話してくれました。そして約3000枚の写真を持ち帰り、4月16、17日に神奈川工場(足柄サイト)で、社員有志約70名と写真洗浄方法の検証を実施。こうしてやっと写真を洗う方法・流れが固まって、4月22日「写真救済プロジェクト」を立ち上げたのです。

被災地の写真を預かり、洗って戻す

被災地での活動(七ヶ浜町・サッカースタジアムで)

翌日から週末を中心に富士フイルム社員が現地訪問。8月末までに東北地方延べ約80カ所の避難所・自治体を訪れ、40カ所以上で洗浄のレクチャーをしました。6月末からの1ヶ月間は、被災地の写真を預かり、富士フイルムグループ社員・OB、その家族のボランティアで写真洗浄をしました。OBや多くの社員から「なにかできることはないか」と声が上がっていたこともあり、会社をあげて洗浄ボランティアに取り組んでいます。

実際に写真を洗う

このプロジェクトにPCCも賛同し、取材時にはPCC事務局・野田が、富士フイルムで技術を担当している前嶋さん指導のもと、実際に写真を洗ってみました。

  • 1) 汚れた写真を水に浸ける
  • 2) 写真同士や写真がアルバムにくっついている場合は、隙間から少しずつ指を入れてはがしていく。無理そうなら、しばらくの間浸けっぱなしに
  • 3) 汚れは指の腹か筆などを使い、ていねいに落とす

富士フイルムの取り組みは、こちらで紹介しています

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Web限定!取材こぼれ話 写真に携わる者としての情熱を感じた

実際に被災地をたずね、写真の洗い方について研究を重ねてきた担当者の方から話を聞くと、写真メーカーが「写真プリントを残すこと、救い出すこと」に思い入れを持って取り組んでいることがわかり、その思いに胸をうたれました。
写真に対する皆さんの純粋な思いを知り、銀塩プリントそのもののつくりについても教えていただきとても濃密な時間を過ごすことができました。
根本的に、写真を「洗う」という行為はなかなか思いつかなかったので新鮮! 実際に洗ってみて、その効果を実感できました。
(野田)

写真教授プロジェクト裏側取材こぼれ話
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