少々の悪路でも走れる愛車“ゴン太君”を駆って、
日本国中の自然風景を撮影。
――撮影にはお一人で行かれるのですか?

 今まで遠いところは飛行機で行って、現地でレンタカーを借りて撮影していました。しかし、7月に車を買ったので最近はどこへでも自分の車で行きます。やはり撮影にできるだけ時間を割こうと思うと、車で寝泊りすることが多くなります。そこでワンボックスタイプの車を買って、8人乗りだったのを“一人暮らし”用に改造して使っています。それが愛車“ゴン太君”です。今はゴン太君でどこへでも出かけて、道の駅などでそのまま寝泊りしています。それがとっても快適で、すっかり“路上生活”にハマっています。
 私は一人で行動しているので、地元の方がよく声をかけてくれます。そこで仲良くなってお土産をいただくこともあります。そのような地元の方との触れ合いも、撮影に行く楽しみのひとつですね。

 


【氷の宮殿】滝の裏側が見事な洞窟になっていました。天井から滴り落ちる水が少しずつ成長して氷筍やつららに。つららのカーテンの内側に入り込みワイドレンズで撮り、氷を透かして明るさを出しています。
■カメラ:ペンタックス645N レンズ:FA45-85mm(F4.5) シャッタースピード:6秒 絞り:f22 フィルム:フジクローム ベルビア UVフィルター 三脚使用 撮影地:長野県王滝村

 

 

デジタルもフィルムも撮る時の“姿勢”、
シャッターを押す時の“丁寧さ”が大事。
――先生は写真セミナーや撮影会の講師を数多くされていますが、最近の生徒さんの特徴などはありますか?

【冴ゆる響】オシンコシンの滝上部に朝日が射し込みました。凛とした厳冬の空気の中でも絶え間なく滝の音が聞こえてきます。少しアンダー気味にすることで光を強調しています。
■カメラ:ペンタックス645N・ レンズ:FA45-85mm(F4.5) シャッタースピード:1/20 絞り:f22 フィルム:フジクローム ベルビア100 UVフィルター 三脚使用 撮影地:北海道斜里町オシンコシンの滝

 

【贅の極み】今年も残すところあと二日という12月30日に素晴らしい出合いがありました。真っ赤に染まる湖面はきっと神様からのプレゼント。そんな思いで丁寧にシャッターを切りました。
■カメラ:ペンタックス645N・ レンズ:FA150-300mm(F5.6) シャッタースピード:1/2 絞り:f19 フィルム:フジクローム ベルビア100 UVフィルター 三脚使用 撮影地:福島県裏磐梯秋元湖


 皆さん非常に熱心ですが、若い人の方が作品をつくる過程を大事にしている感じがします。具体的には復習をよくされています。撮ってきたものを自分で分析して反省をしています。
 それに比べると年配の方は結果を早く求めたがる傾向があり、撮ることに集中して作品を見返すことが少ないような気がします。
 私が皆さんによく言っているのが、「見直す」ということです。写真は自分で撮ったものを見て自分で勉強できるものです。仕上がりを見ながら露出・構図など次への注意点が見えてくるはずです。このようなことをされている方は上達も早くなります

――フォトコンテストの審査員などをされている立場から見た、デジタル作品の特徴はどのようなことでしょうか?

 デジタルは不要な画像を消去できることも利点の一つですが、フィルムの場合は失敗したカットも現像されて残ります。それを自分の目で見ることで失敗の原因がわかり、頭の中に知識として残ります。デジタルは撮影現場で確認して、補正や消去をするので次へ失敗を活かすことが難しくなります。ですから、デジタルでもフィルムでもシャッターを切るときの“気持ち”“気合”は常に大事にしていないといいものは撮れないと思います。

――本日はお忙しいところありがとうございました。

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