目の前は地球が誕生している瞬間のよう。
その感動は他では味わえないもの。
――一番大変だったのはどのようなことでしたか?


 撮影ポイントまでは徒歩で片道2時間半かかります。午後3時に出発して、帰ってきたのが夜の11時過ぎでした。夕方には現地に着いて撮影は無事に終了したのですが、真っ暗闇の中を帰途に就かなければならず、定められた道があるわけではありません。丘の上に夜でも光る棒が立ててあり、それを目印にして歩き続けました。登山靴を履いていましたが歩いているうちに底が抜けて落ちそうでした。溶岩地帯を歩くのですが、冷えて固まった新しい溶岩はガラスの破片のようでした。ですから裸足では絶対に歩けません。
 また、望遠レンズで撮影すると、何度撮ってもブレてしまい、風もないのにおかしいなと思っていたら地面が揺れていたのです。真っ赤な溶岩が流れて火山が活動していることを実感しました。その溶岩を撮影したのですが、とにかく熱気がすごいんです。風がこちら側に吹いている時などは、まるでオーブンの中にいるような感じ。サウナの中にいる比ではありません。ですから、反対に追い風の時は溶岩に近づいて撮影して、風向きが逆になったら溶岩から離れるということの繰り返しでした。カメラや三脚も熱を帯びてしまい、特に三脚はアルミ製なのでかなり熱くなっていましたね。たまたまパイプにテープを巻いていたので持つことができましたが、むき出しだったら熱くて持てなかったと思います。目の前は、まさに地球が誕生している瞬間。しかもじっとしているのではなく、溶岩は動いています。そこで抱いた気持ちは他では味わえないものでした。今度の写真展でもこの作品がハイライトになると思います。とにかく溶岩を写真に撮るのは、難しいものでした。


【流れる溶岩】広角レンズでこの光景を撮るのは大変だった。すごい熱気のため、なかなか近寄ることはできない。風向きが一瞬向こうへ流れた時に、近寄って撮った。
■ソニーα100 レンズ:Vario-Sonnar T* DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA シャッタースピード:8 絞り:f8 ISO100 三脚使用 撮影地:ハワイ島

 

【トーチジンジャー】暗い森の中に咲く花。蝋細工のように硬い花びらをつける。バックのボケ味のきれいなところを選んでアングルを決めた。絞りも開けてソフトな感じをねらった。
■ソニーα100 レンズ:Sonnar T* 135mm F1.8 ZA シャッタースピード:1/1000 絞り:f2.8 ISO200 三脚使用 撮影地:ハワイ島

 

 

最新のデジタル一眼レフカメラの機能を撮影条件に合わせて活用。

――その他、今回の撮影でのエピソードはございますか?

【幻の鳥 イイヴィ】この1枚を撮るためにどれだけ歩き、どれだけ待ったことか。蜜を吸うためにくちばしが丸く曲がっている。ハワイにしかいない鳥。昔、王様のマントにはこの鳥の羽が使われていた。
■ソニーα100 レンズ:300mm F2.8G +テレコン1.4 シャッタースピード:1/200 絞り:f4 ISO200 三脚使用 撮影地:ハワイ島

 

 

 

【ハワイアンモニクアザラシ】ビーチで昼寝をしているアザラシを見つけた。遠くから300ミリの望遠レンズで撮った。絶滅危惧種になっていて、手厚く保護されている。
■ソニーα100 レンズ:300mm F2.8G シャッタースピード:1/250 絞り:f8 ISO200 三脚使用 撮影地:オアフ島カエナポイント

 大変貴重な鳥の撮影に成功しました。“イイヴィ”という真っ赤な色をした鳥です。大きさはスズメを一回り大きくした程度ですが、ミツスイといって花の蜜を吸うためにくちばしが長く湾曲しています。ハワイ固有の鳥で、昔は王様のマントにイイヴィの羽が使われていました。今では大変珍しい鳥になっています。
 そのことを知った私は、どうしてもその鳥を見てみたいと思っていたのですが、警戒心が強い鳥なのでなかなか見ることができませんでした。何日もかけてやっと見つけることができて、花の蜜を吸いに来るのをずっと待っていましたが、なかなか近くへは来てくれません。
 そこでガイドさんがイイヴィの声を録音したものをスピーカーから流したところ、やっと近くへ飛んできてくれたのですが、それは自分の縄張りへの侵入者を威嚇するためでした。でもそれも本当に一瞬のことだったので、数枚しか撮影できませんでした。
 その時に役立ったのがカメラのブレ防止機能でした。600mmのレンズを付けていたので三脚は使っていましたが、何時間も歩くために比較的軽量なものだったのです。それでもブレ防止機能のお陰できれいに撮ることができました。そして、天候が晴れから曇り、突然の雨というようにめまぐるしく変わりましたが、その度にISO感度の設定を変えながら撮っていました。デジタルカメラならではの便利さです。
 その他、花の撮影では花の色に合わせて色調を調整。色温度を上げ下げして最適な色調をつくり出す工夫をしています。また、デジタルで撮るようになってからは、ストロボを使って自然光とのミックス光で撮影しています。特にマクロレンズで絞りを絞って撮ると、すごくシャープに写ります。

――今回の写真展は全てデジタルカメラで撮影された作品ですが、その狙いをお聞かせください。

 使用カメラはソニーα100をメインに一部サイバーショットも使いました。ハワイのように青い海や透明感のある風景はデジタルカメラとのマッチングがすごくいいと思います。

――三好先生は写真展を開催される場合、額装に「流木」や「古民家の廃材」を使用するなど独特の展示方法を行なわれています。今回の展示方法はどのようなものですか?

 今回はハワイらしくしたかったので、ハワイにしかない“コアウッド”という木製のフレームを、全てではありませんが使っています。コアウッドはハワイで神様が宿ると言われる聖なる木 “コア”を素材としており、現地の工房で特別注文して作ってもらいました。また、今回新しい試みとしてモニターに作品を映し出す展示も行ないます。

 

 

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